2007年12月29日

おまけと言うには長すぎるおまけ~指標のいろいろ~

【RC】
ビル・ジェームズが考案した、一試合に個人が何点取れるかの指標です。
計算方法は、

A【安打+四球+死球-盗塁死-併殺打】
×
B【塁打+0.26×(死球+四球)+0.53×(犠飛+犠打)+0.64×盗塁-0.03×三振)
÷
C【打数+四球+死球+犠飛+犠打】

を基本計算として、より近似値となるようにと、改良が加えられた物です。
ちょっと反則なのですが、これをもう少しわかりやすい形、点数制にしてみましょう。
正確な形ではないのですが、こんな感じ。

「点数制 簡易RC」

出塁     100点
凡打    -30点
盗塁死  -100点
併殺打   -100点

塁打     100点
四球・死球  26点
犠飛・犠打  53点
盗塁      64点
三振     -3点

表を見ると「出塁したか否か」と「出塁(凡打)の内容」の
二つの要素で成り立っていることが分かります。
(三振であれば結果の「凡打」とその内容の「三振」で-33点)
また、盗塁、盗塁死などの「打者走者以外の走者としての能力」と
「犠飛・犠打」の進塁貢献度、「併殺打・三振」のランナーの進塁を
妨げたり、アウトを余計に増やす行為が考慮されています。
(ただし、犠打・犠飛をのぞく進塁打の貢献度は加味されず)
一方、OPSは出塁率+長打率ですから、
盗塁、盗塁死、併殺打、三振と言った要素を考慮せず。
犠打・犠飛も関係のない要素として排除することになります。
でありながら、RCとOPSの実際の得点との差はそれほどないと言うのです。
セイバーメトリクスにおいて盗塁や犠打が重要視されない理由は
そういうところにもあるのかも知れません。

さて、セイバーメトリクスの見地から作られた打撃指標は基本的に
安打数・二塁打数・三塁打数・本塁打・四球・故意四球・
と言った独立した数字をかけあわせて、得点に関わる貢献度を
出塁力・長打力・走塁力・選球眼・併殺回避力などの総合した力を
数値化したものと言えます。
XRもそのうちのひとつです。

【XR】
XRの計算方法は、

0.50×単打+0.72×二塁打+1.04×三塁打+1.44×本塁打
+0.34×(四球+死球-故意四球)+0.25×故意四球+0.18×盗塁-0.32×盗塁死
-0.090×(打数-安打-三振)-0.098×三振-0.37×併殺打+0.37×犠飛+0.04×犠打

点数制にすると、

単打    50点
二塁打   72点
三塁打 104点
本塁打  144点 
四死球  34点  
故意四球 25点
盗塁    18点
盗塁死 -32点
三振    -10点
三振以外の凡退 -9点
併殺打 -37点
犠飛    37点
犠打     4点

となります。
RCと比べると、長打を「塁打」として単純に繰り上げるのではなく、
約20点、30点、40点の上積みとなっています。
点数を加わると言う見地からか、犠飛の評価が犠打に比べ9倍もあり
故意四球の評価を四球よりも落としていますね。
この点で、RCは犠打・犠飛の点数は同じ評価であり、
四球と故意四球の違いもありません。
ここから、RCはいかに「アウトにならないか」「アウトを増やさないか」
の絶対度に重きを置いているかが感じられます。
ちなみに、盗塁と盗塁死における評価はほぼ同じです。
5回成功、3回失敗でプラスマイナス0評価に近くなります。
つまり、成功率が6割2分以上になって初めて盗塁がプラス評価される訳です。
また、ともに併殺は通常の凡打の4倍もののマイナス評価。
三振は凡打の1.1倍程度のマイナス評価のようです。

では、ここで具体例を挙げて比較をしてみましょう。
2008年5月9日時点の首位打者の山崎武司選手と盗塁王の片岡易之選手の
打撃成績を比較してみました。

山崎武司
.368 7本 24点 0盗塁 
得点圏打率 .519
出塁率 .480 長打率 .608
OPS 10.88

片岡易之
.275 1本 10点 16盗
得点圏打率 .367
出塁率 .322 長打率 .366
OPS 6.89

(山崎 / 片岡)
152 打数  157  
46 安打  39
30 単打  30
 9 二塁打    6
 0 三塁打    2
 7 本塁打   1
76 塁打  52
22 得点  17 
24 打点  10
24 四球   6
 3 死球   4
 0 犠打   5
 0 犠飛   0
 0 盗塁  16
 0 盗塁死  6
28 三振     15
 3 併殺打   5 

RCの基本形を計算すると、
山崎選手は32.13
片岡選手は17.81となります。
ちなみに点数制のRCで計算すると
山崎選手が11738、
片岡選手が6614。

XRで計算すると、
山崎選手が29.866で
片岡選手が15.5となりました。
ちなみに点数制XRになると
山崎選手が2981で
片岡選手が1538。
(なお、故意四球の数がわからなかったため、
故意四球も四球として計算しております)

片岡選手の成績を1とした時
山崎選手の成績は以下のようになりました。

RC 1.804(点数制RC 1.77)
XR 1.926(点数制XR 1.938)
OPS 1.57

RCの点数制はもっと正確な形にできると思うのですが、
凡打とその他の点数との兼ね合いが難しく、
現段階ではそれほど信頼度が高い物ではないので
目安程度にしてください。XRの点数制はおそらくかなり
近い数字になると思います。
(計算するためではなく、RCとXRで何が
重要視されるかの比較の目安ですが…)

こうしてみると、XRとRCの誤差が非常に小さい事が分かります。
また、皮肉なことに、盗塁も考慮しているXRやRCよりも、
盗塁が加味されないOPSの方が片岡選手の
評価が高くなってしまっているのです。


【シーズン平均との比較】
さて、RCにはRCAAとかRCWINと言った派生指標が存在します。
XRにもXR+、XRWINと言うものが存在します。
元のものと何が違うのかと言うと、リーグ平均との比較ができるようになっています。
何故リーグ平均との比較が必要かと言うと、その年その年によって
打者が有利だった年、投手がよく抑えた年などの差異が生じます。
例えば、三割打者が20人出た年と、5人出た年では、三割打者の
価値は違うだろう。と言うような観点から、
その年の平均値を1としたときにはどの程度なのか、と言うことなのです。
平均打率.270の年の.300であれば1.11ですが、
平均.250の年の.300であれば1.2ですね。
それを打者の総合的な力にしたものが、RCAAとかXR+と言われるもの、
と言うわけです。
その年ごとの「平均」を考えた素晴らしいアプローチだと思います。

【防御率】
一方、得点との関連性が薄いと言われる打率や打点に比べて、
防御率は9回に何点取られるかを示した物ですから、
そもそも防御率は「個人の失点」の観点から表されたものです。

しかし、防御率は、守備力の巧拙で変化するではないか。
防御率で守備力を考慮しているのは、エラーの場合のみ。
エラーは守備力を正確に表したものではないのだから、
防御率=純粋な投手の力を表した物ではない。
と言う考えが出てきました。

【DISera ・ K/BB】

被出塁率やWHIP(イニングあたり何人の打者を出塁させるかの指標)、
HldR(自ら出したランナーを本塁に返さない割合)も、
守備力の巧拙が関係してきます。
そこで考えられたのがDISeraやK/BBです。

DISeraは

【(四死球-故意四球)×3+本塁打×13-奪三振×2】
÷
【投球回数】
+
3.12

となっています。つまり、点数にすると

四死球    -3点
本塁打    -13点
奪三振      2点
ヒット               0点
エラー        0点
ゴロアウト     0点
フライアウト    0点
ライナーアウト  0点

と言うわけです。

K/BBはもっとも簡単な指標で、

「三振÷四球」

です。
三振は100点で四球は-100点、
後は関係ないぜ、と言うわけです。
潔すぎると思います。
K/BBはレッドソックスが岡島投手を獲得する際の
指標として使ったものとしても有名ですが
より正確を期す為の指標と言うよりは、
獲得するか否かを判別する為の簡易指標と言う
性質の方が強く、今は未だ
「仮説の指標」に留まっていると言えるでしょう。

DISeraでもK/SSでも
「打者を打ち取る」と言う評価は敢えて排除されています。
性質上仕方ないとは言え、
確実に守備力に左右はされないものの、
攻撃と比べ、決め手とする要因の数が極端に少なく、
投手の「打たせて取る」ことの評価を数値化する
方法はまだ過渡期と言えると思います。


※自信を持って言いますが私はかなりのセイバーメトリクスの素人であり、
しかも数字に弱いと言う致命的な欠点があります。
それ故、数式や解釈においては誤りのある点もあると思います。
いや、誤っていると言う自信があります。
指標の数式、特にRCの点数制において、もっと正確に表せる方がいらっしゃったら、
お教えいただけると嬉しいです。また、RRFの詳しい説明もお待ちしております。

posted by 智 |05:16 | セイバーメトリクス | コメント(2) | トラックバック(0)
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おまけと言うには長すぎるおまけ~指標のいろいろ~

RCに関しては,個人的にその考え方が理解しきれていません.大まかには出塁数に進塁を掛けて,それを打撃機会で割ったもののようですが,そうすると併殺打や三振の扱いが釈然としません.

RRFはRFにさまざまな補正を加えたもののようで,RFの厳密版と捉えていいように思います.思想的には変化はないような気がします.

私も数字は苦手なのですが,「攻撃で重要なのはヒットを打つことでなく,アウトにならないことだ」とか「インプレイになった打球の結果は投手には責任はない」などの新しい視点の導入は素晴らしいものと思います.個々の指標には賛成しがたいものも多いのですが,野球の観かたの選択肢を増やしたという点では賞賛に値すると思っています.

posted by さへき | 2008-05-11 17:01

おまけと言うには長すぎるおまけ~指標のいろいろ~

RCなどの指標は、さへきさんの「JUNK BOX」で
ご紹介をされていたのが興味深かったので、こちらでも
まだ理解ができないうちながら、ちらっと書かせて
頂きました。
私が書いた当時は理解がまだ及ばなかった、
咀嚼し切れていない部分があったので、
主張するもの、方向性がなくちょっと乱雑になって
しまっているのですが…。

指標そのものではなく、その有効性、合理性自体が
セイバーメトリクスの本当の価値だと言うことは、
ずっと思っていました。私自身も、総合指標の具体的な
数字を見ると、違和感を感じるときがあります。
死球を得られるのは、そんなに高得点になるのか、
だとか…。
ただ、達川さんクラスなら、技術と言えそうな気が
しないでもないです(笑

もうひとつ、出塁率と言うものは打順に左右されるし、
打点と言うものはチーム力に左右される、
個々の能力、チーム能力、多角的に力を表すには、
総合指標というひとつの数字にまとめてしまわずに、
やっぱり全ての数字が参考にされてこそ、だと
思いますね。

posted by 智(ブログ主) | 2008-07-25 15:15

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