フシ穴の眼 〜スポーツ編〜

世界ウエルター級王座統一戦

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The Ring 〜THE BEST OF 2016 3月4日、ニューヨーク、ブルックリンのバークレイズセンターで行われる世界ウエルター級統一戦。キース・サーマンの持つWBAとダニー・ガルシアのWBCのタイトルがかけられます。 この試合が注目される理由は幾つかありますが、①全階級を通じて最もタレントが揃うウエルター級の最強決定戦、②無敗の快進撃を続けるまさに今が旬のファイターの激突、という二点に集約されます。

ウエルター級最強決定戦という視点からは、両者のファイトマネー合計が約360億円という2015年のフロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオの一戦と比べると、今回のサーマンとガルシアはそれぞれ約2億円とそれなりに莫大な報酬ですが、比較してしまうと見劣りするとかいうレベルではありません。しかし、メイウェザー対パッキャオが世界中のボクシングファンから熱望されながら8年近くも対戦が実現せず、その間に二人とも全盛期は過ぎ、特にパッキャオはティモシー・ブラッドリー、ファン・マヌエル・マルケスに連敗するなど、焦らしに焦らされた挙句に実現した峠を越えた超ビッグネーム対決という看板だけが過剰に豪華なだけで旬のスーパースターが激突するという最も興奮する構図ではありえませんでした。試合内容も、期待を裏切ったという点では間違いなくボクシング史上最悪の部類に入る凡戦に終わりました。

プロボクシングは単純に技術の高さを競うだけの舞台ではありません。

誤解を招く表現になりますが、野球やサッカーが売る物は高度な技術です。洗練されたプレーには惜しみない拍手が送られ、技術の追求の先に報酬も付いてきます。しかし、プロボクシングは違います。一定レベルの高度な技術は最低条件ですが、それが報酬に正比例するとは限りません。ファイターの売る物は技術と、勇気です。どんなに優れた技術をリング上で披露しても、それに勇気が伴わない場合は容赦ないブーイングが浴びせられます。メイウェザー対パッキャオは技術的にはとんでもなく高度な試合でしたが、二人の戦い方には勇気のカケラも感じられませんでした。既に十分過ぎる名声を得て、ニューヨーク・ヤンキースの全選手の年俸合計をも遥かに上回る報酬が約束されていた二人にとって、危険と同義語である勇気の橋を渡る理由などどこにもないのですから、世紀の凡戦は当然の帰結でした。

さて、サーマンとガルシア。好戦的なスタイルで、何よりも確固たる名声はまだ得ていない二人です。そう、この二人には勇気の橋を渡るらなければいけない理由があるのです。

さて、戦前の予想ですが世界最大のブックメーカー、ウィリアム・ヒルは約3−1でサーマン有利のオッズ、多くの専門家やファンもサーマンの勝利を予想しています。その主な根拠は「下の階級から上がってきたガルシアよりも体格で上回るナチュラルなウエルター級のサーマンが勝つ」というものです。

しかし、米国のリング誌の全階級を通じたランキング(パウンド・フォー・パウンド)ではガルシア16位、サーマン17位と、拮抗はしてるもののガルシアの評価の方が高いんです。もちろん、パウンド・フォー・パウンドは現実の直接対決ではなく、今回の勝敗予想の根拠である「体格差」を無視した評価なのですが。

それでも、身長だけなら174センチのガルシアがサーマンを3センチ上回ってるなど、見た目の体格差は、多くのファンが思っているよりも小さいかもしれません。また、ガルシアはアンダードッグに貶められたオッズをこれまでに何度もひっくり返して来ました。。。。詳細な直前予想は、また次回に。

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出張が多い仕事柄、移動の合間に書き込ませていただいています。新幹線の車窓に流れる日本の郷愁あふれる街の風景や、夜の航空機から暗い雲間の隙間に現れるきっと訪れることのない知らない街の光に、えもしれぬ感傷に耽りながら大好きなスポーツの試合を独断と偏見で書き綴るのは、最高にリラックス出来る贅沢な時間です。健康診断のたびに「運動せねば」「酒は控えねば」と自戒しつつもまた翌年の診断を迎える怠惰な中年ですが、アスリートの美しい躍動に、歓喜と感謝と精一杯の拍手を送っていきたいと思います。
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