2008年07月17日
報われないハードワーク FC東京観戦記2008 其の十四
試合は昨日のことですが、頭に焼きついて離れないシーンがあります。 試合を大きく左右するシーンではないので、少しうろ覚えですが、 確か後半20分過ぎのことです ― 。 中盤でボールを奪取した東京が、エメルソンを起点に攻撃を仕掛ける。 ハーフウェーラインあたりで、前を向いて中央突破を試みるエメ。 ルックアップすると平山が中央から右へ開いていく。 カボレはDFを背負いながら中央でボールを待っている。 左サイドには程よいスピードで攻め上がった羽生がフリーの状態でいる。 エメの選択肢は・・・・・やっぱりカボレだった。 “やっぱり” という接続詞が付くことは FC東京をよく知る方なら理解していただけると思いますが、 結局、エメルソンからカボレへのパスはガンバDFにカットされました。 くさびだったのか、スルーパスだったのか、うろ覚えなのですが、 パススピードから考えて、DFラインの裏を狙ったパスだったような。 まぁ、それがどういう意図だったのかどうかより、僕が気になったのは、その後。 フリーで待っていた羽生が、「どうして俺に出さないんだ!」 というように 両手を上に掲げ、不満の表情を顕にしました。 さらに続けて城福監督がテクニカルエリアぎりぎりの所まで出て行き、 烈火のごとくピッチ内にいる選手を怒鳴りつけていました。 城福監督の視線の先には、エメルソンがいました。 よく耳を澄ませると 「エメーーー!!」 と言っているように聞こえました。 僕が観ていた席はメインスタンドです。 今日も苦しい立ち上がりでした。 安田のクロスから、ルーカスに手厚い恩返しを喰らったのが前半6分。 浦和戦の田中達也のゴールより1分早い失点に、嫌な雰囲気が漂いました。 しかし、その流れを変えたのは、J1では第2節以来のスタメンとなる石川でした。 アシストを決めた安田の裏をガンガン突き、好クロスを連発。 サテライトでの好調を維持し、ガンバの中盤を押し込めることに成功。 浦和戦、鹿島戦でこういった中盤から飛び出す動きが無かったこともあって 攻撃は新鮮で、ダイナミックに展開されました。 右サイドは長友&石川のコンビ、左サイドは徳永&羽生のコンビ、 両サイドを繋ぐのは平山の身体を張ったキープと梶山の展開力。 すべてが巧く回っていたように思います。 そんな中から生まれた徳永のゴール。 今シーズン、リーグ戦・カップ戦全試合フルタイム出場中という東京唯一の選手、 “MOVING FOOTBALL” という作品の中での自分の存在意義を見出せず 苦悩し続けていた男が決めたゴールは、 我々サポーター以上に、本当に本当に悠平自身が喜んだはず。 前半は、東京が優勢に試合を運んで1対1で終了。 後半に入ると、ガンバは 「山崎⇔佐々木」 で、ルーカスを前線に上げる。 佐々木は持ち前のスピードを活かして右サイドから果敢に仕掛ける。 これに対し東京は後半12分、「石川⇔エメルソン」 う~ん・・・・・・・・・・・。 この交代以降、しばらく両チーム膠着状態。 ガンバは左の安田、右の佐々木を中心にワイドな攻撃を仕掛け、 東京の中盤及び最終ラインの距離感を広くして、 二川や橋本が有効活用できるようなスペースをつくり出したかったのだろうが、 国立のピッチには、東京が誇る名バランサー浅利が立っていた。 ガンバの攻撃の基点に必ずと言っていいほど最初にチェックにいっていたこの男は 90分通して、東京にバランスをもたらし続けた。 ヒヤッとするシーンがまったく無かったわけではないが、 鹿島戦のように守備網が破綻する恐れは、相手がガンバでもまったく感じなかった。 ガンバはいつもの分厚い攻撃が鳴りを潜める。バレーも決めきれない。 一方の東京。 「石川⇔エメルソン」 の交代で窺い知れる城福指揮官のメッセージは 「ポゼッションしましょう」 だと思う。たぶん。 ナオがスペースに飛び出すことが攻勢に出る合図だった東京は、 そのターゲットがいなくなったことに加え、中2日の過密日程ゆえの疲労感も相まって 攻撃が停滞してしまった。「繋ごう」 という意識から来る停滞感・閉塞感。 浦和戦・鹿島戦と似たような症状だ。 そんな中で生まれたシーンが、冒頭のエメルソンと羽生の一件。 ナオがいなくなって中盤からの飛び出しを一番期待できるのは羽生。 本当にスペースメイキングのために惜しみなく動き回り、 DFラインの裏を突くことも怠らない。「縦横無尽」 とは彼のための言葉だ。 だがエメルソンは、羽生を見ていない。見てるとは思うけど、出さない。出せない。 もちろん、出し手と受け手のタイミングの問題はあるだろう。 でも、今日に限らず浦和戦でも鹿島戦でも、 「あー羽生に出れば・・・・・」 と思った回数は数え切れない。 加えて気になるのは、ボールが出て来なかったことに対して 羽生が明らかに不満を表したことだ。 あの羽生が、フォアザチームの塊みたいな羽生が、である。 それから程なくして、羽生は赤嶺と交代。 今日もゲームキャプテンは90分間ピッチに立つ事を許されなかった。 赤嶺が入る少し前に、西野監督は2人の選手を同時投入した。 攻め上がってから自陣に戻るのが遅くなった安田に代えて下平、 途中出場しながら脅威の存在になり得なかった佐々木を再びベンチに戻して倉田を投入。 これで再びリズムを取り戻して東京ゴールに迫るが、 塩田の好セーブもあって、勝ち越しならず。 東京は赤嶺が入ったものの、 カボレ、平山、赤嶺が3トップに気味に並んだ布陣は 正直、傍から見ても何がしたいのかさっぱり分からない低調な内容に終始。 カボレや平山に向けたロングボールが印象に残っているので、 「前半あれだけ良いサッカーしたのに、まさかなぁ」 と思いつつ、 そのまま試合は1対1で終了した。 前半終了時は 「今日はいけるぞ」 と思っていたのが、 試合終了直前には 「引き分けでいいから早く終わってくれ」 と願っている自分がいた。 はっきり言うと、僕は東京が展開した前半のサッカーは、好きです。 梶山と浅利がサイドと前線を巧く操縦し、サイドで優位に立つ。 徳永と長友が、後ろからどんどん攻め上がり、 羽生と石川は神出鬼没にスペースに飛び出す。 前半終了時にあれだけ期待感を呼び起こしてくれたサッカーを、 後半、城福監督は否定するようにエメルソンを投入した。 城福監督の掲げる “MOVING FOOTBALL” が、 ある程度ポゼッションに重きを置いていることはこの3連戦で分かったが、 それはどうやら 「ポゼッション」 という単語では説明しきれないスケールの大きいモノのようだ。 もちろん 「石川⇔エメルソン」 は試合前からある程度想定していた交代。 とは言え、ナオは間違いなくガンバにとって厄介な存在だったのも確か。 個人的にも、もう10分、もう5分、見ていたかったのは確か。 それでも城福監督の求めるものは、もっと大きいモノらしい。 頼もしくもあるが、少し切なくもある。複雑。 ただ、返す返すも羽生である。 「MOVING FOOTBALL」 になくてはならない存在として獲得した小柄なファイターは まだ東京にフィットしていないと、僕は思う。 何度も言いますが、彼は 「ファイター」 です。東京には稀有な存在。 羽生直剛という選手をスタジアムで観たことがある人はわかると思いますが、 「ここでこの選手に前を向かせなければ後ろは楽になる」 とか、 「ここでこのスペースに走りこめば、あそこにボールを通せる」 とか、 「ここはかなり危険だからプレーを切ろう」 とか、 チームとして今、何をすべきなのかを驚くぐらいに考えながらプレーしている選手なのです。 それが観ている人にヒシヒシと伝わってくる選手なのです。 だからこそ東京のキャプテンマークを任かされるわけですが、 一方でキャプテンを任している人物は後半半ばで、この勇敢なファイターを引っ込めてしまう。 う~ん・・・・・・・・・・・・・ってなるんですよねぇ。 FC東京は結局、7勝4分6敗、得失点差-1で、リーグ戦前半を折り返す。 7勝の中には「完勝」と呼べるものもあれば 「勝たせてもらえた」 試合もある。 4分6敗の中にも 「勝てた試合」 もある。 「3歩進んで2歩下がる」 が口癖の城福監督にしてみれば 貯金1というのは妥当な数字かもしれない。 結果も意識しなければいけないプロの世界で 今、FC東京が目指すサッカーはとてつもなく難解なものであるが、 このFC東京というクラブには、他クラブが羨むほどの伸びしろがある。 リーグ戦後半も、ナビスコも、出来るだけ高いステージで戦い続けてほしい。 ●FC東京 1-1 ガンバ大阪 @国立競技場 東)徳永/前19 大)ルーカス/前6 【FC東京】 カボレ5.5 羽生5.5 平山5 石川6 (赤嶺 ― ) (エメルソン5) 浅利5.5 梶山5.5 徳永6.5 長友6 今野6 佐原5.5 塩田6 城福5 【ガンバ大阪】 バレー5.5 山崎5 (佐々木5) (倉田5.5) 二川5.5 ルーカス6 明神5.5 橋本5.5 安田理5.5 加地5.5 (下平5.5) 山口6 中澤6 藤ヶ谷5.5 西野5.5
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posted by tacleau7 |13:14 |
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