2008年10月20日

マドリッドマスターズ

昨日、マドリッドマスターズがA・マレーの優勝で幕を閉じた。
決勝は、大方の予想を裏切る形で、A・マレーvsG・シモンの対戦となったわけだけど、この顔合わせになったからといって、全く盛り下がる事はなく、多くの人が楽しめた決勝だったように思う。

この2人、テニスのウェアの配色が実に対照的で、そこにその人となりが現われているように感じる。
マレーはスコットランドの田舎町ダンブレーンの出身で、ウェアもいつもベージュやグレーといった地味系、スターダムにのし上がった今でも、その垢抜けない印象は変わらない。
一方のシモンは、世界的保養地でも有名なフランス・ニースの出身、ウェアは黄色に黒、まさにこれ以上ない、どぎつい配色ながら、これをさらっと着てしまえる伊達男。
テニスインストラクターを親に持つマレーは、テニスに関しても、ある意味、生真面目であったり実直であったりという姿勢で、どちらかといえば消極的。
シモンはといえば、医者の母を持ち、比較的自由奔放に育ったせいか、多くのTOP選手が持つ勝利への執着心みたいなものが表からはあまり感じられず、よく言えば、いつも余裕があるように感じられる。
テニスは粘り強いタイプで、マレー同様ベースラインより下がって打ち合うタイプだが、その内容は強打が多く、消極的な印象はあまりない。 

決勝の内容は、もう他のブロガーの方も詳しく書かれているので省くとして、ここでは個人的な感想だけを書くとしよう。
個人的には、何とかシモンにもう少し粘ってもらって、フルセットに持ち込んでほしかった。
しかしながら、この日のシモンの動きには、前日の対ナダル戦の疲れの影響がありありと出ており、特に序盤の体の切れはいつものシモンとは比べものにならない程、悪かったように思う。
一方、マレーもひざの状態が万全でないとの報道もあり、心配されたが、100%ではないが、マレーらしいパフォーマンスは発揮できていたように思う。
ストローク戦も見ごたえは十分ではあったけど、次はもっとお互い万全の状態での試合も見てみたいという気持ちになった。 

優勝したマレーはUSオープン準優勝をはさんで、マスターズシリーズ2連勝と、今や完全に覚醒した感があるね。
以前から、プレー1つ1つには高い素質を感じさせるものがあったけど、どこか不安定だったり、いい時と悪い時のムラがあったりと今ひとつ伸びきらない所があった。
それが、ウィンブルドン以降、メンタル部分の著しい成長につれて、各ピースがピタッと収まるようになった感じがする。
今大会のプレーも、サーブとリターンが非常に良く、ストロークには粘りがあって、決して無理はしないが、行くべき所ではきっちりと行くというメリハリがある内容だった。
その中でも1番光っていたのは、リターンで、これによって相手サービスゲームであっても、常にプレッシャーをかけたゲーム展開を作り出す事に成功していたと思う。
次にサービスだが、1stサーブは、いまだムラがあり、入る時には手のつけられないビッグサーバー状態になるが、入らない時には全く入らなくなってしまう所が見受けられた。
しかし、対フェデラー戦の2セット目、3セット目の様ように、きっちり入った場合は、非常に高いPointsWonを叩き出すだけに、今後、更に安定するとなると、マレーのテニスはもう1段延びる気がする。 

片や準優勝のシモン。
今回の大会で個人的にMVPを与えるとしたら、このシモンで間違いない。
何といってもSFでのナダルとの一戦は、今年の私の選ぶベスト10マッチに入る好ゲームだった。
去年、今年と、その充実ぶりには目をみはるものがあるけれど、先にも書いたように、何といっても彼は独特の雰囲気をかもし出していて、他のTOPプレーヤーとは少し違う感じがする。
あれ程凄いショットを決めるのに、凄くイージーなボレーやスマッシュをミスしてしまうシモン。
しかし、その後の表情が実に彼らしい。チャレンジの時のリアクションといい、彼のテニスからは、まったく生活臭というものがしない感じがする。
テニスの内容は上でも少し触れたが、基本ベースラインより下がってストロークなのだが、フォア、バック共に実に攻撃的で、相手のミス待ちという印象はあまりない。
特に相手フォアのストレートが甘くなった際に、前に詰めてバックのジャックナイフをライジングで叩き込むシーンには、惚れ惚れするものがある。
そして、忘れてはならないのは、やはりこのシモンもリターンが非常にいい事だ。
現役№1ビッグサーバーのカルロビッチ、威力こそやや劣るものの、それでも200キロ超えで左ききを存分に生かしたナダル、そして調子が良い時は220キロ超えをコーナーに連発するマレーと、いずれをとっても屈指のサーバー達だが、エースをとられつつも、しっかりとリターンゲームを作っていたように思う。
現状のTOP選手はいずれも強力なサーブを持っていて、尚且つ甘いボールに対しては非常に攻めが早い為、このリターン能力が今後、非常に重要なポイントとなっていくように思う。
ともかく、次の大会でも頑張って、是非、最終戦のマスターズカップでもシモンを見たいと思っているのは私だけではないだろう。 


このマドリードの大会は、改めて今のATPツアーの面白さを認識させる大会であったと思う。以前のフェデラー全盛時代、それはそれで面白くはあったが、やはり今のように3強、そしてそれに食い込もうとするプレーヤー達がしのぎを削り、一体、誰が勝つのかわからないという展開は、実に興味深い。
今年は、ジョコビッチがGSを制し、ナダルが新王者となり、フェデラーがUSオープンでその維持をみせた。
しばらくは、この3人がタイトルを独占するかと思われたが、ここへきて完全に覚醒したマレー、古参をごぼう抜きにし、一気にのし上がってきたデルポトロ、この辺りは、今後5強を形勢していきそうな感じだ。
それに加え、古参のダビデンコ、ナルバンディアン、ロディック、フェレール、いつ覚醒してもおかしくないモンフィス、ツォンガ、ガスケと役者が揃っている。
残り少ない今シーズンの大会、年の最後を優秀の美で飾るのは果たして誰なのか。
そして来年のグランドスラムの行方は。
今後も私の寝不足が解消さる事はなさそうだ。

posted by tenniscom |17:40 | テニス | コメント(2) | トラックバック(0)
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マドリッドマスターズ

コメント投稿者ID :

南米でハイライトをみましたが、シモンの表情を変えないでたんたんと素晴らしいショットを返す、若者の姿が新鮮でした。さいきん、貴公子フェデラーのかっての隙のない姿がにくらしくみえてきました。

posted by 俊介 | 2008-10-24 13:24

マドリッドマスターズ

コメント投稿者ID :

>俊介さん
はじめまして。
コメントありがとうございます。

シモンいいですよねぇ
私も第一印象は決してよかったわけではないのですが、彼の試合をみるにつけ、どんどん好きなプレーヤーになった感じです。
フェデラーは一時期の、もう手がつけられない状態から、今はかなり庶民的(?)な選手の印象に変わってきました。
彼のプレーの精度が落ちてきたのか、周りのレベルがアップしてきたのか、私にはその両方に見えていますが、ほんとのとこはどうなんでしょうね

posted by Tennis-navi管理人 | 2008-10-25 16:14

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