2008年09月11日

良い選手を育てるには

こんにちは、トム・バイヤーです!

僕が最初にサッカーを始めたのは8才くらいの時だった。きっかけはというと、僕の親友のお兄ちゃんがとても上手だったからなんだ。その頃は練習や試合をするためのチームもなかったから、ほとんどの場合近所の野球場の外野の芝のあるところで何人か友達を集めてプレーしてたんだ。僕はそのフィールドまでうちから3キロほど歩かなきゃいけなかったし、球場に入るにはいつも外野のフェンスを飛び越える必要があった。それでも僕らはサッカーに熱中していたんだ。そういえばあの頃の僕らはいつも外で遊んでいたんだ。今の子供達と比べるとホントにいっぱい自由時間があったから、というのも一つの理由かもしれないね。

日本の子供達はいつも忙しいスケジュールの中で、様々な物事に囲まれているよね。日中は学校に行って、その後はスポーツのチームやクラブに参加したり、塾へいったり・・・全てのスケジュールが分単位で決められていてとても構造的で規律のある環境にある。また、親の意向でこうした様々な活動に参加している子も多いみたいだ。今やもう、子供が子供でいられる時間はないね!

一方、南米やヨーロッパではストリートサッカーというものが盛んに行われている。みんなも聞いた事があるよね?これはたいていが貧しい国で、両親が二人とも生活のために働いていて、そして子供達にはほかにあまり多くの選択肢がない場所で行われていることなんだ。

このように、スポーツをする子供達は大体一つか二つの理由でモチベーションが芽生える。“何かに刺激されて”か、“何かに飢えて”だ!

一つ目の何かに刺激を与えられることで生まれるモチベーションという点で、トップアスリートには大きな責任がある。僕の母国アメリカでは、アスリートは社会に貢献する責任があり、彼らを尊敬する子供達にとって模範とならなければならない。だから、国民とメディアはプロのアスリートを高い水準で扱い、そうした模範となるべき部分を維持しているんだ。例えば、アメリカのプロアスリート達は子供達に悪影響なアルコールなどのイメージキャラクターにはならない、というようにね。さらに、アメリカでは多くのプロアスリートが子供達に対する慈善活動でボランティアに参加している。また、メディアのインタビューでの応対もすごくうまくやっているケースがほとんどだ。ともすればネガティブにもなり得ないメディアの取り扱いを、彼らは子供達や世間にポジティブなメッセージを送るためにうまく利用しているんだ。

一方で日本のプロアスリートはどうだろう。彼らは必ずしもメディアに対して上手く話せているとは言いがたいよね。メディアに出演して子供達を“刺激する”ようなインタビューをする、ということに慣れていないせいもあるだろう。僕も日本代表やJリーグの一流選手達とイベントで一緒になることがあるけど、残念なことに子供達と上手くコミュニケーションを取れる選手はそう多くはない。

子供達は憧れの選手を目の前にして、何を聞きたいだろうか。きっと刺激を受けるような素晴らしいストーリーを聞きたいはずさ!その選手のようになるためにもっと努力しようと思うような、ね。でもなかなかそういう選手はいないのが実情で、日本のスター選手の多くはシャイで謙虚なんだ。相撲のような伝統的な競技で良く見られるようにね!

でも、子供達にはもっと刺激が必要なんだ!スター達に、彼らも昔は普通の子供だったって話してもらいたいんだ。そして、そこから献身、規律、努力、決断力を積み重ねて、今の自分になれたってことを教えてほしいはずだ!

そしてもう一点、何かに飢えることでモチベーションが芽生えると言ったけど、これについては日本とアメリカは同じような環境が出来上がっている。それは、世界で最も裕福な国という点だ。こういった環境はスポーツ(特にサッカー)において色々な問題を巻き起こす。貧しい国では、子供達やその家族はサッカーやスポーツを利用して、自分たちの地位を高めようとする。そう、“プロになって家族を養う”という夢を持っているんだ。だけど、アメリカではサッカーは裕福な人たちのスポーツで、そういった子供達が郊外でサッカーをする環境が出来上がっている。そして、日本の子供たちと同じように、アメリカの子供達にもスポーツから気をそらすようなものがいっぱいあるんだよね。部屋にはコンピューター、スケートボード、自転車、iPod、テレビ、DVDプレーヤーといったようなものが必ず揃っている。日本ではほとんどみんな携帯電話を持っていて、冒頭に話したように、とにかく忙しくしているよね!

僕は、コーチングがサッカー強国を築くための全てであるとは思ってない。もちろん、コーチングはすごく大事な要素だけどね。でもこれまで話したように、その国の文化、教育、社会や経済といった様々な要素が、どれだけ良い選手やチームを育てられるかという点において重要なんだと思う。

みんなで少しこういったことについて考えてみるのはどうだろう?

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posted by tomsan |16:05 | サッカー指導 | コメント(1) | トラックバック(0)
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問いかけをすることに意味があるのかもしれません

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子供達がスポーツを始める動機が『刺激』と『飢え』というのは、とても興味深い視点ですね。参考になります。
『良い選手』というのは、上手い選手のことなのか?『良いチーム』というのは、強いチームのことなのか?プロとアマチュアで価値観が違うこともあるとは思います。
しかし、スポーツにどんな価値を見出し、スポーツを通じて何を伝えることができるのか?そういった根本的な部分について、考える時期が来ているのかもしれません。
でも、選手も指導者も、つねに考え続けている気がします。もしかしたら、考え続けることや問いかけ続けることに意味があるのかもしれません。

posted by バカボンのおやじ | 2008-09-12 12:27

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