2008年07月01日

14節大宮-東京V戦 Play a roll 組織的なサッカーの実践~選手の戦術の共有と信頼があって可能となるサッカー~

14節対東京V戦
前半30分をどう戦うか、それがこの試合の見所だった 今シーズンのJ1は、中断前の13節終了時点で1位浦和から14位新潟の勝ち点差は10。勝ち点10の中に14チームが入り乱れる混戦の様相を呈していた。大宮も13節終了時点で勝ち点19の8位に位置していた。昨シーズンと比べれば、良い成績を修めているが、今節14節の勝敗如何によっては、限りなく降格圏内に近づく可能性もあれば、東京V戦の勝利で、上位順位へ上がるチャンスもあった。 この混戦のなかでは、毎節の順位を気にするよりは、順位の変動を気にせずに着実に勝ち点を積み上げることに重要であり、各節毎の順位に一喜一憂をする必要はない。 しかし、毎節の順位を騒ぎ立てるのがマスコミであり、サポーターである。順位が下がれば、サポーターは、不満を露わにし、チームが勝利して順位を上げれば歓喜するのもまたサポーターである。その環境でクラブや選手に順位を気にせずに戦えと言っても難しいのも事実である。しかしながら、やはりこの時期の順位はそれほど重要でない。 順位だけをみると、前節までの大宮は、マラソンでいうところの第一グループ後方に位置し、今節東京V戦の結果如何で第一グループに残るのか、それともふるい落とされるのかというような錯覚に陥る位置にいた。サポーターとしても重要な一戦となったし、勝ち点を積み上げるチャンスという意味においてはクラブにとっても非常に重要な試合となった。 私はなるべく順位を気にしないようにして、更に言えば勝敗は度外視して、「前半の戦い」、特に最初の30分にどのような戦い方をするのどうか、また早い時間で得点が取れるかどうかについて注目していた。 大宮にとってこれまでの13節を戦っての最大の課題は、試合展開にムラがあるということである。ここ数試合で前半戦にリードしている試合はほとんどない。 【大宮の13節までのファーストゴール(得点・被得点)の時間】 1節○対新潟  25分大宮先制 ヤマザキナビスコ杯1節△対新潟 9分大宮先制ヤ マザキナビスコ杯2節△対横浜 スコアレスドロー 2節●対京都  16分大宮先制 3節△対清水  スコアレスドロー 4節●対名古屋 26分大宮先制 5節○対大分  43分大宮先制 6節○対千葉  21分大宮先制 ヤマザキナビスコ杯3節●対横浜 3分横浜先制 7節△対浦和  スコアレスドロー 8節△対鹿島  27分鹿島先制 9節○対大阪  11分大阪先制 10節 ●対F東京 15分F東京先制 11節 △対横浜  16分大宮先制 12節 ●対札幌  18分札幌先制 13節 ○対川崎  35分川崎先制 ヤマザキナビスコ4節●対大分戦 48分大宮先制 ヤマザキナビスコ5節△対新潟戦 39分新潟先制 ヤマザキナビスコ6節●対大分戦 73分大分先制 ※オレンジ色は大宮先制、黒字は対戦チームが先制 試合を重ねるごとに、前半戦の展開に課題が残った。決してゲームへの入り方が悪い訳でなく、最初大宮がペースを掴むも点が取れず、次第にペースを相手チームに掴まれ得点を許すという展開が非常に多かった。前半早いタイミングで先制できるかどうかが勝利の鍵を握る。大宮は先制できるのか?この点に注目していた訳だが、試合開始早々、大宮のキックオフから、ほとんど東京Vにボールを触らせないまま、デニスマルケスが右SBの田中選手からボールを受け、そのまま左に切り込み左足でゴールを決めた。試合開始4分のプレーだった。 桐蔭・武南・読売と言えばポゼッションサッカーを得意とするチームである 早い時間の先制はチームに安定をもたらした。ボランチの斉藤・佐伯両選手中心としたポゼッションは、圧巻であった。波戸・田中両SBがボールを受けると必ず斉藤・佐伯選手がパスコース作りに顔をだすので、必ずSH、CBと合わせるとパスコースが3つある状態を保っていた。ここで斉藤・佐伯両選手へ相手チームのマークやプレッシャーがあるとボールキープも厳しいのだが、東京Vから高い位置でのプレッシャーを受ける事はなかった。この試合、攻撃においては両ボランチが前を向いた状態でボールがキープ出来たことが最大の勝因である。 ところで彼らがユース年代で所属したチームと言えば、斉藤選手は武南高校、佐伯選手は読売ユースと、それぞれポゼッションを得意とするチームに所属していた。現在の高校のチームは、サッカー部、クラブチーム問わずポゼッションをする技術が10年前と比べると向上していることは容易に予想できる。しかし、90年代前半当時、高校サッカーシーンにおいて武南高校も読売ユースもインパクトあるポゼッションサッカーを実践していた。チームのキャプテンである小林慶行選手の所属していた桐蔭学園高校もまたポゼッションサッカーを志向していた。彼らを始めとして、大宮の中盤には確固たる技術に裏打ちされた選手が多く存在する。彼らには、意図のないパスやフィードという選択をせずにボールを回すサッカーを高校からしてきた訳だ。 今の樋口監督が目指すサッカーと大宮の選手のプレイスタイルが非常にマッチしているといえる。 戦術の共有と信頼があるから藤本主税はプレスをかけられる この試合、最も目立ったのは、高い位置からのプレスである。特に左SHの藤本選手は、交代するまでの約70分間、相手右SBの富澤選手にプレッシャーをかけ続けた。 藤本選手にプレスをかけられる富澤選手は、パスミスや苦し紛れのクリアを繰り返した。これはプレッシャーをかけにいく藤本選手だけでなく、CFのデニスマルケス選手がCBを、田中選手がSHをしっかりとマークしてパスコースを消しているからこそ、藤本選手が効果的にプレスをかけられたのである。 また、中盤では、斉藤・佐伯両選手が守備においても随所に素晴らしいプレーを披露していた。これも他の選手がパスコースを素早く消し、パスコースを限定することに よって斉藤・佐伯両選手のところでボールを効率的にカットできたのである。 この試合では、攻守、特に守備においては、10人のフィールドプレイヤーが自らの役割を認識し、他の9名の選手と戦術を共有し連動しながらボールを奪うシーンを何度もみることができた。東京Vにどんなに技術とパワーに優れた選手がいようと2人・3人のディフェンダーを相手に「個」の力で抜き去るのは、困難である。大宮は色々な場面で効果的にプレシャーを与え、東京Vの選手に好きなようにプレーをさせなかった。 このような組織的なプレスは、一人だけで実行できるものではない、複数人の選手が同じイメージのもとプレスをかけボールを奪わなければならない。このプレスを行うには、選手間でボールをどこのエリアでどのようにボールを奪うかという戦術を共有していること、また更には選手同士で信頼し合い協業しなければ効果的なプレスを実践することはできない。この試合での大宮は、この効果的なプレスが90分通してできていたように思う。 デニスマルケス選手と藤本主税選手のワンツー~大宮が目指す攻撃のカタチ~ 終始大宮が押すゲーム展開であった。2点目のゴールは後半11分に生まれた。波戸選手が起点となり、デニスマルケス選手と藤本選手のワンツーが決まった。東京Vディフェンダーもデニスマルケス選手の瞬間的なスピードについていくことができずデニスマルケス選手のゴールを許した。 大宮には、森田浩史選手という長身FWがいる以外にヘディングを得意とする攻撃的な選手がいない。例えば名古屋においてサイドからのセンタリングは得点へ繋がる有効なラストパスになるが、現状の大宮においては有効なラストパスとならないケースが多い。大宮の攻撃的のスタイルを考えた時に、今節デニスマルケス選手の2点目、藤本選手とのワンツーからのゴールは一つの答えだと感じた。 「大宮の攻撃のカタチ」については、別の機会で考えてみたい。
14節対東京V戦
デジカメを忘れ携帯電話カメラで撮影 今節対戦した「東京ヴェルディ」について メンバーをみると錚々たる選手がそろっている。戦力を見れば十分上位を狙えるはずである。しかしサッカーは個人の能力も重要であるが、連携したプレーも重要であることは、私が今更言うまでもない。後半、平本選手と飯尾選手が出場してからの方が明らかにいいサッカーをしていた。 チームがこれからどれだけまとまるかそれが上昇の鍵である。まだ若いフッキはプレイヤーとして成長するためにも、移籍という選択肢だけは取らないでほしい。東京で選手として成長して、将来セレソンでプレーすることを期待する。 大宮にとってアウェーで再度対戦する後半戦、手強い相手となっていることは間違いない。 チームカラーについて また本筋からそれるが、東京Vのユニフォームは、色といい、デザインといいスタイリッシュで非常に格好良かった。肉体を鍛え挙げた選手が着用して映えるのはもちろんのこと、サポーターが着ても非常に格好よく見えた。日本のサッカー界において、グリーンはやはり「ヴェルディの色」なのである。 大宮のオレンジ・ネイビーのユニフォームは嫌いでない。今シーズンのオーセンティックのユニフォームデザインも好きである。しかし、大宮のオレンジ・ネイビーに対する考え方・扱い方について最後に一言だけ言いたい。 大宮が販売するグッズは、ほとんどすべてオレンジを基調としている。しかし、オレンジと言っても色見が違うものが多く、明るいオレンジもあれば、ユニフォームのような深めのオレンジもあり、オレンジといっても様々なオレンジが存在する。グッズをつくる側のオレンジ・ネイビーに対する配慮が足りないと思う。 大宮の「オレンジ×ネイビー」と言える色を早急に確立してほしい。私は大宮のサポーターとなってオレンジに対してとても敏感になった。大宮のオレンジは、清水とも新潟とも違うオレンジだと思っている。サポーターがそう考えているのに、企画・製作側が、その配慮をしてもらえないのは悲しい。ヴェルディのグリーンを見てつくづくそう思った。


posted by toddocom |10:37 | 大宮アルディージャ | コメント(0) | トラックバック(0)
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