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データで見る 錦織選手ウィンブルドン2回戦突破

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 ウィンブルドン、錦織選手(以下、錦織と表記)の2回戦の対戦相手はウクライナのスタコウスキー(世界ランク122位)でした。試合は錦織から見て6-4/6-7/6-1/7-6でセットカウント3-1での錦織の勝利でした。錦織の3回戦進出です。 スタコウスキーは芝巧者であり、錦織が2敗している相手です。

 今回は簡単な分析に留めます。  ポイント推移を見ると、第1セットから第3セット第4ゲームまで両者のポイントが非常に拮抗しているのが分かります。両者のポイント差は殆どなく、常に互いのポイント接近している状態で試合が経過していきました。 第1セットは6-4で錦織が取りましたがスタコウスキーとのポイント差は2ポイントに過ぎません。また、第2セットでは逆にタイブレークをスタコウスキーに制され、セットを奪われます。この時もセットを奪われた錦織の方が累計ポイントで1ポイント上回っていました。  第1~2セットの試合展開の特徴は、セットを奪ってもポイント推移の上ではほとんどアドバンテージを得られていなかったということです。錦織はタイブレークを落としましたが、ポイント的には差が広がっておらず、試合の流れはまだスタコウスキーには流れていませんでした。むしろ、ポイントの推移から見るとまだもみ合っており、どちらに傾くのか分からない状態だったと言えます。故に、第2セットのタイブレークを奪われても錦織が不利になったとはこの時点では言えません。  試合の流れが明らかに錦織に傾いたのは第3セット第4ゲーム以降です。錦織がスタコウスキーのサービスゲームをブレークし3-1にした場面から流れが変わりました。図を見ると、これ以降スタコウスキーは錦織にポイントで接近することができずに突き放される形になりました。この流れを作りだした大事な場面は、タイブレーク直後の第3セット第1ゲームです。ポイント推移で見るとまだ両者がもみ合っているところです。このゲーム、スタコウスキーにブレークポイントを握られましたが、それをしのいで錦織がキープしました。もしこのゲームをブレークされていたら、流れはスタコウスキーに行っていたでしょう。

 試合が終わってからの結果を見れば、SCR%(実質支配率)で錦織がスタコウスキーを6%上回りました。M評価で測定するとM2判定で「優勢」ということでした。大きな差ではありませんが、第3セット以降、一貫して錦織がポイントでスタコウスキーを上回り、リードを保ったことが現われています。  さて、脇道に逸れます。この日は2回タイブレークがありました。第2セットはスタコウスキーが取り、第4セットは錦織が制しました。何の差がこの違いを生み出したのでしょうか。注目したいのは「EP対TPW」の差です。「EP対TPW」とは端的に言えば得点効率を表す指標です。  タイブレークは相手よりも先に2ポイント以上の差をつけて7ポイント(6-6で並んだら2ポイント差をつけるまで)奪う必要があります。理論的には、1つでも先にミニブレークし、キープし続ければタイブレークを制することができます。 「EP対TPW」×タイブレークの総ポイント数=Xとします。 両者の間にXの数値が1ポイント以上の開きがあれば、「EP対TPW」の高い選手が有利であったということです。 例えばA選手1.5 B選手1.6 その差0.1 TBポイント総数12 0.1×12=1.2 になります。僅か0.1の差であっても12ポイントのやり取りがあれば(例えば7-5)、1ポイント以上の得点効率差となり、ミニブレークの確率が高くなります。 これを錦織VSスタコウスキーに当てはめると 第2セット 錦織1.34 スタコウスキー1.55 その差0.21 TB計16ポイントのやり取り 0.21×16=3.36 第4セット 錦織1.5 スタコウスキー1.37 その差0.12 TB計14ポイントのやり取り 0.12×14=1.82 第2セットのタイブレークではスタコウスキーが3.36という、かなり大きな得点効率の差を背景に制しました。逆に第4セットのタイブレークでは錦織が1.82の得点効率差で制しました。 以上から「EP対TPW」の差がこの試合ではタイブレークを奪えるかどうかの差になったのだと考えられます。

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新しいスタッツ分析指標、SCR%(実質支配率)とGP(ゲームパワー)、M評価を発案しました。
*SCR%はSMCIの改訂版です。
現在はTSA(テニススタッツ分析)の基本7表を用いて分析しています。
*TSA基本7表とは「得点内訳表」「失点内訳表」「得失点表」「自ポイント内訳表」「ゲームパワー表」「アタック評価」「ポイントパフォーマンス」のこと
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* TPWは【TPW=W+OUE+OFE】
W ウィナー
OUE 相手のアンフォーストエラー
OFE 相手のフォーストエラー
OW 相手のウィナー
EP エラー(アンフォーストエラー、フォーストエラーの区別なし)
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*OwnPointsは【OwP=W+UE+FE】
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