2008年05月01日

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~





「1秒の壁」


柳本昌一が掲げた今年のテーマである。トスを上げてからスパイカーが打つまでの速さが1秒を切るということである。
男子では植田監督が速さを取り入れて久しい。ストップウォッチ片手に、「ジバはもっと速い」とか言いながら、越川や石島に徹底的に指導している姿が思い出される。まるでタテBをサイドが使うかのような事をしてくるのが世界の男子バレーだ、とややオーバーに言えばそう表現できる。

では、女子はどうなのだろうか。世界レヴェルで見れば強烈な速さをもつようなチームはなかなか見られない。しかしながらやはりブラジルなんかは速さという観点で見たときもやはりレヴェルか高い。
日本はそういう意味では「竹下-高橋」のラインなどは世界トップレヴェルの速さを持っているという評価は下せるだろう。でも、それも研究されている。

昨年のワールドカップの惨敗から柳本監督の思考は速さを求めようと言うものになったものと思われる。何故そういう思考になったのか、思考回路を推測してみる。

「(W杯の大惨敗を受けて、OQTに向けて・・・)今さら大胆なシフト変更、戦術変更は出来ない」→「でも、少しは何かを変えないとそろそろ回りも何か言いそう・・・」→「じゃあ、何か変えるか・・・」→「でも何を変えれば??」→「時間もないし・・・」→「じゃ、手っ取り早く日本固有のディフェンス強化をして見てその上で“速さ”を追求して見ますか」

「1秒の壁」はきっとここから生まれたに違いない。
「高さ」を求めたり、「パワー」を求めたりするバレーを1が月の準備期間で用意するのは不可能、しかもそれに合わせて新たな選手を招集して、なんてことをしていては2年はかかる。現実的に無理だ。
でも、何かを変えなければ、そして結果を出さねば、柳本監督の評価は一般の目から見ても下がるだろう(今はまだ、一般からの評価は下がってはいない。しかしバレーファンからの評価は下がっているだろう)。何とかして変えねば、そして兎に角OQT突破と言う結果は出さねば。きっとそう思っているに違いない。
そして現実的な(手っ取り早い)思考へと走る。日本の持ち味である粘りを基調としてその上で速さを追求する。これなら現有のアタッカーたちと竹下のコンビの問題だから、どうにかなるのではないだろうか。しかも、聞こえもいい。きっとそのように考えたのだろう。
しかしここでまた問題が生じた。「高橋の大不調」。ここまでの不調をたぶん想定はしていなかったはずだ。そこで出てきた狩野の緊急招集。修羅場を潜り抜けてきた三十路のベテランの抜擢はきっとここに端を発していると言う面もあると思う。

私の予想では、高橋と狩野は併用だと思う。ポジションはレフトで栗原の対角。求められるのは徹底された完璧なサーブカットと速い平行のスパイク。
完璧なカットを竹下に返す。そうすれば竹下レヴェルのセッターなら99%、いいトスが上がる。そこを1秒以内にレフトのサイドは打つ。こういう公算のはずだ。

だが、これは以前から指摘している事だが一辺倒な速さはやがて相手は「慣れる」。だからこそ、本来的に必要なのは「相対的な速さ」なのだ。だから、Aキャッチが竹下に返ってレフトにふる場合に常に1秒を切るようなのではダメなのだ。ゆっくりもあるから、速いのがより生きるのだ。
但し、高橋・狩野は高さがないのでしょっちゅうゆったりとした攻撃をしていてはダメなのだが。

もし「1秒の壁」を掲げるのなら求めるのは速さではない、相対的な速さなのだということを私は思う。





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posted by 古都の侍 |13:38 | その他バレーボール | コメント(7) | トラックバック(1)
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2008-05-03 19:53 | 続きを読む
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1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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王様バレーでメダルをもぎとる
全員バレーでメダルを勝ちとる
スピードバレーでメダルをかっさらう

日本が唯一可能性がある道は「かっさらう」方法かと思ってたんですよね~モハメド・アリの「蝶のように舞い、蜂のように刺す」なんてスタイルがメダル獲得の条件かな~って考えてました。お手上げ状態のスピード。つまり「絶対的速さ」という事になります。
なるほどね~絶対的速さは慣れるんですか~体が慣れる場合もあるでしょうし、研究されて解明される「慣れ」もあるかも知れないですね~
サッカーでもバスケでも一対一の場面で、「ドリブルで抜きにかかる」と分かれば対処の仕方あるでしょうが、「パス」か「ドリブル」か「シュート」かの選択肢を相手に分からせない場面では抜ける確立はグンと上がります。「相対的速さ」・・・なるほどなるほど・・・

小技をよく使う日本なんで「意外性」のプレーにも相手はよく対処してきますよね~竹下の2アタックとか高橋のフェイントとか・・・一方ブラジルなんか面白いように決まったりするし、キューバなんかもプロックが一枚もついてない選手からズドンと打ち込まれる場面もよくあります。スピードバレーの真髄は常に速いのではなく瞬間的に速くなる「ギアチェンジ」にあるのかも知れませんね~

もし「相対的速さ」をマスターするのであれば、選手(司令塔)に技術だけではなく「センス」が必要になってきます。
絶対的技術が取り柄の竹下に「ファンタジスタ」の要素があれば道も見えてくるんでしょうが、何となくセンスを感じるプレーをするのは木村だけのような気がする・・・

いや~コッチがお勧めになっとけば良かったのにと思う次第であります(^-^)

posted by 小太郎 | 2008-05-01 22:53

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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コメントありがとうございます

そー、ギアチェンジ!その言葉もらった!それですね、ピタッと当てはまる言葉を見つけた感じです。そのキーワードはいずれきっと使わせていただくと思います。

確かに意外性のバレーをするだけに、相手もそういう攻撃を詠むという光景を最近よく見ますね。

竹下はファンタジスタというよりはどちらかといえば職人でしょうか。でも理詰めでもないですよね。

速さに慣れるというのもありますけど、対策を立てられるということもありますよね。発展的に考えると去年のイタリアが、高橋に対してブロッカーをつけなかったりブロッカーがあえて飛ばなかったり。そういう戦術に対してもしっかりと策を練らなくてはなりませんけど、むしろそれよりもその時即座に考えてどう動けるかが大事だと思います。瞬間的判断力と瞬間的思考力。

posted by 古都の侍 | 2008-05-02 01:06

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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はじめまして。最終予選、楽しみですね。相対的な速さ。まさに同じ事を中田久美が言っていました。ブラジルや中国というのはそれを体現しているように思います。その点、イタリアなんかはまだもうひとつ甘いかなという感じがします。私としては栗原にもうちょっと速い攻撃が出来るようになってほしいなと思います。フロントでもバックでも。

posted by エデン | 2008-05-02 08:18

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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古都の侍さん お邪魔します。

エデンさんが書かれていますが、中田久美さんの本にスピードに関することが述べられています。

 「天才セッター中田久美の頭脳(タクティクス) 」(新潮社)

これは、二宮清純さんとの対談形式になっており、読みやすくなっています。

特に、第4章の

 「なぜ日本バレーは弱くなったのか?―スピードは確かに必要。
でもそれ以上に大切なものがある」

のところは興味関心を持って読みました。

日本ができることは、相手を如何に錯覚させることができるか、にかかっていると思います。

posted by チュー新井 | 2008-05-02 12:06

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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「1秒の壁」か・・。アテネの予選のときはどのくらいだったのでしょうね。チャンスボールがきたら、できるだけオーバーでセッターに返球してほしい。ここ2年くらい、アンダーでていねいに返しているうちに相手が呼吸を整えてしまっていることが多い。そちらの時間短縮のほうも大事では?でもオーバーパスの精度もイマイチだからなー。イージーなパスミスがあると、解説の中田久美さんが「あれ?」「あら・・」とつぶやく。OQTではどうなりますか・・・。

posted by son | 2008-05-02 21:53

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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どうも、お邪魔させていただきます。

うーん、確かにただ速けりゃいいもんじゃないですよね。
野球に例えると、いくら150キロオーバーのストレートが投げられても、目が慣れれば普通に打たれますし。
この辺は試合中の竹下に依るところが大きいんじゃないですかね。
竹下が他の攻撃との緩急をどれだけ上手く使うか。

あとsonさんがおっしゃる事に激しく賛同します。
チャンスボールはオーバーで処理するべきですよ。
というか、日本のリベロでまともにオーバー出来るの成田ぐらいなんじゃ…
他の選手が試合中にオーバーキャッチしてるとこ見たこと無いですし。
彼女がチャンスボール処理するとその後安心して見てられたんですが…

posted by 伴鉈 | 2008-05-05 00:31

1秒の壁は高くそして崩れず~高橋みゆき・狩野美雪編~

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コメントありがとうございます。そして返信が遅れてすみません。

以前どこかで中田久美さんのその本のことを読み、それでその言葉を借りて相対的な速さをこのブログ内で提唱し続けている次第です。
オーバーパスの制度向上は確かに必要でしょう。と言うか、アンダー・オーバー両方ですがパスなどのつなぎ(連携)はもう少し詰めるべきでしょう。もともとは日本がよかった部分であるはずなのですが、どうも蔑ろにされているように最近は思います。
速い攻撃ももとを糺すと竹下がどれだけ高い打点でトスを捌けるか、ということが大きいわけで・・・竹下は常にジャンプトス、しかもなるべく高いところでと言う風にしないと。特に栗原などのバックアタックはとろ~んとしたものになってしまいますね。

posted by 古都の侍 | 2008-05-06 23:40

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