2008年04月22日
俺はメジャーリーガーだ!
クリフ・フロイドと言う選手がいます。 モントリオール・エクスポズにドラフト1位指名され、 翌年には早くもメジャーデビュー。 後にマーリンズやメッツの中軸として活躍し、 オールスターにも選ばれた選手です。 (ちなみに2008年現在はレイズ所属)
そのフロイドのメジャー入りと同時期に、 「フロイドよりもお前が」 と同僚達に言われた男がいました。 若き日のタイロン・ウッズ選手です。 韓国に渡って「史上最強の助っ人」とも言われ、 今なお、中日の中軸を任されている選手です。 高校まではアメリカンフットボールもやっていた選手で、 大学に行ってアメフトを続ける予定だったのだそうです。 それが、エクスポズに指名されたことで、 選手生命を考え、野球に専念したのだと言います。 しかし、成功を夢見て入ったMLBの世界は、 彼が思い描いていたものとは、少し違っていました。 メジャーのキャンプに呼ばれ、 オープン戦でも良い成績を残し、 フロイドにも劣らなかった筈が、ウッズは降格。 結果、フロイドがメジャー行きの切符を得ました。 「(MLBでは)チームにどれだけのお金を この選手に使ったかという、 政治的なことが考慮されて 試合に出る選手が決まったりするんです」 実力で負けるとは思わなかった。 出場機会に恵まれれば、どのレベルでも 活躍できる自信があったのだと、彼は言います。 しかし、プロの世界には実力とは違う物差しの 「基準」があることを、そのときウッズは知りました。 「出場機会があれば…」 マイナーリーグでプレーしている時、 周りにもレギュラーとしての出場機会を求め、 「日本で野球をしたい」と言う選手が 多かったのだと言います。 「韓国や日本なら、チームの中で状態の良い 9人をゲームで使う意識が根付いているのでは ないだろうか…」 アメリカ野球への懐疑と同時に、日本球界経験を 持つアロンゾ・パウエルなどから話を聞くにつれ、 彼の中で東洋への志向は次第に強まっていきました。 そして1999年、とうとう彼は海を渡り、 韓国のOB(斗山)ベアーズに入団することを決めました。 エクスポズに入団してから、10年後のことでした。 出場機会を得たウッズは、水を得た魚のように 打ちまくりました。 この年、打率.305、42ホーマー、103打点。 なんと一年目で韓国のシーズン本塁打記録を 塗り替えたのです。 韓国シリーズでも活躍した彼は、 本塁打王、打点王に加え、MVPまでも獲得しました。 翌年には本塁打記録を56本まで更新する国民的英雄の 李承燁(当時三星ライオンズ。ちなみにこのときの 背番号36は三星の永久欠番)と凌ぎを削り、 5年間で通算174本塁打、4年連続100打点を 記録したのです。 2002年、ウッズは横浜ベイスターズと 契約を交わして来日しました。 しかし、彼の日本での評価は決して高いものでは なかったのです。 球団はデビルレイズで16本塁打、72打点を放っていた メジャーリーガーのスティーブ・コックスを三億円かけて獲得。 ウッズは悪く言えば、「コックスが駄目な時の保険」と 言うぐらいの期待度でしかありませんでした。 実は、韓国球界にいるときから、ウッズは日本球界入りを目指しており、 自身で球団に売り込むこともありました。 しかし 「韓国では活躍できても、日本では無理だ」 と言う評価しか得られませんでした。 ここにきて、メジャーリーガーと、そうでない者との 「評価差」が彼の前に立ちふさがったのです。 しかし、ウッズは実力でメジャーを勝ち取れなかったとは思わない。 「あくまでも俺は、メジャーリーガーなんだ」 と自分を信じていました。 コックスが膝を負傷して欠場したのを尻目に、 ウッズは実績をあげていきました。 得点圏に打てない、左投手に弱い、守備が下手…。 様々な欠点を指摘されながらも、彼はマイペースに 自分の力を信じ、その力を発揮していきました。 巨大なホームランを打ち、ベースを一周し、 ホームベースで彼は神に祈りを捧げます。 「ホームランを打つ能力を神様によって与えられたことに感謝します」 豪快なバッティングやガッチリとした体格とは裏腹に、 真面目な選手であり、敬虔なクリスチャンでもある彼は、 自身のことをのんびり屋なのだと言います。 韓国で大活躍したときも、高まる球団やチームメイトの 評価を受け、それにのぼせないようにしよう、と 彼はマイペースを貫きました。 「たとえこの先スポットライトが当たらなくなっても 周囲の声に惑わされることなく、頑張っていこうと思っています」 残り少なくなってきた野球人生。 MLBへの再チャレンジは?と聞かれた彼は、 政治的な事に巻き込まれたくないので、 日本で野球を終えたい、と答えました。 では現役を終えた後は?の問いに、 「アメリカでリトルリーグのコーチをやってみたい」 と言うのは、本来はプライドや競争心を前面に出すタイプではない、 彼らしい答えなのかも知れません。 追記:なお、ウッズ選手のインタビューの受け答えは横浜時代のものです。 参考「ベースボール・マガジン」など。
posted by 智 |21:46 |
タイロン・ウッズ |
コメント(2) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/udai/tb_ping/34
この記事に対するコメント一覧
俺はメジャーリーガーだ!
ウッズのインタビューは言い訳にしか聞こえないな
プロの世界ではルーキーはみんな同じスタートラインではない、それは当たり前じゃないの?
期待されてる選手は特別扱いされるのも当然だし
3Aでウッズが好成績を出していてもメジャーに上げてもらえないなら問題ありそうだけど
マイナーで活躍してたんですかね?
posted by シャー | 2008-04-23 00:48
俺はメジャーリーガーだ!
そういうご意見があるのももっともです。
実際にフロイド選手は成功を収めたのだし、
話を聞いた人も、実際に彼らのプレーを見た人にも、
ウッズ選手の言い訳だと感じる人はいるかも知れません。
また、日本でも同じように期待されてる選手と
そうでない選手は初めから差があると感じる人も
いらっしゃると思います。
ただ私は、例えばそれがウッズ選手の一方的な
見方であったとしても、、その「負い目」を
モチベーションに変えて野球をやってきた、
そういうのはすごく大事だと思うんです。
posted by 智(ブログ主) | 2008-04-23 01:07


