2008年06月08日

男子バレーに光は見えたのか?~vsアルジェリア~OQT男子第7日目




ベタな表現で言えば有終の美を飾った、ということだ。こういうチームを作り上げることが出来た、だから北京へ行けた、と言うことを証明した気がする。

出場権を獲得したからと言って気が緩むようなチームではない。アルジェリアと言う対戦経験が少ないチームに対しても試合を追うに連れきちんと修正能力を発揮することが出来た。この「修正能力」という部分は非常に評価できるポイントではないか。
「修正能力」とは選手が個々に相手に対応(時には自分への処置)とベンチからの指示を理解すること、それによって適宜試合の流れに対応することだ。世界的に見ればその力さえも足りないのかもしれないが、しかしその点の力が付いてきたことは今後の成長につながると思う。

福澤。ハイジャンパー、オフェンス面ではなかなかいい動きを見せていた。「空中で止まる」という表現が適当かどうか(ややオーバー?)は置いておいてもその滞空力は素晴らしい。サーブ、スパイクフォームなどから見るに筋肉のつき方がいいのではないかと推測できる。五輪の舞台で、ロシアやアメリカのような「壁」を相手に彼がどこまで通用するのか。まずその試金石としてWLのポーランド戦で彼を見てみたい。
そして後はディフェンスの強化だろう。地道に時間をかけてゆっくりと力をつけてもらいたい。やはり日本の選手の基本はレシーブだと思うから。

清水もやはり素質の良さを露にした。サウスポーオポジットにして山本に比べしなやかさ、機動力を持ち味とする。例えばスパイクへの入り方にも工夫が見られ、中に切り込もうとするフェイクをしてみようとかそういう小技で相手を乱せるのが最大の武器だと思う。「力(パワー)」ばかり注目されるがそういう部分にもクローズアップして欲しい。
そしてスパイク自体も柔軟性がありコース、或いはブロックのカンチャン(簡単に言うとブロッカーの間こと)を抜く技術もある。山本と清水、二人のサウスポーが今の全日本にはいるが異なる(しかも遠いところにある)タイプなので使い分けしやすいのが利点だ。


日本3-0アルジェリア(25-20 25-13 25-18)


【日本】

石島 山本 山村
松本 朝長 越川 L=津曲

第1セット途中から試合終了まで・・・松本→齋藤
第2セット2ndTTO後から試合終了まで・・・山本→清水
第2セット終盤から試合終了まで・・・越川→福澤
第3セット途中・・・朝長→宇佐美


アタック決定率

石島・・・18打数・44%
山本・・・6打数・67%
越川・・・13打数・46%
清水・・・10打数・50%
福澤・・・10打数・70%
山村・・・2打数・100%
齋藤・・・8打数・86%
松本・・・4打数・25%

チーム決定率・・・56%(71打数)

※山村+齋藤+松本のトス占有率・・・22%


キルブロック総数

山村・・・2
山本・清水・朝長・・・1

チーム総数・・・5


サービスエース

越川・・・3
清水・石島・・・2

チーム総数・・・7


サーブレシーブ成功率

石島・・・23受・57%
津曲・・・14受・56%
越川・・・4受・50%

チーム平均・・・52%




荒地を開拓するようにちょっとずつしかしながら力強く「改革」をしていった植田監督。痛みを抱え、しかもその痛みはあらゆるところに出、それでも尚開拓の手を止めなかった植田監督。この4年をあらわすなら「苦行」と言う言葉が適するか。
でも、まだ道半ば。今は更地に戻ったくらいなのだろうか。ここからいよいよ基礎とその上のものが出来る時期なのである。バブル時代の土地の買収と開拓だけしたようなことにならないように、ここから先が大事なのだ。

北京が終われば当然、世代交代という難題にかからねばならない。象徴は荻野。荻野の後釜、キャプテンは誰なのか、チームを束ねるのは誰なのか。まずそこからであり、またそここそが植田JAPANの次の指針なのである。

チームの柱はセッター。宇佐美、朝長と言う体制で現在はあるが、島野(豊田合成)、阿部(東レ)、岩田(パナソニック)、栗原(サントリー)、前田(JT)らVプレミアリーグ内のセッターにもチャンスはある。
その中でも私は岩田を中心にしたチームを作りたいと思う(←勝手な願望)。ここであまり詳しく突っ込みすぎてもしょうがないので上辺だけさらうが、岩田のトスワークは海外スタンダード。身長こそないものの、彼を軸とした全く違う全日本の完成こそ男子バレーを更なる高みへと飛躍させると思っている。ただし、彼を軸とした場合そのチームの完成には2年は我慢と熟成の期間が必要だろう。



話しは戻って今日の試合での大事なこと。
若手若手と騒がれる中、忘れてはならない人物を二人クローズアップする。

まずはリベロの津曲。オーストラリア戦こそ動きが鈍ったものの彼の堅実なレシーブ、及びチーム内での接着剤的役割は計り知れない。実質的に見て、植田JAPANのチームのコート内にいる時間がもっとも長いのが津曲ではないだろうか。
植田体制以前もリベロとして全日本におり、もう「リベロ=津曲」ということに全日本男子はなっている。派手さや華のあるプレーはないものの、まさにチームの底辺からチームを持ち上げているのが津曲だ。
もし、北京五輪の12人の当確ランプを出すならば最初に彼に当確ランプが灯るだろう。

もう一人、それは齋藤。今日の試合の打ったシチュエーションは殆ど崩れたときだった。いいキャッチの入ったとき、いいレシーブの入ったときからの切り返しは若手の二人に任せていた。苦しい時にいかにも苦しくなさそうに決めていたのが齋藤だった。
膝がもの凄く悪いのに・・・まったくそんなのを感じさせない動き。試合会場で齋藤を観た人などは解ると思うのだが、試合が終わってミックスゾーンに下がるときの齋藤の歩の進め方は辛そうだ。ホントはもっと長く観たい選手だけれど、しかし「北京で引退」はむしろ「よくここまで。」と敬意を表すものだろう。
松本・山村のみならず全てのセンタープレーヤーにおいて今日の齋藤は素晴らしい教科書(強化書)だった。何せ、苦しい場面でいかにも苦しくなさそうに決めているのだから。ブロックの端に当ててブロックアウトしたり、前や後ろに落とす、ターン打ちするなどその場に応じたスパイクを瞬時に判断できている。例えば今日代えられてしまった松本、彼は真ん中からやや右方向へのスパイクコースが多かったと言うことを相手に分析されていた。が、松本はそれでもそのコースに打ってしまったために拾われてしまったのだ。そういう一つひとつのポイントが大事なのであり、そういうミソを齋藤は心得ている。
ブロックにしても然り。ワンタッチの取り方、コース取り、熟練の技である。ブロックフォローもお手の物であり全てのバロメータが高く、プレーのクオリティも高い。もしかしたら、国内で齋藤の出る試合はこれが最後かもしれない。だとしたら、尚のこと今日の齋藤のプレーは忘れてはならないだろう。




ジャンプフローターサーブに対するレセプションの修正がまずは日本に課せられた最大やらねばならぬだろう。特に石島はこれを重点的に磨いて、修正していかないと拙い。
また、オリンピックでは最終予選に出ていたチームの選手にはあまりなかった「強烈なジャンプサーブ」を放つ選手が多くいる。彼らの放つ砲撃のようなサーブに対してAキャッチを上げるのは無理難題。Bキャッチからのコンビの熟成もオリンピックを戦うためには必要だ。
攻撃面では「前衛レフト・山本/前衛ライト越川」のこのローテーションをどう乗り切るかである。ここで連続失点する場面が目立つのである。



北京への扉は開かれた。しかし、その扉の向こうには猛者たちが待ち受けている。さぁ、どうする?もう戻れない。進むしかないのだ!ここからが、「本当の勝負」なのだ!




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posted by 古都の侍 |20:59 | オリンピック最終予選(OQT)2008男子 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年06月08日

OQT男子第7日目試合結果





大会最終日。結果はこちら。


タイ1-3韓国(18-25 25-20 18-25 21-25)

アジア勢同士の戦いは韓国に軍配。


イラン3-0オーストラリア(25-18 25-16 25-23)

厳しい言い方をしてしまえばオーストラリアは空中分解してしまっている。怪我人などは仕方なしにしても気の持ちようの部分で負の要素が大きかった。
ちなみにこの試合は前田健氏の解説だったが、いつものことながら聞きやすく良かったと思う。


アルゼンチン2-3イタリア(19-25 19-25 25-22 25-21 5-15)

アルゼンチンも意地を見せたのだが。ファイナルセットは地力の差が出たか?




余談。

安田記念、「ウォッカ様」来た―――!


posted by 古都の侍 |17:27 | オリンピック最終予選(OQT)2008男子 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年06月08日

植田JAPAN・五輪決定と五輪への課題~vsアルゼンチン~OQT男子第6日目




改めまして、北京五輪出場おめでとうございます。


さて、昨日の試合で見えたことは何だったのか。そして、この大会で一番大事な試合はどこになるのか。その辺りを重点的に見つつ昨日の試合を振り返ろう。


日本3-2アルゼンチン(26-28 25-13 25-19 17-25 20-18)


【日本】

石島 山本 松本
山村 朝長 松本  L=津曲


アタック決定率 ()内はトス占有率

山本・・・45打数・56%(36%)
石島・・・33打数・42%(26%)
越川・・・11打数・36%
荻野・・・13打数・46%
松本・・・8打数・25%
山村・・・15打数・73%

チーム平均・・・49%(126打数)

※越川+荻野のトス占有率・・・21%
※山村+松本のトス占有率・・・18%


キルブロック総数

山村・松本・・・3本
石島・山本・・・2本
越川・・・1本

合計・・・11本(セット平均2.20本)


サービスエース

石島・・・2
朝長・松本・・・1


サーブレシーブ成功率

荻野・・・23受・65%
石島・・・35受・46%
越川・・・9受・56%
津曲・・・14受・50%

チーム平均・・・53%



生観戦で、しかもあのような試合だと会場で見ているときは感情が先走りすぎてしまい、後から録画しておいて見る試合とでは印象が変わる。生観戦で感じた試合感想と録画で感じた試合感想がここまで食い違うのは、今まででもっとも感情移入して観ていたからだろう・・・


まず、津曲。前の試合(vsオーストラリア)では動きが悪くお見合いを連発するなど調子が上がらなかったが、この試合では2セット目あたりから復調。華麗なるディグの連発など、底辺からチームを支えたところは数字に出ない部分での功績大だ。

ガラスのエース、もとい現在は「鋼のエース」(!?)山本。朝長のトスの状態がバットコンディションの中よくぞあれだけ打ち抜いた。この試合であの状況下での決定率50%越えはエクセレント!3セット目の20点付近だったか、ブロックが返ってきたのをセンターフォローして荻野が高い2段を上げて、それをクロスに相手コートのレフト側の最深部へとやや力を抜いて決めたのなんかは成長の証。
しかも今日は、感情が表に出て吠えていた。形相がいつもとは全く違う、ここに来て更に進化したなぁと思わせてくれるようなものだった。

ゴッツ(石島)も合格点か。ジャンプフローターへの対応が課題だが、初めて見た船橋の試合(06年WL:vsポーランド)から比べても格段に巧さを増した。ディフェンスも可で、パワースパイクも軟打も行けるあのようなウィングスパイカーは頼もしい。
この試合、その前の試合と途中で代えられた越川も伸びた。石島と共通しているのはサーブの凄さ。越川は攻撃ではキレ(シャープさ)がいい。


大まかに試合を振り返ろう。

第1セット。やや山本の通過点が低いように見える。このセットを落とした理由としては向こうのセッターのトス回しのよさが上げられるだろう。まるで日本のミラー。エルナンデスにもっと偏重してくるかと思ったのだが、センターをふんだんに使った攻撃。対して日本は朝長のトスの状態があまりよくない。時間差やバックをもう少し使っていれば拾えたセットだったかもしれない。

第2セット。主にリベロを狙うサーブ。長めのジャンプフローターで奥を突くのが功を奏した。ミスに次ぐミスで流れを手放したアルゼンチン。日本はセットを大差で取りながらも朝長のトスに違和感。

第3セット。やはり朝長のトスがぶれている。サイドへ振るトスが短かったりネットに近かったり。【越川→荻野】の交代もいいようで実際、ここでは先に【朝長→宇佐美】ではなかったか。日本は課題の「前衛レフト山本・前衛ライト越川」のローテで躓いてしまったことが何より苦戦した理由。このローテではAキャッチと完璧なトスが要求されるので、崩されたり乱れたりすると厳しい。
やはりこのセットを取れた理由もアルゼンチンのミスに依るところが大きいだろう。石島のエースと津曲の好レシーブも見逃せない。

第4セット。疲れの見えているのだから荻野ではなく越川に戻してもよかったのではないだろうか。リリーフ荻野でスタートして欲しかった。前のセット終盤から崩壊しかけていた「朝長―山本」ラインがいよいよ×。打っても横着なアルゼンチンのレシーブに拾われてしまうという嫌な流れ。山本も落ちてきてしまっていた。最悪の流れで宇佐美を投入。【山本→清水】の交代もここで必要ではなかったか。
宇佐美はセンターを使うなど工夫は見られたが、結局状況は悪化し朝長を戻す。宇佐美は可哀想な使われ方をした。多分、3セット目に宇佐美を出していれば彼は英雄になれただろう。

第5セット。3連続得点、4連続失点でスタート。中盤、松本の2連続ブロックが出て4点差まで広げ、「いよいよ」と思うのと同時に「イタリア戦の悪夢」が甦る。事実、ここから同点に追いつかれ14-13と逆転されてしまう。この時間帯も「朝長―山本」ラインに誤差があった。その上サーブカットもイマイチだし、それまでミス連発のアルゼンチンのサーブがミスなく決まっていた。
それでも、ブロックで逆転をし相手のマッチポイントもサイドアウトで逃げる。そして石島の唸りを上げるようなサーブ。そして今日最大のハイライト。「相手のヘルナンデスのサーブミス」。ここで勝負があったようなものだった。次のポイントは相手のレフトを2枚跳んでワンタッチで引っ掛けて、石島がきっちりディグし、朝長から荻野へ。3枚付いてもそこを「技」で飛ばしてブロックアウトで・・・歓喜!!


采配面では宇佐美の投入時期がもっとも気になった。そして4セット目、出来れば越川を戻して欲しかった。

向こうのセンター攻撃は主に日本がジャンプフローターを打ち、カットがネット際になったときが殆どだった。そういう傾向が顕著だっただけにセンターのクイックをもう少し止めたかったし、対処できたと思う。


今日はアルジェリア戦。昨日見たところサーブのいい選手がおりそのサーブには警戒だ。型にはまればいいバレーをするので日本はまずは基本のところを押さえておきたい。
今日のスタメンは、清水、福澤ら若手主体を希望する。いわば、ロンドンへのチームである。

ここから北京が始まる。そのためにも今日は内容が問われる試合なのだ。




今日の曲。

1曲目:B’z『ultra soul』・・・ノーリーズン。

2曲目:ウルフルズ『サムライソウル』・・・madokaさまご推奨、ゴッツに捧ぐ。





posted by 古都の侍 |11:17 | オリンピック最終予選(OQT)2008男子 | コメント(1) | トラックバック(1)
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