2006年12月25日

アジアでのJの立ち位置を考える(5):過去敗因検証

前回の記事 では、ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)のグループリーグ
の ドロー から、日本で出場するクラブ(浦和、川崎F)と対戦するチーム
のうち、警戒すべきと考えられるチームの紹介を行いました。

まだ分析という所までは行ってませんでしたので、簡単に概要を書くと

※ 守備は堅いが自国選手で固められている傾向 であり、
※ 攻撃には、外国人選手を置いて攻撃力アップをはかっている

という事、つまり、

アジアの強豪と呼ばれるチームですら(おそらく東ゾーンに限らず)
攻撃は外国人選手頼みの部分があるという、Jリーグにも(その他の国でも)
似た構造があります。

この事は、別側面から考えると(少々強引ですが)「代表レベルで得点を許さず勝っている」
からと言って、クラブレベルではそれが当てはまらない状況になると考えます。

代表レベルですら、当然のように対策を施すのですから、勝とうとする場合、
守備には何らかの対策をしないとゴールを挙げられてしまう(予備知識が
ない場合は特に)事につながりやすいといえるのではないでしょうか。

今回書こうとする、過去4年の敗因検証でも、その傾向は見られます。

そして、敗因を検証した時、過去4年のうち、最近の2年とそれ以前とでは
性質が違うものの、より困った問題点が浮き彫りになっていると考えます。

長くなりますが、ここからは延々と 「4年分の反省会」 になります。
以前は選手・チームの実力以外の、不確定要素に左右された面もあります。
サッカー以外の部分で、選手よりは指導者・クラブの戦略に問題があるとも
いえるのかもしれません。ただ、

ここ最近は「力負け」するケースが目立ちます。これは危険信号です。

<4年分の「反省会」>

◆1.2002-2003シーズンACL: 集中開催のグループリーグで 沈む


 鹿島アントラーズ(リーグ優勝)と、清水エスパルス(天皇杯優勝)が出場。

 鹿島 は、タイ・バンコクで、地元タイのBEC・テロ、中国の上海申花、
韓国の太田シチズンと一発勝負の、中1日のリーグ戦を戦った。
( 当初は中2日の予定が変更 。タイは気温30℃以上で、時期は
 Jリーグ開幕直前という、コンディションは上がらない時期)

 結果は、1分2敗と最下位に沈んだが、首位BEC・テロ(この年のACL
準優勝チーム)とは引き分け、上海申花、太田シチズンにはいずれも試合最後の
時間帯で失点して僅差で敗れ、得失点差は -2と決して悪い内容ではない。
しかし、上海申花戦では、3-4で敗れた原因として敵のFWマルティネスに2得点2アシストと全得点に絡む活躍をされた 
という点は、問題があったと考えられる。

※アジアでの戦いがシビアである事への配慮・事前の政治力等の問題、そして
 上海のチームに対する事前調査と対策の不足、時期の悪さもあったにせよ、
 日本のチームにありがちな「最後の最後での不用意なミス」が敗因と考える。

  清水 は、中国・大連で、大連実徳、韓国の城南一和、タイのオツソバと対戦したが、
オツソバには勝ったものの、大連と引分け、城南一和に敗れた。
清水 は、韓国の安や三都主を擁していたが、初戦で引き分けて
いたため、城南一和戦で勝ちに行く必要があり、同点の終盤にFW北嶋を投入し
点を取りに行って、最後の最後にカウンターから失点しての逆転負け。

※得失点差では+6と、2位城南一和を上回ったが、大事な試合でのミスが響く。
 初戦の大連戦で引分けたのが痛く、城南一和に勝ったとしても(首位大連が
 城南一和を破ったため)、大連の得失点差(+8)に及ばなかった可能性も
 ある。が、グループリーグの1位抜けというルールを考えると、最初から
 勝つ事を前提としての試合運びが求められたのではないか。



◆2.2004シーズンACL: いずれも得失点差で足りず、またもや不運?


 横浜FM(リーグ優勝)と、ジュビロ磐田(前年リーグ優勝)が出場。
#↑ マリノス・カラーにすると、背景で見えなくなるのですいません・・・
(2004年大会では開催時期変更のため、2002年度のJ1年間優勝の 磐田 が
 飛ばされてしまった為、天皇杯優勝の 京都パープルサンガ の代わりに出場。
 京都 のJ2降格という事情も重なった)

前回の集中開催形式への批判(前回は開催国がいずれも勝ち抜け)からか、
ホーム&アウェー方式となる。

 磐田 は、韓国の全北現代、中国の上海申花、タイのBEC・テロとの対戦。
結果として4勝2敗ながら、首位の全北現代に 得失点差で6点及ばず2位で敗退。

  せっかくアウェーでのグループリーグ開幕戦(対 全北現代)を白星で飾りながら
Jリーグ連戦中の、4/22アウェーの対 上海申花戦5/12ホームの対 全北現代戦 を
連敗した事が響いた。

※Jの合間を縫っての連戦が響いたのか、不用意な試合運びが敗戦に結びつく。
 上海申花戦では、開始7分までで2点を先制され、追いつくも後半33分に
 突き放されて敗戦。 全北現代戦では、オウンゴールで先制されたあと、
 一進一退の攻防を繰り広げるも、後手後手に回り、終了5分前に追加点を
 挙げられて、攻めに出た所で、カウンターを食らって追加点。らしからぬ敗戦。

 横浜FM は、韓国の城南一和、インドネシアのペルシク・ケディリ、そして
ベトナムのビン・ディンとの対戦。結果は、5勝1敗ながら、首位の城南一和に
やはり 得失点差で4点及ばず、2位で敗退 。

 これは、城南一和 vs ペルシク・ケディリ 戦で15-0 という試合と
なったから。それまで、10点もの得失点差でリードしていたのに、
その試合で、ペルシクは城南に苦戦すると早々にキーパーを交代させ、そして
なんと、セカンドキーパーがさらに4点取られて“もうやってられないや”と
足の怪我を理由にピッチを去った・・・
 その後はフィールドプレイヤーがキーパーをやったとの事。岡田監督の述懐に
よれば 「アジアのクラブの頂点を決める大会なのに、そういうレベルの、
そんな意識のチームがでてきて、予選突破の鍵を握ってしまった。これが現実」
という事だが、なんとも口惜しい。


ここまではまだ良い方である。というか、この後2年は、正直
「Jのレベル」に問題があるのでは? と思わせるような敗戦ではないか。


◆3.2005シーズンACL: 横浜FMは山東に、磐田は水原三星に力負け 


 横浜FM(リーグ優勝)と、ジュビロ磐田(天皇杯優勝)が出場。

 横浜FM は、中国の山東魯能、インドネシアのPSMマカッサル、そして
タイのBECテロとの対戦。結果は、4勝2敗で 勝ち点6差の2位で敗退 。

 初戦、ホーム試合が三ツ沢って、どういう事? 押しながらも
得点を奪えず、相手のペースにはまり得点されて、最後は山東が時間稼ぎを
して汚いと言われつつもアウェーで勝利。やるべき事をやりきった山東が上手。
  アウェーの戦い も似たような試合。審判の韓国人のジャッジに疑問は残る
にしても、前半の早い時間帯で先制しておきながら、試合運びのマズさで、
結局、山東のペースにはまり込んでいった感じが否めない。弱いという事だ。

 磐田 は、韓国の水原三星、中国の深セン健力宝、ベトナムのホアンアイン・ジャライ
との対戦。3勝3敗で 勝ち点9の3位で敗退。

  初戦のアウェー中国での試合 をあっさりと落とし、
 第3節のホーム第4節のアウェー での水原三星戦でも連敗。山本監督は、
 選手の使い分けをしていたようであるが、これでACLを勝ちに行ったという
 考えには、相手が水原三星だけに疑問が残る。結局、このグループは中国の
 深セン健力宝が勝ち抜けするが、ACLでの戦いに徹してアウェーで引き分け、
 ホームで水原三星に勝つという堂々たる戦いを披露した。



◆4.2006シーズンACL
        ガンバは全北現代と大連実徳に、東京Vは蔚山現代に力負け 


 ガンバ大阪(リーグ優勝)と、東京ヴェルディ1969(天皇杯優勝)が出場。

 ガンバ大阪 は、韓国の全北現代、中国の大連実徳と、ベトナムのダ・ナンとの対戦。
 結果は、3勝1分2敗で 勝ち点3差の3位で敗退 。
 初戦、アウェーで2度のリードを奪いながら、後半途中から投入された22歳の
MFキム・ヒョンボムに連続得点を許し逆転負け。第4節のアウェー では、重いピッチと
コンディションの悪い中、2つのフリーキックから失点で0-2の敗戦。そして、
第5節、ホームで戦いながらも前半終了間際に先制され、ドローにするのがやっと。
  ホームでは第5節以外は強さを見せながらも、「らしい」守備の脆さが顔を出し、
 このため、グループリーグの突破はならなかった。

 ヴェルディ は、韓国の蔚山現代との一騎打ち(参加予定であった、アレマ・マラン
(インドネシア)とタバコモノポリー(タイ)は、大会規定違反のため失格)
 J2の試合を戦いながらの苦しい状況ではあったが、初戦の国立での戦い で
前半は0-0と健闘するも、後半に2失点、アウェーの試合 でも、前半に
イ・チョンスに鮮やかにFKを決められて、そのまま敗れた。完全な力負けだった。


さて、「反省会」までご覧頂いた皆さんは、どう思われたでしょうか?
確かに運がない部分もあるでしょう。しかし、深層的にJの特性として、
負けるべくして負けたという点があるならば、どこなのか? 

それが次に考える事につながります。 ((6)に続く)


◆アジアでのJの立ち位置を考える:
    (1)アジア軽視(2)無知の知(3)アジア動向(東ゾーン)
    (4)ACLグループリーグ(5)過去敗因検証(6)Jの特性 / (Ex1)補足1
    (7)アジア動向(西ゾーン)(8)ビッグクラブ化の是非(9)アジアで戦うとは
    (10)Jの立ち位置(11)世界へのステップ(12)CWCへの期待

posted by uj_lovesoccer |23:38 | テーマ設定した記事2006 | コメント(4) | トラックバック(0)
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Re:アジアでのJの立ち位置を考える(5):過去敗因検証

Jリーグってアウェーもホームもそんなに雰囲気が変わらないのが問題だと思う。これがアジアにでたときにメンタルの弱さを露呈するのにつながってるのだと思う。まあJのレベルの低さを生み出しているのが日本の特に若手のプロ意識の低さだと思います。

posted by T | 2006-12-26 02:00

Re:アジアでのJの立ち位置を考える(5):過去敗因検証

Tさん、コメントどうも有難うございます。
おっしゃる意味よく判ります。ただ、若手のプロ意識の低さは、それを教えられない先輩や指導者のプロ意識の欠如だと取れなくはないでしょうか?
メンタルの弱さ、確かにそれは経験でしか補えないものかもしれません。次の記事にも書いた事だけでなく普段の練習・生活からの詰めの甘さが、「痛い目に遭わないと判らない(遭ってもなお判らない)日本人」の悲しさなのかもしれません。

posted by UJ | 2006-12-26 04:56

Re:アジアでのJの立ち位置を考える(5):過去敗因検証

なんか90年代後半から2000年代初頭にかけて沈んでいったイタリアを思い出してしまいますねえ。
相当な危機感を抱いてしまいますが……どうしたものでしょう?って私も考えなければならないですね。

posted by 西久保 | 2006-12-30 16:17

Re:アジアでのJの立ち位置を考える(5):過去敗因検証

西久保さん、コメントどうも有難うございます。

危機感、それは今まで味わった事がないものであるなら、書いたかいがあったというものです。どこかでアジアとの戦いを軽く見ている気持ちが、私にもあった事を、書いている段階ながらも感じています。
やるべき事は、大事な試合の前に、やる事をすべてやりきることでしょう。相手がよく判んないから、とか強くはなさそうだからとか漠然と思わずに。
やる事が試合前からも試合中の展開に応じても判っていれば、決して悲観する事はないと思います。明確なゲームプランと的確な実行力があれば、組み合わせにも恵まれているので、突破できる力はあります。

私見ですが、川崎Fの関塚監督は「やりきれる方」だと思ってますので、それに選手が応えて欲しいと思います。浦和は1年前に天皇杯を取っているので、準備にぬかりはないと思いますが、浦和のフロントがどこまでやり切れるか? ではないかと。
そして、両チーム共、Jでの戦いをぬっての(特にアウェーでの)戦いで、疲れを残さずコンディションを上げて、守備に重点を置きつつ、相手の弱い所をいかに突いていけるか? あるいは「どういう戦いを選択するのか」に注目したいと思います。

posted by UJ | 2006-12-30 16:56

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