フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

大迫、東京五輪を2時間2分02秒で走るってよ!

このエントリーをはてなブックマークに追加

大迫傑(25=ナイキ・オレゴンプロジェクト)が、ボストン・マラソンで2時間10分28秒の3位に入りました。

ボストンで日本人が表彰台に上がったのは87年に優勝した瀬古利彦以来、丁度30年ぶり。箱根駅伝のスター選手がマラソンで文句無しの〝一発回答〟を出したのは本当に久しぶりです。瀬古と同じ早稲田大学競走部出身のスピードランナー、日本のマラソン界で主流のスピード信者に取っても大迫は希望の星です。

【1978年福岡国際マラソンでその名を日本中に知らしめた瀬古利彦はボストンとの相性も抜群でした。1979年(2位:2時間10分12秒)、1981年(優勝:2時間9分26秒=大会新記録)、1987年(優勝:2時間11分50秒)。大迫もボストンの優勝者にその名を刻んで欲しいものです。】

箱根駅伝への風当たりが強くなっている昨今、ほっと胸をなでおろしている関係者もいるかもしれません。童顔のスピードランナーは大学時代から箱根の先を見越し、日本の実業団を飛び出した〝異端者〟ではありますが。

ボストンマラソンはベルリンやシカゴなど記録を狙える平坦なコースを用意した新興大会ではなく、今回で121回を数える世界屈指の歴史を誇ります。そして、伝統のコースと開催日を頑固に守る大会であるがゆえに、記録を狙うランナーにとって過酷な環境が揃っています。

今回の記録、2時間10分28秒は世界のトップとはお世辞にも言えない時計です。凋落著しい、日本のレベルで見ても平凡なタイムですが、ボストンの特殊事情を考えなければなりません。

①まず、この大会には先導と風除けの役目をしてくれるペースメーカーが存在しません。25キロまでレースが動かないなんて予定調和がありません。ヨーイドンの瞬間からライバルたちとの抜け目のない戦い、駆け引きが始まるのです。

大迫は序盤からしっかり勝負に参加しました。「2時間12分くらいが目標」と語っていたことから、速い展開にならなかったのは幸運だったとも言えますが、初マラソンです。マラソンファンが大迫にリトマス紙を突き付けたように、大迫にとってもボストンは乾坤一擲の大勝負の舞台ではなく、テストマッチであったはずです。

「世界で戦えるのか?」を問うたリトマス紙は、レース後、はっきりと「YES」の色に変わりました。

②そして、ボストンマラソンが開催される「愛国者の日」、4月第三月曜日は、マラソンに適した気候になるとは限りません。今回もコース上は最高25度近くまで気温が上がったと言われています。20度を超えると、マラソンを走るパフォーマンスは、どんなに暑さに強いランナーでも大きく落ち込みます。

この気温ですからペースが上がらないのは仕方がないところでした。高速コースでエチオピアやケニア勢と互角に渡り合えるかというのは最終試験としても、東京五輪を見据えた場合、暑さへの耐性が証明されたことの意味は決して小さくありません。

③さらに、ボストンではマラソン最大の難所である30キロ過ぎからニュートンヒルの4つの坂がランナーを待ち受けているのです。ダメージが蓄積され、消耗しきったランナーが最後に挑む4つ目の坂こそが、あまりにも有名な「心臓破りの丘」です。

この30キロから35キロを15分30秒、35キロから40キロを15分07秒のスプリットを刻んで駆け上がったことは充分評価していいでしょう。同じスピードランナーの瀬古のような切れ味を見せることはできませんでしたが、初マラソンということを考慮すれば本人の言葉を待つまでもなく「マラソン適性はある」と認めて良いスプリットです。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
箱根駅伝とオリンピック
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

5月28日(日)坂道対策セミナー緊急開催!【TeamAOYAMAブログ】

大迫傑は低迷男子マラソン界を救う存在になるか【愛下哲久の「駅伝野郎、らぶりん」】

大迫傑が、ボストンマラソンを走った理由を推察する。【ボクシングをとっても楽しく見るブログ】

平野美宇の「矛」が、丁寧の「盾」を突き破った日【田端到のヤクルト・スワローズ&五輪研究所】

フィギュアスケート 平昌五輪 展望【テレビマンが語る フィギュアスケート雑記 】

アジア選手権・平野美宇快挙!優勝した意義はとてつもなく大きい【スポーツ24/7 1日24時間・週7日間スポーツ!】

もらとりあむ真央ちゃん【ボクシングをとっても楽しく見るブログ】

2016年アメリカのテレビ・インターネット・ラジオにおけるスポーツコンテンツ視聴動向【スポーツマーケティングレポート】

ブロガープロフィール

profile-icontanutan

出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。

新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。

健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
  • 昨日のページビュー:4751
  • 累計のページビュー:1276746

(09月21日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 山中は戦った、そして敗れた。「セコンドを心配させた」の真意は?
  2. ミゲール・コットとは何者か?
  3. いったい誰がロマチェンコに勝てるというのか?
  4. 具志堅用高は本当に強かったのか。13連続防衛は本当に偉大なのか。③
  5. 膠着、ミドル級。あからさまな不当判定、ボクシング界は腐っている。
  6. 日本ボクシング史上最大の番狂わせ!木村がゾウをTKO!
  7. 具志堅用高は本当に強かったのか。13連続防衛は本当に偉大なのか。②
  8. VIVA MEXICO! メキシコ史上最強は誰か!?
  9. ミゲール・アンヘル・コットは日本人が戦った最大の名前なのか?
  10. 日本人の身体能力は黒人に劣るのか?①

月別アーカイブ

2017
09
08
07
06
05
04
03
02

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年09月21日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss