2007年11月11日
〈SEC〉決勝ラウンドSF:エナン×イワノビッチ
ジュスティーヌ・エナン[1] × アナ・イワノビッチ[4] 6-4/6-4 濃ゆい試合でしたねぇ。 濃いというか、どっちに転ぶか最後までわからなかったというか。逆のスコアになってもおかしくなかったし、試合序盤は、イワノビッチが一気にまくるかとも思われました。 1日のオフというのがマイナスになったのか、エナンのサーブの調子が大会初日に戻ってしまっていました。いや、それ以上にひどかったかも。この試合だけで、合計9つもダブルフォルトをおかしていますから(自身のサービスゲーム、ほぼ1ゲームに1本はダブルフォルトがありました)。 ちなみに、エナンのここまでの1stサービスの確率とダブルフォルトの数は… チャクヴェタゼ戦 : 47%、5本 ヤンコビッチ戦 : 54%、5本 バルトリ戦 : 45%、2本 イワノビッチ戦 : 49%、9本
まぁ、調子の良いときでも50%を越える程度だったりしますし、最近は50%を切ってもあまり驚きませんが、9本のダブルフォルトは多いよなぁ。 ま、それはさておき、試合ですが。 試合はイワノビッチのサービスゲームではじまりました。負けてもともと、と思っていたかどうかはわかりませんが、立ち上がり、明らかにイワノビッチの動きもショットの切れもいい。エナンも、リターンがサーブに合っていたし、積極的に叩きに行っていましたが、イワノビッチはそんなエナンのリターンをものともせず、ラリーで主導権を握ってエナンのミスを誘い、簡単にキープします。 これがプレッシャーになったのか、第2ゲーム、エナンはミスとダブルフォルト(2本)を重ねて、30-40とイワノビッチにブレイクポイントを与えてしまいます。それでも攻めの姿勢を崩さず、デュースに持ち込みますが、2回目のデュースでダウン・ザ・ラインへのバックハンドをネットにかけると、イワノビッチがフォアでストレートに切り返したボールに対して、クロスへ持って行ったボールをアウトにさせ、イワノビッチにブレイクを許してしまいます。 今大会、いずれもストレート勝ちだったエナンですが、相手にブレイクを許したのが皆無だったわけではありません。それでも圧勝してきたのは、ブレイクされた直後にすぐにブレイクバックをするという強さがあったからだと思うのですが、ここでも、ブレイクされた直後、すぐにブレイクバックをします。 ラリーでは相変わらずイワノビッチに押され気味なのですが、それをかわすテクニックがすごい!攻められて、なんとか取ったボールなのに、ネットに詰めるイワノビッチの足元にうまくコントロールして返す!イワノビッチのミスを誘うと、流れはエナンへ傾きます。そして、15-40とエナンがブレイクポイントを2つ握ると、ここでイワノビッチがダブルフォルト。エナン、すぐさまブレイクバックに成功して、1-2にします。 しかし!第4ゲーム、またしてもエナンはキープに苦しみます。最初は、バックのスライスでうまくイワノビッチの足元に沈めて、戻ってきたボールを絶妙なタイミングでロブをあげるなどで30-0とリードするのですが、チャンスボールを叩きに行くもミスしたり、せっかくイワノビッチからラリーで主導権を奪ったのに、イワノビッチに粘られて、最後はイワノビッチがなんとか返したボールがネットインなど、まだ完全には流れを引き寄せられない。 そして、なんと、このゲーム、デュースが8回続きます。もう、何ていうんでしょう。ヤンコビッチ戦の9度のデュースをキープしたのもすごかったのですが、このキープも、いやもう、よくキープしたなぁ、と。5回目のデュースから、イワノビッチにアドバンテージを握られたあとのポイントなんて、ほんと、危なかった。イワノビッチがワイドへ放ったボールが、本当にわずかにアウトだったんですよね(イワノビッチ、チャレンジ失敗)。その後も7回目のデュースでイワノビッチにダウン・ザ・ラインへフォアでウィナーを決められて、このゲームだけで4回目のブレイクチャンスを許してしまうのですが、結局、最後はエナンが粘り勝った。 あとちょっとのところまで行きながら、なかなかエナンにブレイクを許してもらえないイワノビッチ。この長い、長いデュースで、ややがっくりきたのか。ぐったりしたのか。チェンジサイドなしでイワノビッチのサービスゲームになるわけですが、明らかにパワーダウンしましたね。最初のポイントこそ、エナンがフォアハンドを大きくアウトにさせるミスをしたものの、次のポイントでイワノビッチ、痛いダブルフォルト。さらにエナンがガンガンにリターンを叩きに行ってミスを誘われる。15-40と逆にエナンにまたまたブレイクチャンスがやってくるのです。 そして、ここもエナンは怒涛の攻め。ネットに出て、完全にエナンの形。だったのですが、凌いだイワノビッチのボール(ロブ)がエナンの頭上を越えて、深いところに入る。イワノビッチ、ブレイクポイントを1本逃れます。が、しかし、ここでまたもイワノビッチがダブルフォルト。エナンがブレイクに成功するのです。その後、第6・7ゲームもエナンが連取。なんかこう、心理戦も含めて、かけひきのうまさというか、相手へのダメージの与え方というか、さすがエナン、と強く感じました。 とはいえ、相変わらずサーブの調子が上がらないエナン。サービング・フォー・ザ・セットの第8ゲームのなかだけで2本ものダブルフォルトを犯してしまい、30-40とイワノビッチにブレイクポイントを許してしまいます。イワノビッチがストレートへ切り返したフォアがわずかにアウトで救われますが、デュースからのイワノビッチのバックのダウン・ザ・ラインを、フォアでダウン・ザ・ラインへ打ち返したボールがサイドアウト、最後はイワノビッチの浮いたボール、チャンスボールを強打するも、大きくアウトさせてしまい、イワノビッチにブレイクを許してしまうのでした。 しかし、第9ゲームはイワノビッチのサーブがよみがえりつつあり、簡単にキープしますが、第10ゲーム、15-0からダブルフォルトを出すものの、3ポイント連取で、ようやくエナンが第1セットに決着をつけました(最後のポイントは、イワノビッチのほうが攻めていたんですが、ミスしてしまいました。エナン、ちょっと助かったか)。 6-4というスコアでしたが、けっこう長い第1セットでしたよ。 1時間近くやっていたんじゃないでしょうか。 そうそう、イワノビッチはウィナーを奪ったときなど英語で「Come on!」とも言いますが、最近はセルビア語の「Come on!」に当たる「Ajde!」(アイデ!)を連呼していますね。っていうか、ハイデ?アイデ?と聞き取れなかったのですが、この日の試合、イワノビッチを応援している旗に「AJDE ANA」を書かれているのを見て、ようやくわかりました。おぉ、一個、覚えたぞ(笑)!みなさん、イワノビッチ応援のときは「アイデ!」と叫びましょう(笑)。 第4ゲームの長いデュースを獲れず、そこまではイワノビッチが押せ押せだったのに、エナンがそれを踏ん張って食い止め、逆に流れを引き寄せたような第1セット。イワノビッチの表情は、第4ゲーム以降、明らかに変わったような気がします。そして、第2セットも、それを引きずるかのようなスタート。エナンが3ゲーム連取します。 ちなみに、第3セット(イワノビッチのサービスゲーム)は2回のデュースがあったのですが、ゲームを通して、エナンはイワノビッチのストロークや体のキレを奪うような攻めを見せていました。 それでも、やはりこの日のイワノビッチには、エナンも多少怖さはあったと思います。チャンスボールというか、ウィナーを決めに行こうとするボールを強打するも、ふかして、大きくアウトというのがけっこうあったような。で、3ゲーム連取しながら、第4ゲーム、浮いてきたイワノビッチのリターンを、(これは大きくアウトではありませんでしが)叩いたボールがネットにかけてしまい、イワノビッチにブレイクを許してしまいます(ちなみに、このゲームもダブルフォルトやってます)。 さらには、第6ゲームもミスを重ねて、イワノビッチにブレイクを許す(2回目のデュース、イワノビッチがアドバンテージを握ってからのポイントもまたすごかった。強烈なバックハンドクロスでのラリーの応酬。どちらかというと、エナンが押していたのですが、最後はエナンがフォアでストレートへ切り返したボールが大きくアウトになった)。 せっかく3ゲーム連取で、一気にまくれるところを、逆にイワノビッチに3ゲーム連取を許して、勝負の行方がわからなくなりました。 しかし、上でも書きましたが、ブレイクされると、すぐにブレイクバックするエナンの強心臓。ラリーでイワノビッチに押されていても、1本で形成逆転できる守備力。コートを縦横無尽に駆けるエナンの動きがさらに速くなってきます。でも、エナン。試合後、「今日は足が疲れていて、痛みを感じていた」って。ほんとかよー。すごい速さでコートを駆け回っていたけども(笑)。 して、ワイドへのフォアのウィナーやクロスへのバックハンドパスで15-30とポイントを先行すると、イワノビッチがクロスへ放ったフォアがサイドアウト。エナンが15-40と2つのブレイクチャンスを握ります。そして、最後は、センターへの1stサービスに対して、エナンがドロップショットのようなバックのスライスでのリターンをネット際に返し、イワノビッチはフォアをネットにかけるミスを誘われ、1回でブレイクに成功。 これで再び1ブレイクアップになったエナン。その後もギアを上げ続け、自身のサービスゲームでは怒涛の攻め。特に、第8ゲーム、30-15からのポイントなんて、「すげー!」のひと言ですよ。 まず、ネットに出るところで足元に返ってきたボールを、ハーフボレーにせず、ローボレーで甘くならないところに返す。それを拾うイワノビッチのボールも、難しい浅いところに返ってくるのですが、これをまたバックハンドのローボレーでストレートへ技ありのウィナー! これ、女子テニス界でできるのって、今はエナンくらいしかいないんじゃ…(モレスモはやりそうだけど、モレスもだともっとタッチが柔らかくなるかな。とにかく、エナンはほんと、相手にダメージを与えるようなウィナーが炸裂しますよね)。 このポイントは、試合後のオンコート・インタビューでも「見事なポイントでしたが」と言われていました。ほんと、すごかったです。その後、ダブフォルトをおかしてしまいますが(苦笑)、最後はセンターへのサービスウィナーでキープ。 第9ゲーム、イワノビッチは開き直ったような強烈なワイドへのサービスエースを放つなど、サーブ力でキープをしますが、第10ゲーム、ミスを重ねて0-30としながらも、エナンはここも流れを食い止めましたね。しかも、勝負勘といいましょうか、15-30からのセンターへの1stサービス。同じようなシーンは第1セットにもあったのですが、そこではチャレンジを使わず、そして、やっぱりフォルトだったのですが、ここでエナン自身、半信半疑ながらも、チャレンジを要求。これが、1、2mm、ラインをかすっていたんですねー。もちろん、サービスエース。これでマッチポイント。 そして、最後はワイドへの1stサービスに、イワノビッチのバックハンドがややフレームショットになってアウト。長い試合が終わりました。 いやぁ、よくあのサーブの調子で勝つわ。まぁ、2ndもかなり攻撃的なサーブを打っていましたし、徹底してイワノビッチのバックハンド、それも、フォアに回り込ませないところへのサーブを打っていましたから、イワノビッチもそう簡単にリターン1本で攻撃して行けなかったわけですが。とにかく、「石のかじりついてでも勝つ(byバラージさん)」(笑)というエナンの勝負師たるところを見た試合だったように思います。 あ~、イワノビッチ。悪くなかったんだけどなぁ。第1セット第4ゲームを獲れなくても、その後の自分のサービスゲームをもっと自信を持ってのぞめたら、また違った展開になっただろうに。でも、現在の若手のなかでは、エナンを倒せる最有力候補がイワノビッチだろうということは証明したような気がします。エナンやウィリアムズ姉妹、シャラポワに対しても、もっと強い気持ちを持ち続けられれば、イワノビッチのGS初タイトルもそう遠くはないんじゃないでしょうか。 しかし、今日のエナンの緊張感とかサーブの調子の悪さ、ストロークでもミスが多かったことを考えると、シャラポワ戦もしんどい試合になるのかなぁ。とはいえ、シャラポワの強打よりも、イワノビッチのほうが強烈だということを考えると、逆に、シャラポワの強打もさほど怖くないとも考えられます。 いやぁ、どうなるのか。エナン側の不安は、サーブはもちろんなのですが、「足が疲れている、ちょっと痛い」というコメントか。現状の二人の調子を考えると、6:4でシャラポワが有利なような気がしないでもありませんが、エナンがそう簡単にコケるとも思えず。う~ん、難しい。個人的には、ここまで来たら、エナンに有終の美を飾ってもらいたいところですが、果たして運命やいかに。
posted by takezoh |05:44 |
テニス |
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〈SEC〉決勝ラウンドSF:エナン×イワノビッチ
こんにちは。
6-4,6-4でエナンの勝利を知って、録画放送を見たのですが・・・
見始めてすぐ、エナン勝ったんだよねぇ?と思い、もう一回ネットで確認しましたよ。
全体的にサーブは不調なのに、何でか、ここぞというときは、1stサーブが決まるんですよねぇ。
気合で入れるのかしら?
あと、あのローボレー&ローボレーはステキでした~。
他の選手ではお目にかかれないパフォーマンスですよねぇ。
ほれぼれです。
う~ン、明日のシャラポワセン戦はちょっと不安。シャラポワのほうが元気そうだし・・・
解説者のTracy Austin(だったかな?)はエナンに一票でした。
しっかり休んで、明日、気合の入りまくったエナンに期待したいです。
posted by すずの娘 | 2007-11-11 10:51
〈SEC〉決勝ラウンドSF:エナン×イワノビッチ
おぉ! 何気なく書いた言葉が、いつの間にかエナンのキャッチフレーズに!(笑)
エナンは相変わらず調子が今ひとつなんですね。それでもずっとストレート勝ちし続けてるところが怖いというかなんというか。しかし決勝に待ち受けるはど根性娘シャラポワ。エナンやや有利だとは思うけど、それでもちょっとわからんなぁ。前の記事にも書きましたが、結局はこの2人でしたね。
エナンが優勝したら文句なしに今年の女王だと思うんですが、世間的な盛り上がりを考えるとシャラポワに優勝してほしいような気も……(今年は1度もGS優勝なかったし)。
杉山&スレボトニク組も決勝進出おめでとうございます! sports@niftyの記事によると、杉山選手、サーブが好調だったとか。その記事に引用されている杉山選手の公式サイトのツアー日記も非常に興味深かったです。今シーズンをいい感じで締めくくってほしいですね。
posted by バラージ | 2007-11-11 13:24
〈SEC〉決勝ラウンドSF:エナン×イワノビッチ
記事と関係ない話ですいませんが、前に書き込んだマヌエラ・マレーバの消息について(どこに書き込んだかわからなくなってしまいました)。
『テニマガ』のバックナンバーを読んだら、マグダレナの引退セレモニーには長姉マヌエラと次姉カテリナも来ていたそうです。考えてみたら当たり前か(笑)。
マグダレナ×ヒンギスのシングルスの後、フェデラーからのビデオレター。そしてマヌエラ&カテリナ組×マルチネス&ズベレワ組、マヌエラ&マグダレナ組×リホフツェワ&フーバー組のダブルスも行われたそうで、まさに超豪華メンバーによる引退セレモニー。マグダレナの人徳が感じられますね。
後で検索してみたら、その引退セレモニーのことを書いたブログも発見しました。マレーバ3姉妹の写真もアップされてましたが、勝手に他人のブログを紹介していいのかよくわからないので……。
それとマヌエラが離婚したと書きましたが、そういう記述は発見できず。僕の勘違いだったかもしれません。
posted by バラージ | 2007-11-11 23:13
>すずの娘さんへ
イワノビッチ戦、序盤はイワノビッチが押しまくりで、このままころっと負けちゃうのかと思いましたけど、簡単には引き下がらないですねぇ、エナン。さすがです。
あの連続ローボレーはエナンならではのテクニックでお見事でした。
シャラポワ戦は大会通していちばん調子悪い感じにも思えましたが(シャラポワのプレーが良かったことも大きな原因だとは思いますが)よくそれで勝ちましたよね。途中はネットプレーもミスしまくり、させられまくりでしたし。とうとう負けるのかと思いましたが、そうではなかったようです。シャラポワは今季でいちばんベストなプレーをしたような気がしますが。。。勝負ってわからないものですねぇ。。。
posted by takezoh | 2007-11-12 06:08
>バラージさんへ
「石にかじりついてでも勝つ」という形容は、もう、まさにエナンにぴったりです。なので(C)バラージさんということで、使用させていただきました(笑)。
エナンはバルトリ戦をのぞいて、今大会はサーブとバックハンドが不調だったんですよね。特にイワノビッチやシャラポワが相手だと、相当、ボールが重くて持ち上がらないのか、ネットにかけるシーンが多かったり、フルスウィングしてもバックアウトになることがすごく多かったです。それでも勝つというのはすごいなぁ、と思うわけですが。
ただ、やはりイワノビッチやシャラポワがエナンを脅かす存在であろうというのは間違いないと思います。特にシャラポワはプレーのレベルも上がっていますし、何よりも今大会で完全に自信を取り戻したと思います。全豪がかなり楽しみですよ。エナンはプレーの内容に満足していないでしょうし(攻略し切れてはいないし)、シャラポワはそれでも負けたことの悔しさがあるでしょうから、この二人がGSで対決するとなると、かなり盛り上がりそうです(というか、個人的にも盛り上がるかも)。
杉山さん、残念でした。第1セットをとったときはいけるかも、と思ったのですが、やっぱりブラック/フーバー強い!でも、また来年、チャレンジしてほしいですよね。スレボトニクとは相性良さそうですし、長いパートナーシップでさらに上を目指してもらいたいです。
それから、公式サイトのダイアリー読んできました。自ら先頭にたって呼びかけをやっているところも、ベテラン選手ならではというか、すばらしいですね。
それから、マレーバ姉妹の情報もありがとうございます。私もあとで、そのブログ、探してみます。マヌエラもプレーしたのですね。すごい豪華メンバーですねぇ。TV放映あったのかなぁ。YouTubeとかで探してみます。
posted by takezoh | 2007-11-12 06:18


