フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

ネリが陽性反応〜絶対に許してはいけない〜

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ショッキングなニュースが飛び込んできました。

山中慎介をTKOして、新王者に就いたルイス・ネリが、VADA(ボランティア・アンチ・ドーピング協会)が行ったドーピング検査で陽性反応を示したというのです。

検出された違反薬物は、家畜の肉質を良くするジルバテコルで、脂肪を落とし筋肉を付ける効果がある薬物、筋肉増強剤の一つです。ネリ陣営は「故意ではない。食事で摂った牛肉の中に成分が含まれていたようだ」と主張していますが、ドーピングは故意かどうかの問題ではありません。

「故意じゃなかった」「違反物質だとは知らなかった」なんて言い訳は、ドーピング問題に関しては一切通じません。タイトル剥奪はもちろん、1年以上のライセンス停止など厳格なペナルティを速やかに課さなければなりません。

【「YOU USE YOU LOSE」(ドーピングをした時点で、あなたは敗者でしかない)。ドーピング検査をVADAに委託してWBCは「クリーン・ボクシング・プログラム」を展開しています。今回の事件は、このプログラムが正常に作動するのかどうかのリトマス紙です。】

今月、ロンドンで開催された世界陸上100mで優勝したジャスティン・ガトリンは、かつてドーピング検査で陽性反応を示したことで4年間(当初は8年間!)の出場停止処分を受け、当時持っていた9秒77の世界タイ記録も抹消されました。ドーピングは、ファンとライバルを欺く、スポーツの世界で最も侮蔑すべき犯罪行為ですから当然の処分です。

ところが、ボクシングの世界は、この問題でも狂っています。ビッグファイトではシェーン・モズリーが、オスカー・デラホーヤとのリマッチで、ステロイドを使用してリングに上がったことを認めましたが、この試合はモズリー勝利のまま抹消されていません。

粟生隆寛に圧勝したレイムンド・ベルトランは、体重超過だけでなく、血液検査でスタノロゾールが検出。報酬の30%の罰金、試合は無効となりましたが、出場停止は、わずか9ヶ月、ありえない大甘処分でした。

今年になって、2008年北京五輪の陸上男子400mリレーで見事に銅メダルを獲得した日本チームは、ジャマイカチームのドーピングにより銀メダルに繰上げられました。しかし、アンカーを走った朝原宣治は「あのときの感動はそのままの形(3位銅メダル)で残っている。今更、繰上げで評価されても違和感しかない。悲しい」とコメントしています。

タイトルを失ったデラホーヤ、粟生も、そして山中も同じ気持ちでしょう。

今更、どんな処罰がくだされても、リングの上で敗れた事実は変わりません。

どうして、正々堂々戦ってくれなかったのか…。そこを踏み外してしまうなら、もはやそれはスポーツとは呼べません。

一方で、スポーツに限らず、欧米には「セカンドチャンスは与えるべき」という考え方が、根強くあります。多くのメジャースポーツを巻き込んだ、世界最大のドーピング事件「バルコ・スキャンダル」の張本人、ビクター・コンテは司法取引がなされたという背景があったにせよ、あろうことかわずか懲役4ヶ月で放免されました。そして、ノニト・ドネアら有名選手の栄養アドバイザーを務めています。

日本なら事実上の永久追放、有名選手はそんな栄養アドバイザーには近寄りもしないでしょう。

もちろん、日本でもセカンドチャンスは与えなければなりません。例えば、永久追放の感のある清原和博にも、しかるべき禊が済めば、それは当然与えられるべきです。

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ネリが陽性反応〜絶対に許してはいけない〜

お読みいただき、ありがとうございます。「故意ではないから無罪放免」とするにはドーピングはあまりにも、深く広くスポーツの世界に根を下ろしてしまっています。

プロ野球の井端弘和が、外科治療で処方された目薬から禁止物質を採ってしまった件、マリア・シャラポアがロシアではサプリメントとして認識されていたメドニウムが禁止リストに加わったことを知らずに服用してしまった件、いずれも許されません。当然です。「知らなかった」では済まないところまで、この問題はとっくの昔に踏み入れてしまったのです。

選手会の力が強いMLBよりも、貧しいがゆえに食事の厳重管理が難しいマイナーリーグの方が厳格な検査が実施されていたこともあるなど、矛盾も多いのですが、ボクシングの場合はまた複雑で、問題がさらに深刻なんです。

世界的な統括団体が無いボクシングでは、WADAによる一斉管理が難しく、ようやく立ち上がったVADAによる管理しか出来ていません。ボクサーは対戦相手などからの検査要求を了承しない限り、ボルトらのように、365日24時間のランダムテストは受ける必要が無いのです。世界中で活躍するボルトが、その街々のレストランに招かれる食事を断り、外食は大手ファストフードなどトレーサビリティ可能な店でしか摂らなかったと言います。

ネリの件は、帝拳がVADAを通じて要求した試合前の検査で発覚しました。ネリが断れなかったのは、山中戦の契約条件の中に、検査を盛り込んでいたのでしょう。本来ならAサンプルから禁止物質が検出されたら、Bサンプルも調べるのですが、その結果が出るのも遅すぎます。ボランタリーである、VADAの限界です。

ネリが陽性反応〜絶対に許してはいけない〜

ドーピングは許されない行為です。
ネリの件に関してはまだ白黒ついていないので……なんとも言えません。

ドーピングで大スキャンダルを起こした自転車競技では、各種検査は厳格すぎるほど厳格になり、
選手は病気になっても薬も飲めないとか。
ほんの微量の成分でも陽性反応を示したりするので、食事にも注意が必要なようです。

今回の件は食事に原因があって、意図的ではないというのがネリ側の主張のようで。
各所見ますと、「アスリートとしての自覚が足りない」「メキシコ産牛肉はそんなに酷いのか」云々。
日本でも王者になる前はアルバイトをしていたりしますし、トップアスリートとはいえ、
そこまで食事に配慮できる贅沢な環境なのか分かりません。
普通の料理店に入って、いつものように食事したら……
それで禁止薬物に引っかかる可能性があるとなると競技者は生活するのも大変ですね。
特に収入の少ない選手は。

ドーピングの問題とは別に、ネリの件は基準値を超える陽性反応が現れること、
また再検査でも同じような結果が出てからの話かなあ、と。
もちろん、それで「クロ」なら厳罰にするべきだと思いますが。

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