2008年07月29日

19節 大宮-清水戦 オレンジダービー最大の山場は雷雨とオレンジ色に染まった空!?市川大祐-村山祐介比較、右サイドバックに見る大宮の課題

清水戦
「社長!あんた雨男なんだよぉ!」 大宮サポーターの独りが茶化す。いつも先頭にたって応援を盛り上げてくれている人だった。恐らく豪雨の中スピーチする初老の男性が以前スピーチをした際も雨が降っていたのだろう。 昨日の18節ホーム清水戦は、NTT東日本のスポンサーマッチであり、試合前にスピーチをしていた男性は、江部NTT東日本代表取締役であった。大宮アルディージャを運営するNTTスポーツコミュニティの株主構成(比率)は把握していないが、大宮アルディージャの前身がNTT東日本サッカー部であったことを考えると、親会社(大株主)のトップのスピーチだったわけだ。 地域に密着したクラブの活動は期待しているが、株主やスポンサーを否定する訳ではなく、クラブに対して個人のサポーターにできない支援をしてほしい。 こう言えるのも現在のNTTスポーツコミュニティの渡邊代表取締役が、先頭に立ってサポーターと接し、クラブの運営・経営に懸命に取り組んでいる印象を持つからだろう。今回の江部NTT東日本代表取締役も社長自ら、スタジアムに出向く姿勢に好感が持てた。   天候の方は、雨男・江部NTT東日本社長の挨拶の後、一旦雨足が弱くなるも選手の入場と同時に豪雨と雷に見舞われた。 そして1時間30分という長い時間、試合を見合わせることとなった。 待つこと1時間30分、19時30分試合が始まる。 驚いたのは、試合実施が決まり、避難場所からスタジアムに戻ると水たまりの全くないピッチだった。当日スカパーで実況を担当していた八塚氏もピッチの水はけの良さを繰り返し指摘していた。そして十分、水分を含んだピッチは、最近数試合、ボールを短くつなぎ、ポゼッションサッカーの傾向を強める大宮にとって有利になるはずだった。がしかし、実際はそうならなかった。
清水戦1
清水戦2
両チーム決定力を欠くも大宮に停滞感漂う 試合は、両チーム決定機を迎えるが得点することができずドローに終わった。しかしながら大宮の方が、現在抱えるチームの問題が深いように思えた。試合を観観戦していても苛立たしさが蓄積されるゲームであった。その最大の原因は、大宮の選手同士に生じている微妙なズレである。ボールを受けたいところでボールを受けることができず、また出したいところへボールを出せないシーンが非常に多い。受け手・出し手もこの微妙なズレのせいで、選手自身が苛立った表情を何度も見せていた。この「ズレ」は悪循環を起こしており、出し手はリスクを負ったパスを出さなくなり、またボールが出てこなければ、受け手も動かなくなってしまう。そしてまたプレーに更なるズレを生じさせてしまうのである。 このズレを解消するためには、まず受け手が積極的に受けたい場所へボールを呼びこまなければならない。しかし今の大宮の選手には、主体的に試合を展開する積極性を感じる選手がほとんど見当たらない。結果としてプレー毎に判断の遅い消極的なパスワークを展開せざるを得ない状況に陥っている。 清水・市川大祐選手と大宮・村山祐介を比較でわかる大宮の課題 個人的には、日本代表の復帰を望む、市川選手を直接観ることができた。(ただ豪州五輪戦の内田篤人選手のプレーを見てしまうと難しいとも思うのだが…)その市川選手と大宮・村山選手という両チームの右サイドバックのプレーを比較することによって大宮の課題を探りたい。 まず二人のサイドバックが全く異なるのがボールを受ける位置と受け方である。村山選手がセンターライン付近で、ボールを足元で受けるのに対して、市川選手は、更に20m程敵陣でスピードに乗ってボールを受けていた。ボールを受ける位置の違いにより攻撃への展開するスピードが全く違う。市川選手がボールを受けると、その流れでセンタリングを上げる。村山選手の場合は、ボールを受けてから次のプレーを考えている(左SBの波戸選手も判断の遅さが顕著である)躊躇した挙句、村山選手がバックパスや横へのパスが多いのに対して市川選手がバックパスをすることなど滅多にない。  2人のSBを比較して明らかに異なるのは、積極的な攻撃のイメージを持てているか、否かである。市川選手は、自らが攻め上がるイメージをより具体的に持っており、ボールを受けたいエリアでボールを呼び込む。対して村山選手は、おそらく具体的な攻めのイメージを持てていない。だからボールを受けても次の判断が鈍るのである。判断が鈍ると自らのプレーの選択肢を狭めることになる。  前述した、ボールの受けてと出し手の「ズレ」も受けての攻撃のイメージの欠如に起因する。本来受けては、どちらの足で受けるかまで要求するべきである。大宮のサイドチェンジも受けてにイメージも要求もないため、波戸選手と村山選手は後ろに戻るような受け方しかしていない。  日本を代表する右SBである内田選手や市川選手と大宮のSB(村山・田中・波戸選手)との最も異なるのは判断のスピードである。そして判断のスピードを上げていくためには、次の展開を具体的にイメージすることである。  「トラップ」が次のプレーをするためにボールをコントロールすることと定義するなら、内田選手のトラップは、正にそれであり、トラップによって相手を抜いたり、一つのトラップによって攻撃に移ることができるのだが、残念ながら大宮のSBの選手らは、ボールを止めているだけであり、あれをトラップとは言わない。    オーバーラップをしてもリスクを負わなかったら意味がない。  また、受けての判断が遅いということは別に、市川選手と村山選手のプレーの違いで、「攻撃へのリスク」の負い方があった。市川選手がオーバーラップをした場合、多少強引でもセンタリングをあげるプレーがあるのだが、村山選手がリスクを負って強引にセンタリングを上げることはしない。タイミングよくオーバーラップをしてもリスクを負わず攻撃を止めてバックパスをしてしまう。これではオーバーラップの意味が全くない。むしろ体力を消耗している分、無駄なプレーとなる。  更に村山選手の場合、ボールを持った時にリスクを負わないのにも関わらず、ボールがルーズになっている際に不用意にリスクを負って外に張り出していることがあり、逆に攻め込まれピンチを招くケースが前節名古屋戦と今節清水戦で散見された。私は、17節柏戦で村山選手の「覚醒」を主張したが、この2試合の彼のプレーを見ると残念ながらその主張を撤回せざるを得ない。 今回、市川選手と村山選手のプレーを比較したが、受け手の判断の遅さ、呼び込むプレーが少ないということ、また攻撃の際にリスクを負っていないということは、顕著であった村山選手だけでなく大宮の選手全員に当てはまる。一試合を通じ、リスクを負うことで清水を攻め崩したというプレーを観ることはほとんどできなかった。相手チームの陣形のバランスを崩し、チャンスを生み出すためには、リスクを負ったチャレンジしか方法はない。例えばバスを選択せずに果敢にドリブルをすれば、相手選手はマークをせざるを得ない。すると必ず守備の均衡は崩れスペースが生まれるものである。 今の大宮のサッカーは、弱い犬が安全な場所で遠吠えしているが如く忙しない割に全く怖くない。 次節札幌戦では、リスクを負ってバイタルエリアへ果敢に飛びんでほしいものである。
清水戦3
雷雨の後、オレンジ色に染まった空 まさにオレンジダーピーであった。


posted by toddocom |10:08 | 大宮アルディージャ | コメント(0) | トラックバック(0)
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