フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

マラソン日本は復活するか?〜血と生いたちと環境〜②

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血と生い立ちと環境。

この3つが人柄を決める3つの要素だと、明石家さんまが大昔、よく話してました。コントやギャグの舞台ではなく、受験勉強の合間に聞いていた深夜ラジオでした。

アスリートの実力を決めるのもこの3つの要素と言えます。「血」は遺伝子、「生い立ち」はどういう育ち方をしたか、「環境」は練習内容。ケニアとエチオピアのトップランナーはほぼ例外なく弱肉強食のプロフェッショナルの「環境」で過酷な練習を繰り返し、母国の高地で生まれ幼い時から遠い遠い学校や井戸に走って往復する「生い立ち」を持ち、やはり同じような生活をしてきた両親からその「血」を受け継いでいます。

対して、日本マラソンの最高峰である実業団選手は、引退後もポストを約束されたサラリーマンとしての「環境」で、車社会とゲームや携帯電話に浸かりきった「生い立ち」、やはり同じような生活を送ってきた両親の「血」を受け継いでいます。

ケニアやエチオピアの高地民族でも標高の低い都心部に移住した人たち、その子供達からは優れたランナーが生まれていないことからも「血」は大きな問題ではなく、問題は「生い立ち」と「環境」です。そして、生い立ちですが、これも残念ながら変えようがありません。日本の子供達が車社会の中でゲームや携帯電話が身近にある部屋に引きこもった生活を送る傾向は、ますます強くなるでしょう。

つまり、2大国の超人たちを打ち負かすには「環境」(練習)しか残されていません。

公務員ランナー川内優輝や、青学監督の原晋が実業団ランナーに辛辣な言葉を浴びせていますが、これはもう仕方のないことです。実業団、特に男子は終身雇用で大企業に入ったサラリーマンなんです。90年代中頃にある取引先の企業との雑談の中で「女子マラソンブームに乗って我社でも女子陸上部を創設しようと思ったけど、予算オーバーで男子陸上部に鞍替えした」という話を聞きました。

なんとなく男子の方がお金がかかると思っていた私には意外なことでしたが、実は、男子と女子では女子の方がコストがかかるんです。前述のように男子は終身雇用が前提、つまり新入社員(の給料)からスタートします。しかし、女子は走れなくなったら指導者として残るほんの一部の人は別にして退社するのが普通です。そのため先払いの退職金として契約金が支払われることが多く、管理も一人部屋の寮などデリケートさが要求され、一人当たりに掛かる費用は男子よりも間違いなく多くなります。

実業団男子ランナーには大企業に所属するサラリーマンで「強くなってダイアモンドリーグやワールドマラソンメジャーズで賞金荒稼ぎして会社辞めたる!」なんて猛者はただの一人もいません。引退後の会社員としての生活も考えながら、会社が決めたスケジュールの国内大会を中心に粛々と走るサラリーマンそのものなんです。

終身雇用でない女子は短い競技人生で一花咲かせるぞ!という意識が強く、多くの独立心溢れる魅力的なランナーが生まれました。しかし、今、男子と同じく低迷、後退してしまっています。しかも男子とは事情が違い、エチオピアとケニアの攻勢が極めて脆弱で世界レベルも停滞といって良い状況にもかかわらず、です。なぜ、女子マラソンまで低迷してるかは、これはまた別の話としてどこかで書きます。

話があちこちに飛んで申しわけありません。本筋に戻ります。 前回、箱根駅伝の予選会と、関東の2部校のレベルが驚異的な成長を見せていることに触れました。この30年で、20キロレースで競う予選会突破のボーダーラインのタイムが約5分、その数字に綺麗に呼応して関東インカレ2部1万メートルの標準記録が約2分30秒も跳ね上がっているのです。

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