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データで見る ウィンブルドン2017決勝 フェデラーvsチリッチ

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 あの決勝から一週間が経とうとしています。  2017年ウィンブルドンの決勝はフェデラーvsチリッチとなり、スコアはフェデラーから見て6-3/6-1/6-4のストレート勝ちでした。  既に様々な方が投稿されていますが、今大会フェデラーは全試合ストレート勝ちで優勝を果たしました。またしてもグランドスラム男子シングルス最多優勝記録を更新し19としました。また、これによりウィンブルドン優勝回数は単独最多(男子)の8回という偉業も達成しました。怪我から完全復活を成し遂げたフェデラーが圧巻の強さを見せつけての「完全優勝」でした。今季は、GP(ゲームパワー)を見てもフェデラー、ナダルが他を圧倒する強さを見せています。  この試合、チリッチは左足のマメによる影響があってベストな状態ではありませんでした。しかし、影響は肉体的なものよりも精神的なものの方が大きかったように思えます。「THE TENNIS DAILY」の記事にもあるように第2セットでチリッチが涙を流したのは感情のコントロールが出来なくなったことが原因だったようです。  この対戦相手がこの様な状況であったことを差し引いても今大会、そしてこの試合のフェデラーは圧倒的、いや一方的な強さでした。  分析に入ります。  今回はポイント推移ではなく、QP(クオリティオブプレー)移動平均から見ていきます。QP移動平均はプレーの質・調子の時間的変動を測る指標です。0に近いほどプレーの質が高く、0から離れるほど質が悪いことを意味します。

 図(QP移動平均 短期)を見れば分かる通り、第1セット第4ゲームまではチリッチのプレーの質はそれほど悪いものではありませんでした。むしろ、この時間帯はフェデラーの方に硬さがあり本来の調子ではなかったように見えます。しかし、第1セット第5ゲームでフェデラーがチリッチのサービスゲームをブレークしてから流れががらりと変わります。フェデラーは硬さが取れ、本来の力を発揮しQPを下げ一気にプレーの質を高めました。対照的にチリッチはフェデラーのQPに押されるかのようにQPを上げてしまいました。第2セット終了までチリッチのQPは3~5の間で推移しています。これは殆どのゲームでブレークされる危機にあるか、あっさりキープされてしまうような状況です。非常にプレーの質が低下していたと言えます。  第3セット第3・4ゲーム変化がありました。それまで高いレベルでプレーしていたフェデラーのプレーの質が一時的にですが急に乱れました。本来これはチリッチにとって千載一遇のチャンスだったはずです。しかし、チリッチも同時にこの時間帯QPを高め、プレーの質を落としてしまったため試合の流れの転換点にはなりませんでした。チリッチはこの時間帯だけで9つのエラー(UE,FE両方)を出してしまっています。フェデラーも5つのエラーを記録しました。フェデラーはこの時間帯を切り抜け、再びギアを上げそのまま第7ゲームをブレークし、試合をものにしました。最後の1ゲーム、僅かにチリッチがフェデラーのQPを上回りました。チリッチの最後の抵抗だったのだと思います。  グラフを見ると、試合のほとんどの場面でフェデラーの方が極めて質の高いプレーをしており、チリッチには殆どなすすべがなかった状態でした。  TSAの諸表で見ていきます。まずはGP(ゲームパワー)です。

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* TPWは【TPW=W+OUE+OFE】
W ウィナー
OUE 相手のアンフォーストエラー
OFE 相手のフォーストエラー
OW 相手のウィナー
EP エラー(アンフォーストエラー、フォーストエラーの区別なし)
OEP 相手のエラー
UE アンフォーストエラー
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*OwnPointsは【OwP=W+UE+FE】
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