フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

井上尚弥は日本で報道されている通りのモンスターなのか?

このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらに投稿出来るのが1月15日まで、ということですので、今回が最後になるかもしれません。1年足らずの短い間でしたが、お読みいただいて誠にありがとうございました。

最後のテーマには、日本期待の一番星、井上尚弥について語りたいと思います。

海外メディアでも高い評価を受け、PFPランキングではリング誌で7位、ESPNでも9位と、PFP評価が定着したこの約30年スパンで見ると、日本人の評価としてはいずれも最高位です。

【ESPNの11人の専門家によるPFP投票。1位はゲンナディ・ゴロフキンを抜いたワシル・ロマチェンコ。井上を最も高く評価しているのはナイジェル・コリンズ(前リング誌編集長)の5位。井上が評価を上げるため、その実力を疑問視する批判を黙らせるために必要な「将来戦う可能性がある評価の高い強豪」はグリーンの選手たちですが、バンタム級のボクサーは一人も見当たりません。】

日本のメディアもこぞって海外メディアや世界のボクシングファンが、井上をいかに高く評価しているかを記事やネットから引用しています。あたかも、井上への批判が少数意見、あるいは皆無であるかのように。

井上が対戦を熱望したローマン・ゴンザレスはジュニアバンタムで明らかに階級の壁に苦しみ、撃ち合い上等、バックペダルを踏まないという相性最悪のシーサケット・ソールンビサイの強打に撃沈してしまいました。

そのWBC王者シーサケットは2月のスーパーフライ2興行で、メキシコのスター選手ファン・フランシスコ・エストラーダとの防衛戦が決定。IBF王者のジェルウィン・アンカハスは、井上戦を表明しましたが、具体的な交渉は始まりませんでした。WBA王者のカリド・ヤファイはこの階級で最も集客力を持つ英国のスター選手、井上が対戦するなら相手の条件を丸呑みさせられたBサイドで、英国のリングに上がるしかありません。

ヨアン・ボワイヨ戦の前日計量の姿を見ても、115ポンドの体重を作るのは非常に厳しくなっていることは素人目にも明らかで、ジュニアバンタムで評価の高い強豪とのマッチメイクのめどが立たない現状ではバンタム級転向は自然の成り行きです。

ジュニアバンタム戦線から離脱する井上を日本では「対立王者が井上から逃げたから」というニュアンスで報道されていますが、これは大間違いです。むしろ、世界では逆の見方までされています。

シーサケットは「ジュニアバンタムの統一」を明言、カルロス・クアドラス、ロマゴンとの2連戦、そしてエストラーダ、文句無しの強豪と拳を交え続けている、この階級の頂点に踊り出たタイ人の目からしたら「井上が逃げた」としか映らないでしょう。

アンカハスが井上戦を希望したのはカネの匂いを嗅ぎつけたからです。ボワイヨらと同じ桁の報酬では絶対首を縦に振りませんから、足元を見てくるアンカハス陣営とは苛烈なタフネゴシエイションになっていたことは間違いありません。そのアンカハスに、カネの匂いを嗅ぎつけたのがトップランクです。英国でのヤファイとのビッグマッチを見据えて3試合契約を提示、ボブ・アラムが目の前に差し出してくれたご馳走を断って、井上と埒のあかない面倒な交渉に臨む理由などあるはずがありません。

4ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
タグ:

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

井上尚弥は日本で報道されている通りのモンスターなのか?

今回の記事も大変興味深く読ませていただきました。「転居先」のブログも拝読いたします。

こんな記事も読みたい

井岡一翔、惜しまれずにリングを去る【スポーツ えっせい】

相撲協会は嘘、暴力にまみれた組織か?貴乃花親方憎し池坊保子の悪意満ちた偏見 一番礼を欠いていたのは日馬富士、白鵬、照ノ富士、石浦、隠蔽しようとした八角理事長【極上の“T-1二見激情”見参】

観戦記1381 WBCライトフライ級王座戦 拳四朗vsヒルベルト・ペドロサ【人生マイペンライ】

ブロガープロフィール

profile-icontanutan

出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。

新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。

健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
  • 昨日のページビュー:908
  • 累計のページビュー:1611295

(01月15日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 山中は戦った、そして敗れた。「セコンドを心配させた」の真意は?
  2. ミゲール・コットとは何者か?
  3. いったい誰がロマチェンコに勝てるというのか?
  4. 具志堅用高は本当に強かったのか。13連続防衛は本当に偉大なのか。②
  5. 具志堅用高は本当に強かったのか。13連続防衛は本当に偉大なのか。③
  6. 膠着、ミドル級。あからさまな不当判定、ボクシング界は腐っている。
  7. 日本ボクシング史上最大の番狂わせ!木村がゾウをTKO!
  8. VIVA MEXICO! メキシコ史上最強は誰か!?
  9. ミゲール・アンヘル・コットは日本人が戦った最大の名前なのか?
  10. 日本人の身体能力は黒人に劣るのか?①

月別アーカイブ

2018
01
2017
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2018年01月15日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss