2007年08月12日
サッカーに関して、批判・批評する前に、最低限、読んでおきたい書籍。
ある出来事に関して、それぞれが異なる考え方、見解を示すのは、悪いことではない。むしろ、自然なことである。サッカーの試合は、特にその傾向が顕著に現れるだろう。 にもかかわらず、「日本代表」という縛られた関心事に論点がフォーカスされた場合、どの論調も、統一されたように、ある方向性に導かれている。はっきり言ってしまえば、スポーツ新聞をはじめとする一般のニュースソースが作った方向性に、導かれている。逆に言えば、そのコードから外れた、あるいは本当に好きで書いてあるような文章には好感が持てるのだ。 辞任か、続投か?くだらない論議だ。首相にしろ、内閣の大臣であろうと、サッカーの監督であろうと、論点も論調も一緒だ。横綱・朝青竜も、現役引退か、続行か、という論点に集約されるだろう。分析も何もない、ワイドショー文化だ。良くも悪くも、思考が欠けている。今まで、相撲など一度も見たことがない母親が、気が付けば、朝青竜のバッシングをテレビを見ながら始めていた。そんなものだ。そこには、ロジカルなベースが欠けている。 論点をクリアにするための論拠をしっかり提示するためには、それなりに知識・経験が必要であろう。「気分」ひとつで、論調がころころ変わってしまっては、その論議は一過性のものとなり、発展もない。 というわけで、以下の数冊を紹介する。 フランスサッカーのプロフェッショナル・コーチング (単行本(ソフトカバー)) ジェラール ウリエ (著), ジャック クルボアジェ (著), Gerard Houllier (原著), Jacques Crevoisier (原著), 小野 剛 (翻訳), 今井 純子 (翻訳) http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%82%A8/dp/4469264555/ref=sr_1_7/250-6230345-7746650?ie=UTF8&s=books&qid=1186889679&sr=1-7 解説:元リバプール、リヨンなどの監督を務めた、ジェラール・ウリエ氏とフランスの育成を担う、ジャック・クルボアジェ氏の共著。プロのクラブ・チームをいかにマネージメントするか、ということを簡略・体系化した、プロフェッショナル・スポーツマネージメントのA to Z。フランスサッカーに由縁がある監督たち(例えば、ベンゲル監督や、ジャック・サンティニ氏)の言葉を匿名で引用しながら、著者たちが細かい状況のひとつひとつに解説していくスタイルは、現場で実際に働くものの含蓄を含んでいる。原著は、14年前に出版されたが、古いとは感じない。つまり、普遍的だ、ということだ。これを読むと、オシム監督が、他の、経験があり、なおかつ成功している監督たちと比べて、特別なことを言っているわけではないことが分かる。むしろ、スタンダードだということが、わかるだろう。また、コーチングの基本を抑えているので、サッカーに限らず、あらゆる分野で援用可能だと思われる。 '{闘うサッカー理論―勝つための戦術とチームマネージメント (単行本) 湯浅 健二 (著) }' http://www.amazon.co.jp/%E9%97%98%E3%81%86%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E7%90%86%E8%AB%96%E2%80%95%E5%8B%9D%E3%81%A4%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%88%A6%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-%E6%B9%AF%E6%B5%85-%E5%81%A5%E4%BA%8C/dp/4879190306/ref=sr_1_2/250-6230345-7746650?ie=UTF8&s=books&qid=1186890722&sr=1-2 解説:ドイツでトップ・コーチング・ライセンスを取得した湯浅健二氏の、第一作目。湯浅健二氏の論拠の本質が、ここに書かれている。「戦術・タクティクス」とは何か、「考えて走る」とはどういうことか、「良い選手を判断する条件」はどこにあるのか、ということを定義している。12年前の統計では、90分のゲームのうち、一人の選手がボールを扱うのは、どんなに長くても10分程度だという。現在では、より短くなっているだろう、この「残りの80+α分」を有効・合理的に扱える選手が「水を運べる選手」であり、頭の良い選手=良い選手である、という1つの基準を示した好著。 '日本人よ! (単行本) イビチャ・オシム (著), 長束 恭行 (翻訳) ' http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%82%88-%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%B7%E3%83%A0/dp/4105055712/ref=pd_ecc_rvi_1/250-6230345-7746650?ie=UTF8&qid=1186892101&sr=1-1 解説:オシム監督の名において、発行された唯一の著。ここが肝心なのだが、いかに優れたノンフィクションであっても、ダイアローグであっても、他人の名において書かれたものは、そこには著者の「独自性」が望むと望まずにかかわらず入り込んでしまう(翻訳ですら)。純粋に、オシム監督の思考を掴むのなら、この一冊。初めに紹介した本と、合わせて読むと、オシム監督の独自性と、また、他の監督との類似性が把握できる。 堕落論 (新潮文庫) 坂口 安吾 (文庫 - 2000/6) http://www.amazon.co.jp/%E5%A0%95%E8%90%BD%E8%AB%96-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%9D%82%E5%8F%A3-%E5%AE%89%E5%90%BE/dp/4101024022/ref=sr_1_1/250-6230345-7746650?ie=UTF8&s=books&qid=1186892101&sr=1-1 解説:この本に収められている、「ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格」というエッセイは、「なぜ、日本人と外国人の話が噛み合わないのか」という問題を端的に、示唆している。それが、正しいかどうかは別として、この考察は一読に値する。記者会見でのちぐはぐな質疑応答に疑問を感じる人へ。「客観的」という言葉の再考を促してくれる。 以上の4冊である。「情報」は、自らの思考を紡ぐための材料であって、踊らされるためのものではない。 注:自分の意見・論点をクリアにするため、あえて論文調にし、「です・ます」体を極力排除しております。
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posted by tazu |11:52 |
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サッカー書評~フランスサッカーのプロフェッショナル・コーチング 【羽後日誌】
issue105 フランスサッカーのプロフェッショナル・コーチング ジェラール ウリエ &ジャック クルボアジェ著小野 剛 (翻訳), 今井 純子 (翻訳) 大修館書店 ☆☆元リバプール監督にして仏サッカー協会テクニカル・ダイレクター、そして現オリンピック・リヨン監督のジェラー..
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