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データで見る ウィンブルドン3回戦 錦織の敗因

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 ウィンブルドン3回戦 錦織VSアグートは4-6/6-7/6-3/3-6で、セットカウント1-3で錦織選手(以下、錦織と表記)の敗退でした。 まず、試合の分析の前の事前情報ですが、ウィンブルドン前のGP(ゲームパワー)ランキング(過去1年間のGP)では錦織とアグートは互いに9位タイ、GP指数で表すと[3.1]ポイントでした。つまり、年間GPで見ると互角の状態での試合でした。

 さて、ポイント推移から見ていきます。第1セットをアグートに奪われましたが、大きなポイント差は開きませんでした。第2セットも僅差のまま推移していきます。錦織も取り返そうという思いが強かったのだと思います。ただし、気になるのは僅差であってもアグートがポイントを伸ばし、錦織がすぐに追いつくという展開だったということです。何とか引き離されていないだけで、いわゆる接戦時に表れるようなポイントが交互に入れ替わるような状態でありませんでした。第3セットを何とか奪いましたが、これでようやくポイントでアグートに完全に追いつきました。更に、第4セット第1ゲームでいきなり錦織がブレークに成功します。普通ならここでギアを一段上げ、一気にポイントの引き離しにかかります。しかし、なぜか集中力を欠いた錦織はギアを上げられず、ポイントで伸び悩みます。それが緩やかな曲線という形で現れます。逆にアグートの方が急激にポイントを伸ばし、一気に錦織を抜き去り勝利します。  この試合のキーは錦織のUE(アンフォーストエラー)の多さです。UEの中にはダブルフォールトも含まれます。しかし、指摘したいのは単純なUEの多さではなく、試合の重要な場面(ブレークされた時のサービスゲーム、ブレークポイントのあったリターンゲーム)でのUEの割合の多さです。  ブレークされた時のサービスゲームでのUEの数(ダブルフォールト含む)は合計18回です。  ブレークポイントのあったリターンゲーム(ブレーク成功のゲームも含む)は合計11回です。 この試合の錦織のUE総数は48ですから、29/48。この試合の(錦織の)全UE数の実に60.4%が重要な場面で発生していたのです。これはとても無視できる割合ではありません。  単純なEP%(エラー率)の差はM評価ではM1判定で「有意差」、UE%でもM2判定「優勢」でした。確かに錦織の方がアグートよりも多くエラーをしています。しかし、深刻な差でもありませんでした。問題だったのは、試合の重要な場面でのUEの多さでした。この日は合計41ゲームありました。その内、上記のように「重要な場面」と設定したゲームは11ゲームです。全ゲーム中26.8%にしか過ぎません。しかし、この11ゲームの中で試合の(錦織の)全UEの60.4%が発生しているということは普通ではありません。  この数字が示している意味は、ブレークすべきゲームでチャンスを逃し、ブレークを凌ぐべきゲームでポイントを相手に与えたということです。これでは勝てません。錦織はこの日ブレークポイントを11回も握って、2回しか生かせなかったこともこの数字が裏付けています。

 得失点表のSCR%(実質支配率)で見ても、アグートが上回っておりM評価でM3判定「かなり優勢」が出るほどです。アグートはより多くポイントを取り、よりエラーを少なくするというテニスのセオリーを実践することで実質支配率を高めることに成功しました。これはポイントパフォーマンス表からも裏付けられます。

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試合分析
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この記事へのコメントコメント一覧

データで見る ウィンブルドン3回戦 錦織の敗因

ukaさん

コメント頂きありがとうございます。
全面的に同意いたします。
ukaさんが仰っている様に、データから見ても錦織選手のプレーの質は落ちています。
そしてフィジカル(練習不足を含む)にもメンタルにも明らかな課題があるように感じています。
これらの課題がフィジカル(練習不足を含む)の側面であれば、ukaさんが指摘しておられるプレイスメントの甘さやエラーの連発として現れ、メンタルの側面であれば重要な局面での集中力の低下(もしくは集中力の持続力の低下)として現れているのだと思います。

データで見る ウィンブルドン3回戦 錦織の敗因

原因は練習不足による錦織のプレーの質が落ちているという事。それが怪我によるものなのか本人のモチベーションが上がらず練習が十分出来ていないのかはわからないが・・・・アグーの正確なショットのプレイスメントに対し錦織のショットは明らかに劣っていた。サーブも安定し冷静にプレーしている姿はアグー方がトップ10プレーヤーの様に見える。チャンさんの戦略も疑問。体力温存を意識し過ぎて攻め急いでミス連発で自滅した。こんな試合これまでも何度も見た。ミスの少ないアグーにエラーの多い錦織が攻め急げばエラー多発で自滅するのは予想できたはずなのに・・・もっとじっくり5セットを覚悟して攻めれば錦織に勝機は有った。色んな球種を混ぜるとか・・・1番の敗因は冷静にプレー出来ていない事。イライラ感を見せれば相手はもっと冷静にプレーの質を上げて来る事に気付かなきゃ。

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テニスの試合をスタッツ分析するのが趣味です。
新しいスタッツ分析指標、SCR%(実質支配率)とGP(ゲームパワー)、M評価を発案しました。
*SCR%はSMCIの改訂版です。
現在はTSA(テニススタッツ分析)の基本7表を用いて分析しています。
*TSA基本7表とは「得点内訳表」「失点内訳表」「得失点表」「自ポイント内訳表」「ゲームパワー表」「アタック評価」「ポイントパフォーマンス」のこと
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TPW 総得点、獲得ポイント
* TPWは【TPW=W+OUE+OFE】
W ウィナー
OUE 相手のアンフォーストエラー
OFE 相手のフォーストエラー
OW 相手のウィナー
EP エラー(アンフォーストエラー、フォーストエラーの区別なし)
OEP 相手のエラー
UE アンフォーストエラー
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*OwnPointsは【OwP=W+UE+FE】
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