2008年08月09日

北京五輪予選Bグループ アメリカ-日本戦 なぜ観衆は、内田篤人のプレーに魅了され、梶山陽平のプレーに苛立ちを覚えるのか

日本は大事な初戦を落とした。

【ゲーム短評】
試合内容については、全体的に技術的に優れた日本がゲームを支配したが、決定的なチャンスで決められず、後半開始早々得点を許す。途中アメリカにペースを握られるも、終盤アメリカゴールに襲い掛かり、ペナルティーエリア内でファウルを受けるもミスジャッジにより同点の機会を逃すと試合終了、大事な初戦を落とした。日本の課題は決めるべきところで決められない決定力不足だ。

上の短評は、私が書いたものだが、皆さんは、この短評を読んで違和感を覚えるだろうか?
インターネットで、アメリカ戦に関してこの短評と同じ論調の記事を目にする度に私自身は非常に違和感を覚える。

日本代表は、本当にゲームを支配していたのだろうか?
日本代表の一番の課題は、本当に得点力不足なのだろうか?

と考える。私は決してそうではないと思っている。
試合開始から、試合終了まで終始苛立ちながらの試合観戦であった。

日本選手のトラップの質に苛立ち
日本選手のパススピードに苛立ち
中盤の選手の容易なバックパスに苛立ち
緩急(メリハリ)のないポゼッションに苛立ち
FWに全くといっていいほどボールが収まらないことに苛立ち
すぐ倒れ、両手を上げ審判にアピールする選手らに荒立ちを覚えた

 確かに、暑さとピッチの悪さが、両チームのパフォーマンス・試合の質を低下させる大きな要因であったの。しかしながら、終始、苛立ちを覚えながら観戦をした理由はそこにない。問題は、厳しい環境のかなで、一方チームは戦略的にゲームを進め1点を守り勝利を手に入れたのに対し、もう一方のチームは、自分たちの力を発揮できないままゲームに敗れたという事実である。当然、この試合で日本は後者なのだが、思いどおりのサッカーができないというのは、今に始まったことではない。02年日韓ワールドカップ以降、アテネ五輪・ドイツW杯と主要国際大会において越えられなかった壁に、この北京五輪でも越えられなかったという厳しい事実を昨日の試合ではサポーターが目の当たりにした。
なぜ日本はこの壁を越えることができないのであろうか。そもそもこの「壁」とは一体なんだろうか?


「壁」=状況判断の悪さと判断の遅さ

結論からいえば、ここ数年、サッカーの強豪国と日本を隔てる壁~年々、強豪国から更に広げられつつある差~とは、状況判断の悪さと判断の遅さ、特に攻撃時の判断の遅さである。
状況判断の悪さとは、特にバックスからのビルドアップ時によく見られたのだが、ボランチの本田拓・梶山・SHの本田圭・香川各選手(特に梶山・本田圭両選手)へディフェンスの選手からパスを供給した際に、トラップをして前を向ける場面でも、前を向かずそのままダイレクトで再度ディフェンスに戻してしまうプレーが非常に目立った。この中盤からディフェンスへのバックパスに何の意味があるのだろうか。全く意味がない。
 また、ポゼッションを高めながら相手エリアにボールを進めていく過程で容易にバックパスをしてしまうケース(特に梶山・本田圭両選手)が非常に多い。おそらくカウントすると、決して本調子でないアメリカと比較してもバックパス(後方へのパス)の数は圧倒的に日本の方が多いはずである。日本選手の容易なバックパスは、それまでのビルドアップ・ポゼッションによる攻め上がりをすべて無駄にしてしまうプレーである。

なぜここ数試合、SBの内田選手や長友選手のプレーを期待して、梶山選手や本田圭選手のプレーに苛立ちを覚えるのかと言えば、内田・長友両選手は、ボールを前進させるプレーが中心であるのに対して、梶山・本田圭両選手は、ボールを後退させるプレーが多いからである。
今回のアメリカ戦でボールを積極的に前にもっていったのは内田選手であり、ボールを前にもって行こうという意識がみられなかったのは、梶山選手と森本選手であった。(香川選手は、ボール前に進める意欲は感じたが、全体的にうまくいかなかった印象、前半、右サイドへ流れて内田選手に供給したスルーパスは秀逸)

もう一つの壁は、攻撃時の判断の遅さである。
そのスピードの遅さの原因は、攻撃へのイメージの欠如である。
ボールを受ける前から、ボールを受けたらどう攻撃を仕掛けるかというイメージが乏しい。

特に日本の場合、守備から攻撃への判断が遅い。中盤の選手が上手く相手からボールを奪い攻撃に移行できるときでも、まず「誰かに」ボールを預けて判断する習慣が染み付いている。この「ボールを預けてから判断する」という判断の遅さが攻撃のスピードを遅らせている。アメリカ戦でも前半も日本がボールをキープしていたというよりは、ボールを持たされていただけ、アメリカはリトリート気味に守備をしていただけである。

日本は「決定力不足」というより「攻撃力不足」なのだと思う

ただ、状況判断を良くし、そのスピードを上げていけば日本のサッカーは格段に良くなると思う。少なくとも次のナイジェリア戦では、中盤の選手はフリーな場面では、前を向き、自らがボールを前へ進めるという意識をもってほしい。
例えば、ディフェンスの選手はハーフの選手の後ろの状況も見えているのだから、パスを出すときは、中盤の選手が振り向ける時だけ、逆に言えば、振り向けない状況では、ハーフの選手にパスを出さないというルールを決めておくだけでもゲーム内容は変わるのではないだろうか。

サッカー強豪国と比べ足元の技術で日本が劣ることはない。また日本人はフィジカルが弱いと指摘されるが、フィジカルが強くなくても素晴らしいサッカーができることは、先日のEURO2008のスペインが証明した(らしい)。(あまり詳しくスペインのサッカーを見ていません)
まずは、あと2試合、課題を修正して試合に臨み、ぜひともグループリーグを突破してほしい。まだグループリーグの突破が潰えた訳ではない。

最後に大宮アルディージャの藤本主税選手のブログを紹介
主税日記
いつも大宮の試合の細かく分析し振り返ってブログに書かれています。今回のアメリカ戦に関しても非常に興味深い分析をされています。

posted by toddocom |01:58 | サッカーその他 | コメント(13) | トラックバック(0)
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