フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

2020年、東京に桜は咲くのか?

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1987年に日本テレビが生中継を開始した当時、ラグビーと野球に大きく水を開けられていた「第三の大学スポーツ」であった箱根駅伝は、いまや大学スポーツNo.1どころか、あらゆるスポーツの中でも最も視聴率を稼ぐ国民的な人気を獲得するまでに至っています。

その箱根路から生まれた最大のスター、柏原竜二選手が今日、引退を発表しました。「昨季度重なる怪我・故障をしてしまい、この発表をしている今でも完治しておらず復帰の目処がたたないことから、競技の第一線を退くことにしました」ということでした。

故障を抱えながら大きな期待を背負い続けた、その胸中は察して余りあります。マラソンロードには忸怩たる思いもあるでしょうが、柏原選手が箱根の五区山登りを快走した姿を陸上ファンが忘れることはないでしょう。

神と呼ばれたランナーが五輪や世界陸上を走ることなくシューズを脱いでしまったことで、箱根駅伝への風当たりが一層強くなるかもしれません。

曰く、駅伝とマラソンは別物だから、駅伝はマラソンにとって有害。 曰く、マラソンにつながるスピードを磨くべき若い時期にロードで長距離を走るのはマイナス。

【日テレで箱根駅伝の生中継が始まった頃までは、関東の大学生にとって箱根駅伝区間賞と、関東インカレの個人種目優勝は同列に近い価値がありました。今や箱根駅伝は「関東学生陸上競技連盟主催の地域駅伝」の枠では考えられない存在に膨れ上がってしまいました】

日本の男子長距離・マラソンが長期低迷のトンネルから抜け出せないでいることと、箱根駅伝の隆盛が同時進行していることは、偶然なんかじゃありません。

スポーツの本来あるべき姿は「よりレベルの高い舞台が、より注目・評価される」ということです。

野球の世界は高校野球が大学や社会人野球を凌駕する人気を誇っていますが、プロ野球というトップストーンがあるべきピラミッド構造をしっかりと維持してくれています。甲子園のスターよりも社会人No. 1選手の方が実力は上で、より厚遇でプロに迎えられることは、全ての野球ファンが納得、理解しています。

そして日本のプロ野球のさらに上には、メジャーリーグがそびえていることも誰もが知っており、この頂に登った選手が最も評価、尊敬さています。

一方で、長距離・マラソンの世界ではトップストーンである実業団の人気は、箱根駅伝とは比べるべくもなく、悲惨な状況です。

箱根の優勝校は誰でも知っているのに、遥かにレベルの高い実業団駅伝の優勝チームは誰も答えられないどころか、どこで行われているのかすら知られていません。

日本の長距離は、絶対にあってはいけないネジレの深みにハマっています。そして、そのピラミッドは醜く歪んで完全に崩落してしまった異常な状態がもう随分と長い間続いているのです。世界にはダイヤモンドリーグというメジャーが存在しますが、崩壊した日本の構造とは断絶され、そこには誰も目を向けません。

箱根駅伝だけが飛び抜けて注目され、よりレベルが高い実業団にファンは一顧だにしていないのです。

ランナーがより速く走ろうとのたうち回って練習するのは、より高い場所に行くためです。その場所は、当然、今立つ場所よりも華やかな場所でなければなりません。

大学生よりも、より高い舞台に選ばれて上がったのに、より過酷な練習に身を投じているのに、そこに当てられるスポットライトの照度が箱根と比べようもないほど暗かったとしたら?

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箱根駅伝とオリンピック
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