2007年12月14日

日本が世界に追いつくには時間がかかるってこと

 以前はtoyota cupと言えば、世界のクラブチームの実力を肌で感じることが出来る数少ない大会だったかもしれない。だが、今はCLや欧州リーグの試合もテレビで簡単に見れる時代。いつも欧州サッカーを見てる人なら、今日のミランの試合を見ても、正直ほとんど驚くことはなかったんじゃないだろうか。カカが止められないのは、坪井だったからってわけじゃない。昨季のCLでカカにいとも簡単にゴールを決められたチームを何回も見て来たし、俊輔という絶好の判断材料があった。その俊輔がほとんど何も出来ないのだから、ビッグクラブというのはそういうレベルなのだ。
 それをしっかり理解してる人なら、おそらく今日の浦和レッズの試合は善戦だったと思うだろう。そして、この試合を見て、レッズは引いてばかりとか、パスが繋がらないとか、選手個々の実力差があるとか言っている方は、おそらく上に書いたことを本当にはわかっていないのだろう。そんなのはやる前からわかっていたことなのだから。

 試合をじっくり見てると面白いくらいよくわかったが、レッズは、ミランの選手の攻撃時の迫力、具体的に言うと個々の圧倒的なキープ力を見せつけられて、守から攻への切り替えがあきらかに出来なくなっていった。攻撃に行った時点で守りきれないのがわかってしまったからだろう。“強さ”というのは、相手の実力を正確に理解することが出来ることだと思っているので、僕はレッズの選手は的確な判断をしたと思う(選択肢がなかっただけかもしれないが)。圧倒的な実力差を感じながらも、それでも何とか勝てるわずかな可能性を考えていた、そう評価したい。どんな強豪でも90分間試合を支配することはなかなか出来ない。いつか自分たちの時間が来る。そのわずかな時間にかけよう。そんな狙いも少しはあっただろう。そして実際、レッズの時間帯は来た。そこで全体が少しだけ前がかりになった。だが、ここで見せつけられたのは、恐ろしいまでのミランの、そしてカカの経験値。レッズの“行ける!”というわずかな希望の気持ちさえも流れの中に見事に組み込んでしまった。本当にわずかな隙だった。だが、サイドで坪井とカカが一対一になってしまった時点で負け。坪井に考える間も与えない速い仕掛け。まったく崩れないフィジカルバランス。これが世界最高の選手か…と、ただただゴールネットが揺れるのを呆然と見つめるしかなかった。
 それにしても、ミランは本当にイタリアらしいサッカーをする。こういう試合、相手があきらかに格下でも、油断はしない。リスクをほとんど冒さない。常に相手のカウンターを意識して、必要最低限+1くらいの選手を後ろに残していた。それでいて相手がきた瞬間のバランスの乱れは見逃さない。こればっかりは、ただただ感心するばかりだ。別にわざと相手にペースを握られたわけではないだろう。だけど握られたときどうすべきか、みんなわかっていた。1-0の美学、堪能しました。



 
 さて、実力差というところで、誰が見てもその差は歴然としてたわけだけど、それはWCからわかってたこと。日本が世界に近づくためにどうやってそこを克服すればいいのか考えたことは幾度もある。だけど、その度に、早いうちに海外で経験を積むしかないという結論に達してしまうのだ。
 というのも、僕は日本人がテクニックで、どうしようもないくらいの差があるとは思っていない。この試合を見てますますそう思えた。ただ単に慣れの問題というか。たとえば後半の永井や長谷部のミドルシュートの場面。トラップからシュートまでのイメージが出来てない。さらにシュートの振りがでかい。コンマ何秒の違いだが、そのスピードが世界との差なのだ。でも、JのレベルのDFを相手にしていては、それは残念ながら身につかないだろう。その他には、細貝や相馬がサイドチェンジのロングパスを受けたとき、ワンバウンドさせて、まずは足元でキープしようとした。案の定、トラップした瞬間、相手に奪われてしまったのだが、これもJではキープできちゃうから、そういう選択をしてしまうだけなのだ。本来なら相手のいないところにトラップして、さらにそれがドリブルの一歩目になっていなければならないのに…。でも、Jで意識を高く持って、速いプレー(やパス)をしようとしても、相手がそれに反応してくれなければ仕方ないし、それでミスしようものなら逆に批判されてしまう。悪循環なのだ。
 日本人はユース世代などは世界と比べて、実力にそこまで差はないと思っている(アフリカとの差はあるが)。だが、そこから成長する過程でJのレベルで順応するか、欧州のレベルで順応するかでここまで差が開いてしまう。すべての選手がいつでもボール奪取を狙っている環境でサッカーをしていれば、必然的にトラップの際にフェイントを入れることを覚える。ポンテのプレーなど見てればわかるが、常にトラップ前に何かしらのフェイクを入れてる。それが習慣になってるか、なってないか。これは大きな差だなと思う。
 フィジカルにしてもそう。普段、フィジカルがない者同士で戦っていれば、鍛える必要もないわけだし、身体の使い方も身に付いていかない。長谷部などは、フィジカルの使い方がもう少しうまければ、もっとやれるのにと思ってしまった。逆に啓太や阿部は代表での経験が豊富なのが出ていたかな。それでも基本のフィジカルは全然違う。カカのインタビュー時、186センチ73キロとか書いてあったけど、あきらかにウソだろう(笑)。ワシントンレベルの身体してたし。
 ということで、世界に追いつくためには、J全体の底上げは必要不可欠なわけだが、何十年かかるかわからない。手っ取り早く世界に追いつくためには、やはり海外で成長するしかないんじゃないかなと、僕なんかは思ってしまう。



 にしても、昨日、つくづく思ったのはサッカーは個人能力あってのものだなってこと。一人の選手が3人に囲まれてもキープできちゃえば、その時点でその人の周りでは数的有利な状態が存在しちゃってるわけだ。で、そこにボールが出たら一気に崩せる。もちろんミランの守備組織は素晴らしいものがあったけど、やっぱ個人能力ってすげぇなと、思った。

posted by KASHIMA |12:57 | Jリーグ | コメント(35) |
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