フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

VIVA MEXICO! メキシコ史上最強は誰か!?

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現在、世界で最も大きなボクシング市場はどの国か?

トータルの市場規模ではやはり米国でしょうが、1試合の市場規模、メガファイトの盛り上がり、観客の熱狂という尺度では英国です。米国のビッグファイトの多くがカジノリゾートのショーと抱き合わせで集客するせいもあり、メインイベントが始まるまではカジノで賭けに興じたり、コンサートやマジックショーなどを楽しむ人が多く、前座試合の客席はガラガラなんてことも普通にあるばかりか、メインイベントでも空席が目立つなんてことも珍しくありません。

一方、英国では純粋に贔屓のボクサーを応援する熱狂的なサポーターが多く駆けつけます。お目当てのスター選手が出て来るまでにも、前座の自国選手に声援を送り、そこで面白い試合を見せようものなら、次はその選手の試合も観戦に行くーまさに理想的な雪だるま式発展を続けているのです。

熱狂的なファンが増え、注目度と報酬が跳ね上がることで選手層も分厚くなり、レベルも上昇。軽量級からヘビー級まで人気選手を抱える英国の盛況ぶりは、外国人のライバルを見つけるだけでなく、同国人対決も厭わない姿勢にも支えられています。

現在、外国人ライバルの筆頭が我らがホルヘ・リナレスです。アンソニー・クロラに明白に2連勝、それでもこの階級には無敗の対抗王者テリー・フラナガン、地元ロンドン五輪金メダリストのルーク・キャンベルがウエイティングサークルに控えています。キャンベルは先日のジョシュア対クリチコの前座でオーバーウェイトのダーレイス・ペレスに快勝、リナレスへの挑戦権を獲得しました。リナレス包囲網が出来上がっているのです。この辺りはマニー・パッキャオを巡るメキシコ三銃士の激闘を彷彿とさせますね(この4人はPFPの上位を席巻していましたからレベルはかなり違いますが)。

日本でもアメリカでも満足のいく待遇、報酬を得られなかった(本人の躓きも原因ですが)リナレスは、熱狂する大会場のメインを張り、東京やベガスよりも遥かに高待遇で英国に受け入れられました。流浪のベネズエラ人はついに安住の地を手に入れたのです。

さて、沸騰する英国市場を「バブル」と見る向きも少なくありませんが、今回のテーマ、メキシコのボクシング熱は英国以上です。しかもその歴史も長く、深く、もはや「文化」の領域なのです。 【メキシコのボクサーにとって近接する米国は最も身近な憧れの国です。暗愚なドナルドが本当に壁を作ったとしても、そんなもの彼らは易々と乗り越えてゆくでしょう。】

メキシコで最も人気があるスポーツはサッカー、ボクシングは2番手ですが「フットボーラーは女子供の歓声を浴び、ボクサーは男の尊敬を集める」のです。これは60年代までの米国におけるヘビー級とMLB選手の関係にもよく似ています。

そんなディープな歴史を抱えるメキシコボクシングのオールタイムPFP10傑を数えていきます。もちろんですが、カネロもジュニアもこの濃厚で深遠なランキングにはお呼びではありません(ここからはリング誌2012年12月号を参考にしました)。

▲第10位=ファン・マニュエル・マルケス=このランキング唯一の現役選手です。メキセキューショナー(メキシコ人死刑執行人)、パッキャオからエリック・モラレスに次いで二人目の勝利を、衝撃的なKOで母国にもたらした遅咲きのヒーロー。アントニオ・マルコ・バレラ、モラレスと同時代に若くから才能を爆発させたグレートが存在したため、月見草の印象が強かったマルケスですが、最後の最後に太陽を掴み取りました。殿堂入り、それも一発殿堂間違い無しです。➡︎豆知識:パッキャオとの3戦目までは全て判定。そのジャッジ、延べ9人のスコアを合計すると1024−1017。1試合1ジャッジあたりに換算すると、0.777…、なんと1ポイントの差もない超接戦を繰り広げていたのです。

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パウンド・フォー・パウンド
英国ボクシング沸騰
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出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。

新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。

健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
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