2008年01月27日

〈全豪OP2008〉今度こそ!シャラポワ全豪初制覇

マリア・シャラポワ(RUS)[5] × アナ・イワノビッチ(SRB)[4] 7-5/6-3

ある程度、予想された試合の展開だったと思います。

シャラポワは、QF、SFと、第1セットで先にブレイクしながら、セットを締めるところでミスが増えて、追い上げられる、あるいは、追いつかれるというパターンができていました。決勝でも、同じようなことになるんじゃないかと思っていましたが、その通りになりました。特に、QFまで絶好調だったサーブも、SFでは、追い上げられる展開になったときに確率が悪くなっていたので、ここがシャラポワの(初タイトルへの)勝負の分かれ目になると考えていました。QFでは調子の上がらないエナン(と、シャラポワのほぼ完璧なプレー)、SFでは満身創痍のヤンコビッチが相手でしたが、今度は違う。調子が悪いわけでもなさそうだし、どこかを痛めている様子もないイワノビッチが相手です。そのとき、シャラポワはどう修正してくるのか、イワノビッチはそこを突いて攻めることができるのか、と。

結果として、この杞憂は、文字通り、取り越し苦労に終わりました。

イワノビッチは、シャラポワ対策を充分に考えてこの試合にのぞんだと思います。26日付けのエントリにも少し触れましたが、例えばツアー最終戦では、角度のあるクロス、逆クロスを打ち込んでも、さらに鋭い角度でシャラポワに切り返されていたイワノビッチ。この試合では、センターにボールを集める、もしくは、クロスに来たボールをダウン・ザ・ラインへすぐさま切り返すという展開を選択していました。

が、しかし、そこでミスをしてしまう。あるいは、シャラポワのボールの伸び、威力が、簡単にそれを許してくれず、なかなか狙い通りには決まっていかないのです。もちろん、ミスしても、そうすることだけでシャラポワへプレッシャーをかけることにはなったとは思いますが、この日のシャラポワは(というか、Newシャラポワは、といったほうがいいかもしれません)充分な姿勢でないときには、無理に切り返したり強打することはなく、確実性を選択、イワノビッチの戦略に動じることはありませんでした。そして、逆にイワノビッチの焦り(ミス)を誘うことになったと思います。

また、イワノビッチはリターンを叩くことで、シャラポワのサーブからのリズムを崩したかったと思います。しかし、例えシャラポワが1stサービスの入りに苦労しても、スピンのかかった2ndサービスは、イワノビッチの予想以上に高く跳ね上がり、なかなかタイミングを合わせられない。ツアー最終戦の決勝、エナンもこの2ndサービスに苦労し、第2セットからリターンの構えをベースラインからかなり後方に変更したことを思い出しました。でも、イワノビッチは最後までハイリスク・ハイリターンを選択しました(まぁ、プレースタイルの違うエナンと比較するのは違うかもしれませんが)。

そして、チャンスはやってきます。第8ゲーム、クロスへのフォアのリターンを叩き込んで15-30とイワノビッチがポイント先行。そして、1stサービスが入らなくなってきていたシャラポワは、ダブルフォルトでイワノビッチにブレイクポイントを与えてしまうのです(ちなみに、イワノビッチがブレイクされたときも、イワノビッチのダブルフォルトでシャラポワにブレイクポイントを許しています)。う~ん、やると思いました。それでも必死で堪えてキープしようとするシャラポワでしたが、なんと、2回目のデュースからまたしてもダブルフォルト。しかも2連発…。シャラポワ、この日もすんなりと第1セットを締めることができません。

4-4と並ばれ、ミスが増えてくるシャラポワ。第9ゲームもミスを重ねて、イワノビッチに簡単にキープを許し、思い切りが良くなったイワノビッチは、第10ゲームで回り込んでのフォアのリターンエース、さらにはシャラポワの逆を突いてバックハンドクロスのウィナーを奪い、0-30とポイントを先行します。

しかし、シャラポワが踏ん張る。すぐさまサーブの修正をはかったシャラポワが、1stサービスを叩き込んでイワノビッチにまともにリターンを許さず1ポイント挽回。そして、イワノビッチが(いいタイミングではあったものの)ドロップショットをミス(ネットにかけた)。さらには、ラリーで攻めていたのはイワノビッチなのに、最後にダウン・ザ・ラインへのフォアを大きくアウトにさせるミスで、ブレイクポイントを握れない。結局、イワノビッチは次のポイントでリターンをネットにかけて、う~ん、そうですねぇ、ある意味、シャラポワを助けることになってしまったかもしれません。

それでも、まだスコアはイーブン。イワノビッチはとにかくキープをすることが大事になります。が、危ないところでサーブを修正して確実なプレーを続け、キープしたシャラポワとは対照的に、イワノビッチは無理に仕掛けようとしてミスを重ねてしまい、第11ゲーム、シャラポワに再びブレイクを許してしまいました。

こうなると、シャラポワは精神的にも落ち着きを取り戻します。第12ゲーム、シャラポワはラブゲームでキープし、第1セットを奪取しました。

ここで、イワノビッチの形勢は非常に不利になったな、そう思いました(第2セット第1ゲームもデュースが5回続いて、やっとのことでキープしたし)。

それでも、イワノビッチはシャラポワのサービスゲームでリターン、ストロークと攻撃を仕掛けようと挑み続けたと思います。しかし、第2ゲーム、バックハンドクロスのラリーからフォアでダウン・ザ・ラインに切り返したボールが惜しくもネットにかかる。リターン(特に2ndサービス)がまだ合わない。さらに、ドロップショットが甘く、シャラポワに簡単に拾われてパスを抜かれる。その後のサービスゲームでようやく自分のやりたい攻撃が上手くいきはじめ、キープしますが、シャラポワのサービスゲームではなかなかチャンスを掴めない。

そして第7ゲーム、イワノビッチはまたしてもダブルフォルトでシャラポワにブレイクポイントを与えると、ワイドへのフォアをミス(ネットにかける)して、シャラポワにブレイクを許してしまいました。

ここで、シャラポワは一気にギアを上げてきました。イワノビッチもシャラポワの40-0からバックハンドでリターンエースを奪いますが、やはり2ndサービスにタイミングが合わない。なんとか1ポイントずつ積み重ねていきたいところでしたが、最後もクロスへのフォアのリターンがサイドアウトとなり、ブレイクチャンスすら掴むことができませんでした。

シャラポワの5-3となったイワノビッチ。その表情はこわばっているように見えました。なんとかキープして追いつきたいという思いと、もうダメかもしれない、その気持ちの狭間で自分と戦っていたのかもしれません。いきなりダブルフォルトではじまると、ワイドへのフォアをネットにかけるミス。さらにはシャラポワにダウン・ザ・ラインへフォアでウィナーを奪われ、0-40と3つのマッチポイントを迎えることになります。

イワノビッチもなんとか踏ん張り、2ポイント挽回しますが、最後はシャラポワのバックでストレートへ切り返したアプローチショットに、イワノビッチのバックハンドのパスがサイドアウト。シャラポワ、初の全豪オープン優勝を、オール・ストレート勝ちで飾りました。その瞬間、シャラポワはコートにひざまずき、歓喜で両手に顔をうずめました(泣いているという話になっていますが、涙はなかったような気がします)。

表彰式でのシャラポワは、本当に嬉しそうで、ツアー最終戦のように長~いスピーチになりました(笑)。逆にイワノビッチは涙声でのスピーチになりました。スピーチの内容はポジティブなものでしたが、私には悔しさの涙に見えました。

でも、今回のシャラポワに勝つには、シャラポワを凌ぐメンタルが必要だったと思います。今大会のシャラポワは強かった。畳み掛けられるときは迷わず攻撃し、無理させられるようなボールを強打することはなく、確実に粘り強くポイントを獲る方法をとりました。サーブの調子が落ち、ミスが増え、相手が追い上げてきても、踏みとどまれる強さがありました。イワノビッチの戦略は間違っていなかったと思いますし、2ndサービスでも入れにいくのではなく、攻めていたと思います。でも、あと1本、あと1ポイントの粘りが違いました。これは経験の差でもあったような気がします。

シャラポワは昨年、この地で屈辱的な敗戦を経験し、その後は肩の故障でサーブに苦しみ、世界1位の座どころか、ロシアNo.1の地位からも転落してしまいました(そして、ツアー最終戦もヴィーナス欠場のおこぼれに預かりました)。しかし、ツアー最終戦の決勝では負けたものの、素晴らしい内容で勝ち上がり、優勝寸前までいきました。スピーチではいいプレーができるようになった喜びを素直に表現していたシャラポワ。それがそのまま今大会に繋がっていたようです。自信を取り戻し、プレーにも幅が出てきたシャラポワは、近いうち、また世界1位に帰り咲くことになるのではないでしょうか。これからの戦いに注目したいと思います。

イワノビッチは今回もGS初タイトルあと一歩のところで涙を飲みました。しかし、まだまだこれからの選手です。彼女も必ずGSでタイトルを獲る日がくると思います。悔しい経験をバネに、今シーズン、そしてそれ以降のさらなる飛躍を期待しています(って、その前に、もう世界2位になったんですけども)。

posted by takezoh |12:50 | 全豪オープン2008 | コメント(8) | トラックバック(0)
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〈全豪OP2008〉今度こそ!シャラポワ全豪初制覇

シャラポワの復活は本物でしたね。去年の全米でエナンが優勝したとき以上の強さでの優勝だったのでは。大会を通して本当に隙がなかったですし、去年までとは違う新しいシャラポワを見たような気がします。
イバノビッチにはどうしてもクライシュテルスに似た雰囲気(優しい性格が災いして畳み掛けられない気の弱さ)を感じてしまっていたんですが、試合後にチェアに戻って悔し涙を流しているのを見て、そういった心配はなくなりました。それに今大会はヴィーナスという壁を遂に乗り越え、ハンチュコワ戦ではベーグルから逆転勝ちしましたしね。
余談ですが、タケゾウさんもおっしゃるように、イバノビッチもジョコビッチも無駄なドロップショット多いですよね(笑)シャラポワもときどきやるんですけど、ああいう変な策に出たドロップショットは迷いがあるのでボールが浮いてしまうし、間違いなく相手に読まれるのでチャンスボールになってしまう。イバノビッチも迷わずハードヒットすべき場面でドロップショットを打ってネット、という場面が多いんですよね。なんだか慣れないことを無理してやっているような感じで、見ていて歯がゆいです、イバノビッチもジョコビッチも(笑)

posted by れも | 2008-01-27 18:26

〈全豪OP2008〉今度こそ!シャラポワ全豪初制覇

 やはりシャラポワでしたね。今大会のシャラポワは、ある種のオーラが漂っているかのようで、タフドローであるにもかかわらず、勝ち上がり方も危なげない圧倒的なものでした。なんというか勝つべくして勝った、という感じです。僕も今年中に彼女がナンバー1に返り咲く可能性が高いんじゃないかなぁと感じています(それはエナンが1位の座から陥落し、“暫定女王”に終わるということを意味するわけですが……)。
 イバノビッチは、まだちょっと経験や貫禄が足りなかったかな。でも当然ながら彼女にもまだまだチャンスはあります。いやそれどころか今年中にどこかのGSで優勝する可能性だって十分にあるんじゃないでしょうか。東レにも来てね(ロシア勢が期待できないし)。

 最後に悪いニュースです。J sportsがデ杯・フェド杯の放送を打ち切ったようです(権利元との調整ができなかったとのこと)。これで僕が見れるのはとうとう東レとAIGだけになってしまいました……(一応全日本もありますが)。テニスファンを続けられるのか、俺?(笑)

posted by バラージ | 2008-01-27 23:02

>れもさんへ

強かったですねぇ、シャラポワ。エナンを料理してから、優勝はほぼ確実とは思っていましたが、完全優勝でした。昨年の不調をプラスに変える力は本当にあっぱれです。

イワノビッチは相当悔しそうでしたよね。シャラポワの気持ちの強さと比較すれば、まだまだメンタルは弱い部分があると思いますが、ひとつひとつ経験して、力に変えていってくれるといいな、と思います。

>イバノビッチもジョコビッチも無駄なドロップショット多いですよね(笑)

そうなんですよね(苦笑)。多用してもいいとは思うのですが、いまのところ、いい形でのドロップショットが少ないだけに、私も見ていて歯がゆいというか、あ~、なんでそこで~…みたいな気持ちになります(笑)。イワノビッチもジョコビッチもストローク力は申し分なくあるわけですし、ヘタに小技に走らないほうがいいですよねぇ…

posted by takezoh | 2008-01-28 02:03

>バラージさんへ

今大会のシャラポワは自信に溢れているなぁ、という感じでした。オフは相当トレーニングに励んだらしく、WOWOW情報では、朝起きて練習コートに行くのが待ちきれないくらいだったそうです。昨年はいいシーズンではありませんでしたが、それを努力してプラスに変える力は、他の若い選手と一線を画しているなぁ、と思います。

エナンは今年、1位を守るのは難しいと私も思います。シャラポワが1位に返り咲きは今年中にありそうですよね。ただ、シャラポワも1位の座を長くキープするのは、今のWTAでは難しいんじゃないかとも思っています。そういう意味では、この強さが、どこまで続くのか。1位の座をキープして、真の女王として君臨することにどこまで執着して進化するのか、というのもとても興味があります。

イワノビッチはおっしゃる通り、経験や貫禄がまだまだだと思います。それでもずいぶんメンタルも技術も(特に守備がよくなってます)成長しているなぁ、という印象なので、これからも頑張ってほしいですね。東レはもちろん来ていただくということで(笑)。

>J sportsがデ杯・フェド杯の放送を打ち切ったようです

げっ、本当ですか。どんどんテニスの枠がなくなっていく(もしかして、GAORAが買うとかいうのはないですかね?でも、バラージさんはGAORAが見られないんですよね…)。昨年、JSportsはあれだけグラフvs伊達の名勝負とかいって、過去のフェド杯をリピート放映していたというのに、なぜ??? う~ん、キツいなぁ。。。

posted by takezoh | 2008-01-28 02:14

〈全豪OP2008〉今度こそ!シャラポワ全豪初制覇

 デ杯・フェド杯については、J sports公式サイトのトップページに「重要なお知らせ」として載ってました。GAORAの公式サイトには今のところ何も情報は載ってませんね。
 フェド杯の公式サイトの放送情報には、「放送予定につきましては追ってご連絡いたします」となっており、デ杯公式サイトには何も記載がありません。日本チームの試合ぐらいはどこかで放送してほしいですよね……。

posted by バラージ | 2008-01-28 22:16

>>バラージさんへ

情報ありがとうございます。いま、サイトを見てきました。テニスの放映権料も世界的に高騰していると聞くので、そのあたりが問題だったのでしょうか…残念です。おっしゃる通り、日本チームの試合くらいは、と思いますよね。J-Sportsのトップページから「テニス」メニューもなくなって、なんか余計にガックリです。

posted by takezoh | 2008-01-29 00:56

〈全豪OP2008〉今度こそ!シャラポワ全豪初制覇

 書き忘れましたが、車椅子テニスの国枝選手がシングルス・ダブルスで優勝しましたね。おめでとうございます。北京で金メダルを取れるようがんばってください。

 それから別のスポーツの掲示板で、「BS あなたが選ぶスポーツ名場面100選」という企画が紹介されてました。あげられている名場面を5つ(その他に自由表記もあり)投票できるようですので、興味があったら見てみてください。
 アドレスは以下の通り。

http://www.nhk.or.jp/s100/

posted by バラージ | 2008-01-29 23:12

>>>バラージさんへ

そうそう、国枝選手、またしてもやりましたね! このまま行くと、国枝選手はフェデラーをもしのぐ記録を作ってくれるかもしれませんよね。北京五輪はもちろん金で!!

>「BS あなたが選ぶスポーツ名場面100選」という企画

情報ありがとうございます。生放送5時間ですか。すごいなぁ。あげられている名場面にサンプラスがちっともない(涙)。自由表記に入れておきます(笑)。

posted by takezoh | 2008-01-30 22:14

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