2008年05月01日

Jリーグ審判推考~なぜ審判は権威化するのか?~SR暴言問題を契機に考える

誤審以上に試合をコントロールできなくなることを問題にしている

今シーズン最初の公式戦であったゼロックススーバーカップの家本問題から始まり、Jリーグが開幕してゲームを観戦するたびに、審判のジャッジに関する問題が取り上げられている。
そして先日行われた8節、FC東京VS大分トリニータ戦で主審を務めた西村雄一主審が大分の選手に対し暴言を吐いたとされる一連の問題に端を発し、マスコミ各社およびインターネットニュースサイトで再びJリーグの審判について大きく話題となった。

そこで以前、3級審判員だった私自身の経験も踏まえてサッカーの審判の問題について推考してみたい。しかしながら今から語る意見は、私の少ない審判経験に基づいた「推考」によるもので事実に反する可能性があることを予めご了承願いたい。

まず、多くのサッカーファン・Jリーグサポーターの認識として(私も含め)、ひとつの「誤審」に対して問題視しているのではなく、誤審をキッカケに、レフリーが試合をコントロールできなくなり、不可解なジャッジを繰り返し、またカードを乱発することにについて問題にしているということである。

ではなぜ審判は、試合をコントロールできなくなるのか?

私が思うに、ゲーム中、審判が権威化し、プレイヤーとコミュニケーションをとらずに、上の立場から力ずくでゲームをコントロールしようとする傾向があることに他ならない。

なぜ審判が権威化する傾向にあるか推考してみる

恐らくJリーグの審判まで登りつめるプロセスに問題があるのではと考えている。

審判取得をする属性について考えると、意外にも多くの人がレフリーキャリアをスタートさせる。高校や大学のサッカー部の現役選手から、スポーツ少年団の指導者、中学校・高校の指導者など多くの人々が審判資格を取得する。最も下級である4級審判免許は、簡単な筆記試験と体力測定で取得できる。自分が所属するチームや自分が指導するチームが公式戦に出場する場合、審判資格をもった者を必要とすることが4級審判を取得する最大の理由だ。
4級で審判経験を重ねていくと3級審判を受験することができる。3級も比較的簡単に取得することができるが、3級審判の数は、4級審判と比べると取得者が少なくなる。自チームが公式戦に参加するために3級審判の資格取得は必要ないからだ。

3級になると自分の指導(所属)しているチームとは全く関係ない公式試合の審判を依頼されることが多くなる。このあたりからJリーグでジャッジを目指すような上昇志向の強い審判とそうでない人と「審判」に対するスタンスが変わってくる。更なる進級を目指す審判はより公式戦で笛を吹き経験値を増やそうとするのに対して多くの審判は、自分の指導(所属)するチームがあるためサッカー協会依頼の試合に審判として参加することはない。

3級で公式戦の審判を務めることは審判スキルを高める以上に別の意味を含む。これは、2級審判になることに関係するのだが、2級審判員は、3級審判員として規定の試合数をこなせば誰でもなれるものという者ではない。各地区・各県サッカー協会の「推薦」が必要となる。この「推薦」を受けるため各地区・各県サッカー協会の主催する公式戦に審判として参加し、協会に貢献して顔を売るのである。2級を目指すあたりから少年団(小学生)から高校・社会人などの各年代の公式戦の審判を務めるため土日返上で審判を務めることになる。

これから先は推測だが、幸運にも各地区・各県サッカー協会へ惜しみない貢献をして「推薦」を受け晴れて2級審判資格取得したとすると、今度は、土日の休日だけでなく、平日にも及ぶ講習会の受講や公式戦の審判を務めることになる。

そして2級取得者を見渡すとある特徴に気づくことだろう。4級審判取得時にあれだけ多様な属性の人々が審判取得に参加していたにも関わらず、2級取得をするころには特定の職業の人々しか残らなくなる。

プロサッカークラブの関係者、自営業者、学生、そして教員を代表とする公務員

の人々がそのほとんどを占めることになる。平日に動ける職業の人々に限られるのである。誤解を恐れずに言うならば、3級を習得し、2級を目指すあたりから審判としての適性より、どれだけサッカー協会に貢献すべく公式戦の審判をこなすかが重要になる。当の本人らも土日返上で数年間、審判をするわけで、また2級を習得する頃から狭き門を通過する過程でエリート意識が芽生えるのもわからないでもない。
また、各校サッカー部の指導にあたる教員であれば、権威的になるのはなおさらである。Jリーグの審判を務めるころには、「俺がルールブックだ」と言わんばかりに権威的になっていることを想像に難くない。

今回問題の西村氏が前述したプロセスを経てきたかどうかはわからない。しかし今回の暴言が、審判として権威化し、選手を軽んじる気持ちの表れだったと言えるのではないか。

本日(5/6付)発売されたサッカーダイジェストによるとスペシャルレフリー(SR)は、年収1,000~1,500万円に上るという。
勝利によって数十万から百数十万の勝利給を手にする選手のことを考えれば、SRも同じプロならもっと真摯な気持ちで試合に臨んでほしい。
カードを乱発することにより、自分らの手当や給料は変わらないだろうが、安易に掲げるカードのために年収を大きく減らす選手がいることを忘れないでほしい。

posted by toddocom |01:05 | Jリーグ | コメント(41) | トラックバック(5)
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