2008年07月03日
ということで、EURO開幕前スペイン代表についてのみブログに書いていたことからもわかる通り、基本的にスペインだけを追ってきた僕なんですが、ここいらで少しまとめてみたいと思います。自分の書いたことを振り返りながら…。
■これまでなぜ勝てなかったのか。
民族意識とか、代表とクラブの比重とか、負けるたびに、そのへんのことをいろいろ言われて来たスペイン代表。ただ、少なくとも僕が見始めた98年からは、ただ弱いから勝てなかっただけだったと思う。僕は優勝するには、良い選手、良い監督、良いチームワーク、運のうち最低でも3つは揃ってないと厳しいと思っている。国民性をチームワークと捉えても、これまでのスペインは、正直、4つの要素のほとんどを持ち合わせていなかった。まぁ僕がスペインの歴史に疎いと言うのもありますけど、リーガ見ていて思うのは、スペイン人って強ければ応援する、強くないから応援しないし興味がないって感じなんじゃないのと(笑)。代表も強けりゃまとまって応援してくれるでしょってのは思っていて、最終的にそうなった気がする。選手がまとまってないとは、これまでもあまり思わなかったし、闘争心がないとも思わなかった。ただ、今回ほどまとまってる時もなかった。
■選手選考
これはもう有名な【アラゴネスのラウル外し】が一番のトピック。これについては、僕は基本的に賛成だった。そろそろスペイン=ラウルから脱却する時が来たと思っていたし(主にマスコミがね)、またそれだけの選手がいると思っていたので。ラウルファンの方はさぞや腹が立ったと思うが、僕はそれ以上にラウルの存在の大きすぎることが疑問だった。良い選手がいるのに、なんでラウルばかりなの?っていうか。だからここいらで、若手が実力を示さないといけなかったし、それをするなら今しかないという確信はあった。ちなみに今回優勝したことで、ラウルは、また代表に戻れるような気がしている。代表は基本、監督の好みで選手が決まるので、ラウルが必要なら選ばれるでしょう。僕もラウルファンなんで、まだまだ彼ならやれると思っている。この問題は難しいですが、ラウルがいなかったから優勝できたとか、そういうことではなくて、スペイン代表を正常な状態にするために避けては通れなかったことだったのかなって感じ。これでマスコミが変わればいいけど。
その他、ウイングプレーヤーの不在も言われてきた。今までのスペインと言えば、ホアキンを代表されるように縦への突破に強い選手が多かった。でも今回は見事にそういう選手を外して来た。でもこれは、イニエスタとシルバの能力が高かったことも大きかったと思う。スペインのサイドプレーヤーは縦へのドリブル意識が強過ぎて、プレーの幅は狭かったが、この2人は縦への突破も出来て、中でも仕事ができる。とても大きな存在だった。
■スペインサッカーとイングランドサッカーの融合/4-1-4-1→4-4-2
プレミアリーグで活躍するスペイン人が増えた昨今。今まで外に出なかったスペイン人が外に出て、違うサッカーを吸収したことは想像以上に大きかったと思う。根拠はないのだけれど、そのくらいセスクやシャビ・アロンソ、そしてトーレスの縦への強い意識は、スペインにとってプラスだったなと。あとビジャはリーガにいながらプレミアやセリエでやってるようなプレーをするし、セナもブラジル人だし。でも、そういう一見合わなそうな素材を合わせることで、何か得体の知らない力が生まれることはよくある。それがEURO期間中、僕がクアトロ・フゴーネスの4-1-4-1なんかよりもビジャとトーレスのツートップを頑に推した理由だ(4-1-4-1のセスクはプレミアのセスクらしさが半分くらいしか出てないと思うので)。スタメンにカウンタータイプの選手とポゼッションタイプの選手がいることは分かっていた。ただ、ポゼッションタイプで11人集めたら勝ち進めることは出来ないっていう確信はあった(4-1-4-1のグイサのワントップとか)。
ちなみに4-1-4-1について少し。当初アラゴネスは、ポゼッションしまくって勝つというサッカーを本気で模索してたかもしれない。予選でうまくいっていたのもある。ただ、大会直前のテストマッチはいずれもパッとしない。トーレスのワントップはやっぱりフィットしない。そこでビジャを入れてみたらわりといいんじゃんってことで、4-4-2に移行。これが偶然なのかどうなのかは謎。でも結果的にそれは良い方向に働いた。多分ロシアなんかは4-1-4-1を研究し尽くしてたはずなので、そこでまずカウンターを浴びせることは出来た。あとそもそも4-1-4-1は穴が多すぎる。それは決勝のドイツ戦でもよくわかった(穴を突かれた瞬間、4-2-3-1に移行)。それにシステムとは別の話だが、ポゼッションを高めればピンチが少なくなるなんて言うのは幻想で、ポゼッションを高めれば高めるほど、カウンターやロングボールの餌食になるのもわかった。例えば前半から異様にポゼッションが高かったスウェーデン戦やギリシャ戦はいずれも失点をくらい厳しい状況におかれている。更にイタリア戦も苦しんだ。逆にポゼッションが拮抗してたロシア戦、ドイツ戦は、わりと安心して見ていられた。もちろんこれはボールを回してなかったわけではなく、縦への意識がいつものスペイン代表よりも強かったという証拠でもある。回しすぎず、早めにフィニッシュに持ち込めたことが、今大会の良かった点だ。
■監督の采配
ラウルやウインガーを外したことからもわかる通り、アラゴネスの頭の中には、「これまでと違うことをする」っていう確固たる意志があったように思う。これまでタイトルを取れなかったのだから、同じことをやっても仕方ない。じゃあ違うことを徹底的にやろうじゃないか!っていう感じ。そう思った理由としては、今回のスペイン代表の采配が、恐ろしく守備的であったことがあげられる。ワールドカップで、強敵フランスに対して、セナをいきなり外す暴挙に出たくらいスペイン気質丸出しだったおじいちゃんが、このEUROは交代枠を使い切るリスクはありつつも、基本的には守備的な交代に終始していた。シャビ・アロンソ、カソルラ、グイサ、セスク。どの選手も守備で役に立つ選手。イタリア戦なんかは、今までなら勝ちにいくところだ。でも今回はじっと我慢。両SBも上がりを抑えて、決してリスクは冒さなかった。これまでのスペインからしたら考えられない選択。初戦のロシア戦、ドイツ戦なんかは、完全にポゼッションを放棄して、トーレスへのロングパスを狙い続けている。優勝するためにスペインの美学を放棄したとも言えるんだけど、不思議なもので、優勝してしまえば、「スペインの攻撃的なポゼッションサッカー、パスサッカーが頂点に立った」とか言われちゃうわけである。つくづく勝つことって大事だなと…。まぁスペイン人は攻撃が大好きなので、指揮官くらいは守備を意識しろよって結論で間違いないと思う。
それと、今までのスペイン代表にはポゼッションしかなかった。だから、相手からしたら戦いやすいチームだったと思う。でも、今回のチームは、守備もわりとやるし、中盤飛ばしたロングボールまである。まったく対処に困るチームになっていた。まぁ、流川と仙道の違いってやつですかね。ロングボールがあることで、中盤でより効果的にボールが回せるというか。代表っていうのはクラブと違って弱点が多いものなんだけど、その弱点を補ってあまりある戦術的幅広さをスペインは身につけていたと。
最後にチームワークについて。結局代表なんてクラブに比べたら練習時間は少ないし、戦術的な幅や対応力があるわけではない。だからいかにまとまるか、いかにいい状態で試合にのぞむかがすべてなのかもしれない。そういう点で、アラゴネスのメンタルコントロールはパーフェクトだった。これも自信を持って言えるかな。ちなみにさっき雑誌を読んだら、大会中セルヒオラモスと攻撃参加について揉めていたらしい。それがラモスがグループステージで低調だった理由か…。でもそういうのもしっかり乗り越えることがトーナメントを勝つには大事ってことなのでしょう。
■運
今回、運が良かったと言えるくらい運が良かったのかって考えると謎です。スペインの相性が悪い相手はイブラヒモビッチのいるスウェーデンとトニがいるイタリア。そこに放り込みをされることだったと思う。まぁ運ということなら、イブラヒモビッチが後半出てこなかったことでしょうか。あとは準決勝の相手がオランダではなくロシアだったことも、運が良かったと言えるかもしれない。ただ、運がそこまで優勝に影響したかと言われると、そうでもないかなというのが正直なところ。オランダにも結果的には勝てたんじゃないかなと思ったり。こればっかりはわかりません。ただ、ついてなくはなかった。これだけは確かだ。
■意外と信頼が厚いマルコス・セナは、僕の中ではMVP
ワールドカップのフランス戦、セナを外してシャビ・アロンソを起用したのは大きなミスだったが、アラゴネスは基本的にずっとマルコス・セナを信頼して使っている。セナの代わりがつとまる選手はアルベルダくらいしかいなかったのだが、そのアルベルダがいろいろあって選ばれなかった。ということで、必然的にフル稼働。彼にアクシデントがなかったのは大きかった。今回の代表で、唯一代えのきかない選手だったと思う。ちなみにアルベルダはよりディフェンシブで頭の良い選手。セナはディフェンシブだけど、アルベルダよりもパスが全然うまいって感じ。人種差別的発言が話題になったりもしたけど、セナの使われ方とかを見てると、本当に冗談だったのかなって感じ。だって、エトーへの接し方とかもあるしね。
■コンビネーションは一日にしてならず。
トーレスとビジャは合わないとか、結論をすぐ出しちゃうのはダメだなと自分で感じたので、今後気をつけたいと思います。まぁ、別に驚くほどかみ合ってたわけじゃないけど、お互いのプレーを理解して、人としても信頼しあえば、合わないなんてことはないんだということをわからせてくれた大会でもありました。セスクはスペインには合わないとか。う〜ん。つくづくサッカーってメンタルスポーツだなぁ。
まぁ言ってるそばから、高原とエジは合わないとか言うんですけどね。これはもう仕方ない。言いたくなっちゃうので。ということで、今回のスペインには、良い選手、良い監督、良いチームワーク、運、たまたますべてが揃ってたんだぞという記事でした。
posted by KASHIMA |13:04 |
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