2008年09月28日
25節 大宮-浦和戦 NACK5スタジアム改装後初のさいたまダービー~選手同士が信頼し合い一丸とならなければアジア王者には勝てない~
昨年の11月に改装して以来、NACK5スタジアム大宮で初めてのさいたまダービーが行われた。前節24節終了時点で11位の大宮と3位の浦和、頂上決戦とはいかなかったが、両クラブにとって負けられない一戦である。大宮は前節F東京戦に敗れ、二桁順位に転落。混戦のリーグの状況のなか、黒星を重ねるようだと直ぐに降格圏に突入である。かたや、浦和にとっても前日(20日)に、首位名古屋、3位大分が勝利しここで勝ち点差を空けたくない。浦和は、17日よりアジアチャンピオンリーグ(以下ACL)の決勝トーナメントが始まり、これからハードなスケジュールが組まれており、今後、リーグとACLの両立を考えると何としても勝ち点を持ち帰りたいだろう。 チームの状況は異なるが、両クラブの白熱した攻防が観戦できると期待してスタジアムに足を運んだ。混乱をさけるためか!?当日休業していたオレンジスクエア 元チームメートの攻防を楽しむ 試合が始まり最初に注目したのは、果敢に攻撃参加する浦和相馬選手と、対時する大宮の右サイド村山選手との攻防である。 試合開始から相馬選手が果敢に攻撃を仕掛ける。 浦和の試合を観たのは7月の下旬に行われたさいたまシティカップ以来であったが、確かあの試合も相馬選手は躍動していた。対して大宮村山選手も、相馬選手に何度かセンタリングをあげられていたが、タイトに相馬選手に食らいつき決定的な仕事をさせていなかった。どうもいつもより村山選手が積極的な気がすると感じた。実は、対峙する相馬選手とは、国士館大学サッカー部で同じ釜の飯を食べていた同期であった。(ちなみに大宮の片岡選手は、大学の1学年後輩)。大学時代のチームメートの対戦は、やりやすかったのかもしれない。当然、「相馬には負けたくない」という思いもあったはずだ。相手を熟知しているとことからの「自信」と、負けたくないという「思い」が、村山選手のブレーも積極的にさせていたように思う。ここ数試合、直接得点にはなっていないが、村山選手自身のプレー、特に攻撃に関しては大宮の攻撃に機能している。次節神戸戦でも果敢に攻撃参加をしてほしい。 だいぶ、本筋からそれるが、国士舘大でチームメートであった村山・片岡・相馬各選手の他にも、大宮と浦和の選手は別のクラブで一緒にプレーをしていた選手が多い。例えば、中盤で何度も競り合っていた大宮の佐伯選手と、浦和の高原選手は、2000年・2001年とジュビロ磐田でチームメートであったし、大宮の藤本選手と浦和の闘利王選手は、広島で2シーズン一緒にプレーしている。また闘利王選手は、大宮の冨田選手とも2003シーズンに水戸で1シーズン共にゴールを守っている。 最近、調子を上げている村山選手に対して、この試合も低調だったのが左SBを務める波戸選手である。前節F東京戦でアシストをしたセンタリング。あのセンタリングをした時のような高い位置でのプレーは今節では見ることは全くできなかった。 この試合、波戸選手のプレーで非常に気になったのは、FWのクレメン選手への楔(クサビ)のパスの質がとても低いことである。 前半27分の大宮の失点場面も、浦和の攻撃の始まりは、波戸選手のクレメン選手へのボールがクレメン選手に収まらず、浦和にボールを奪取され、流れのなかで相馬選手から高原選手へ素晴らしいスルーパスを出される結果となった。 {信頼関係を構築しなければ大宮の勝利はない。 波戸選手のクレメン選手へのクサビの質が低いことを述べたが、パスのクオリティーが悪いのは波戸選手に限ったことでなく、試合中随所でみられた。パスミスといっても受け手にボールが渡らないということではなく、微妙なズレが目だった。「微妙なずれ」とは、横パスをするにしても、相手ディフェンダーのプレッシャーのないなかで、相手エリアの方にパスをすればそのまま攻撃に移れるような場面でも、自陣側にパスをしてしまい攻撃へスピーディに移れなかったりする場合である。 この微妙なズレは、大宮の選手の肉体的な疲労を蓄積させることになったが、選手同士の信頼関係をも狂わす結果となる。この微妙なズレで顕著になったのは、デニスマルケス選手のプレーであった。パスミスが多発するなか、デニスマルケス選手はどんどん孤立していく。もともとデニスマルケス選手は、足元でボールを受けて自分のリズムプレーをする選手である。個人的には、FWなら多少ボールを持ちすぎても、貪欲に自分で得点を狙うプレーが観たい。しかし、自分でドリブルをするよりもパスをした方が、明らかに得点の可能性が高まる場面でさえドリブルに固執するようなプレーが散見された。右SBの村山選手がタイミングよくオーバーラップをしたとしても、デニスマルケス選手から村山選手にボールが渡ることがなかった。 この試合のパスミスや微妙なズレだけで大宮の選手間の信頼関係が崩れたとは当然思わないが、選手同士の信頼関係、戦術の共有がなされていないために、ボールの出し手のパス判断が鈍り、受け手は自分のほしいタイミングでボールが貰えない。選手間の微妙なズレは、自滅するようにサッカーのリズムを悪くした。 いつの間にか誰からも「大宮樋口サッカー」というキーワードが聞かれなくなかった 選手間の微妙なズレがリズムを崩していく過程で、大宮は連鎖的に別の部分でも機能不全を起こした。この試合、センターバック(CBを)を務めた片岡選手・冨田選手がなかなかラインを上げられない。やはりダービーを落としたくなくという心理的な要因が影響しているのだろうか。「守る」守備でなく、「奪う」守備を標榜していた大宮樋口サッカーであったが、この試合大宮守備陣が意図的かつ組織的にボールを奪うことはほとんどなかった。調子のよいときの大宮は、比較的高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪っていたが、この試合は、リトリートとした守備といってもよいほどラインが下がっていた。 ラインを上げられない大宮は、各ポジション間で適当な距離を保てなくなっていた。FWは孤立し、MFの前でボールを奪われ、MFとDFの間でボールを回された。 攻撃に関しても、一時期調子のよかった樋口サッカーを観ることができず、2人の外国人FW任せの攻撃に終始した。 樋口監督や選手らの試合後のインタビューでも語っているが、自らアクションを起こすサッカー、ボランチでボール奪う(ボール奪取のポイントの明確化)など樋口監督のやりたいことは、以前から変わらない。ただなぜか選手がその理想のサッカーを実現できないでいる。その原因は一体どこにあるのだろうか。雨の中のさいたまダービー。ナクスタは4戦連続の雨 サッカーはチームプレーだが個の力の積み上げも大切だと知る 対戦相手の浦和であるが、決して本調子ではないだろうし、やりたいサッカーができているとは言い難い。ただ90分が終わると今シーズンも負けることは少ない。本調子ではない大宮と浦和であるが、結果として勝利する浦和と、敗れる大宮をわける要因はいったいなんだろうか…。 それは明らかに選手、個人の差である。 別にレベルの高い技術についてではなく、非常に基本的な技術の部分での差を感じた。トラップの方向・ボールを受ける時の体の向き・オフザボール際の動きなどで大宮の選手と浦和の選手との力の差を感じた。この力の差は本当に微妙な差であるが、これが90分積み重なるとボディーブローのように効いて、結果として勝敗を分ける程の差となる。 相馬・平川両選手のボールを相手陣地へボールをゲインさせるトラップなどは良い例である。大宮のSBの選手は、「止める」・「パスする相手を探す」・「ボールをゲイン」という動作を必要するプレーでも、浦和の両選手は、「止める」「ボールをゲインする」というプレーを一つのトラップ(ボールタッチ)で行う。また、ボールを受ける前に既に「パスする(ドリブルする)」イメージを持っていため次のプレーがスピーディにできる。 この違いは恐らく1,2秒の差であるが、その数秒の差が攻撃のチャンスの可能性に大きく左右するのである。トラップだけでなく、セカンドボールのキープ力やポジショニングなどで大宮選手より浦和の選手の方が勝っていると感じた。 NACK5スタジアム初のダービーということで、サポーターは非常に気持ちが入っていたが、当の選手から「絶対、浦和に負けたくない」という姿勢を試合のなかで観ることができなかった。 今回の敗戦で、リーグの順位を更に下げ、「降格」という言葉を思わざるを得ない状況になってきた。残り8試合、気持ちのこもった試合をみせてほしい。
posted by toddocom |23:35 |
大宮アルディージャ |
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