2006年09月22日
カメラマン魂。
クリス・ファイファーというスタントバイクのライダーが来日している。 スタントバイクとはバイクを使ってウイリーはもちろん、ジャックナイフやいわゆるアクションジャンプと言ったスーパーテクニックを披露するジャンルである。 ショーパフォーマンスの要素が多分に含まれてはいるけれど、300キロ弱の大型バイクを玩具のミニバイクで遊ぶかのように操る様は圧巻の一言。テクニックはもちろん強靭な肉体を必要とする。まさにアスリートと呼ぶに相応しい。 本場の欧米では、採点競技のフィギュアスケートやシンクロのように競技会が行われ、クリスは2006年の現役欧州王者である。そんな彼が来日していて、幸運にも特写する機会を与えて頂いた。 どんな競技でもトップアスリートを目の前にすると興奮するもので、カメラマン魂にも火が付くというもの。東京のランドマークでもある東京タワーをバックにして、超広角レンズを駆使して撮影を開始。 専門的になってしまうが、広角レンズはその名の通りワイドな絵が撮れるのが特徴で、被写体に近づけば近づくほどに迫力のある絵が撮れる。逆に言えば寄らないと中途半端な絵しか撮れないので諸刃の剣的な要素がある。 そこでカメラマンは仰向けになって、自分の頭の50cm先にマーキング。「ここを通過しながらパフォーマンスしてくれ」と要求。もちろん「轢かないでね」とも付け加える。「OK, Safty first」と言いながら親指を立てるライダー。「ホ、ホントに大丈夫かしら…」と不安が過ぎるも1時間前に対面したばかりのドイツ人に命を預けながら撮影を繰り返す。 またまた専門的になってしまうが仰向けだと助走のスタート時点から被写体を追いかけるのが難しく、さらに背景にタワーを収め、アクションの見せ所を写しこむのは想像以上に困難なのである。構図が良くてもアクションが中途半端。アクションが良くても構図が甘い。被写体とアスリートの呼吸が合わなければ最高の作品を残すことはできない。何度も何度もやり直しを繰り返す。 普段、撮影している現場は報道なのでやり直しは効かない。逆説的に捕らえれば、やり直しが効かないからこそ撮り逃しても諦めがつく。いち早く頭を切り替えて次のチャンスに備えるのが常套手段なのだが、今回のような特写ではリテイクが出来てしまう。何度もモニターで確認し合って、「あと50cm右だ」とか「ここは轍があってウイリーができない」とやりあう。 個人的な話で恐縮だが、僕が報道写真を好むのは、スタジオ撮影のように光源やロケーションなどいくらでも作り上げられる状況よりも、限られた条件の中で如何にして作り込むかが重要視されるからである。 今回の撮影はどちらかと言えば前者の類である。 しかし、出来上がった作品をライダーが気に入ってくれて、いつもの自己満足に近い優越感に浸るのとは違った喜びがあること知った。 言葉のコミュニケーションが不十分でも、こちらの要望に真摯に応えてくれたクリスに感謝すると共に、一流のアスリートと作品を作り上げられたのはこの上ない喜びであった。 ちなみに本日、22日クリス・ファイファーが新宿東口にて路上パフォーマンスを行います。お昼から1公演30分を計4公演。明日、23日には横浜赤レンガ倉庫にて同じく4公演行います。欧州王者のパフォーマンスは必見です。 ※写真は東京タワーを前にパフォーマンスするクリス・ファイファー。 撮影:たかすつとむ
posted by たかすつとむ |08:28 |
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