フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

日本人の身体能力は黒人に劣るのか?①

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東京マラソンで国内最高記録が出ました。ウィルソン・キプサング(ケニア)が自身4度目の2時間3分台となる2時間3分57秒でフィニッシュ。日本人トップは8位に入った井上大仁が2時間8分22秒。世界記録ペースで進む序盤で日本人は脱落、勝負に参加しないままに終わった結果は、4分25秒という世界との差をより残酷に突き付けられました。今の国際大会で日本人選手はどんな惨敗を喫しても「悔しい」とは思えないほどに、文字通り世界の背中は遥か彼方に遠ざかってしまっているのです。

現在、世界で戦える最低ラインと言われるのが2時間5分を切ること。高岡寿成が2時間6分16秒でベルリンを駆け抜けたのが2002年ですから、もう15年も日本記録の時計は止まったままです。2時間5分の最低ラインを切る記録を持つランナーは2時間2分57秒の世界記録を持つデニス・キメット(ケニア)を筆頭に世界に30人余りいますが、全員がケニアとエチオピア出身の黒人選手です。高岡の時代、世界記録はモロッコのハリド・ハヌーシが持っていた2時間5分38秒で世界との差はたった38秒、その背中が約200メートル先にはっきり見えていたのです。

今回の井上の記録を高岡と同じく世界最高記録と比較すると5分25秒差、2キロ近い差をつけられていることになります。20世紀半ばから世界のマラソンシーンで優勝争いを展開してきた日本人選手はどうしてその舞台から引き摺り下ろされてしまったのでしょうか?

日本男子マラソンの全盛期、1970年代末から80年代前半はファンにとって最高に贅沢な時間が流れていました。世界記録はデレク・クレイトン(豪州)が1969年に打ち立てた驚異の2時間8分33秒、この大記録には長らく誰も近づけませんでしたが、1978年の別府大分マラソンで宗茂が2時間9分5秒の世界歴代2位でゴール、モスクワ五輪の優勝候補に名乗りを挙げました。そしてその年の福岡国際マラソン。

世界陸上がなかった当時、この大会が事実上の世界選手権でクレイトンをはじめフランク・ショーター、ビル・ロジャースら正真正銘のトップランナーがハイレベルでしのぎを削ってきました。さすがに世界最高の舞台、日本人は優勝争いに絡みはしても1970年の宇佐美彰朗が月桂冠をかぶって以来、7年間も優勝から遠ざかっていました。この年もロジャースやモントリーオール五輪で金メダルを獲得、その後モスクワ五輪も勝ってアベベ以来のマラソン2連覇を成し遂げるワルデマル・チェルピンスキーら超のつく強豪が世界最強の座を求めて福岡入り。それでも宗茂、猛とスピードのある喜多秀樹が8年ぶりにタイトルを日本に取り戻してくれると、誰もが期待していました。

レースは期待以上の結果になります。日本人が表彰台を独占したのですから!しかもその真ん中に立った優勝選手は宗茂(3位)でも喜多(2位)でもなく、まだ早大3年生という驚愕の日曜日に日本中が酔いしれました。この日から高岡の21世紀初めまで日本マラソンは世界のフロントランナーであり続けました。

では、当時と今では何が違うのか?確かに高速化が進みました。そして、世界のトップの顔ぶれも20世紀は米国のショーターやロジャース、東ドイツのチェルピンスキー、豪州のクレイトン、ロバート・ド・キャステラ、ポルトガルのカルロス・ロペス、英国のスティーブ・ジョーンズ、ブラジルのダ・コスタ、韓国の黄永祚…そして日本でも世界で戦えるランナーが続々生まれます。宗兄弟、瀬古、中山竹通、谷口浩美、児玉泰介、森下広一、藤田敦史、犬伏孝行、高岡寿成…。しかし、20世紀にはあれほど国際色豊かだった世界の舞台は、21世紀になるとわずか2カ国に独占されるのです。

ここで、タイトルの問題提起です。黒人は身体能力に秀でているから、100mやマラソンなどプリミティブな運動能力を競うスポーツでは黄色人種や白人は太刀打ちできないのでしょうか?小出義雄監督が言うように「オギャーって産まれた時から骨格が違うから、まともにやってたらかなわない」のでしょうか。

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日本人の身体能力は黒人に劣るのか?①

高岡選手が日本記録を打ち立てたのはベルリンではなくシカゴです。そもそもベルリンは走っていないはずです。中途半端な知識で嘘を書くのは止めてください。

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出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。

新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。

健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
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