ある美なる日々

天皇杯3回戦「新潟×松本山雅」:松田直樹の魂が松本に勝利をもたらした

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アルビレックス新潟(J1) 0-1 松本山雅FC(JFL)
2011年11月16日19:00 会場:東北電力ビッグスワンスタジアム
天候:晴れ後雨 8.3℃ 57%
【主審】岡部拓人【副審】樺澤淳一/下村昌昭
【新潟】G(30)小澤英明 DF(4)鈴木大輔/(5)石川直樹/(24)酒井高徳/(25)村上佑介 MF(6)三門雄大[84'→FW(7)アンデルソン]/(9)チョ・ヨンチョル[89'→DF(36)菊地直哉]/(15)本間勲/(23)田中亜土夢[HT→FW(18)川又堅碁] FW(10)ミシェウ/(11)ブルーノ・ロペス
【松本山雅】GK(25)白井裕人 DF(15)阿部琢久哉/(23)多々良敦斗/(24)イ・ジョンミン/(28)飯尾和也 MF(5)小松憲太/(7)北村隆二/(9)木村勝太[51'→(6)今井昌太]/(17)久富賢 FW(19)塩沢勝吾[70'→(11)片山真人]/(33)木島良輔[90'+2→MF(20)須藤右介]
【得点松本山雅】5'多々良敦斗

 JFL所属の松本山雅FCは、J1の2段階下のカテゴリのチーム。J2昇格を争っている。今年このチームに昇格請負人としてJ1横浜Fマリノスから移籍してきたのが松田直樹だ。日本代表としてアトランタ、シドニーのオリンピックにも出場。しかし、その熱すぎる性格から時として周りとの軋轢を生むこともあった。

 2010年、シーズン終了後マリノス解雇。選手生命をマリノスでまっとう
したいという本人の希望はかなえられなかった。失意の彼に声をかけたのが松本山雅だった。下のカテゴリでもう一度やり直したい。そんな彼が再スタートを切ったのはJリーグ昇格を目指す熱いチームだった。彼の加入により松本山雅は一層活気あるチームとなった。

 そして迎えた運命の8月2日。練習場でランニングを開始、ストレッチをしている最中に突然彼は意識を失う。たまたま居合わせたサポーターの中に看護士がおり、救命措置が施される。まもなく信州大学医学部付属病院に救急搬送。しかし懸命の処置もむなしく、2日後、彼は帰らぬひととなった。

 生前、彼は発表されたばかりの天皇杯の日程を見て、勝ちあがっていけば古巣横浜Fマリノスと対戦できる、とチームメートと話していたそうだ。そんな松本山雅は天皇杯2回戦でJ2の横浜FCを撃破。そして迎えた3回戦の対戦相手はJ1のアルビレックス新潟だ。

 東北電力ビッグスワンの気温は10度を下回るコンディション。しかし
松本から駆けつけたサポーターは、ホーム新潟サポーターに比べて
人数は少なくとも、声量は圧倒的に勝っていた。午後7時過ぎ、試合開始のホイッスルが鳴った。

 試合開始後から松本の積極的なプレーが目立つ。対する新潟はここのところ試合間隔が開いたこともあってプレーに切れがない。パスがつながらず、松本の鋭いタックルに手を焼いている。

 試合開始5分。松本は右サイドからのこの日初めてのコーナーキックのチャンスを得る。イ・ジェンミンの蹴ったボールはゴール前に飛び込んだ多々良のヘディングによりゴールマウスに吸い込まれる。松本山雅先制。新潟の立ち上がりを突いた、素晴らしいゴールだった。

 その後も攻め続ける松本。新潟は前半20分過ぎからようやくペースをつかみかけるが得点ならず、前半は0-1と松本山雅がリードしたまま終了する。

 後半になると雨が落ち始める。最初は小雨だったが雨脚はどんどん強くなり、激しい雨が選手の身体を容赦なく濡らす。戦況は新潟のペースになり、猛攻が続くが、松本も相変わらず鋭い出足で新潟の攻撃を跳ね返す。じりじりとした展開の中、時計は既に後半ロスタイムとなる。

 ロスタイムは3分。あと3分凌げば松本の勝利である。必死で攻撃を続ける新潟。しかしゴールを割ることができない。そしてついにその時が来た。レフリーが長い笛を吹く。試合終了。

 その瞬間、緑色のユニフォームに身を包んだ松本山雅サポーターが全員立ち上がり、雄たけびを上げる。勝利。松本からわざわざ足を運んだ甲斐があった。

 新潟サポーターは声も無かった。必死の攻撃を防ぎきった松本山雅にただただ敬意を表するほかなかった。横浜Fマリノスも順当に栃木SCに勝利した。次の対戦は、松田直樹に捧げる追悼試合となった。それはただの追悼試合ではない。来年のACLの出場権がかかる、公式戦なのだから。 
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ハンドルネームTomo。新潟市在住55歳。スポーツは見る専門のシロウト。
2001年に新潟で開催されたコンフェデレーションズカップの日本戦を見たことがきっかけで地元のサッカーを見始め、アルビレックス新潟のJ1昇格という最も甘美な瞬間を体験する一方、バスケットボールの新潟アルビレックスも観戦。ローカリズムを大切にしアウェーツアーでの地元グルメをこよなく愛す。
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