2007年06月09日
〈全仏オープン〉女子シングルスSF
いまさらなのですが、決勝を前にSFを振り返りたいと思います。 ジュスティーヌ・エナン(BEL)[1] × エレナ・ヤンコビッチ(SRB)[4] 6-2/6-2 エナンはやっぱり強い。そして、巧い。 「コーチと立てた戦略を、私は試合で実行するだけ」と語っていたそうなのですが、そして、それが果たしてどんな内容なのか具体的にはわかりませんが、試合を観て思ったのは、戦略のひとつに、ヤンコビッチにバックハンドのダウン・ザ・ラインがカギだったんじゃないかと思います。 女子テニスをよくご覧になっている方はすでにご存じかと思いますが、ヤンコビッチの大好物はバックハンドのダウン・ザ・ライン。ウィナーを決める、もしくは、ウィナーの布石となる絶対的なショットが、このバックのダウン・ザ・ラインなのです。 この試合、QFのセリーナ戦のように、早い展開でゴリゴリにポイントを奪っていくのとは違い、ラリーで打ち合うことを選択したエナン。試合を通して、まともにヤンコビッチにバックでダウン・ザ・ラインへ打たせるようなボールは、多くみても3本だったかと思います。
その3本さえ、結果的にヤンコビッチにポイントが行くことになっても、ウィナーになることもなければ、ウィナーの布石になるショットにもなっていませんでした。 また、この試合では、エナンが自らネットをとりに行ったのは1度だけ。しかも、それはリターンゲームで、デュースになって、ある程度リスクを負ってポイントを獲りに行ける場面でのことでした。つまり、ヤンコビッチにラリーでまったく負けていない。それどころか、余裕すらあったわけです。 エナンは、ラリーで押される状況が増えると、必ず、サービスゲームでもリターンゲームでも、何度もネットダッシュして、状況を打開しようとする傾向にあるのですが、一度たりとも、そういうシーンは来ませんでした(それもちゃんと念頭に入れての戦略だったでしょうが)。 サービスゲームでは、相変わらずさほど1stの確率が高いわけでもなく、ダブルフォルトもありましたが、要所でのサービスエース、サービスウィナー級の1stサービス、そして、コースをついた回転量の多い2ndサービスと、しめるところはしめていました。 これでは、ヤンコビッチのつけいる隙もありません。その証拠に、第1セットはヤンコビッチに一度もブレイクポイントを与えず、リターンゲームでは、ブレイクできなかった2ゲームも含めて、すべてブレイクポイントを握っているのです。 バックでのダウン・ザ・ラインを捨てて攻撃しなければならなくなったヤンコビッチ。エナンのサービスゲームもなかなかリズムを崩せない。フットワークは良く、相変わらず本当によく拾っていましたが、ポイントを重ねていけないんですよね。 加えて、イージーなミスも目立ちました。エナンもミスはヤンコビッチと変わらないぐらいあったのですが、それはすべて、ウィナーを獲りに行くために叩いたショットばかり(ネットが多かったかな)。まぁ、これはこれで決勝に向けて修正が必要なのでしょうが、この日のヤンコビッチにはプレッシャー以外の何ものでもありませんでした。 第2セット、第4ゲームをエナンにブレイクされたヤンコビッチは、第5ゲームでブレイクバックに成功しますが、これも得たポイントはすべてエナンのミス(それも、ウィナーを狙ったミス)によるものでした。 第4ゲームでエナンにブレイクされたものの、気持ちが吹っ切れたのか、ストロークにも本来のキレが戻りつつあり、もらったポイントとはいえ、第5ゲームでブレイクバックに成功したヤンコビッチ。なんとかここから流れを変えたいところでしたが、エナンは最後までそうさせてはくれませんでした。 第6ゲーム、再びエナンに(それも簡単に)ブレイクを許すと、第7ゲーム、踏ん張ったものの、要所でエナンにポイントを奪われ、ブレイクチャンスを生かせず。 どうしようもなくなったヤンコビッチ。第1セットから、やや元気がなくなってきていたのですが、第8ゲーム、ダブルフォルトで0-30とエナンにポイント先行を許すと、ラッキーなネットインで1ポイント挽回するも、再びダブルフォルトで15-40とエナンにマッチポイントを握られます。 この第8ゲーム(特にダブルフォルトを犯してしまったとき)、ヤンコビッチ、ちょっと涙目(悔しさで)だったように見えたのは私だけでしょうか。 これまでの対戦で、必ずフルセットまでもつれる攻防を繰り広げていただけに、彼女自身、まさかこんな展開になるとは思っていなかったでしょうし、ここまで完璧に封じられて、しかも、自分は大事なところでミスを出してしまった。そんな思いなんだろうなぁ、と思って見ていました。 それほど、エナンの戦略は完璧だったということでしょう。 エナン、ちょっと上にも書きましたが、決勝に向けて修正点はあるものの、さすがの戦いでした。 ヤンコビッチ、残念な負け方になってしまいましたが、この試合をきっかけに、さらに強い選手になることを期待したいと思います。そして、いつかGSタイトルを手にするのが見たいです。 アナ・イワノビッチ(SRB)[7] × マリア・シャラポワ(RUS)[2] 6-2/6-1 いやいやいやいや、イワノビッチ。失礼いたしました。 シャラポワが強い精神力で決勝に行くだろうと思っていたら、まったく違っていました。 シャラポワは…私が彼女の試合を見た中で、最低な試合だったかもしれません。第2ゲームはあわやベーグル食らうんじゃないかと思いました。とにかく、ミスが多かったですねぇ。 一方、イワノビッチは、最初からよく守って、緩急をつけたボールでしっかりとラリーをしていました。しかも、本当は緊張しているのかもしれませんが、スウィングもリラックスして、いい具合に力が抜けているから、強打しなくても、かなり重いボールが飛んでいたと思います。 さらに、サーブが素晴らしかった。 この試合も、サービスエースで始まり、サービスエースで締めましたから。 逆にシャラポワは、速い1stが入っても、サーブのコースも甘く、2ndにもあまりコースの工夫が見られませんでした(というか、工夫をしているつもりでも、思ったところに飛んでいなかった?)。これでは、リターンも良いイワノビッチに、ポイントを獲られても仕方ありません。 ストロークでは、足が動いていないのか、重心が高いまま強打してしまい、ネットにかけたり、アウトにしてしまうミスがよく見られました。 普通であれば、集中力を高めて、ストロークの精度が増すはずなんですが、この試合は(集中はしていたと思いますが)、ストロークの精度は最後まで上がらず。こうなると、強烈なサーブやストロークから相手を崩してポイントを奪う以外に、あまり展開のパターンのないシャラポワはどうしようもない(加えて、ドロップショットの精度も悪かったし)。 イワノビッチは、そんなシャラポワに付き合うことなく、最後まで自分のプレーを貫きました。その結果が、6-2/6-1というスコアになったと思います。 東レの決勝戦(対ヒンギス)では、最初、かなり緊張していた様子が伺えたのですが、今日の決勝は、それを力に変えられるでしょうか? エナンが断然有利だとは思いますが、SFまでの戦いを忘れなければ、サーブもリターンも良いイワノビッチにも勝機はあると思います(とか言いつつ、私の予想はエナンの3連覇達成ですが/笑)。 さて、皆さんの予想はいかに? あと何時間か経てば、決勝がはじまります!
posted by takezoh |15:13 |
全仏オープン2007 |
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Re:〈全仏オープン〉女子シングルスSF
いや~、エナン強い! ヤンコビッチは全くのノーチャンスだったようですね。もう一方は、僕もシャラポワが驚異の精神力で決勝進出かと思ってましたが、イバノビッチやりましたね。『スマッシュ』誌によると、彼女はエバート→オースチン→マレーバ→ヒンギスと続くクレバーで華麗なテニスをする系譜の選手とされてました。
しかしこのセルビアン・ガールズに加えてバイディソバ・チャクエターゼあたりは、もうヒンギスと肩を並べる位置に上がってきたと言っていいかもしれませんね。昨年に比べてペトロワ・ディメンティエワが後退しましたが、セリーナに加えて彼女たち若手軍団が上がってきてむしろ層は厚くなったような感じ(ゴロビンやサファロバも上がってきそうだし)。ヒンギスはますます苦しくなるそうな気が……。
それはともかく、決勝はやはりエナンが有利だと思います。混戦とか言ってましたがナダルの優勝よりもむしろ確率は高いように思います。
posted by バラージ | 2007-06-09 15:50
Re:〈全仏オープン〉女子シングルスSF
エナンを応援していて、最近調子のいいヤンコビッチ戦は心配していましたが…
要らぬ心配でしたね。さすがローランギャロスの女王!
ヤンコビッチも好きな選手ですし、次のウィンブルドンでがんばってもらいたいです。(去年は、ヴィーナスを倒すという活躍ぶりでしたし。楽しみです。)
私もシャラポワが決勝に勝ち上がるのかと思いきや(ごめん、イワノビッチ)、なんかあっさり負けている…
エナンの優勝姿が見たいので、イワノビッチが好調なのはちょっと困りますが…でもでも白熱した試合も見たいです。(どっちなんだ?私、笑)
posted by すずの娘 | 2007-06-09 16:07
Re:〈全仏オープン〉女子シングルスSF
書き忘れ。
杉山&スレボトニク組、残念! ウィンブルドンでの優勝を期待します!
posted by バラージ | 2007-06-09 16:26
>バラージさんへ
やっぱりエナンはすごいです。逆に、対戦相手にもっと手ごたえのある選手を、と贅沢なことを思ってしまいます(ヤンコビッチは手ごたえのある選手だと思っていましたが、この試合は完全に封じられてしまいましたし)。
そういえば、松岡修造さんは、イワノビッチはもっと早くWTAで成績を残していてもおかしくない選手だと言っていましたね(東レのとき)。顔立ちも美しいですし(レキップ紙の一般投票で、堂々の1位に輝いたらしいです)。日本ではまだあんまり騒がれていませんが、人気が出てくれれば、東レとかAIGとかもシャラポワ以外でも賑わってくれるかも。ですね。
>セリーナに加えて彼女たち若手軍団が上がってきてむしろ層は厚くなったような感じ
ほんと、そう思います。モレスモもまだ調子が上がらないようですし、シャラポワもまだ疑問符がつきますから、一気に彼女たちがトップ10でしのぎを削ることになるかもしれません(そして、ツアー最終戦も、ほとんど20歳前後の選手で占められるかも?)。
問題は、そのなかから、誰が次世代の女王になれるか、ですよね。今のところ、まだ頭ひとつ抜けている感じの選手はいないと思いますが(成績としてはヤンコビッチですが、エナンに勝てないのが痛い)。。。
ヒンギス、待ってます…。
posted by takezoh | 2007-06-09 16:39
>すずの娘さんへ
やっぱり女王という代名詞はエナンがいちばんふさわしいですねぇ。ヤンコビッチは残念でしたが、私もウィンブルドンに期待したいと思います。
決勝、イワノビッチは好きな選手のひとりですが、やはり私もエナンを応援したいです。白熱した試合も観たいですし、でも、こてんぱんに若手を退けるエナンでもOKです(笑)。毎回、うま~、とか、すご~、とかエナンのプレーを見るたび1回は口走っていますが、それが何度も口走れる試合を期待したいと思います。
posted by takezoh | 2007-06-09 16:42
>>バラージさんへ
いやぁ、本当に残念でした。
でも、コンビ結成から短い時間でGS決勝ってすごいと思います(しかも、第1シードを退けていますし)。かなり身長差のある凸凹コンビですが、コンビネーションは抜群のようですし、これからのGSタイトル(その他WTAタイトル)、かなり期待できるんじゃないでしょうか。今年は無理かもしれませんが、来年、ダブルスでツアー最終戦、あるかもですね。非常に楽しみです!
posted by takezoh | 2007-06-09 16:43
Re:〈全仏オープン〉女子シングルスSF
エナンかっこよかったですねえ。
試合直後のTVインタビューでもにっこにこでしたから、作戦がかなりうまくいったのでしょう。試合中にメモを出して読んでいましたが、コーチと一緒に書いたこのメモ、ネットに行くのがどうとかの一言が書いてあったようですが、なんだったのでしょう。このコーチとの作戦もうまく行ったのでしょう。とにかく最初から気合の入ったすごい試合でしたね。対照的にヤンコビッチの彼女らしくない暗い表情が印象的でした。
昨日はエナンはフェデラーの試合の観戦に、ヤンコビッチはジョコビッチの応援に来ていたようですね。
また余談ですが、France3の例のミニプログラム(Un jour a Roland という一連のジュークボックスのやつ)でイバノピッチやセレナの映像が見れます。セレナがノリノリで”踊って”ますが、選曲は彼女自身で、どうしてもこの曲でやりたいと言ったのだとか。おもしろいですよ。
posted by ダニエル | 2007-06-09 18:33
>ダニエルさんへ
そうですか、メモはネットプレーに関してでしたか。その必要がまったくないほど、ベースラインからでも素晴らしいプレーをしていましたよね。相変わらずエナンの強さ、巧さにホレボレします。
一方、ヤンコビッチは、おっしゃる通り、いつもとはまったく違って元気がなかったですよね。こんなに完璧に封じられたのは初めてでしょうし、相当悔しかったことだと思います。また来年、全仏で活躍してくれることを期待します。
>昨日はエナンはフェデラーの試合の観戦に、ヤンコビッチはジョコビッチの応援に来ていたようですね。
日本での放映でも紹介されていました。やっぱりイワノビッチはまだそこまで余裕はないのか?? フェデラーはスタンドで観戦するんですかね? いや、プレイヤーズ・ラウンジとかで観るのかな??
ジュークボックス情報、ありがとうございます。セリーナ、ヒップホップはお手の物ですね。っていうか、マジ踊りじゃないですか(笑)。さすがでございます。
そして、やっぱりイワノビッチはとても可愛かった。。。
そしてそして、またもジョコビッチのバージョンを観てしまいました(笑)。来年もぜひとも、よろしくお願いしたいですよね(ダビデンコも入れてあげて~/笑)。
posted by takezoh | 2007-06-09 19:27


