たかすつとむのフォトブログ

ヨルダン戦を終えて。

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 サッカーの日本代表の取材を始めるようになって早いもので8年。中東がとても身近に感じるようになった。ワールドカップの予選で結構な頻度で行っている計算になる。オマーン、バーレーン、カタール、いわゆる湾岸諸国だ。今回、訪れたヨルダンはアラビア半島の付け根のヨーロッパ寄り。サウジアラビア、レバノン、シリア、イラク、そしてイスラエル。サウジアラビアを除くとここ10年の間で紛争が絶えない印象がある。ヨルダンに行くと言うと「治安大丈夫?」と心配されるのも頷ける。そういえば首都のアンマンという名称はずいぶん前から知っていた。何故だろうか、と思ったら、その紛争を伝える日本のジャーナリストたちがアンマンを拠点にしていたため「ヨルダンのアンマンよりお伝えしました」のフレーズで耳に馴染んでいたんだと気がついた。

 ヨルダンの人たちは親切でのんびりした人たちが多い。ホテルの目の前にあった24時間営業のスーパーマケット、セーフウェイのフードコートには何回かお世話になったのだけれど、注文をして会計を済ませるまで、ずいぶんと時間がかかった。もっとも時間がかかったというのは、1分お待たせしたら料金を返還します、という恐るべきサービスに慣れた日本人の感覚での話だ。きっと彼らからすれば、日本人はなんてせっかちなんだ、って思ったと思う。

 のんびりした気質を少しだけ理解できたのは、アンマン北部のジェラシュ県の遺跡に行ったときのことだ。インディ・ジョーンズで有名なペトラ遺跡のことさえ知らなかったほど不勉強な僕はジェラシュのことはまったく知らなかったし、かつてローマ帝国に支配されていたことなんて知る由もない。もちろんローマ帝国についてもほとんど無知な僕は、幸いにも同行していた先輩氏が歴史家だったこともあり、さまざまな講義を受けながらジェラシュの遺跡を堪能することができた。本当に素晴らしかった。弥生時代の日本人が竪穴住居に住み、高床式倉庫に米を貯蔵するようなスローライフを送っていたとき、彼の地はすでにローマ帝国の支配を受け、巨大な石作りの宮殿を作っていたことになる。雄大な歴史や大陸ならではの複雑な問題、宗教や民族の関係性。こうした中で生き残るために親切でのんびりするようになったのか、元々、親切でのんびりしているから生き残ってこれたのかはわからないけれど、こういうカルチャーショックを受けたとき必ず感じるのは「日本ってやっぱり島国なんだなぁ」ということ。もちろん、日本を卑下しているわけではなく、海外に出て日本を見つめ直すことは、とても良いことだと思う。

 さて、あまりにヨルダンの刺激が心地よかったので、本題の前の導入がすごく長くなってしまったけれど、昨日のヨルダン戦について。

 会場となったキングアブドラスタジアムでは、関塚監督率いる五輪代表もオジェック監督が率いるオーストラリア代表も撃沈された。直近の試合でベラルーシも敗れたという話が記者会見で話題になっていた。とにかく、このスタジアムでの戦績はすこぶる良い。そう考えるといわゆる「サッカーってこういうものだよね」的な結果になってもおかしくないと思える。ちなみに「サッカーのこういう試合」とは「強いチームが勝つんじゃない、勝ったチームが強いんだ」という皇帝の名言的な現象のことだ。日本がブラジルやフランスに勝つことがあるくらいだから、ヨルダンが日本に勝っても不思議はまったく、ない。

 日本とヨルダン。普通に考えたら日本の方が圧倒的に強い。実際に9ヶ月前には6対0でズタズタにした。話がそれるけれど、ヨルダン人からは「ホンダー」と声をかけらることが多かった。ハットトリックを決められたわけだから当たり前の話だけれど。で、話を戻すと、今回、多くの人がデコボコなピッチでアウェイ、厳しい戦いになると思っていた。テレビの前のみなさんも現地で取材していた僕らも。だけど、さすがに引き分け以下はないだろうとタカを括っていた人も多かったと思う。尊敬する先輩カメラマン氏も「今の日本代表ってさ『サッカーってこういうもんだよね』って言う負け方をしなくなったよね。だからきっと今回も負けないよ」と話していた。僕もやっぱりそうだよなーと思っていた。

 で、日本は見事に負けた。
 
 そして、6月のオーストラリア戦が俄然、面白くなってきた。ホームで本戦出場をかけた試合。たぶんすごく盛り上がると思う。絶対に勝たなければならないオーストラリア代表が相手だから、試合もすごく面白くなると思う。2006年の対戦以降、日本はオーストラリアを90分で破ったことがない。そろそろ勝って欲しいなと思うけれど、もちろん、そこでも負けちゃう可能性だってある。ぼくは意外とその可能性は高いんじゃないかと思っているけど、そうなると当初、消化試合になると見込まれていたイラクとの最終戦にまでもつれる可能性がでてくる。つまり、おそらくドーハになると思うけれど、そこで生きるか死ぬかの戦いをして、その4日後にはブラジリアでコンフェデの開幕戦に臨むことになるのだ。

 良い感じになってきな、と思う。というのも、2010年に発足したザッケローニ監督率いる日本代表は、これまで順調に勝ち星を上げて、その中にはアルゼンチンやフランスといった強豪もいたし、アジアカップの劇的な優勝もあった。正直、怖すぎるほど順調だった。最終予選の組み分けが決まった時点で、早ければ今回のヨルダン戦で、遅くとも次戦のオーストラリア戦で、しかもお互いに引き分けで良いくらいの予定調和的な試合で決まるかなと考えられていた。しかし、個人的にはどこかで躓くことを楽しみにしていた。もちろん、ただ躓いて欲しいわけではない。なぜなら、躓くことがこのチームにとって成長剤になり、結果として本大会での飛躍に繋がると信じているから。もちろん野次馬根性がまったくないとは言わない。多少、バタバタしてくれた方が、エンターテイメントとして面白いし、何よりドキドキわくわく感が増す。だってこれってワールドカップの最終予選ですぜ。ドーハとかジョホールバルのときの興奮がもう一度味わえるなら、厳しい道もありじゃないかなと思う。

 今から6月が楽しみだと思う。

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写真はジェラシュの遺跡での一コマ
撮影:たかすつとむ




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東京都出身。出版社にて編集者を経験した後、フォトエージェンシーに勤務の傍ら、スポーツカメラマンとして活動開始。エージェンシーを退社、フリーランスとなる。ライフワークとしてセパタクローを追いかけ、サッカーを中心に数多くのスポーツを取材中。日本スポーツプレス協会(AJPS)、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員。
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