2012年01月08日

コンちゃん。

初めて「彼」のプレーをテレビで見たのは2001年、
岡田武史監督率いるコンサドーレ札幌の試合だ。
うろ覚えだが3バックの左を任されていたはず。
だが、さしたる記憶は無い。
そこそこスピードはあるがフィジカルが格別に強いわけでもなく
守備面で強烈な存在感を放つ昨今のようなプレーぶりではなかった。
と言うか僕自身も彼のプレーを見たいがために
札幌の試合を観ていたわけでもなかったですしね。
 
次に彼のプレーに目を引かれたのは翌年のアジアユース選手権。
川島永嗣、近藤直也、菊池直哉、徳永悠平、成岡翔、阿部祐大朗。
当時の錚々たる顔ぶれの中にまた「彼」を発見した。
ボランチだったことはハッキリ覚えているが主将だったことは忘れていた。
前年の札幌で見た時と比べて、運動量の豊富さが格段に違っていた。
もちろんボランチとセンターバックでは質も量も違ってくるのは当たり前。
しかし何と言っても球際の強さであったり、
ポジショニングの良さに代表されるクレバーさであったり、
「あれ?こんなにいい選手だったっけ?」と思わざるを得なかった。
ただ、それでもU-20としては前の世代にあたる
阿部勇樹や鈴木啓太、森崎和幸や青木剛らと比べても
“地味”な印象を拭えなかったのが当時の僕の評価だった。
 
僕の見込みの無さが顕著になったのは翌年。
「彼」はFC東京への移籍が決定している中、
アテネオリンピック最終予選を戦っていた。ポジションはボランチ。
これもうろ覚えではあるが1ボランチを任されていたこともあったはず。
“獅子奮迅”という言葉がピッタリ似合うオーラ、躍動感、ダイナミズム。
U-20の時とは比べ物にならない。中盤での守備力であればアテネ世代最強。
当時のA代表ジーコ監督もすぐに招集すべき、と僕は思った。
「彼」が最終予選の日本代表のMVPであるという評価は至る所で目にした。
 
もう僕の中では「彼」という言葉で形容できない存在となった。
「彼」の名は今野泰幸。
数か月後、僕の愛するFC東京の中盤の底でも大活躍。
同年さっそくナビスコカップ制覇に貢献し、
FC東京に初タイトルをもたらせてくれた。
 
FC東京における今野泰幸のターニングポイントを3つ挙げておきたい。
1つ目は、この2004年だ。
 
 
「コンちゃん、上がっちゃっていいんだよ」
 
 
みたいな軽いノリ(?)で今野泰幸の攻撃性を発掘したのは
2004年当時FC東京の監督を務めていた原博実氏であるのは有名な話だ。
ボランチの位置からスルスルっと攻撃参加し
こぼれ球を押し込む、ミドルシュートをズドーンといった場面が一気に増えた。
それまでの今野のプレースタイルからすれば、それは考えられないシーンだった。
2006年はFC東京が下位に低迷し、
一時は残留争いに巻き込まれるなど苦戦したが
壮絶な打ち合いとなった味の素スタジアムでの川崎戦、
リーグ初優勝がかかっていたセレッソ大阪の夢を打ち砕いた最終節など、
今野の攻撃力の高さが全国区になったシーズンでもあっただろう。
そして僕の中でも「今野」ではなく「コンちゃん」が定着し始めた年でもあった。
 
 
コンちゃんが移籍してしまう ―― 
FC東京サポーターは毎年のように怯えていたものだが
その絶望に最も打ちひしがれていたのは2007年シーズンの終了後だ。
ガンバ大阪、浦和への移籍が秒読み段階となっていたストーブリーグ。
稀代のボランチを損失するという危機を救ったのはFC東京前監督の城福浩氏。
“ボールも人も動くムービングフットボール”を思い描く城福氏の情熱ある説得で
コンちゃんは東京への残留を決意した。結局コンちゃんは
城福トーキョーでも同政権のリーグ戦初ゴールを記録、
一時はチーム得点王になるなど、その存在感は増すばかり。
 
ボランチとして守備、ダイナミズムや得点力を武器としていたコンちゃんに
2度目のターニングポイントが訪れたのは2009年のゴールデンウィーク。
イマイチ調子の上がらないチームに変化を採りいれるべく、
城福氏は今野をセンターバックで起用する。
新鋭の米本拓司にポジションを奪われたという格好ではあったものの、
守備面のカバーリング能力に長け、球際に強く1対1で無類の強さを発揮し
ボールキープも前に運ぶ能力も高い今野を最終ラインに配置することで
元々ポゼッション志向の強いチームは、さらにそれに磨きがかかるようになった。
序盤の苦戦が嘘のように調子は上向き、
今野の移籍初年度2004年以来のナビスコカップ制覇。
我が世の春であった。
 
 
3つ目のターニングポイントは言うまでもなく、
2010年12月4日の西京極。
 
FC東京はJ2に降格することになった。
この頃のFC東京には「自分のせいで降格したんだ」
と考える選手が何人かいただろう。
中心選手である今野も同じような責任感を抱いていたに違いない。
今をときめくザックJAPANのDFリーダーは
引く手数多の移籍話をまたも断り、
2011年、J2のFC東京でプレーする意思を早々に表明してくれた。
 
「東京はJ2で勝って当たり前」「1年でJ1に戻って当たり前」
周囲のプレッシャーはサポーターの想像以上に今野を蝕んだ。
さらにキャプテンマークを任されるようになったこともあり
前年に一世を風靡した「あ゛つ゛ま゛れ゛~」的なキャラは影を潜め
いわゆる優等生的な発言をすることが増えていった。心境の変化が伺えた。
 
最近はあまり聞かなくなったが、
FC東京で今野がセンターバックにコンバートされた当初は
「今野はボランチが適性ポジション」という意見が絶えなかった。
「高さが無い」「センターバックにしては前に出過ぎ」等々
他クラブのサポーターや評論家は口々に言っていた。
だが、ひとこと言わせていただけば、
昨年のコンちゃんに関してFC東京サポーターが
「高さが足りないなぁ」とか「もっと後ろで構えててよ」などと
不満に感じた瞬間などないのではないだろうか。
低迷した2010年も、J2からアジアへの道を開いた2011年も
「今野がいなければ今のは失点していたなぁ」と感じたのは毎度のことであったし
今野がいなければFC東京の失点数は2~3割増であることは間違いないだろう。
それよりも何よりも、イタリアのビッグクラブの監督を歴任した
日本代表ザッケローニ監督が、田中マルクス闘莉王や中澤佑二の
コンディションが上がっても、なお今野を起用し続け、
毎試合先発フル出場させていることが全てを物語っている。
今野自身もテレビのインタビューで「今はセンターバックを極めたい」
とハッキリ語っていた。
 
 
今月で29歳になる。
サッカー選手としては最も脂がのっている時期だ。
そこで「タイトルを取れるクラブでもう一勝負」と考えるのは
プロフェッショナルとして当たり前。
むしろ、そんな時期に上から数えて2部のリーグに1年も身を置いたことは
自らのキャリアに傷をつけることになってしまう。
それでも2011年、コンちゃんはFC東京でプレーしてくれた。
クラブをJ1へ復帰させるために尽力してくれた。
サポーターとしては嬉しい限りであるが
それはコンちゃん自身の「ケジメ」でもあったはずだ。
“J2に落としたまま愛着のあるクラブを移籍する”
いつかキャリアを終えた時に滲み出る後悔の傷、
それこそがプロサッカー選手・今野泰幸が一番逃れたかったものだと考えたい。
 
ACL出場権を獲得した夜、
サポーター約5000人を前に行われた天皇杯優勝報告会。
同じ釜の飯を食べたルーカスや谷澤達也とじゃれ合う姿も見せつつ、
キャプテンとして報告会最後の挨拶を担当。
「何も言えないんだけど」とボヤキつつ、何をどうしても
「1年間ありがとうございました」の一言しか言わなかった。
確かに移籍の問題があるので「2012年も東京で・・・」とは言えない。
というかそこまで言えないと分かっているサポーターも少なくない。
2011年の簡単な総括であれば差し障りないのだから
もし、これが青赤軍団との今生の別れとなるのなら
もう少し言葉数を多くして締めくくってほしかったのが僕の本音だ。
だが、こうも思う。最後までコンちゃんらしいな、と。
 
 
FC東京が世界に誇る傑出した個を取り巻く
このヤキモキした空気は、アジア進出の権利を得た日から
1週間という期間は長すぎたのか、もう慣れてしまった。
まな板の上の鯉は、いつ包丁を入れられても構わない心境にいる。
栄光の元日から1週間が経っても
在阪の青黒軍団への移籍の正式発表は、未だない。
向こうさんは監督人事で迷走した。
黄金期を支えた主力たちが一挙に去り、チームは変革の時を迎えている。
日本のDFリーダーとはいえ、そんな難しい時期にあるガンバ大阪に
外様の一選手がひょっこり移籍して、チームは戦えていけるのかと。
都合良く青赤な管理人はそう考えてしまう。
8年間の感謝の気持ちを伝えようと、いくら単語を並べたところで
彼の功績に見合う言葉は見つからない。
「ありがとう」を幾つも並べたところで空しいだけだ。
あの、限りない才能をもっと引き出せるクラブがあるのなら
いつか東京を出ていくことは覚悟していた。
今放出をしなければ2012年シーズン終了後はフリー移籍となる。
東京もプロのクラブとして採算は合わせないといけない。
年齢的にも、能力的にも、時期的にも、
プロとして出ていくなら確かに今だ。百も承知。
 
 
  
コンちゃん、残って下さい。
2012年もまた青赤のユニフォームをまとって
J1で、アジアで、いつもの鬼のようなボール狩りをしてください。
我々はいつもこんな調子でコンちゃんを東京に引き留めてきました。
海外に行くチャンスもあったでしょう。
3度のカップタイトル以上にもっとタイトルを獲れるチャンスもあったでしょう。
しかし貴方の尽力もあってFC東京も変われそうです。
J2で地道にベースを築き上げました。
勝つためにすべき努力の方向性を突きとめました。
その結果の天皇杯初優勝です、アジア進出です。
その中心にいたのはコンちゃんです。
僕たちはコンちゃんと共にビッグクラブへの一歩を踏み出したい。
コンちゃんのいるFC東京で強くなりたい。
コンちゃんと共に強くなりたい。
まだ、ゴール裏でシャーをやってないじゃないか。
こんなに長く在籍してるのにそんな選手はコンちゃんしかいない。
タイトルを獲って、一緒にシャーやりたいんだ。
 
 
これはFC東京サポーター、本当に最後の悪あがき。
コンちゃん、残って下さい。
 

posted by takuromt |12:48 | ■ FC東京2011 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2011年11月08日

FC東京観戦記2011 其の八 ~低く重い悔恨の響き~

 
お仕事の片手間でテレビ観戦した湘南戦。
とにかく勝って良かったです。
 
今日発売のエルゴラで大熊監督のコメントとして
「これだけいっぺんにいなくなるのは
ちょっと想像できなかった」と載っていたのには
今さらながら怒りを通り越して飽きれてしまった。
「最悪の状況を想定してチーム作りを考えるのが監督の仕事」
とは僕の尊敬する野球人・野村克也監督の言葉。
今野のいない時に徳永をスライドさせたり、
アップ中に足を負傷した塩田を痛み止めの治療を施して
強行出場させたり、アマチュアチームが相手のカップ戦で
ベストメンバーを揃えたりする人には、
その言葉の真意さえ一生わからないだろうな。
「目の前の試合のことだけ考える」とはスポーツ選手への
インタビューの常套句だが、監督という職業に限れば
その台詞をそのまま受け入れることは容易ではない。
未来のチームのことも考えるのが当たり前。
だから今オリベイラ監督は柴崎を辛抱強く使っている。
ネルシーニョはサブの選手を決して腐らせず刺激を与える。
そのため先発で使う時に双方が自信に溢れている。
対して、こういう状況にならなければノースや下田を使えない。
危機管理能力の無さが浮き彫りになった湘南戦への大熊采配は
やはりJ1を任せられるものではない。それがよくわかった。
 
下田はとにかく固かった。固い割には目立ったミスもなく及第点。
それ以前に固さが出るとか自信を感じないのは
監督のリードミスですよ。
ノースに関しては駒沢での愛媛戦同様、何ら問題はなかった。
なぜいつも徳永のスライドで誤魔化しているのか?
 
 
せっかく激戦を制したのだから愚痴を言うのはこれくらいにして・・・。
 

手前味噌ではあるが当ブログでは「ルーカスは疲れ気味だから
セザーを先発で」と前から言っている。
だからセザーが大活躍することに驚きはない。
にしても、昨日は本当によく決めてくれた。
とくに2点目はゴラッソ。マジでオブリガードです。
 
そして2点目と言えば、北斗の鬼気迫るドリブルである。
あれです。あれをずっと見たかったのです。
U-20の時に“右サイドでの馬力の強さは徳永と双璧”
と絶賛した中村北斗がやっと見られた。
湘南戦ではクロスもいい所に来ていたし、
珍しく(?)フリーキックも綺麗な無回転だった。
以前「来年の東京にいなくても驚かないぐらいのレベルです」
と書いたことは謝ります。
 
 
湘南戦では、いろいろと印象に残るシーンはありましたが・・・
やはり後半30分でしょうね。
非常に悔しい。本人もそうですがサポーターとしても同感です。
 
 
本人とは、もちろん森重真人のことです。
 
 
「あいつ(森重)はいつもやっている。
彼が成長するためにもやっちゃいけない」
(名古屋DF 闘莉王)
 
「とても汚いプレーをする。大分の時からずっとそうだった。
もっと相手をリスペクトする責任がある。そういう姿勢を学ぶべきだ」
(名古屋 ストイコビッチ監督)
 
 
将来のDFリーダーと期待しているから東京に移籍して以降注視しているが
思っていた以上に足元の技術が高く、セットプレーは強い。
反面、意外とスピードはなくマーキングも集中が切れがち。
何よりファウルで止めることが多い。
手癖も非常に悪く、スマートなディフェンダーではないと感じた。
大分の頃は3バックの真ん中、いわゆるスイーパーというポジションである。
現代サッカーにおいては、ほぼ絶滅品種と言っても過言ではない役回り。
2トップが多いJにあっては2人のストッパーにマークを任せておいて、
ゴール前でゾーン的に危険なスペースをカバーする、もしくは
ブロックを掻い潜って飛び込んできた選手を捕まえる、といった作業。
堅守を誇った“カメナチオ”の中でも、それほど汚れ役ではなかったわけだ。
そのツケを4バックの中央を任されるようになった昨年の東京で払うことになった。
昨年リーグ制覇を成し遂げた闘将と名将に指摘されるのも仕方なく思えた。
 
2011年、森重は変わった。
確かにJ2というカテゴリーではあるが試合を追ってムラはなくなっていった。
公式なメディアでのコメントを聞いたかどうか定かではないけど
森重の中で意識改革も行っているらしい。今年は全試合出る、と。
累積警告は湘南戦前の時点で3枚。
あと5試合。
あと5試合に出て昇格を決めることが彼流の償いの仕方だった。
昨年、思う以上に活躍できず、降格の一因となってしまった自分なりの償い――。
 
 
ドリンクケースをぶつけられた集音マイクが拾った音は
何ものにも代え難い、低く重い音だった。
 
 
湘南戦の後半30分。
谷澤達也の仕掛けからロベルト・セザーが先制点を決めたわずか2分後のこと。
永木亮太の突破を羽生直剛がペナルティエリア内でファウル。
PKの判定となったがスローVTRを見る限りは
ボールへ行っているプレーと感じることもできる極めて微妙なジャッジである。
森重は、主審へ真っ先に抗議に行った。
自分はテレビ観戦だったため何を言ったかも分からなければ
どんな雰囲気だったかも分からない。
だがリプレイから画面が切り替わった時には既に森重に警告が与えられていた。
まさか警告を受けるとは思っておらずドリンクを飲んでいた森重は
誰かにそのことを報告されたのだろう。
「えっ、今ので俺に警告!?」という顔でビックリしていた。
すべてを察知した権田がすぐに森重のもとに駆け寄り
「気にするな」という感じでなだめていたのが印象的だった。
 
だが昨年の降格から様々なものを背負って戦っていた森重は
プッツリと糸が切れた凧のように、気持ちが途切れそうな表情。
それでも、すんでの所でメンタルを持ち堪えようとした彼がした行為が
手に持っていたドリンクケースを地面に叩きつけることだった。
そうでもしなければ今シーズンはおろか、
残りの15分間さえまともに戦うことはできなかったかもしれない。
もちろん、イエローカードを提示した審判のジャッジへの不満の表れではない。
今年の森重が個人的に継続していた努力が報われなかったことの悔しさのためだ。
 
次節、ホーム味スタで行われる水戸戦。
FC東京が勝利すれば、札幌と徳島の結果如何でJ1復帰が決まる大事な一戦。
そんな大事な一戦に、全試合出場を心に誓った男が
タイミングの悪いことに累積警告で出られない。こんなに悔しいことはない。
当然ながら今野泰幸は日本のDFリーダーを務めるべく東京に不在。
今年の堅守を支えた今野・森重の2枚看板を欠いての水戸戦となる。
ノースは及第点である。その相方は吉本一謙か、柳楽智和か。
徳永悠平の回復待ちか、それもと高橋秀人のコンバートか。
現指揮官の考えは分からないし、理解もし難い。
ただ1つ言えることは、これほどまでの森重の想いを
代わりに背負える人材が抜擢されるべきである。
 

posted by takuromt |01:10 | ■ FC東京2011 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年11月01日

FC東京観戦記2011 其の七 ~スピードスターと呼ばないで~

 
今年の初夏の頃、ガイナーレ鳥取の試合を観た。
試合を観たと言っても、その時はCS放送のハイライト番組だったので
すべてを観たわけではないが、
途中出場した岡野雅行のプレーを1つのトピックとして取り上げていた。
右サイドでボールを受け、マークに来た相手をワンフェイクから
ドリブルで抜き去ろうという所。結局クロスが相手DFに当たり
コーナーキックになったシーンだったので、
わざわざ取り上げる必要性のあるシーンだったかどうかは微妙ではある。
それでも岡野らしいプレーではあるし、編集者の意図も感じる。
大ベテランとなった彼のプレーは、そう簡単にお目にかかれるものではない。
オールドファンには少し郷愁に浸れる場面と言えただろう。
 
・・・と同時に少し寂しくもあった。かつてはJはもちろん
アジアの舞台では向かう所敵無しだった岡野のスピードだが
今やそれだけでは相手DFを抜き去ることは出来ない選手になっていた。
“野人” も来年で不惑の年となる。衰えは隠せない。
 
 
最近はサッカーゲームでも1つの特殊能力として持てはやされる
「スピードスター」というキャラクター。
確かに若い世代であれば、それは武器となろう。
だが30台に突入し、ベテランと呼ばれる世代になれば
スピードだけで生き抜いていけるほどプロの世界は甘くない。
 
僕が欧州サッカーを見始めて一番最初に好きになった選手が
マンチェスターユナイテッドのライアン・ギグス。
スピードスターを飛び越えたドリブルの切れ味ゆえに
「ジャックナイフ」の異名をとったギグスも
負傷の多さから30代近くになるとスピードのキレがなくなっていった。
だが彼はスピードと引き換えに試合の流れを読む判断力、洞察力を研ぎ澄ませ
決して多くない運動量を効果的に活用する術を身に付けた。
そして元来のベースとして持つ正確なスキルとパス精度を前面に押し出し
欧州で最もハードワークと強靭なフィジカルを要求されるプレミアリーグで
35歳を過ぎてセントラルMFとして活躍するまでになった。
 
 
スピードが速ければ、相手選手が置き去りにできる強みがある。
だがピッチ上には、スピードが遅くなければ見えないこともある。
ほんの少しでいいからギアを落とすと、見えてくることがある。
 
 
2002年のFC東京加入以降、石川直宏はチームの顔である。
右サイドでワイドに開いた彼にボールが渡る。
右足でボールを運ぶ。徐々にスピードが上がっていく。
そのリズムはカモシカに形容できそうな、ピョンピョンと極めて軽快。
時折左半身に力を入れフェイクを入れつつ、
両足はまるでダンスを踊るが如く軽やかで、それでいてギアはトップに入る。
スタジアムのボルテージも石川のドリブルと比例して湧き上がる。
その刹那、ボールを大きく蹴り出し
気が付けばディフェンダーをぶっちぎっている。
東京の右サイドでは日常茶飯事的なシーンだ。
僕もにわかサポの頃はナオのドリブルをお金を払って観に行くことが何度もあった。
 
今年の石川直宏は度重なる負傷の影響でベンチスタートの日々が続いている。
それでも後半15分過ぎに投入されることの多い今シーズンの石川は
少ない出場時間ながら右サイドで変わらぬプレーでサポーターを魅了している。
昨日のダービーでもそうだった。
しかし・・・である。
石川直宏は本当にこのままでいいのだろうか。
“スピードスター”の肩書きそのままのプレーでいいのだろうか。
 
2009年。奇しくも石川直宏がベストシーズンを送った時は
彼が“スピードスター”とは言い難いシーズンでもあった。
元々、自らのプレースタイルに行き詰まりを感じていた彼は
前年に就任した城福浩監督と共にプレーの幅を広げようとしていた。
結果、右サイドに張ってドリブル突破の一点張りではなくなった。
チームとして効率よくボールを保持し、効率よくボールを運ぶために
彼自身も効率よくボールを受けられるポジショニングを学んでいった。
時に中央でボールを受け、時に左サイドへ進出したかと思えば、
時に最前線で相手DFラインの裏をとる動きまで見せる。
完全にセカンドストライカーのポジショニングである。
プレーエリアを広げると同時にシュート精度も向上した。
これまでのように闇雲にトップスピードを駆使してサイドを駆け上がるのでなく
70%前後のスピードを維持しながらボールを運ぶドリブルを多用した。
速さを緩めた分、おそらくはこれまで見えなかった景色が彼に見えたはずである。
それ以上に右ワイド180度のアングルから解き放たれたナオのプレーには
さらなる躍動感が伴い始めた。極めて個人的な意見ではあるが
第16節、アウェイの神戸戦で決めたゴールは
石川直宏史上最高難度のゴールである。
左サイドの羽生直剛から少し強めのパスを右足でワントラップ。
その瞬間「スペース」と呼べるものは無かった。
石川にボールが入るや神戸守備陣6人がワッと石川を囲んだからである。
それでも絶妙のトラップで絶妙の位置にボールを落とした石川は
ダイレクトで左足を振る。「振りぬく」と表現するのは少し違う、
少し弾んだ球を左足の甲の上に乗せてから強く振る、というのが一番近いか。
パワーは二の次でインパクトを重視したシュート。
例えメッシやルーニーでもなかなか同じゴールを決められないような
シチュエーションでのゴール。しかも左足。
「ブレイク」とは思いたくなかった。「完成」だと信じたかった。
だが、前述のギグス同様、ケガが多いのも石川直宏の特徴。
2009年ではリーグ戦15ゴールを決めながら、
第29節柏戦、15ゴール目を撃った直後に大谷秀和との交錯で
左ひざの靭帯を損傷し、長期離脱。石川にかけられた魔法は解けた。
 
昨年も、今年も、2009年の石川と比べると
プレーのクオリティは寂しい。特に大熊監督就任以降は
以前のサイドアタッカーへ完全にマイナーチェンジ。
完全復調への足掛かりのために本人があえてそうしているのか
指揮官がそれを求めるのか、定かではないが
(おそらく後者だと思うが・・・)
あの完全無欠のセカンドストライカー石川直宏の面影は微塵もない。
 
 
ダービーで勝ち点3を取れなかった理由は幾つかある。
一番のポイントは、15日で5試合という過密日程にも関わらず
累積警告の今野泰幸以外で先発メンバーを代えなかった結果、
球際の争いで劣勢に立つことになった大熊采配だと思うが
もう1つのポイントは、縦の動きを重視し過ぎることだと思う。
(それも大熊采配と言ってしまうこともできるが)
 
最近の東京はイーブン以下の状況で後半を迎えると
4-2-4みたいな中盤を無視して
前線に人数をかけるサッカーに終始してしまう。
試合後の会見で監督は「後から出た選手がもう少し落ち着いて
サイドを突いてくれると攻撃の厚みが増した」と語ったが、
ナオに続いて、坂田大輔、ロベルトセザーというカードを
切っている所を見ると、ナオに不満をお持ちのようで。
(坂田とセザーはサイドが主戦場じゃないしね)
しかし個人的には縦への意識が強すぎて、
斜めや横の動きに乏しい気がする。
そんな悪癖は大概後半に現れるのだが、後半の東京と言えば
羽生さんが途中交代することで有名である。
東京で唯一、縦・横・斜めに変化を付けられる羽生さんが
いなくなるのだから攻撃が停滞するのは当然。
羽生がいなくても90分通じてこういう変化を与える選手が欲しい。
というわけで石川に期待してしまうのだ。
羽生ほど守備面での貢献は期待できないだろうが
攻撃に厚みを加える手として、これ以上の手は無い。
1トップのルーカス(セザー)の後ろにナオ。
城福前体制でも一度試してほしかった配置である。
平山の1列下にナオ。ナオの攻撃性が存分に生かされると思うんだが・・・。
 
最近、一部サポーターに「テンプレ交代」と揶揄されている大熊采配。
後半15分を過ぎると、決まって一番最初に田邉草民を下げ、
決まって一番最初に石川を入れる。草民が良くても、いつもそう。
ナオはビルドアップ時よりもゴールに近い位置で違いを見せられる選手だ。
それに対し草民も緩急自在のドリブルをゴール前で披露するのが持ち味だが
梶山陽平とルーカスの間で羽生と共にもう1つの攻撃の起点となる役もできる。
さらに言えば谷澤達也も、永里源気も、坂田大輔も、
強みを出せるのは、石川同様よりゴールに近いエリアである。
だから羽生交代以降の後半の戦いが前線にイケイケドンドンになりがちなのだ。
その流れに良い意味でナオも乗ってほしくない。
 
それよりも何よりも、今のFC東京をどうこう言う以前に
石川直宏のプレーを1年でも、1試合でも、1分でも長く観たい。
そのためにスピードに頼ったプレースタイルで留まってほしくない。
イメージ的には変幻自在のポジショニングでゴールを量産した森島寛晃。
海外で言うとラウールや若かりし頃のユングベリ等々。
右へ、左へ、真ん中へ。
2年前の絶頂時、魔法の続きをまた見せてほしい。
バイタルエリアが彼のために存在したかのようなあの活躍ぶりを
もう1度再現してこそ、石川直宏の本当の復活。
だから、当ブログではあえて言う。
石川直宏を「スピードスター」と呼ばないで。
 

posted by takuromt |00:13 | ■ FC東京2011 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年10月27日

FC東京観戦記2011 其の六 ~ 一本調子 ~

 
次は大事なダービーだから気持ちを切り替えてほしい・・・
という当然な気持ちは持ってはいても、
やはりダービーの前だからこそ、いろいろと思う。
ダービーさえ勝てば何を失っても許されるわけでは
もちろんないですからね・・・。
 
今年、このブログでFC東京のことを書く時は
大概が負け試合のレビューです。
ここが悪い、あそこをもっとこうしないとダメ・・・
ネガティブでしょうが、仕方ない。
やはり現監督ではJ1でも勝てません。
それを痛感した大分戦でもありました。
ダービーに気持ちを切り替える意味で、
ここでスッキリ思いの丈を叫んで、ぐっすり寝て、
木曜からダービーモードになるために、しばしのお付き合いを。
 
 
まず、いきなりの名指しで恐縮ですが、中村北斗くん。
貴方については、ただただ残念でありません。
 
「相手は中に攻め残っていたけど、逆に外はフリーになれる場面が多かった。
 だからできるだけ早めに上がりたかったし、
 ボールが出る前から高いポジションを取るようにしていた。
 最後の失点は、勝ちにいこうとしたから。コーナーも取れていたので
 もっと攻め切ってプレーを終わらせる事を徹底できればよかった。
 個人的には少し久しぶりでボールがなかなか足につかなかった。
 1本いいプレーができればと思っていたんですが・・・
 全体が見えていない場面もあったし、見えていても足元にボールが
 入りすぎて出せない場面もあった。何もないまま終わった。
 またしっかりと練習しようと思いました」
 
残念ながらサイドバックのコメントではないですね。
左なら情状酌量の余地はありますが、右であの機能不全。
身体がキレていない。ドリブルで抜け切れないのに
敵のブロックに近い「高いポジション」を取って、
ピッタリマーク付かれて、クロスを上げられない。
「フリーになれる場面」というのを大事な所で生かせていない。
クロスもただボールが来たら上げるだけで、
速いボールかふんわり系か、ハイボールかグラウンダーか、
使い分けも工夫も全く無し。
それ以上に腹立ったのは後半半ば。
オフサイドポジションにいるにも関わらず、だらだら歩いて戻る。
こういう選手から代えるべきなのに。
「ボールが足につかなかった」以上に、
久々の先発だ!という気概を感じない。
「またしっかり練習しようと思いました」って高校生か!
 
左に椋原を使っている以上、左からの効果的なクロスというのは望めない。
しかも今日は徳永が今野の代わりにCBに入っているから
なおさら右サイドからのクロスは重要だったのに・・・。
北斗はちょっと厳しいですね。
はっきり言って来年の東京にいなくても驚かないぐらいのレベルです。
 
 
そして羽生さんの件。
御存じの通り、FC東京の攻撃の中心は羽生さんです。
彼の動きが潤滑油なのです。
しかし鳥栖戦もそうでしたが、彼がピッチを退くと
たちまち東京の得点の匂いは薄くなります。
 
今季序盤、1トップに入っていたのはロベルト・セザー。
ゴールを向いたら良い仕事をする選手。ドリブルで持ち出せるし、
馬力も申し分ない。シュートは右足のみでもバリエーションが豊富だし。
サイドに出ても起点になれるし、
そこからカットインしてシュート、のパターンが真骨頂。
そんな時にセザーをサポートしたり、セザーのスペースを作ってあげたり
セザーのいない中央で起点となるのが羽生さん。
FC東京にセザーがフィットできたのは羽生さんの心配りがあったからこそ。
 
そんなセザーが負傷離脱した夏場、代わって1トップに入ったのがルーカス。
セザーほどガチャガチャ動かないし、縦への推進力もないけど、
ボールが収まるし、周りの選手を生かせるから、繋ぎ倒すスタイルに合う。
足元の技術の高さはJ2反則レベルに等しく、
ダイレクトでポンと出せるから、すぐ近くにいる羽生さんとの距離感が攻撃に生きる。
 
つまりセザーもルーカスも、フィットしたのは羽生さんの貢献が高い。
にも関わらず大分戦でセザーに代わってベンチに退いたのが羽生さん。
セザーはゴール数に応じたインセンティブ契約でもしているのでしょう、
少ない時間でゴールを決めようと、周囲が見えなくなってしまう。
個人で打開できるけど周囲との連動ができていない。
 
で、セザーとルーカス2人が揃ったシステムというのも
セザーが負傷離脱していたこともあって、実は全然やってない。
最近では横浜FC戦からスタメンのルーカスと途中出場のセザーという関係で
3試合続けてピッチに立っているが、3試合とも苦戦している。
さらにさかのぼってセザー離脱前。2人が同時にピッチに立ったのは
21節・岐阜戦、22節・熊本戦、23節・北九州戦の間の3試合のみ。
岐阜戦と熊本戦は試合が決まっている状態でのルーカス投入だったし、
熊本戦に限れば羽生との交代である。北九州戦は後半16分にルーカスが投入され
3人が比較的長くプレーした数少ない例だが
攻撃が中央渋滞を起こして北九州にアップセットを喰らった試合でもある。
 
羽生がピッチにいる間に先制点を奪い、リードした状況で
セザーorルーカス投入の流れじゃないと勝ち切れないのが今の東京。
(セザーやルーカスも別にカウンター要員ってわけじゃないのに・・・)
羽生以外で攻撃に変化を付けられる選手がいない現状。
その存在であるはずのルーカスもセザーとのコンビがしっくり来ない状況。
改善の余地があるのはこの辺りでしょう。
 
大熊監督は試合後の会見で「DFラインの裏に出すパスの精度なり、アイデアなりを
もう1ランク上げなければいけない」と言っていますが、
これは負けた試合の会見で必ず言うフレーズ。進歩がないということでしょう。
その後に「狭いスペースであってもGKとDFの間に繋られるようにならなければいけない」
って続けて言ってるのは意味が全くわかりません。
狭いスペースを広いスペースに変える努力を感じません。
 
という事で言うと石川ナオの試合後のコメント。
「真ん中でコントロールしている選手たちは僕たちを上手くコントロールしてほしいし
僕たちは動き続けて選択肢を増やしていくしかない」
そうです。やっぱりあの“王様”です。彼が一皮むけにゃいかんのです。
結局そこなんですよねー。
 
ただそれ以前に大分戦は大熊采配ですね。やっぱり。
最初の交代は田邊草民⇔石川直宏で後半9分。1-1の状況でした。
うーん、今日の草民良かったと思うけどなー。
梶山の前で起点になれる動きが出来ていたと思うし、ボールも収まった。
トリッキーなドリブルに大分DFは結構嫌がっていたと思うんですが。
実は草民が先発した最近6試合は全てナオとの途中交代なんですよね。
何なんでしょうか、その一本調子な交代術。
単純に良い動きをしている選手は代えるべきじゃないでしょう。
1-1なんだからそんなに急ぐ時間でもないし。
結果論と言われればそれまでですが、代えるなら谷澤だった。
良い時の彼は梶山以上にスルーパスを出せる。でも今日はドリブルのみだった。
 
で、その8分後に羽生⇔セザー。チームの潤滑油を諦める。
右に北斗が張り出しているからナオは中に入ってくる。
だからシュートは打てるけどドリブルでアクセントを加えられず。
大分のブロックを突き動かす裏への動きも無くなる。
セザーは連携ゼロ。ルーカスは窮屈そうなプレー。
谷澤が疲れて永里と交代するのが後半39分。
永里に何ができるのか。そもそも最近の交代はいつもコレ。
ナオ入れて、セザー入れて、勝ってる時は3枚目が坂田。
イーブンの時は永里。・・・その使い分けは何なのさ。逆の可能性ないのかい?
 
辛口なことを言うが、永里源気という選手を何試合か観ているが、
個人的に彼のストロングポイントが全く見えない。
彼のどこにお金を払って観る価値があるのか未だ判明しない。
坂田には一発がある。途中出場で流れを変える雰囲気を持っているし、
役立つかどうか分からないけどヨーロッパでの経験もある。
でも熊さんは大事な場面で永里を使うんだよなぁ。
 
永里は左に張った位置から中に切れ込んでシュートってのがあるみたいだが
それはセザーにも出来るしね。だったら貴重なレフティ上里を入れて
左サイドの攻撃をテコ入れするという手があってもいい。
でも上里も勝ってる状況の後半35分ぐらいにボランチへ入れて
梶山をトップ下に上げるみたいな使い方しか熊さんはしない。
本当に勝ちに行く気持ちがあったなら両サイドバックのどちらかを代えて
上里を入れるぐらいのベンチワークじゃないとピッチには伝わらないよ。
ただでさえ、交代のカードとタイミングがいつもと同じなんだから。
 
「うーん、ダメだな。ナオ行ける?」
「前の迫力がないな。セザーだ」
「●●が疲れてきてるな。永里入れよう」
 
というか上里をどういう状況で使うためにベンチにいつも置いているのかが疑問。
熊のベンチメンバーの選び方は、みんなリードしている時を想定して
使い方を選んでいるような気がしてならないんだよなー。
上のような考えをしている時に上里の選択肢は無いのだろうか。
左サイドにレフティを入れて攻撃に幅を持たせようという考えが。
もっと言うと最近の状況で鈴木達也のベンチ入りは無いんでしょうか。
ベンチに入れる選手の選択は再考してほしいな。
 
 
で、負けられないダービーです。
 
1つ思うのは、一度引退して再登板のルーカスはちょっと疲れてるかもしれません。
セザーとルーカスを比べて、途中出場でより多くチームに貢献できるのは
おそらくルーカスでしょう。
スタートからセザー1トップの配置に戻してみるのも良いのでは。
セザーも先発であれば攻め急ぐことなくゴールに向えるでしょう。
早いうちに1点取れば、周囲を生かすことも考えるはず。
特に前回の緑戦では2度の警告で退場しているセザー。
ダービーと聞いて思うところもあるでしょう。その心意気を買うのも1つの手。
それで攻撃に行き詰った時、
攻撃にアクセントを加える存在としてのルーカスをベンチに残すという。
 
そして言い方は悪いが、羽生、草民、谷澤の2列目で誰を最初に下げるかの選択。
羽生は攻撃になくてはならない存在ですが、仮に羽生を交代させるとして、
羽生の動きを一番体現できる選手は、意外とナオである。
もしくは良い時の達也。
低い位置でのビルドアップなら草民や谷澤でも出来る。
なのでナオや達也に相手のブロックを広げる動きや
セザーやルーカスを孤立させない動きをしてもらう。彼らはそれぐらいの気が利く。
その中で彼らの特長でもあるゴールへの推進力を出してほしい。
この動きを永里ができるなら良いのだがそうは見えないのが現実。
あとは坂田の一発にもう少し賭けてみてほしい。 
 
 
うーん、ちょっとだけグチグチ言おうと思ったけど、もうこんな時間だ。
明日からは引きずらず、綺麗さっぱり忘れて、ダービーモードに入ります。
  
あとマエシュンは、なんか大分のロナウジーニョみたいな感じですね。
 

posted by takuromt |01:56 | ■ FC東京2011 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2011年10月03日

FC東京観戦記2011 其の五 ~東京はビッグクラブの道を歩むべき~

 
徳島とのアウェイ戦をスカパー観戦。
 
現地組の皆さま、お疲れ様でした。
ナオのゴールが決まるまでは、本当に胃がキリキリする展開が
続いたかと思いますが、こういった戦いは
J1へ上がったら上がったで、より増えること確実ですので、
逆に良い勝ち方だったと個人的には思います、はい。
もちろん課題も多いわけですが・・・。
 
 
今回は取り立てて徳島戦の振り返りに文字数を費やすのではなく
FC東京の行く末について意見を述べます。
 
 
■ FC東京の今のサッカーではJ1で優勝できない
 
 
「悪いなりにも勝つ」という試合は、
J1時代のFC東京には、あまり見られなかった勝ち方だ。
だから徳島戦のような相手に主導権を握られ続けた展開の試合で
セットプレーとカウンターから勝利をもぎ取ったことは
かなり評価したい。(もちろん「徳島なんぞにポゼッションで負けおって」
という声もあるかとは思いますが)
 
ただ、個人的に大きく問題視したいのは、永里の先制点以降、
石川が試合を決める追加点を決めるまでの試合の進め方。
とりわけ後半の戦いぶりだ。
4-2-4。
今ヨーロッパで俄かに流行り出していると噂の攻撃的システムだが、
東京の場合は意図的に“そうしている”のではなく、
相手の圧力によって、もしくは相手のペースにハマって、
“そうなってしまっている”ことの方が多く、
今シーズンはもちろん、2007年の第二次原政権あたりから
毎年のように散見される悪癖だ。それが徳島戦でも出てしまった。
前線と最終ラインが間延びし、中盤がなくなってスカスカになり
相手にどうぞカウンターしてくださいと言ってるようなものですよ状態。
しかもビハインドの状況で起こる事態ではない。
1-0で勝っているチームが起こすから性質が悪い。
常勝チームのやることではない。
 
この問題の根本的な部分は、前述の2007年から下部組織出身の
“王様”が中盤の底に君臨するようになったことに起因すると僕は思っている。
王様の相方が今野泰幸であれ、米本拓司であれ、高橋秀人であれ、
結局このような悪癖を露呈し続けるということは、
王様にさらなる献身性を身に付かなければ、到底消化できる課題ではないのだ。
それが無理なら指揮官が植え付けられるように指導しなければならない。
だが、それが出来ない以上は、ハッキリ言って現監督も不合格である。
あれだけ「原点だ」「切り替えろ」「球際で負けるな」「走れ」
と怒鳴っているのに、10番の本質が変わらず、
4-2-4に“させられてしまう”ならJ1では勝てない。
J1で勝てない監督は東京に必要ないのだ。
 
 
そこで今回、当ブログが本当に言いたいこと。
“FC東京がJ1で優勝するベースは今、作れているのか?”
 
 
近年J2から昇格した広島、セレッソ、柏は
しっかりとしたプランニングでJ2を戦い、
J1でも優勝争い・ACL枠争いに加わる成長を遂げた。
 
広島はペトロビッチ監督の下でポゼッションサッカーを突き詰め、
攻撃力ではJ1で誰もが一目置く存在になった。
セレッソは香川真司、乾貴士、家長昭博に清武弘嗣ら、
創造性豊かな2列目の選手を軸とする、
アグレッシブな攻撃サッカーという土台は変わっていない。
そして、その2チームと同じベクトルで進んでいるのが柏だ。
ネルシーニョ監督の緻密なスカウティングに裏打ちされた守備戦術をベースに
相手の良さを消しつつ、突出したブラジル人選手を中心とした
速攻と遅攻を巧みに使い分けるサッカーでJ1優勝争いを賑わせている。
来季のACL出場も射程圏内だ。
 
 
僕はFC東京にも、彼らと同じ道を辿ってほしいと思っている。
そのためのJ2での1シーズンになってほしいと願っている。
しかし、どうだろう。やっているサッカーにはまるで進歩が無い。
同じミスを繰り返し、同じ悪癖を露呈する。
今のサッカーからJ1戦線への大いなる可能性は見いだせない。
 
 
■ FC東京はなぜJ2首位に立てているのか
 
 
半年近くJ2を観察した。もれなく全20チームの試合に目を通すことができた。
J2の順位上の差はどこから生まれているのか?
個人的に思ったことをまとめてみる。
 
何と言っても個の能力の違いが順位の違いを生んでいると思う。
まずはバックパスの不手際や、センターバックとGKの連携の不一致など、
守備陣の信じられないようなミスをよく見た。これは14位の草津以下、
最下位の岐阜までの7チームで自分が一度は目にしたものだ。
手厳しい言葉で表現すると「それでもプロなのか」というようなミス。
それではハッキリ言ってJ1に上がる資格は無いと言えよう。
J2下位に沈むのも致し方ない。
そして、J2全チームに言えることだが、どこもよく走る。
最下位の岐阜もそうだが、ロングカウンターで自陣ゴールから相手ゴールまで
猛ダッシュなんてザラ。本当によく走る。
しかしオシムさん的に言うと「考えて走る」ということが出来てないように映る。
もっと効率よく走れば結果は付いて来るのではないかな、と。
(北九州はその辺を改善してこその、今の順位なのかなと個人的には思います)
 
 
そして8位・北九州から13位・草津あたりまでの中位クラス。
ここに留まってしまうポイントとしては攻撃面の問題、特に個の力だ。
まず、ボールホルダーの判断力。
ドリブルか、パスか、シュートか。
パスなら前なのか横なのか縦なのか、そして誰に出すのか。
これらの判断が悲しくなるくらい悪い。
「えっ、そこで撃たないの?」「えっ、あっちにパス出してれば・・・」
なんてのは、1試合で2~3度の話ではない。
そこに起因するのは個としての技術力。
ビルドアップやフィニッシュでの単純なトラップミスやパスミス、
「止める・蹴る」のイージーミスが多いと感じた。
守備での綻びがなくても、そういったミスが多ければ
おのずと相手の時間帯は長くなる。
 
 
そして現時点で昇格圏内にいるであろう7位ヴェルディより上のチーム。
守備陣の致命的なミスや、攻撃時のちょっとした判断ミスや
イージーミスというのは、ここまで来るとそれほど感じない。
上位の順位を左右する差は、フィニッシュの決定力。
昨日の徳島でも佐藤晃大が大きくシュートをフカす場面があったが、
東京ファンの僕が「今のは決めとかないと」と
東京の対戦相手に思ってしまうほどフィニッシュが雑だなぁと。
わかりやすい例として、札幌はJ2で一番シュート数が少ない。でも2位にいる。
ヴェルディも、マラニョンが決定機でもっと決めていれば
もうちょっと上の順位にいるのでは、というほど外しているように感じる。
こういうちょっとしたミスが、ちょっとした差を生んでいると思う。
 
 
で、東京は?
梶山・秀人のダブルボランチはビルドアップでのパスミスが相変わらず多い。
谷澤のシュートは相変わらず入らない。
それでも他チームに比べると、その辺の精度が高いということなのだろう。
だから28試合を終えた段階で首位に立てている。
つまり東京は他チームをほんの少し上回る個の力の優位でJ2を戦っているわけだ。
 
J2降格が決まっても今野や羽生を始め、ほとんどの主力が残留した。
高松大樹、谷澤達也、上里一将に柳楽智和を呼び寄せれば、
ロベルト・セザーにホベルト、ペドロ・ジュニオールにジェイド・ノースら
外国人も獲得した。(当たり外れは波があったけど)
米本拓司、平山相太、高松大樹らが長期離脱したと思ったら、
なんとルーカスがやってきた。
坂田大輔まで獲ったのかと思ったら、永里源気もついてきた。
長友バブルなのか何なのか知らないが、こんな芸当、J2では普通できない。
他チームが羨むほどの選手層を維持できるのは
経済力を含めた“クラブ力”そのものが大きく影響している。
 
つまり――。
広島、セレッソ、柏は自分たちのサッカーをJ2で突き詰めた。
東京の場合は突き詰めているとはお世辞にも言えない。
だが他を圧倒する資金力や運営力で才能ある個を集め、戦力を維持している。
だからJ1昇格後も、この方法で戦うつもりなのだと思いたい。
これはFC東京が短期的なものではなく
中長期的なプランでチームを作るという、プロサッカークラブとして
常識的な方法で未来を見据えていることが大前提なのだが。
 
 
■ FC東京はビッグクラブの路線を歩むべき(歩むはず)
 
 
資金力を元に強いチームを作るなら、浦和や名古屋、ガンバがモデルとなる。
名古屋が強くなったのは久米一正GMの力が大きい。
闘莉王を連れてきて、負けないチーム作りを進めることができた。
ガンバはアラウージョからアドリアーノに至るまで
中東に選手を持って行かれるが、その資金をうまく活用し
綿密なスカウティングで他チームから良い選手を引っ張ってくる。
今季で言うところのラフィーニャなどは良い例だ。それでまた強くなる。
浦和も一時は、リーグ最大の目玉となる補強をオフシーズンに慣行していた。
若手育成に重きを置きすぎて迷走しているようだが
J随一のビッグクラブであることに変わりはない。
 
何度も言うが、FC東京は今シーズンの戦いぶりを見る限り、
来年以降、このようなチーム作りをしていくはずである。
もしそうでなければ「今年の戦い方は何だったの?」「1年棒に振ったの?」
というツッコミどころ満載の経営にソシオはソッポを向くであろう。
このままJ1昇格圏内をキープし、2012年をJ1で戦うことが許されれば
我々サポーターでさえ驚くような大型補強を行うに違いない。
それが選手とは限らない。梶山陽平を一皮も二皮も剥けさせてくれるような
多大な影響力を持つ指導者かもしれない。もちろん現状ではその方が先だろう。
 
そのためには阿久根社長、未来は貴方にかかっている。
前部長の影が色濃く残る強化部に、
第三者的見解を持つ敏腕のGMを登用してほしい。
FC東京がJ1で優勝するために、正真正銘アジアの頂点に立つために、
足りないピースを埋められる、連れてこられる魅力ある人材を
GM的な役職に抜擢してほしい。
もう今年も10月。そろそろクラブの来年を考える時期であろう。
ぜひ、ご英断を。
いや、もう英断する覚悟はできているはず、とも願います。
 

posted by takuromt |11:15 | ■ FC東京2011 | コメント(0) | トラックバック(0)
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