2009年05月07日

10節 大宮-大分戦 どう失点を防ぐか修正した大分とどう自らのサッカーを貫くかを修正した大宮の差と、CH内田智也の攻撃参加がすべてだった

ゴールデンウィーク最後の試合、6節以降、6節川崎戦(●3-1)、7節新潟戦(●0-1)、8節山形戦(●0-3)、9節F東京(●3-2)と4連敗で迎えたこの日、結果と同様、それ以上にチャン監督がどんなサッカーをするのか注目の集まる試合となった。
対戦相手は、優れた選手が在籍するも怪我人の続出でスタメンを固定するのにも苦労する大分。6連敗で最下位と大宮以上にチーム状態の悪い相手との試合となった。

今シーズンは、なるべく大宮の対戦相手の前節の試合をみて、プレビューを書くことを目標にしていたが、GWの誘惑に負け9節大分-G大阪戦をみることができなかった。
そんな時に限って大分-G大阪戦で何かあったからなのか、大分は、大宮とのこの試合、大分の代名詞とも言える3バックから4バックとシステムを変更して臨んだ。
(調べてみると8節柏戦でも一度4バックに挑戦し惜敗していた。)
失点数では、9節終了時点17失点でリーグワーストタイだった大宮と15失点でリーグの大分、前節(9節)では共に3失点を奪われた両チーム、この試合では両チームでは、守備の建て直し課題とされた。
大分は、3バックから4バックからに変更してディフェンスの修正を試みた。
エルゴラッソやJ’sGOALのレビューをみると、前節G大阪戦で中盤を支配され両サイドを突かれた大分にしてみれば、どのように失点を防ぐかまず対策をとることは十分理解できる。
昨シーズン、リーグ最少失点を誇った大分からすれば、その守備が崩れた時のチーム内の精神的なプレッシャーは計り知れないものなのだろう。
守って、相手陣地に空いたスペースを有効に使い仕掛けるカウンターサッカーにあって、守備陣が崩壊してしまっては攻撃もままならない。
 一方、大宮は前節F東京戦でそれまでのメンバーを大幅に入れ替え、立て直しを図ったが、メンバーを入れ替えた守備陣が崩壊しF東京に3失点をきした。
ただ、大宮の場合、9節時点でリーグ最多失点のディフェンス陣。
守備に大きな課題があったのは言うまでもないが、大宮はこの試合、守備をどう立て直すかではなく、自分たちのサッカーをどう貫くかをこの大分戦のテーマに置いた。

「大分シャムスカ監督は、守備陣の建て直しを考え、大宮チャン監督は、自分のサッカーを貫くことを考えた」

この監督采配の違いと、テーマの異なる2チームの「噛み合わせ」によって大宮は勝利をして、結果的に3点の大差がつく試合となった。
前節F東京戦でも大宮ディフェンス陣は明らかに問題があった。
守備陣は、DFとMFのスペースを有効に使われながら、土岐田選手、村山選手が果敢にオーバーラップをするも、そのスペースを何度もカボレ選手や石川選手に突かれた。
しかし、大宮のウィークポイントは、大分がSHに家長選手、金崎選手を配置したため、大宮の両SBの裏を狙うシーンはほとんど見られなかった。
もし大分が「3-4-2-1」のまま鈴木慎吾選手、高橋大輔選手に両サイドで攻撃の起点をつくられていたら大宮のディフェンス陣が大分のカウンターに耐えられたか疑わしいところだ。
ただ大分シャムスカ監督は、大宮の弱点を突くことではなく、大宮に弱点を突かれることを恐れた。
ここにこの試合の勝敗が分かれたように思う。
確かに4連敗の大宮と6連敗の大分、大分の方がこの試合へのプレッシャーがかかっていたのかもしれない。ただ大宮チャン監督にもこの試合に対して相当なプレッシャーがかかっていたのは事実で、シャムスカ監督と違い、チームでの実績がない分この試合で大宮が敗れることがあれば、チャン監督の更迭話がでてもおかしくない状況であった。
そのような状況下で、改めて「縦に速いサッカー」「走るサッカー」を貫いた。
よってこの試合の大宮の勝利は、チャン監督の揺るがない信念によってもたらされた「勝利」といっても過言ではない。
チャン監督のサッカーが今後、どれほどの成熟をみせ、J1でどれだけ通用するのかわからない。
ただ、選手たちにもう迷いはなく、チーム・監督・選手が、残りの試合をチャンサッカーで貫こうと決意する勝利になったに違いない。

開幕当初から、昨シーズンの樋口前監督が培った大宮のよい部分をベースにしながら、チャン監督にはチームづくりをしてほしかったが、その希望はシーズン終了まで閉まっておくことにする。
※ちなみに昨シーズンの大宮のよい部分(または目標としたサッカー)とは、「守るのではなく奪うサッカー」・「ポゼッションとショートカウンターを併用したバランスのとれた攻撃」

CH内田智也の攻撃参加が攻撃に厚みを生み出した

この日、移籍後初、J1初となる藤田祥史選手のゴールが生まれた。藤田選手は得点だけでなく前線からプレス、空いたスペースに走り込む動き、石原選手へのアシストと大活躍をした。
この試合、藤田選手が覚醒したと思った大宮サポーターも少なくなかったのではないか。
しかし、藤田選手のパフォーマンスはこの試合に限って上がった訳ではなく、開幕戦から一貫して高いパフォーマンスを保っていたように思う。
ただ藤田選手をチームとして上手く使いこなせていなかっただけだった。
この試合変わったのは、大宮の攻撃の方だった。
大宮の攻撃陣に変化をもたらした張本人は、今シーズン初めてCHを務めた内田智也選手だと考えている。
昨シーズンから大宮の中盤の課題は、CHの攻撃参加の少なさであった。
今シーズン開幕当初、金澤選手が守備に徹することによって、金澤選手のパートナー新井選手の攻撃参加がみられたが、小林慶行選手の復帰によってCHの攻撃参加停滞したように思えた。
小林選手も攻撃参加を怠った訳ではなく、5節G大阪戦、8節山形戦など積極的に攻撃参加をするシーンを目にした。しかし大宮の攻撃陣の課題を解消するまでには至らなかった。
そんな状況で内田智也選手のセンターハーフへのコンバートは大宮の攻撃陣に劇的な変化を与えた。
内田選手は元々ボランチの選手であったが、2年目となる大宮ではサイドハーフとして起用されていた。
大分戦で初めて内田選手のセンターハーフとしてのプレーをみたが、彼は守備的ミッドフィルダーではなく明らかにセンターハーフとして機能していた。
彼の攻撃面での貢献はとても大きい。
攻撃時は、自由に中盤をコントロールする藤本選手のスペースを埋めるため変則的に右SHの位置に入ることが大きかったが、彼の攻撃参加によって大宮の攻撃に厚みが生まれた。
それまでの大宮の攻撃は、2人のFWと藤本選手の個人技に頼ることが多かった。いくら優れた選手でも個人の力で得点を奪うことは難しい。
選手の個人技術に頼るサッカーは、大宮のサッカーをより単調なものに見せていた。
また、内田選手の攻撃参加によって、自ら攻め上がるだけでなく、攻撃時に中盤の選手同士でボールを回し、タメができるようになった。
それが結果的にボールを落ち着かせて他の選手の攻撃参加を促した。
また、左SHでのパクウォンジェ選手起用によって更に攻撃にかける人数は増えた。
大分戦をみる限り守備に安定感のある波戸選手との相性も良さそうだ。

攻撃面では、一定の評価ができる試合だったと思う。
ただそれも大宮が意図するエリアでボールを奪うことができたからだ。
今後どの試合でもコンスタントにボールを狙い通りに奪えると、これからの大宮に大いに期待できるが、狙い通りボールが奪える時とそうでないときのムラが激しいのも事実である。
常に3ラインをコンパクトに保ち組織的に守備ができるかが今後のポイントになるだろう。
ただ大分戦のメンバー、特に金澤・藤本・内田・パク各選手が中盤に揃えば、きっとその期待に応えてくれるだろう。
次節磐田戦が非常に楽しみになってきた。

【対戦相手大分について】
4バックの大分を初めてみた。
恐らく怪我人が続出したことで昨シーズンのサッカーから変えざるを得なかったのだろう。
システムを変更したとき、そのポジションの役割に固執してしまい連動性が損なわれることがある。大分はそんな状態に陥っている感があった。
個々の選手で言えば決して劣っている訳ではないのに、何か出だしが遅い印象をもった。
大宮の方がやろうとするサッカーのイメージが共有されているため、選手が自律的に動いていたように思う。
恐らくシャムスカ監督は、今後改めて選手らに「サッアービジション(イメージ)」を構築し共有させなければならないのかもしれない。
新しいサッカーをするにしろ、今までのサッカーを貫くにしろブレてしまったらチームは崩壊してしまう。
まさにシャムスカ監督の采配にかかっている。

確かに連敗を7敗まで続けた責任はシャムスカ監督にもあるのかもしれない。
ただ今の大分を立て直す最良の監督もシャムスカ監督だと思っている。
監督更迭の話も出ているようだが、個人的にはシャムスカ監督解任は早計な気がしてならない。

posted by toddocom |18:33 | 大宮アルディージャ | コメント(0) | トラックバック(0)
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