フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

この階級に日本人が覇権を打ち立てる可能性があるなんて、なんたる幸せ!(1)〝1995.12.19 水道橋の奇跡〟①

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ージョン・デビッド・ジャクソン、レジー・ジョンソン、あなたは薄氷を踏みながら世界王座を守り続けていますね?

「おい、何が言いたいんだ?」

ーミドル級の長い歴史上、最も幸運(弱い)な王者とも言われています。

「ジャクソン?ジョンソン?その試合で勝ったのは誰だ?」

ーあなたです。

「それ以上に大切なことがあるのか?」

ーしかし、あなたは以前にも増してトレーニングを休んだり、相変わらず体重管理も出来ていません。ミドル級のコンテンダーは全員、とにかくスローで、パンチもスタミナのないあなたと戦いたいと思ってます。

「だから?だから何だと言うんだ?まさか、私が日本人に負けるとでも?私は、以前より強くなってるんだ、ロイ・ジョーンズとの再戦に勝って、大きな業績を残して、(母国アルゼンチンの英雄)カルロス・モンソンのように王者のまま引退するんだ」。

ーもちろん、さすがに今回はあなたが勝つでしょう。しかし、IBFのバーナード・ホプキンス、WBCのクインシー・テーラーとは、何段階もレベルが落ちると見られています。

「ジャクソンやらジョンソンの試合前も、私が惨敗すると信じていたあなた方には、これ以上何も言うことはない。日本人に会うことがあれば、一言だけ伝えてくれ。『ミドル級は特別な階級だ。分不相応な夢を見てはいけない』、そう伝えてくれ」。

【リング誌で「分不相応な夢を見てはいけない」と大見得を切ったホルヘ・カストロは、日本のボクシングマガジンでも「竹原はおかしな夢を見てはいけない」と完全に舐めきっていました。】

今年5月20日の初戦に続いて、専門家予想・オッズともに有利と打ち出されてアッサン・エンダムとのダイレクトリマッチに挑む村田諒太と比較すると、日本人初の世界ミドル級王者の偉業を成し遂げた竹原慎二を取り巻く環境は、全く異質のものでした。

竹原の試合を深夜放送していたTBSは、絶望的な試合予想から放送そのものから撤退、テレビ東京が深夜録画放送するにとどまりました。

フジテレビが完全サポート、さらにNHKやテレビ朝日までもがドキュメンタリーの製作を続け、電通が大々的にマーケティングを請け負う、村田諒太とは、まさに雲泥の差です。

1980年代からボクシング凋落傾向が続いているとはいえ、まだ坂道を転げ落ちている途中だった竹原の1995年と、完全に底なし沼に沈んでいる2017年の村田、という市場背景まで考えると、両者の格差は悲劇を通り越して、喜劇のレベルです。

五輪金メダリストの超エリートの村田は、世界では「もし米国人やメキシコ人なら日本以上のスーパースター」と見られる才能です。一方の竹原が、典型的な叩き上げ、エリートと呼ばれる瞬間など1秒もない人生を送ってきました。

しかし。

ただ、一つだけ、現時点で言えることがあるとしたら、プロとしてのキャリアは世界王者の竹原が、ずっと上だと言うことです。



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出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。

新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。

健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
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