2012年05月28日

【インディ500】 佐藤琢磨の優勝が見えた日

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 ↑ファイナルラップ、抜けば優勝という場面でスピンした佐藤琢磨(青のマシン)

 世界3大レースの一つという呼び方をインディ500にする事があるが、私自身は最近インディよりNASCARをアメリカン・モータースポーツでは重視していた事もあり、そんなに期待感を持って見てはいなかった。本当に残念なことだが、録画もしていない。ジロ・デ・イタリアのライダー・ヘシュタルの総合優勝を見届けた後、一応チャンネルをインディ500の放送しているGAORAに併せたが、序盤をみたら録画していたF1に切り替えるか、あるいは寝てしまおうと考えていた。


 レースが始まった。ジャン・アレジがロータス・エンジンでスポット参戦していたのだが、あまりにマシンが遅すぎて他の車に危険だという理由で彼のレースはたった数週で強制終了させられてしまった。ルーベンス・バリチェロはルーキーだけに過度な期待は出来ないし、結果あまり国際映像に映るような事も無かった。佐藤琢磨のペースがかなりいい事は放送から良くわかっていたが、インディはセーフティカーがよく入るレース形態となっており(実際にこの日も7回セーフティカーが入った)、道中のポジションという物は流動的な要素を多く含んでいる。琢磨が序盤にファーステストを出した時も、解説は割と冷静に予選タイムとの乖離を指摘していた。中盤琢磨は確かに早かったが、他車と比べて圧倒的なリードを手にしているとはいえなかった。


 レース中盤に琢磨は他車との燃料を入れるタイミングを数週遅らせてその間を速く走り、遅れてピットストップを行った時点でトップのまま周回に戻れる事が出来た時点で、私は同時進行させていた作業を中断してテレビに噛り付き始めた。これがF1ならもう勝利は目の前なのだが、波乱を好むアメリカン・モータースポーツではせいぜい一番有利な位置に付けている位の認識になるだろう。しかしこのままレースがノントラブルで終われば琢磨が優勝なのだ。別に優勝賞金2億円に吊られた訳ではないが、えらい事になったもんだと思ったもんである。しかしその後、レースの様々なアクシデント・展開・ミスも含めて、ラスト6週の段階で琢磨の順位は7位まで後退する。

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  ↑インディ500でトップを争う佐藤琢磨(青のマシン)

 そこから琢磨の驚異的な追い上げが始まった。まず4位にジャンプアップし、間髪入れず3位にまで上がる。恐らく一瞬の速さでは優位に立つシボレーエンジン組を追い抜いていく琢磨の走りに感激し、表彰台を確保したかに見えた走りに私は十分満足していたが、琢磨の走りはその上を行った。一位と二位の赤いマシンはチップガナッシ・レーシングのダリオ・フランキッティスコット・ディクソンの両ベテラン。どちらもインディ500の優勝経験のある二人とチームがとった作戦は、一位と二位を交代しながら走る事で後車が前車を抜く際に生じるスリップストリームを常に生じさせる事で3位以下に隙を与えないというものだった。琢磨は7位に落ちる前は数十週の間3位で走行していたが、この1位2位を抜くことが出来ないでいるうちに後続に隙を付かれて後退していったという経緯もあり、ラストたった5週で上位を脅かす事は難しいとは誰もが考えたことだろう。

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 ↑ファイナルラップ、ターン2でインを突く佐藤琢磨(青のマシン)

 しかし琢磨はチップガナッシの一位・2位交代の間隙を突きスコット・ディクソンを抜く事に成功する。残り2週、もう交代しながら互いを引っ張り合う作戦はチップガナッシは使えない。ファイナルラップのターン2のコーナーで琢磨はダリオ・フランキッティのインに入るがダリオも引かない。結果内側の琢磨のポジションが無くなりスピン、そのままダリオ・フランキッティが優勝し琢磨は17着に敗れた。見にくい映像で申し訳ないが、琢磨はコーナーの前からサイドバイサイドで侵入しており、彼の言う「ダリオは僕のラインをもう少し開けるべきだ」という主張にも一理無いことも無いが、もしダリオがラインを開けていたら琢磨の優勝となっただけである。写真のとおり、ほんの少しの差だが琢磨はダリオを抜けていない以上、この状況下で譲るべきは琢磨の方であり、アメリカの放送局も「ターン3(=次のコーナー)で仕掛けるべきだったのでは」と言っており、それは正しい。しかしF1からではあるが琢磨を見てきた者としては、琢磨にそれが出来るとは思えないという思いと、アクシデントを好むアメリカン・レーシングシーンでは琢磨の即仕掛けるという考え方も一定の支持を受けるだろうなという事も思った。日本ではどうしてもF1がモータースポーツの最高峰という捕らえ方をしてしまうが、インディーで一月前のサンパウロでは3位表彰台を勝ち取り、そしてインディ500では観客総立ちのバトルを繰り広げた琢磨の得たものは非常に大きかったと思う。

 え、競馬?ダービー?面白かったですよ、財布は軽くなりましたがね…


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【インディ500】 佐藤琢磨の優勝が見えた日

コメント投稿者ID : OOH00040170

あなとの意見に自分も同感です。
琢磨は「しっかりと内側に入っていたのにコースをあけてくれずにバランスを崩した。とにかく、とにかく残念」とコメントしたようですがダリオだって勝ちたいから勝負したんだと思います。
ダリオはフェアだったと思います。
あれでもし琢磨がダリオと絡んでいたら大変でしたね。

【インディ500】 佐藤琢磨の優勝が見えた日

コメント投稿者ID : OOH00040205

周では!?

【インディ500】 佐藤琢磨の優勝が見えた日

コメント投稿者ID : tanakatanaka

ちかんしゃとーますさん、当ブログにコメントありがとうございます。
ほんとにダリオを巻き込んだクラッシュになってたらとか、恐ろしいですよね…でも例えそうなっても平然と自己主張しかねない琢磨ってある意味凄いです。関係ありませんが、ダン・ウェルドンが死んだ際にダリオがコメントしていたのを見ていい奴だなと思った記憶があります。奥さん綺麗でしたが女優さんなんですね、知りませんでした。






週?さん、当ブログにコメントありがとうございます。
そうなんです。このブログ主はめんどくさがり屋であまり誤字・脱字チェックをしていません…余りに多くて直すのも億劫なので放置しています…そんな適度にだらしないブログですが、今後も見てやって下さい。

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