2009年11月24日

植田JAPAN・課題と可能性、そしてロンドンへの希望・・・崖っぷちの2010年を乗り切って、2011年以降へと羽ばたいてもらいたい!~ワールドグランドチャンピオンズカップ2009男子・vsブラジル~





さて、グラチャンが終わった。

結果は3位。
この出場国の中で3位を確保出来たと言うことは、一定の評価は出来ると思う。ただ、アメリカ、イタリア、フランス、ロシア、セルビア・・・などなど、世界の競合国がまだまだウジャウジャと沢山いるのも事実。
日本と同等のレヴェルの国として、中国やアルゼンチンや、オーストラリアもいるわけであり、そう言う意味では2010年世界バレー(イタリア)で、ベスト8ぐらいに食い込まないと、この大会での3位という結果の本当の意味はなくなってしまうと思う。

ところで、2010年はワールドリーグ(WL)の出場権を失っているわけであり、年間強化計画の中にある大事な12試合を失っていると言うことである。
そこのところをどう考えているのか、JVAのアクションを早く見たいものだ。妥当な判断としては、「日本にWL不参加国を招くor日本が出向く形で兎に角練習試合を多くする」と言うのが普通のものだろう。
そうでもして、海外との試合を多くしないことには、世界バレーへ向けての調整も出来ないわけであり、ひいては“世界バレーベスト8以上”ということも実現が難しくなる。
この、2010年の前半の強化日程は、何とかしないとならない問題であり、JVAの対応に“期待”している(←この“期待”の意味は、つまり裏返しの意味であって・・・)。


さて、今日の試合に話を移そう。

日本0-3ブラジル(12-25 24-26 22-25)

【日本】
石島  清水  松本
富松  宇佐美 福澤  L=田辺

IN
阿部←宇佐美(第1セット途中~第3セット途中)
井上←田辺(第1セット途中~試合終了まで)  ※1
米山←石島(第1セット途中~試合終了まで)
石島←福澤(第2セット途中~試合終了まで)
枩田・・・ワンブロ(2,3S)
古田・・・ピンサ(2,3S)

※1
~リベロの交代について~
この大会においては、“フリーダムリベロ制”が導入されており、ベンチ内に2名までリベロを置くことが出来、尚且つその2名のリベロを無制限に自由に交代出来るという制度である。


【ブラジル】
ヴィソット ルーカス ムーリオ
 ジバ   ロドリゴ  ブルーノ  L=セルジオ

IN
マルロン、テオ←ヴィソット、ブルーノ(2枚替え)
チアゴ・・・ピンサ


公式データ


まぁ、ブラジルはすごいね。
それを認識しつつ、いやいや日本も負けちゃいないところは負けちゃいないんじゃないの・・・などと、好意的に見てみたり。

高さのエライあるヴィソットや、お馴染みのジバに目が行きがちなブラジルなんだけれども、今日は一つリベロのセルジオに焦点を当ててみたい。
まず、基本的なレシーブ能力がきちんとしており崩れないのがポイント。ただ、もっと注目したいのがアタックライン手前で踏み切ってジャンプトスを巧みにし、尚且つ左右、或いはバックにと、きちんとトスを割り振っていることである。しかも、ギリギリまでどこにあげるかわからないような技術を用いながら・・・
日本も、男子では当然のようにリベロがセカンドセッター的役割をこなしており、田辺もオーバーできちんと処理をしており、大変いいのである(女子は、それすら出来ていない)。が、セルジオのプレーを見ると、「これぞ!」と思うのである。日本で男女問わずしてトスアップの上手いリベロと言うと、JT女子の井上琴絵当たりがまずは筆頭に上がるだろうが、それをもってしてもセルジオとは雲泥の差。
ブラジルと言うチームは、諸外国に比べれば絶対的エースがいないわけだから(例えばアメリカだったらスタンリーとかいるからねぇ)、ラリー中の苦しいところで、相手ブロッカーに的を絞られるとどうしても得点しにくいのである。だからこそ、苦しいところで上げるセカンドセッターの技量が高く、相手ブロッカーを振れることが、理想なのだ。リベロながらセルジオが、あのように高い技術を持ってトスワークをすると、絶対的エースのいないブラジルであっても、楽にアタッカーが決めに行けるのだ。
これはつまり、男女ともに日本にも当てはまることなのだ。男子の場合は清水がいるものの、高いブロックに阻まれては、どうしたって打ち抜けない場面が出てきてしまうのだ。特に2段トスで、高~いのが上がって、相手ブロッカーが3枚で包囲してくるとなると、厳しい。そこで、リベロが上げるような場面で、リベロがセルジオのようにしっかりとトスを上げると、日本は今よりも楽なバレーを展開出来るのだ。
だからこそ言いたい。田辺にせよ、井上にせよトスを上げる技術が結構あるのは承知しているが、セルジオレヴェルを目指して欲しい!ああいうプレーが出来れば、日本のアタッカーたちは総じて楽になりえるだろうから・・・そして女子は、一刻も早く“オーバーを使える、尚且つジャンプトスも出来るリベロ”の育成を・・・世界基準に追いつかないと、アタッカーがよりきつくなるだけなのだ!


とまぁ、随分と話が逸れに逸れてしまったが・・・
試合展開を見ていきましょうか。


1S
まぁ、このセットは2プレーに集約されたと思う。その時点で、日本としてはかなり汲々としてしまったわけで。
1つ目のポイントは、0-0の最初のプレーである。ここ、清水がドシャットされたわけだが、相手ブロックを見れば充分に抜くことは可能なところであった。気持ちよく1点目を取れたはず、の場面だったのに、かえってブラジルに気持ちいい1点を与えてしまったのは勿体ない。
2つ目のポイントは、1-2の場面で富松のクイックが完璧にシャットアウトされてしまったこと。これは、相手に完全に読まれたなぁ・・・と言う失点だった。これによって、宇佐美のトスワークが苦しくなったと思うし、ブラジルは余計にノリノリ。サンバの血が、この3点目までの2プレーで沸いてしまったようだ。
逆に日本は、ここまでの場面で、「ガツンとやらててしまったぁ~・・・」的なムードになってしまったのだろうと思う。そこからサーブレシーブの返球率の悪いこと悪いこと。日本の12失点目あたりだったか、ブラジルがミスした直後の田辺を狙ってサーブを打って、崩しにかかってきたあたりなんかは、ブラジルの判断能力の高さのなせる業なんだろうけども。
植田采配は、7-19で阿部を投入したが、宇佐美が苦しんでいたことを踏まえると、この12失点付近あたりで投入してもよかったのではないかと思う。


2S
序盤から競っていた理由としては、WS米山、リベロ井上が入ったことによるサーブレシーブの安定があるだろう。更に、阿部もある程度ユニークにトスワーク出来ていたわけだから、サイドアウトも結構簡単に取れていたのだ。だからこそ競れていたのだろうと思う。
セルジオのトスからのジバのバックアタック、福澤のサーブレシーブミスで8-11と差が広がり、日本はタイムアウト。阿部のツーアタック(いつ見ても鮮烈!)で12-14となるも、ここで更に2ポイントを連取され、12-16と4点差で2TTO。これで、流れを引き戻せないかと思ったのだが、米山がレフトから中にちょいと切り込んで決定、更にワンブロの枩田のブロック(←これはブラジルのアタッカーの打ち方が安易だった気もするけど・・・)で2点差に詰め寄った。ただ、ここでまた日本が呆気なく3連続失点をし、15-20となりTO。そして、石島IN。
今度こそダメだ・・・と思いきや、富松が相手のCクイックをシャットアウト。ラリーから松本クイック決まらずも、相手カウントアタックをワンタッチし、再び松本のクイック決定で20-23。20-24から、再び松本のクイックを選択した阿部だが、これが阻まれてしまう・・・のだが、返ってきたボールに対して、レフト側でトスを上げざるを得なくなった阿部に追走していった松本がもう1度クイックを発動し決定。ブラジルとしては予期していなかった攻撃で、レシーブしようとすることさえ出来ず仕舞い。21-24。
そんな唖然とするブラジルコートに、途中から入ってきて充電充分の石島がここから大暴れする。22点目は、石島サーブで崩して、長いラリーになり、最後はジバが懸命に返したボールがアウトになると言う粘り勝ち。23点目は、相手コート右奥に沈めるノータッチエース。ここでブラジルは慌ててTO。それが開けての石島のサーブ、今度はネットインでエースとなり、24点目で何と同点。
ここまでの3連続得点、素晴らしいものだねぇ。ただ、この後が問題なわけで・・・24-24、ブラジルはクイックでようやく連続失点を切る。日本としては充分に流れをまだ持っていたわけで、何ら慌てるところではなかったのだが、清水がライトからのスパイクをミスってストレートラインをアウトにしてしまう。自滅で失セット。もったいない。


3S。
清水の事実上のサービスエースが出るなど、前のセットの終盤のよさである粘り強さが出ていた日本。サイドアウトの展開で7-8で1TTO。ただ、このTTOが明けたところで清水がブロック3枚に対して真っ向から当ててしまい、ドシャット・・・その直後に米山が、相手ブロッカーの指先を狙って打つという、“さながら元女子代表のあの副キャプテン”のようなテクニックを見せていただけに、清水も米山を見習って、もう少しブロックを交わすテクニックを身につけてもらいたい・・・
8-10と、2点差のところで植田采配は宇佐美を投入。ん~・・・ここでの宇佐美と言うのはちとわからないところで・・・阿部のトスワークが悪いわけではなかったから、代える必要性をあまり感じない場面だった。ここは、テンパリ采配と言われても仕方ないかも。
そんな宇佐美が投入されて以後、日本はなかなかスパイクを決定出来ず11-16と水をあけられてしまう。
この後のいいプレーと言うと、16-20の場面、ラリー中にコート内で打つ人がいないような中、直前にレシーブして転んだばかりの石島が、即座に立ち上がると、バックレフトから大きくバックライトに回り込んで決定すると言う、機動力の塊のようなスーパープレーが出たことぐらいだろうか。
まぁ、5点差あったのを、3点差まで詰めたのはよかったと思うけど。



世の中的には、キューバやブラジルにストレート負けしたために、3位であっても全く評価出来ない、或いは評価が極めて低い・・・と言う人がいるが、私としては、キューバ戦もブラジル戦も見るべきところ、しっかりとしたいいプレーが結構あったので、満足している。
フルセットで相手を下す試合が2試合あったこと、宇佐美と阿部の2セッターを上手に使いこなせていたこと・・・なども評価ポイント。

なので個人的には、結構いい大会だったのではないかと思うのだ。
だからこそ、冒頭に書いたとおり、2010年前半の強化日程を早く決め、2010年の一大イヴェントである世界バレーでのいい結果を期待したいのだ。




posted by 古都の侍 |00:17 | ワールドグランドチャンピオンズカップ2009男子 | コメント(4) | トラックバック(2)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/tm1051004/tb_ping/1894
この記事に対するトラックバック一覧
グラチャン vsブラジル戦 【バレーと野球と・・・】

日本0-3ブラジル    12-25    24-26    22-25   ブラジルのリベロ、セルジオのあまりの技術の高さに感動すら覚えました。 安定したサーブレシーブ、広い守備範囲、リーダーシップ、全てに於いて素晴らしく、まさにリベロの理想像といえるのではないでしょうか。 そんな中でも今日の試合で1番驚かされたのはジバに対してパイプのトスを上げたシーンです。 今日の試合を録画した方は是非確かめてみてもらいたいのですが、あの時セルジオは一瞬わざとレフトとライトに上げるような素振りを見せ、そこからジ

2009-11-24 09:37 | 続きを読む
男子バレー32年ぶり銅メダル! 個人賞も2部門獲得=グラチャン2009 【ホコホコNews】

 バレーボールのワールドグランドチャンピオンズカップ男子大会(2009 FIVB Men’s Grand Champions Cup)は23日、名古屋市・日本ガイシホールで最終日の各試合がおこなわれ、日本(世界...

2009-11-24 16:16 | 続きを読む
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
植田JAPAN・課題と可能性、そしてロンドンへの希望・・・崖っぷちの2010年を乗り切って、2011年以降へと羽ばたいてもらいたい!~ワールドグランドチャンピオンズカップ2009男子・vsブラジル~

コメント投稿者ID :

古都の侍さまこんにちは。
いつもブログ読ませていただいてます。
1年以上前ですが、宇佐美か朝長かというアンケートの時にコメントさせていただきましたka-kiと申します。
今回のグラチャンから自分もスポナビにて主にバレーについてのブログを書いてます。いつかはこのブログのように皆様から愛されるブログになれればと思っております。

さて、ブラジル戦ですが、セルジオのトスは正に圧巻でしたね。自分のブログにも書きましたが、ジャンプトスであれだけ左右に正確で速いトスを上げれるリベロは世界で彼だけでしょう。ビソットのようなオポジットは無理でも、セルジオのようなリベロの育成は不可能ではないはずですので、若い世代から地道に育てていってもらいたいです。

もしよろしければトラックバックのほうよろしくお願いいたします。

posted by ka-ki | 2009-11-24 09:36

ka-kiさま

コメント投稿者ID :

コメントありがとうございます。

TBは、どうぞご自由にバシバシ張っていただいて結構ですよ~。
ヴィソットのような打ち屋の育成は確かに無理でしょう。まず、210cmあるような人が出てくることがないでしょうし・・・
で、絶対的なOPがいないならばどうするかって言うと、書く欄出来る人を作ることに限りますよねぇ。となれば、セカンドセッターを自在にこなせるリベロが必要なわけで・・・
ホントなら、“エース不在の女子”(因みに、日本女子バレーにおいて「エース」という概念を持ってくるべきではないと思います。エースではなく、木村も、栗原もエースではなくあくまでも“軸”なんだと思うんですよね。だから多くの人は、評価が一義的になって、彼女らをエースとして厳しい見方をするんだと思います)にこそ、セカンドセッター的リベロが必要なはずなんです。ところが、今のリベロは・・・(以下略)。

どうぞ、今後ともよろしくお願いします。

posted by 古都の侍 | 2009-11-25 00:17

植田JAPAN・課題と可能性、そしてロンドンへの希望・・・崖っぷちの2010年を乗り切って、2011年以降へと羽ばたいてもらいたい!~ワールドグランドチャンピオンズカップ2009男子・vsブラジル~

コメント投稿者ID :

こんにちは。
ka-ki さんのブログにもコメントさせてもらいましたけど、古都の侍さんが常々おっしゃってたセカンドセッター的リベロの必要性が、ブラジル戦を見て、自分にもようやく理解できました。まったくもっておっしゃる通り。
で、ちょっと考えてみたんですけど、リベロがトスを上げる技術を向上させるより、セッターがレセプション能力を上げる方が育成には早道なんではないかと。
自チームではセッターだけれども全日本ではリベロっていうのは無理ですかね?選手のプライドが許さないかな。

posted by 42195 | 2009-11-25 10:54

植田JAPAN・課題と可能性、そしてロンドンへの希望・・・崖っぷちの2010年を乗り切って、2011年以降へと羽ばたいてもらいたい!~ワールドグランドチャンピオンズカップ2009男子・vsブラジル~

コメント投稿者ID :

いまさらながら、表彰式の画像を見ていて、
選手が掲げる3位の賞金。。。
これ、もちろん、来年のWL不在期間の
武者修行遠征の資本になるんですよね?ね?

がんばった選手たちにボーナス的な何か。。。とも思いますが、
そんなこと言ってられないですからねー。

posted by don | 2009-12-05 22:02

コメントする

「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。

※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
  例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」

※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
  例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」