2009年12月21日
2009J1 FC東京総括
2009年11月28日、J1第33節、FC東京のホーム最終戦― 。 平松大志のヘッドと “乾杯” の余韻が冷めやらぬ中、 試合後のセレモニーで城福浩監督が発した一言に、少し驚いた。 「クラブの事情」 この部分だけ引用してしまうと、少し発言した人の本意ではなくなるのですが とにかく印象に残っているので、切り取らせていただきます。 でも、ある意味では今季を象徴しているフレーズだなぁ、と。 2008年は6位、16勝7分11敗で勝ち点55、得点50、失点46。 2009年は5位、16勝5分13敗で勝ち点53、得点47、失点39。 勝ち点は昨シーズンよりも2つ少ないが、失点が7つ減り、 攻守のバランスがアップしたことが伺える。それより何より順位が1つ増。 城福トーキョーは昨シーズンの自分たちを超えてくれた。 何よりもリーグとは関係ないが、カップタイトルを奪取した点も大きい。 確実にノルマを達成した意味では、今季の東京を評価して良いだろう。 柏戦のレビューでも軽く振り返ったのが 改めて2009年のFC東京を、当ブログの目線で振り返ってみます。 ◆負けてもブレない、ブレさせない 中村北斗、平松大志、米本拓司、田邉草民、 新たに4人が加わってスタートした2009年のFC東京。 4人の中で最も管理人の期待が薄かった男がチームの救世主となるとは 開幕前の段階で思いもよらなかったが。 開幕前のキャンプやプレシーズンマッチでは、2008年に積み上げたものを 一度リセットして、もう1度作り直すような取り組みを見せていた。 それが水の泡になったのが第1節の新潟戦、第2節の浦和戦だろう。 開幕の味スタでは堅い守備からのショートカウンターを武器とするチームに、 続く埼スタでは同じポゼッション志向(それもポゼッションでは一日の長で 東京が勝っているにも関わらず、)を目指すチームに、完敗を喫した。 開幕10試合で4勝6敗。4勝はともかく、6敗が多かった。 固定されないセンターバックのコンビは誰が出てきても脆かった。 大宮戦から今野泰幸とブルーノ・クアドロスのコンビになる。 その試合は石川直宏のハットトリックで勝利したものの2失点、 続く広島戦でも佐藤寿人にやられた事を考えると、 このコンビも早々に解消だなぁ、と思っていたが随分と長続きした。 破綻した守備の修正ではなく、さらなる攻撃性を求めたセンターバック。 我慢して使い続けた起用法を見ると、この時期から自らのサッカーを 「ブレない、ブレさせない」という監督の意図が伝わってくる。 前線からのプレスをかいくぐるビルドアップが 最終ラインからそつなく出来るようになった。 もう1人忘れてはいけないのが 今野のいなくなった中盤の底を任された米本の存在。 今年一年、東京というチームを観ることに並行して 米本というプレイヤーの成長を見守るのは楽しかった。 突出したスライディング技術に代表される守備能力の高さはすぐに感じ取れたが 日を追って上達していくパスワーク、危機察知能力は18歳のそれと思えず 将来、日の丸を背負って立つポテンシャルを持っていることを確認できた。 ナビスコカップ決勝に代表されるミドルシュートにもっと磨きをかけてほしい。 ◆高次元ポゼッションを体現した11人 J1第5位となった最大の要因は、先発メンバーの固定である。 リーグ戦34試合すべてのゴールマウスを守り続けた権田修一。 センターバックに今野とブルーノ、 サイドバックにはA代表でも活躍し始めた長友佑都と徳永悠平、 中盤センターには米本と梶山陽平、サイドに石川と羽生直剛、 2トップにカボレと平山相太。 ナビスコカップ予選でも固定された馴染みの11人は、 熟成したポゼッションを展開し、6~7月にかけてリーグ戦5連勝を記録。 8月に落ち込んだが、9~10月にも4連勝。 11月にまた落ち込んだことで優勝争いには、またしても加われなかったが 結果的にACLを見据えた戦いをし続けられた点は良かった。 FC東京の2009年は、石川直宏の存在なくして語れないのだが あえて当ブログではそんなに語りません。 誰もが目に見える形で結果を出したし、自身初のベストイレブンにも選ばれた。 15得点中、PKはゼロ、半分近くが難易度の高い代物だった。 彼の活躍は、忘れかけていた「エース」という存在感を思いださせてくれました。 石川同様、ポゼッションに一役買ったのが平山だ。 いくら最終ラインで繋げるといっても限界があるが、 そんな時のアバウトなフィードを前線でキープし続けてくれた。 梶山のあまり優しくない縦パスも懐に収める足元の技術はやはり巧いし それが活きるようになったのも精神面の変化だろう。 確かに今季の平山は一皮むけた。 課題は何といっても得点力。今季リーグ戦4ゴールは寂しいな。 「ブレイク」「覚醒」、色々言われているが、僕はまだまだそうは思わない。 とりあえず若手中心で組まれる1月のアジア杯予選で 代表招集の動きが本格化しているらしい。あと半年での大ブレイクを期待する。 「目立たなくなった」「千葉時代の輝きがない」 東京移籍後、そんな声も多く聞かれた羽生も 数字だけでは判別できない活躍度をみせた。 管理人的にはアウェイでの神戸戦、ホームでの柏戦など 1年でも数少ない「完勝」と言える内容のゲームにあって 羽生は攻守においてスペシャルな存在になっていた。 突出しすぎた個でもあった石川とカボレを、 組織という枠組みの中に抑え続けた第一の功労者が羽生だった。 彼が後半半ばに交代するシーンは東京では見慣れた光景だが 管理人は2年経っても、羽生がいなくなったピッチが不安で仕方なくなる。 それぐらいの存在感を背番号22が見せ付けてくれた1年だった。 ◆思わぬ敵との戦い、結実と限界 冒頭の「クラブの事情」を感じ取れたのは、 チームの調子が下降線を辿った8月ぐらいからだろうか。 今季開幕時からメンバー登録されていた選手が移籍していった。 まず5月にMF下田光平が期限付きで水戸へ。 8月上旬にGK廣永遼太郎も期限付きで岡山へ。 廣永の移籍でGK登録選手は権田、塩田仁史、阿部伸行の3人になった。 少し不安になった。 そして8月下旬にDF吉本一謙が期限付きで岐阜へ、 DF金沢浄が復帰の形で磐田へ完全移籍した。 とりわけ長年に渡り東京に貢献してきた金沢の離脱は痛かった。 技術的な部分はもちろん戦況を見極める洞察力やポジショニングの妙は まさに“いぶし銀”と言えるもので、味スタでの第21節・横浜戦では 出場停止の梶山に代わって米本とボランチを組み、攻守に躍動する姿を 見せてくれたが、その8日後の移籍発表には驚きを隠せなかった。 さらに、青天の霹靂が続いた。 8月末の大分戦でリーグ戦6試合ぶりの勝利を手にし、 続くナビスコカップ準決勝で清水を退け5年ぶりのファイナル進出を決める。 調子が上向いてきた中で、カボレのカタール移籍発表。 東京の中では突出しすぎた個であっただけに、その穴は大きかった。 問題なのは、これだけ選手を放出したことではなく、 放出するだけで誰も獲得しなかった、という方だと思っている。 ユースから来季昇格する3選手、特別指定の高橋秀人が来季加入、 そんなニュースが流れても、今季途中加入のニュースは聞かなかった。 これが「事情」だった。 一部でも報道されていることだが、FC東京は数年前から 外国人選手の獲得に“失敗”している。 あえて“失敗”と書かせていただくが、 どうやら2009年は、その埋め合わせをするシーズンだったらしい。 開幕前にも外国人選手を獲得しなかった件について少し騒がれたが それどころのものではなかった。 城福監督は、そんな“敵”とも戦っていた。 移籍だけなく、怪我だってついてくる。 第28節名古屋戦で、茂庭照幸が眼底骨折、 続く第29節柏戦で、エース石川が靱帯損傷、 第30節清水戦では、長友が右肩関節損傷、 カップFINAL前のリーグ戦3試合で主力が相次いで負傷。 それでもチームは前へ進んでいた。 一昔前のFC東京だったら、とっくに白旗をあげていただろう。 それでも“11人”に含まれない男たちの奮起がチームを支えた。 代表級サイドバック長友・徳永とポジションを争うという、 日本一不運なサイドバックである椋原健太は、 明らかに対戦相手から攻撃の標的とされた。 それでも持ち前の粘り強い守備で奮闘し、その存在価値を証明した。 スーパーサブだった鈴木達也はFW、サイドMFで活躍。 カボレと石川、2人の離脱した穴をすぐさま埋めてみせた。 小平でもチームは1つになった。 「このチームでタイトルを獲りたい」と言って残留した佐原秀樹は 出場機会に恵まれない中、名古屋戦に向けた練習の中で ケネディの代役を買って出た。 退団を発表した藤山竜仁、引退を表明した浅利悟、 両雄の存在は常にチームに程よい緊張と規律をもたらした。 「2人のために」「ベンチに入れない選手のために」 無形の力でチームは鼓舞し続けられていた。 苦しい台所事情の中、指揮官は昨年以上にモチベーターとしての能力を発揮。 類稀な技術の持ち主でも、戦う姿勢の無い選手は容赦なく叱責したという。 報道上は叱責でも、現実には怒号、罵倒といった類のものであろう。 GK以外のサブメンバーがDF4人、守備的MF1人、攻撃的MF1人となっても 戦える18人、勝利をもぎ取れる18人を逆算して選んだ。 解れそうな糸は、それでやっと形を留めることができていたのである。 ただ、その戦いが報われたのはリーグ戦ではなく、 ナビスコカップではあったのだが。 イビチャ・オシムが千葉をナビスコカップ優勝に導いた際、 「カップ優勝よりもリーグ3位の方が難しい」と言ったが、僕も同感である。 ACL出場権を得るという現在のレギュレーションになった現在では J1で3位以上になるということが、全クラブにとって明確な目標となっている。 残念ながらナビスコカップ決勝以降、FC東京の動きは重くなる一方だった。 またしても浦和と千葉の前に散って、銀皿は遠く霞み、 アジアの舞台に立てる資格を元日まで延ばせる権利も、 最終節の新潟戦に勝てなかったことで獲得できなかった。 それでも選手は本当によく戦ったし、それは負けた試合の記者会見で 敗因を自分のせいにしてばかりの指揮官にも同じことが言える。 最後の最後までチームのモチベーションは途切れることがなかったし その手綱捌きは見事なものだった。 フロント、強化部に敗戦の責任を負わせたいとも思わない。 FC東京は2009年のシーズンを、限界まで戦った。 限界に達した中で、さらにもがき苦しんで、勝ち得た順位が5位だった。 昨シーズンより、1ランク見晴らしの良い階段に身を置けたのだ。 ◆2010年へ向けて 課題は挙げたらきりがないだろうが、1つ言わせていただくなら、 未だに少し垣間見える、試合内容におけるチーム全体のムラだろう。 連勝街道に乗ったと思いきや、選手のケガや出場停止など ちょっとした事がきっかけで、悪い流れに乗ってしまう。 優勝を目指すのであれば負け試合が2桁になってはいけないし そのためにはコンスタントに勝ち切る強さが欲しい。 以前に当ブログで書いた要素です。 そのために、シーズン序盤で躓いた要因でもある守備面の整備は 2010年には早急に解決してほしい題目だ。 森重真人の加入だけで何とかなるものではないはず。 長年チームを牽引した藤山、浅利がいなくなり、 さらに茂庭、佐原もチームを離れることになった。 東京イズムを継承した強固なDFラインを早めに作り上げてほしい。 そして、攻撃陣のさらなる底上げを望む。 香川も金崎も獲れず、他にターゲットがいないのであれば 大竹洋平や田邉草民のレベルアップを待つほかない。 今季は負傷続きで不完全燃焼だった中村北斗も然りだ。 個人的には、デビュー以降、もの凄く緩やかな成長を遂げている 背番号10の司令塔に、名指しで最大値の期待をよせたい。 石川が「東京は陽平のチーム」と言うまでになった。 東京のポゼッションの中心は言うまでもなく梶山で、 チーム1の技術を誇るのも、梶山である。 もっと他チームが脅威と感じる存在になってほしいし、ならなければいけない。 当ブログは来季、梶山についてはより辛口に書いていきたいと思ってます。 最後は昨年同様、 SEXY SPORTSが勝手にやるFC東京表彰式で終わって 2009年FC東京の記事を締めたいと思います。 ありがとうございました。 ●MVP 石川 直宏 ●ベストゲーム 第1位 J1第27節 磐田戦(H) 第2位 J1第29節 柏戦(H) 第3位 J1第33節 神戸戦(H) (※J1で選んでるのでこうなりますがホントの1位はもちろんナビスコ決勝です) ●ベストゴール 第1位 J1第16節 神戸戦(A)/石川直宏のゴール 第2位 J1第27節 磐田戦(H)/赤嶺真吾のゴール 第3位 J1第9節 大宮戦(H)/石川直宏のゴール(3点目) (※ホントの1位はもちろんナビスコ決勝の米本です)
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posted by tacleau7 |01:11 |
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2009J1 FC東京総括
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梶山への期待は私も管理人さんと同様です。
今年は怪我を抱えながら奮闘してくれた彼ではありますがもっと我々を驚かせるプレーができるはず、と思っています。
かつてデポルティボラコルーニャを沈めたとんでもないミドルシュートもありますし、梶山は怪我が癒えたらすごいことになるのではと期待してます。
posted by いち青赤 | 2009-12-21 03:26
2009J1 FC東京総括
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私も梶山に期待です。まだまだ、こんなものじゃないと思う。
後半に、怪我にもかかわらず、長距離の良いパスが増えてきたので、怪我をしっかり直してきて欲しいでうす。
posted by あ | 2009-12-21 09:40
Re:2009J1 FC東京総括
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梶山はユース上がりの10番
僕もずっと期待してます
ドンピシャのロングパス
弾丸の様なミドルパスやサイドチェンジ
まだ時折見せるだけですが
いつか異次元の活躍をしてくれると信じてますよ
posted by バモス | 2009-12-21 10:07
2009J1 FC東京総括
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私も管理人さんと同様、梶山選手の活躍に大きな期待をしています。
異次元のボールキープ力とボール奪取力。そして最近はアンカー役としての展開力にも磨きがかかってきました。
ホームのG大阪戦ではG・遠藤選手があきらかに梶山選手にライバル心をみせていました。グラウンドレベルでも凄みのある選手に成長した証でしょう。
相手を自分の懐に誘い込む距離で遠藤選手を上回り、闘争本能に火をつけてしまう。
梶山VS遠藤。個別の戦いという意味で、来季もこの2人の頂上決戦が楽しみです。
2010年、この2選手を擁する東京、大阪がJリーグのポゼッションサッカーを牽引していくのは当然ですよね。
(ストヤノフの広島はまた若干異なりますが…)
横浜、大宮、浦和、神戸…。猫も杓子もパスサッカーを掲げる昨今のJリーグ。まあ、やればいいさ。厳しい場面でキープできる選手がいないチームがやったって怖くはないさ。
東京には梶山がいる。オーバーですが、それだけで私は
東京が強豪チームの風格を備えていると思います。
posted by ひろすけ | 2009-12-21 16:06
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