2008年07月11日

明日検証『ミスター5.5 駒野友一』なぜ彼の日本代表でのプレーに満足できないのか?~長友佑都の出現で見えたSBに求めるもの、そして駒野選手の持つ強み~

今回のエントリは、一人の選手をテーマにして書いているが、決して選手個人を非難することが目的ではない。一サッカー好き、日本代表のサポーターの一意見であることを了承願いたい。以前から書きたいテーマであったのだが、明日、大宮のホームNACK5スタジアムでジュビロ磐田の試合を観る機会があるのでこのタイミングで書くことにした。

30歳を越えた現在、小学低学年から始めたサッカーとの付き合いは20年以上になる。20年以上のサッカー歴のなかでそのほとんどの時間をプレーヤーとしてサッカーと付き合ってきた。現在もサッカーをすることの楽しさを十分享受しているが、自分のサッカーと接する比重が、以前と比べるとプレーヤーとしてよりも、観戦者や指導者としての時間が増えてきた。サッカーをプレーしてきただけに、自分自身、サッカーを知らないとは思っていない。むしろ、技術的ことや戦術的なことを含め、一般的なサッカーフリークと比べても理解している方であると自負もある。しかし専門的な観点からサッカーを分析したり、指導者としてサッカーを見る「目」は肥えているとは言えない。

例えば、日本代表の選手選出においても、「なぜこの選手が代表で起用されるのか?」また「なぜあの選手が呼ばれないのか?」と思うことがよく起こる。

以前に「なぜ代表でスタメンとして起用されるのか?」と思っていた選手に「ミスター5.5」 磐田の駒野友一選手がいた。(注:刺激的な一文ですみません)「ミスター5.5」というのは、サッカー雑誌(私が愛読するのは主にサッカーダイジェスト)において、各試合、選手への短評とともに、10点満点でその試合の出来を採点がされているのだが、日本代表における駒野選手の採点がいつも「5.5」の印象があることから私が付けたニックネームである。(5.5、可もなく不可もなくという点数、及第点ではない)
駒野選手は、広島時代も含めてJリーグでのプレーをほとんど見たことないので、その時点でそもそも選手を評価するための情報に乏しいのだが、日本代表の試合をみていると駒野選手のプレーにおいて、突出した「強み・輝き」を見出すのが難しい。
個人的な印象として、ボールには頻繁にタッチするのだが、目立だったプレー、決定的プレーが少ないのである。
山本昌邦アテネ五輪代表では、右サイドで本戦2試合に出場し、フル代表のジーコジャパンでも、加地選手のバックアップ要因として名前を連ねるようになる。オシムジャパンにおいては、左SBを担当しレギュラーポジションを獲得した。アテネ五輪当時から、「なぜ駒野選手は起用されるのか」常々、疑問に思っていた。当時、私には、監督視点など全くなかった。今思うと、駒野選手は、プロの指導者からすると非常に計算できて、安定感のある選手という評価をされていたのだろう。
一般的に言われる駒野選手のストロングポイントと言えば、豊富な運動量による攻め上がり(激しい上下運動)と正確なセンタリングである。現代のサッカー、特に4バックを布く戦術において、サイドバック(SB)の役割は、守備をすることは当然ながら、如何に攻撃に参加できるかであり、その点がSBを務める選手の評価にもなる。確かに駒野選手も後ろで守備をするためだけにバックラインに張り付いている選手ではない。しかし、日本代表の試合における駒野選手のプレーは、なにか物足りなさを感じていた。
そんな時にFC東京 長友佑都選手の出現で、以前から日本代表での駒野選手に期待していたもの、また駒野選手のプレーで満たされなかったものを理解した。

長友選手のドリブルには、リスクを犯す果敢なチャレンジがあった。

以前から年代別のオリンピック候補として長友選手の名前やプレーは何度か見たことがあった。既にJリーグのトップチームに所属するチームメートにあって、大学サッカー部からの選出だったのが印象的であった。ただそれ程、気にとめていた訳ではなかった。  
長友選手を明確に意識するようになったのは、今シーズンの始まる前の今年の2月であった。
私は、大宮アルディージャのサポーターになる前は、埼玉県出身のJリーガーの動向を追うことを趣味としていた。FC東京の金沢浄選手も好きな選手の一人であったのだが、ルーキーである長友選手が、2008年シーズン開幕を前にして、金沢選手のレギュラーポジションであった左SBを奪取したというのだ。開幕前から長友選手がどんなプレーをするのかとても気になった。
Jリーグを開幕してからの長友選手の活躍は、周知の通りである。私もテレビ観戦で数試合を観戦し、5月3日の大宮-F東京戦では、長友選手に得点まで奪われた。ただ多くの方にとって衝撃的だったのは、キリンカップでのコートジボワール戦だったのではないだろうか?私は、日本代表に新しい左SBが現れたと感じた。

長友選手の最大の強みは、身体的、技術的な能力の高さに起因するのか、思い切りのよい前へのチャレンジ(ドリブル)である。身体能力に長けていると言われるアフリカ・コートジボワールの代表選手とも対等に、むしろ優位に日本の左サイドを縦横無尽に動いていた。この2年間、フル代表で左SBを務めた駒野選手に対して、期待をしていながら、物足りないと感じていたものを長友選手によって見せつけられた試合であった。それは、リスクを犯す果敢な前へのチャレンジであった。(左SBへの期待は、安田選手の登場の頃より徐々に高まっていたのだが…)
 ここ数年のSBを担当する選手で、駒野選手だけが満足できないということではなかった。ジーコ監督時代からSBを担当していた加地選手や三都主選手、現在の日本代表に右SBとして出場することの多い内田選手が、期待通りの攻撃参加をしているかと言えばそんなことはない。
ただ左SBを務めることの多かった駒野選手に対しては、以前から右足で自陣方向へ向かうトラップがとても気になっていた(大宮の波戸選手にも得ることだが…)。右足での自陣方向へのトラップは、リスクを回避するプレー象徴であった。それが安田選手の登場によって利き足に関係なく前へチャレンジするSBへの期待感を芽生えさせ、長友選手の登場で、日本における新しい左SBの出現を確信した。

駒野選手の守備への安定感とそのユーティリティーの高さは何者にも代えがたい

先月行われた2010年南アフリカW杯、3次予選第6戦、ホーム・バーレーン戦で左SBとしてスタメン出場したのは、長友選手が負傷で欠場のなか安田選手であった。安田選手は、果敢に攻撃参加を見せるものの、パスワークでのミスが目立ち、守備面での安定を欠いた。
「いかに効果的に攻撃に関われるか」ということにSBの役割をフォーカスしてきたが、守備を確実にこなす、或いは、相手に攻撃をさせない圧倒的な攻撃力を持っていることを前提にしたものである。現実問題として代表間の試合で一方的に押し込むことも難しいので、守備力は当然必要な能力となる。
長友選手の負傷のなか、安田選手は守備に課題が残る結果となった。
安田選手や長友選手の登場によって、安定感やユーティリティー性の高さなど駒野の良さも実感することになった。
駒野選手は、日本代表にとって必要な選手なのかもしれない。
ただ攻撃の面では、長友選手や安田選手と比べるとやはり物足りなさが残る。駒野選手にももっと果敢な攻撃参加を期待したい。明日、NACK5スタジアムでは、一日本代表サポーターとして駒野選手の果敢な攻めを期待したい。

しかし大宮サポーターとしては、あまり活躍されても困るのだが…。

※駒野選手の試合採点が5.5ばかりという印象は、日本代表におけるイメージであり磐田での採点は含まない。最後に実際、今年の駒野選手の日本代表における評価を調べた

【駒野選手の日本代表メンバーとしての評価と寸評】(サッカーダイジェストより抜粋)

○6月22日バーレーン戦 W杯3次予選(H)出場なし
○6月14日タイ戦 W杯3次予選(A)5.5 
87分に左サイドで仕掛けて中村憲の3点目を演出したが、全体的なパフォーマンスは低調だった。どこか思い切りの良さに欠けそれが守備面にも影響。左SBとしては物足りない。
○6月7日オマーン戦 W杯3次予選(A)5.5
長友の負傷離脱により左SBでプレー。相手に裏を狙われ、ポジショニングに苦心した。攻撃時に前との距離が空いており、松井との連係でサイドを崩す場面はほとんどなかった。
○6月2日オマーン戦 W杯3次予選(H)5.5 寸評なし
○5月27日パラグアイ戦(キリンカップ)5.5  69分から出場
激しい上下運動は見せたものの、連動性なく単発プレーに終始。
○5月24日コートジボワール戦(キリンカップ)5.0
フィジカルを前面に押し出した相手ウイングの突破に対応し切れない場面も。攻撃でもフラフラと中でボールを貰いに行ったが、スペースを消してしまうだけだった。迷いながらのプレーで本人も消化不良だったのでは。
○3月26日バーレーン戦 W杯3次予選(A)6.0
激しい上下動で右サイドの主導権を握った。37分には単独突破からシュート。遠藤投入後から飛び出しの回数が増え、70分にはサイドを破り決定的クロスを供給。パス精度は欠くも、低調な攻撃陣のなかで気を吐いた。
○2月23日韓国戦(東アジア選手権) 出場なし
○2月20日中国戦(東アジア選手権) 6.0 前半で交代 寸評なし
○2月17日日北朝鮮戦(東アジア選手権) 採点なし 終了13分前からの出場
岡田体制下で初めての右SBで起用された。短い時間で躍動感見せた。
○2月6日タイ戦 W杯3次予選(H) 6.0
前線の選手がサイドに流れたことで普段よりも攻め上がりの回数は抑え気味も、ビルドアップは安定。
○1月30日ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(キリンチャレンジカップ)6.0
'攻守のバランス調整に腐心。ボールを奪われた後の対応が早かった。
○1月26日チリ戦(キリンチャレンジカップ)6.0
山岸との有効な関係を築き果敢に攻撃参加。身体を張ったプレー光る。

posted by toddocom |20:26 | サッカーその他 | コメント(13) | トラックバック(0)
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