2008年08月27日

22節 大分-大宮戦 大宮の課題は、「やりたいサッカー」と「できるサッカー」とのギャップをどう埋めていくか。選手の「限界」を感じてしまった試合

「やりたいサッカー」に「できるサッカー」をどう近づけていくか?

クレメン選手のスタメン起用によって明確になりつつある大宮の攻撃のカタチ-FWでタメをつくり、2列目からの飛び出しや、サイド攻撃-が今節アウェイ大分戦でどう発揮できるのか、試合前の観戦ポイントとして考えていた。結果としては、大宮イレブンが実践したいと考える共有の攻めのカタチは今節大分戦でも垣間見ることができた。しかし、やりたい攻撃のカタチを見えつつあるのだが、そのサッカーできるか否かは別の話で、「やりたいサッカー」と「できるサッカー」との間に大きなキャップを感じる試合であった。
 目指すサッカーができるか否かは個人的な戦術眼や個人的なサッカー技術によるものが大きく、大宮で出場する数人の選手の「限界」を感じてしまった試合でもあった。やりたいことは伝わるが、技術が追い付いていかないというプレーが散見された。今シーズン大宮の試合をみてきて感じたことは、これらのプレーをもう「ミス」とは言い難いことだ。なぜならミスとは、通常出来ることが、時にできないことであり、常にできないことをミスとは言わないからだ。残念ながら選手の力不足としか言いようがない。
具体的なプレーを挙げるならば、両SBからクレメン選手への楔(クサビ)のパスやセンタリングの精度の低さである。この大分戦でも何度となくクレメン選手が、欲しいタイミングでボールを受けることができず苛立つシーンを目にした。どんなに高邁なサッカーをしようとしても、それを実践できる技術がなければ意味がない。「やりたいサッカー」と「できるサッカー」とのギャップを埋めるために補強はしないまでも選手の交代が必要なのではと感じる。
以前にも提言したが、例えば、小林大悟選手を右SBに、橋本早十選手を左SBへコンバートしてはどうだろうか。(実現可能性は非常に低いが…)少なくとも波戸選手は、左SBではなく、右SBで起用すべきだと思う。この2選手であれば、ラフリッチへの楔(クサビ)のパスやセンタリングの精度を心配することもないだろう。不安要素である守備面であるが、両ボランチが上手く連携をし、カバーをすることでこのコンバートをトライできるのではないだろうか。この思い切ったコンバート案の一番の懸念は、SBに就いた2選手が効果的に攻撃に参加できるかどうかである。せっかくコンバートしてもバックスラインに引きこもっていたのではコンバートした意味が全くない。
そもそもサッカーとは、点を取って勝利するスポーツであり、守っていてもその先に勝利はない。CF・SBでさえも得点をするためにどうプレーするかを前提にサッカーをしなければならない。攻撃の際は、フィールドの10人全員で攻撃を形成しなければならない。残念ながら今の大宮のSBには、攻撃への意欲を感じることができない。だからもともと攻撃的な選手をSBにコンバートすることで、大宮が目指す攻撃的なサッカーを実現することができるのではないか。

クレメン・ラフリッチと吉原宏太のツートップ

前節の退場で、エース・デニスマルケス選手の21節大分戦・22節横浜戦の欠場が決まり、この試合、クレメン選手と吉原宏太選手がツートップを務めることになった。前節21節の大宮-大阪戦のレビューでも言及したが、クレメン選手が攻撃の「軸」になった時、デニスマルケス選手よりも、クレメン選手パートナーとして吉原選手がベターなのではないか考えていた。しかし、この試合のクレメン選手と吉原選手のツートップは、結論から言えば機能したとは言い難い。クレメン選手への楔(クサビ)のパスが上手く入らなかったことが最大の原因ではあるが、クレメン選手が起点となって吉原選手が大分の最終ラインの裏を突くプレーはほとんど見られなかった。次節横浜戦では、クレメン選手に上手く楔(クサビ)が入った時の吉原選手の動きに期待したい。
吉原選手のプレーでもう一つ気になったのは、献身的に守備をし、自陣深くまで戻ってくるのは評価できるが、そこでボールを奪取した時や自陣付近でボールを受けた時に、プレッシャーが全くないにも関わらず、後方の選手へボールを預けてしまうプレーが何度もあったことだ。FWであるなら積極的に「前へ」ドリブルする意識があってもいいのではと強く感じた。
守備から攻撃へ素早いカウンターに移行できるチャンスでも、簡単にバックパスをしてしまい攻撃の流れを止めてしまうのである。少なくともボールを受ける際には、前を向ける状況か否かを把握している必要があるのだが…。これもまた、選手個人の「限界」なのだろうか。

大分のディフェンダーに掴まれ、伸びるクレメンのユニフォーム

この大分-大宮戦に始まったことではなく、北京オリンピックの日本代表の3試合でも強く感じたことなのだが、最近、日本人選手が相手選手ユニフォームを掴むプレーがやけに目立つ。この試合のクレメン選手も何度もユニフォームを掴まれ、扇谷主審にユニフォームを掴まれていることをアピールしていた。
プレー中、腕を使い、ボールを如何に自分のものにするか、腕や肩を相手の前に入れて如何にボールをキープするかサッカーの醍醐味でもあるが、「腕を使う」ことと「ユニフォームを掴む」ことは、似て非なるものであり、ユニフォームを掴むことは明らかな反則である。
「ユニフォームを掴む」という行為は、別にこの試合に限ったことではなく、Jリーグに蔓延する悪しき慣習である。北京五輪オランダ戦で、日本が失点する契機となったPKを与えた反則は、「ユニフォームを掴む」プレーであった。なぜかJリーグの審判は、相手のユニフォームを掴むプレーに寛容である。時にサッカーではズル賢くあれと言われるが、ズル賢いことと、反則を犯すことは違う。
最も危惧されるのは、Jリーグにおいて「ユニフォームを掴む」というプレーが平然と行われ、また審判が反則として取らないことを、ジュニア世代の子供もまた目にしていることである。このことが10年後の日本のサッカーに悪い影響を及ぼさないことだけを祈るばかりである。既に日本では、ユニフォームを掴むことでしか相手を止められない選手が増えている気がする。
今回の五輪でオランダにPKを与えずドローで終わっていたら、その後の五輪代表選手の人生も変わっていたかもしれない。少なくとも本田圭選手に関して言えば、ドローでオランダ戦を終えていれば、オランダ国内でのインパクトも変わっていたかもしれない。一つの反則が、その試合を決め、選手のその後の人生すら変えてしまうことまであるのである。
小さいことであるが、意外と思いテーマだと思っている。
この問題の解決策は明確で「ユニフォームを掴む」という反則を反則としてしっかり主審がジャッジすることである。

対戦相手大分トリニータについて~滝川第二高校ではどんな練習をしているのか~

大分で目についた選手と言えば、やはり金崎夢生選手であった。彼のトラップの仕方からボールの受け方まで他の選手と異なっていた。彼の場合、最初のボールタッチが、カウンターの始まりなのである。前述した大宮の吉原選手とは対極のプレーである。あんなプレーをされてしまうと、守っている選手も勢いよくボールに飛び込めなくなる。試合開始早々、大宮の斉藤選手が金崎選手を倒してイエローカードを貰うシーンがあったが、1つ目のボールタッチでかわされ、2つ目のボールタッチで置いていかれてしまった。残念ながらあのようなプレーをされてしまったらファイルでもしない限り金崎選手を止めることはできない。
 もう一人、気になったプレイヤーがいた。それは先日C大阪から移籍した森島選手である。大宮ゴールを脅かすようなプレーはなかったが、京都の柳沢選手を彷彿とさせるようなボールの受け方をしていた。金崎選手にも共通することだが、2人は相手ゴールを背にしながらトラップは極力せずに体の向きを入れ替え、ファーストタッチは常に相手ゴールと対峙するプレーをする。ボールを受ける向きを少し工夫するだけでこれだけ展開が広がるのかと思わせるプレーを繰り返した。
今の大分の選手の能力と勢いがあれば、森島選手がゴールを量産する日もそう遠くはないだろう。
 金崎選手と森島選手に共通しているのは、滝川第二高校出身ということだ。2人のプレーをみていると滝川第二高校では一体どんな指導をしているのか非常に気になる。
大宮にも滝川第二高校出身の選手が一人いるのだが、彼が滝川第二を卒業したのは、大分の二人の選手より10年以上も前の話である。その間に監督の指導方法が変わっているのだろうか?大分に在籍する二人の滝川第二出身が身に付けているボールタッチを、残念ながら10年先輩の彼は身についていない。もし大宮の彼にボールタッチの技術が備わっていれば、大宮の「やりたいサッカー」と「できるサッカー」とのギャップはだいぶ埋まるのだが…

次節横浜戦もクレメン選手への楔(クサビ)のパスの精度に注目しながら観戦したい。


(参考)滝川第二高等学校の卒業の現役サッカー選手

74年度生 木場昌雄(カスタムズFC:タイ)
74年度生 寺川能人(新潟)
76年度生 波戸康広(大宮)
76年度生 吉田孝行(神戸)
78年度生 三木隆司(名古屋)
79年度生 加地亮(大阪)
79年度生 朴康造(神戸)
80年度生 林丈統(京都)
82年度生 山口拓士(徳島)
85年度生 河本裕之(神戸)
86年度生 岡崎慎司(清水)
87年度生 森島康仁(大分)
88年度生 金崎夢生(大分)
88年度生 清水圭介(大分)

それにしても大分トリニータに在籍経験のある選手が多い。

posted by toddocom |18:35 | 大宮アルディージャ | コメント(2) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加