2009年06月30日

FC東京は赤嶺真吾を手放すな

 
 
『2008年シーズン、FC東京のMVPは誰?』
 
 
個人を評価することが苦手な人でも
この質問には簡単に答えられると思う。
 
 
ほとんどの人が 『赤嶺 真吾』 と解答するだろう。
 
 
正解・不正解は別として、
それだけ、昨年の彼はチームへの貢献が高かった。
 
 
駒沢大学1年生時は巻誠一郎、深井正樹が4年、
彼らの背中を見て育ち、
4年生時の2005年には原一樹とのコンビで
全日本大学サッカー選手権優勝。
FC東京には同年から特別強化選手としてチーム練習に参加、
ナビスコカップにも出場。
 
 
プロ契約した2006年からリーグ戦3得点、翌年も4得点と
チームにフィットするのは早く、
何よりもこの頃在籍していたルーカスや平山相太、
川口信男といった他のFW陣と比べて、決定力の高さが別格で、
泥臭くゴールを狙うプレーが新鮮だった。
 
 
才能を開花させた2008年。
FW陣は、Kリーグ得点王の肩書きを引っさげ加入したカボレや、
城福浩新監督の目指すサッカーに
見合う能力を持つ平山相太や近藤祐介らがひしめく最激戦区だったが
自己最多、リーグ戦30試合出場でチームトップの12得点、
カップ戦10試合6得点の大ブレイク。
ポストプレーの向上、決定力の高さ、勝負強さ、献身的な守備、
その活躍ぶりに岡田監督も代表合宿に呼んだほど。
とにかく、苦戦したアウェーゲームで貴重な得点を挙げる印象が強く
それからホームに戻ってきては、
サポーターから 『アッ!アッ!アカミネーッ!』 
と、お馴染みとなったジンギスカンのテーマで迎えられることが多かった。
 
 
そして、2008年のFC東京を総括する当ブログで、
僕は赤嶺をこう締めくくった。 
 
>2008年、東京がタイトルやアジアを見据えた試合を継続できたのも、
 元日の国立を目指して年の瀬まで戦えたのも、
 「ゴール」 という誰にでも分かる結果で答えを示し続けた
 エースの存在があったからこそ。
 第18節アウェーの京都戦。
 あんなゴールできる選手、東京にいなかった。
 インザーギなんて言いません。“東京の赤嶺” 確立してください。
 
 
今季はこれまで公式戦19試合で8試合にスタメンし、3得点と
昨季の活躍を考えれば奮わない状況が続く。
しかも、そのうち1得点を決め、過去5試合で7得点と
お得意様としているジュビロ磐田からのオファー。
昨季オフにも神戸からの獲得表明に揺れ動いたこともあり
赤嶺にとっては分岐点となるかもしれない。
城福監督も慰留へ向けて話し合いを持つとのことらしい。
 
ただ、報道されている “イ・グノに代わるFWの柱” 
を期待して獲得しようというなら少し的外れなオファーだろう。
縦方向へのオフザボールの動きに長け、ポストプレーもドリブルもでき、
オールラウンドなFWだったイ・グノ。
対し、ペナルティエリア付近を主戦場とする赤嶺は
前田遼一といい関係を築けるのか微妙である。
東京も攻撃陣が好調といっても、
カボレ、平山はようやく今季リーグ戦初ゴールを決めたばかり。
点を獲ってナンボのストライカー、
そういう意味では今後、赤嶺の持ち味が必要な場面がきっと来る。
 
 
残り10~15分だろうと、点を獲れる決定力。
FC東京唯一無二の武器を手放してはいけない。
 
 

posted by tacleau7 |13:03 | ■ FC東京2009以前 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2009年06月29日

FC東京観戦記2009 其の伍 ~優勝を目指す資格~

 
 
長谷川健太は清水の監督に就任して以来、
聖地・国立での試合で、まだ勝ったことがないらしい。
だが、FC東京に有利なデータを試合前に聞いた所で
楽観的になれるものじゃない。
とにかく清水との試合は近年、簡単に勝たせてもらえていない印象。
記憶に新しいのは、優勝への道を閉ざされるきっかけにもなった
昨年10月、1-5の大惨劇。
赤嶺の2得点で勝利した天皇杯は生で観ていない。
 
で、28日。2-1の試合。
本当によく勝ったと思う。
京都戦で見せた攻撃の手詰まり感や、
川崎戦での試合運びの稚拙感等々、
ネガティブな要素の少ない好ゲームだった。
ナビスコカップでもリーグ戦と並行した戦いを続けて地ならしをして
ブルーノクアドロス、平山相太がいよいよチームにフィット、
田邉草民、椋原健太らはスタメンとサブの力量差を縮めた。
チーム内に生まれた緊張感と、戦術の継続性は
最近の好調ぶりに間違いなく起因している。
 
 
とにかく清水には “大人のサッカー” をしないと勝てない。
立ち上がりの10分は清水に主導権をとられた。
兵働昭弘を中心としたポゼッションに、
バランス重視のサッカーを強いられた東京だが、
中盤の底に位置する米本拓司は攻守に安定感を失っていた。
不安が募る中、東京はマイボールになると、
カボレ、平山の前線2人にシンプルに縦パスを送る展開で
流れを呼び戻そうとする。
否。正確には、
“清水のプレッシャーを受けて、
最終ラインからロングボールを放り込むしか策が無かった”
という言い方もできる。だが、
そんな展開から羽生直剛とカボレの粘りで兵働のファウルを誘い
PKのチャンスを手に入れたのも事実だ。
 
そのチャンスをものにした梶山陽平が
その後の試合を巧くコントロールしたのも、また事実。
序盤に不安定さが目立った米本に、
大きな展開こそ無いものの、ボールが収まるようになってきたこともあり
背番号10は中央、サイドと様々な局面に顔を出していった。
途中、ジャッジにフラストレーションを露にする場面もあったが、
基本的には “良い時の梶山” であった。
 
梶山の負担を減らし、攻守両面において良いリズムを生み出しているのが
ポゼッション重視のCBコンビ、ブルーノクアドロスと今野泰幸。
ブルーノは “対ジュニーニョ” では不安を拭えないが、
“対ヨンセン” であれば、ある程度計算がたつ。
そして今ちゃんに関しては、最近のパフォーマンスを見ていると、
『今ちゃん、リベロになっちゃえよ』 と
FC東京前監督の言い回しをしたくなるほどの存在感。
最終ラインでは持ち味が消されるという声が相変わらず強いが、
もともと守備の良さで頭角を現した今野に
『もっと攻めろ』 と言うのは、個人的には違和感を覚えてならない。
1対1での粘り強い守備、ボール奪取能力、
中盤で培った攻撃の第1歩となり得るビルドアップのセンス、
例えがおこがましいのは承知で表現するが、
最終ラインでのプレーぶりには、R・カルバーリョを彷彿とさせる。
A代表のセンターバックも人材難が叫ばれているが、
自信をもって言える。
田中マルクス闘莉王と中澤佑二のバックアップとしては最適だ、と。
 
 
攻撃面での充実ぶりは、やはり平山相太の名を挙げたい。
この日は、清水の “一番ウイークポイントとなりそうな所” と言える
左サイドバックの太田宏介寄りのポジショニングが多かったが、
同世代の実力派CB青山直晃とのマッチアップでも互角に渡り合った。
簡単に競り負けてボールロストし、
最前線で哀愁を漂わせる非力なポストプレーヤーの面影はもう無い。
梶山、石川直宏、カボレらと、良い距離感を構築して時間をつくった。
プレーぶりも羽が生えたように軽くなった。
結果を言ってしまうとこの日は得点に絡めなかったが、
辛口の僕にも、今の平山は以前とは明らかに違うように映る。
まぁ 『A代表』 と口にするのは、まだ早いだろう。
柏戦のようなファインゴールを、彼は年に1度はする。
それをコンスタントに発揮できるようになって初めて日の丸をつけられよう。
 
 
実は梶山の先制点以降、試合からはダイナミズムがなくなり
梅雨にピッタリのジメっとしたスローテンポの展開になった。
まぁ悪く言うと、退屈な試合になったのである。
しかし、これはこれで良いのである。大人のサッカーだから。
 
 
後半に入って、清水がギアを入れた。
前半終了間際のマルコスパウロの投入によって起点が明確になったことで
両サイドバックに積極的な攻撃参加が見られるようになった。
東京は前がかりになった清水の裏を狙うカウンターで対抗。
しかしゴール前でセカンドボールを拾えずヨンセンに同点ゴールを許す。
 
 
しかし、その直後のプレーが試合を決めたと言っても過言ではない。
石川が目の覚めるようなミドルシュートを放つ。
 
僕が言っているのはゴールシーンの事ではない。
後半17分、右足アウトに巧く引っ掛けた技ありの今季8点目ではなく
その2~3分前に放った、ワントラップからの豪快な一撃のことである。
山本海人の好セーブに阻まれたが、
もし、あのシュートが無ければ
チームは反撃の糸口を見い出すことができなかったかもしれない。
清水の反撃をズルズルと許して、
川崎戦のようにあっさりと逆転を許したかもしれない。
ナオが放ったミドルで、チームの目指すべき方向性が定まった。
『それまでの滞った試合展開から脱却しよう――』
もし東京、清水をそれぞれ贔屓にしない、
中立の立場でこの試合を観ている人がいれば、
あのシュートで試合展開がガラッと変わったことをお分かり頂けると思う。
“試合を面白くする” という
プロフットボーラーとしての大前提も全うする芸達者ぶり。
さらに言うと、その直後のゴールもビューティフル極まりない代物だった。
 
 
石川直宏は、ただ絶好調なわけでないと思う。
こういうのを 『覚醒』 と言うのだろう。
 
 
その後も、途中交代の鈴木達也、椋原のハードワーク、
米本、今野らの球際の強さで清水の攻撃を封鎖。
公式戦4連勝、リーグ戦今季2度目の連勝を飾った。
 
城福浩監督が試合後の会見でも似たような趣旨のコメントを残したが
東京は、守備ブロックのつくり方ではJ1屈指の清水を相手に
攻撃面では縦横に揺さぶり、緩急を使い分け、
展開に応じた試合運びを披露できたと思う。
守備も今野を中心に大きな綻びもなく、安定していた。
 
次節はホームで絶対的な強さを誇る神戸とのアウェーゲーム。
その後も川崎や広島、
ナビスコ杯を含む名古屋との連戦など、上位との対戦が控える。
試合数が少ないとは言え、首位・鹿島との勝ち点差は10。
それでも清水戦のような試合運びを今後も継続できるなら、
シーズン開幕当初は言えなかった 『優勝』 の2文字を
口にしても違和感は無いだろう。
 
 
 
清水についても少し。
 
東京戦のサブメンバーは、GK西部洋平、
DFは平岡康裕と辻尾真二、右SBでの出場が多い高木純平
そして純粋なMFのマルコス・パウロと藤本淳吾、本田拓也の7人。
要はFWがいなかったのだ。
これでは、ナビスコ杯での教訓から、
長身FW長沢駿対策として、佐原秀樹を抑えの切り札として投入する
5バックの練習もしていた東京に、脅威を感じさせるのは難しかった。
確かに後半は岡崎をトップ下に近いポジションに配置し、
原一樹・ヨンセンの2トップと連動して東京守備陣に圧を加えたが、
それに加えて長沢や大前元紀といったアタッカーを終盤に投入して
より前線に重心を置くやり方もあったのではないか。
兵働⇔藤本、枝村匠馬⇔マルコス・パウロ、
市川大祐⇔辻尾 という、同じポジションの選手間による交代で
試合に勝ち切るというのは難しいと思う。
長谷川采配には疑問が残った。
 
そして、かつては個人的にナンバーワン右SBだった市川の低調。
クロスの精度もドリブルの迫力も、なんだか並みの選手になってしまった。
負傷の影響でパフォーマンスが落ちるのは致し方ないが
それにしても、東京戦ではゴールライン近くまでサイドをえぐる、
というシーンが皆無だったのではなかろうか。
敵ながら少しばかり残念な内容だった。
 
それは枝村にも言える。
2008年、夏以降の快進撃は彼の得点力なくして語れるものではない。
しかし今はチーム事情だろうか、ボランチでの起用が続いている。
長谷川監督としては、3人並んだ攻撃的MFの中央、
というイメージなのかもしれないが、
ピッチ上に描かれる図面は、そう映らない。
ほとんどの時間を守備に忙殺され、攻撃面でも繋ぎ役に徹する姿は
好調時の彼のものとは程遠い。
この試合では前半42分で退いた枝村。
次節の京都戦では、スタメンを外れるかもしれない。
だが、途中交代で本職に近いサイドでの起用や、
1.5列目でヨンセンと縦の連携を築くなど、
活かし方は多分にあるだろう。
 
 
そしてJ1通算450試合出場となった鉄人・伊東輝悦には、ただ拍手。
 
 
 
 
 ●FC東京 2-1 清水  @国立競技場
 
  東)梶山/前7(P)  石川/後17
  清)ヨンセン/後13分
 
 
【FC東京】
 
                カボレ6      平山6
                (椋原 ―)
 
           羽生5.5                石川7.5
           (鈴木 5.5)                  (赤嶺 ―)
 
                 米本6     梶山6.5
 
 
         長友5.5                      徳永6
 
              今野7.5   ブルーノ・クアドロス6
 
 
                        権田5.5          城福6.5
 
 
【清水エスパルス】
 
                 原6      ヨンセン6.5
 
 
            岡崎6                兵働5.5
                                   (藤本5)
 
               枝村4.5       伊東5.5
            (マルコス パウロ5.5)
 
         太田5.5                    市川4.5
                                      (辻尾 ―)
                  児玉6       青山5.5
 
 
                       山本海6           長谷川4
 
 

posted by tacleau7 |13:23 | ■ FC東京2009以前 | コメント(0) | トラックバック(0)
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