2006年08月28日

藤川球児の涙に見たもの

8月27日(日)、お立ち台で藤川球児が涙した。

彼の涙にはいろんな思いが詰まっていたと思う。
登録抹消、そして1軍に復帰しても登板せず、チームには黒星だけが増えていく。
少しの期間とはいえ、戦列を離れてしまった悔しさと責任感もあっただろう。

でも、それだけだろうか。

「ファンの皆さんも悔しい思いをしていると思う。でも、僕たちも悔しいんです」
「わかってください」

タイガースファンっていったい何だ?
ファンっていったい何なんだ?

2003年、優勝へ向かってばく進しているさなか、当時の監督・星野仙一氏をはじめとしたタイガース関連のドキュメンタリーが多く見られた。そのなかで、苦笑した、というよりも穴があったら入りたいと思ってしまったシーンがあった。

それは、星野氏が朝のウォーキングのあとに通っている芦屋の喫茶店での1コマ。

隣に座るタイガースファンのオッサン。
こともあろうに、かつて巨人キラーとして活躍したプロの投手であり、監督としてのキャリアも持つ阪神の監督に、采配の説教を垂れているではないか。

いや、私も野球ファン。
TVの前や友人との会話で、そこはそうじゃないだろう、とか、なんでこのタイミングでその投手交代やねん! とか、私が監督やったほうが勝てる、とまで言ってしまうこともある。

これは、おそらく野球ファンなら、誰しもが経験していることだろう。
ここまでなら、野球を楽しむひとつの方法で終わらせることができる。

ただ、情けないことに、タイガースファンのなかには、厚顔にも、それを監督や選手に向かって口にしてしまう人がいる。

もちろん、そんなファンは一部だろう。
一部というよりも、ほとんどいないと思う。
もしかして、他の11球団のファンのなかにも、そんな「熱狂的な」ファンがいるかもしれない。
昨晩の藤川球児の涙に心を痛めたタイガースファンが大多数を占めるとも思う。

では、逆に、「あるオッサンが、現役の監督や選手に采配の説教をしている。さて、このオッサンはどこのチームのファンでしょう?」と100人に聞いてみたら、どの球団がいちばん票を集めるだろうか。

タイガースという答えが圧倒的だと思いませんか?

なぜ、そうなるのか?

ファンの絶対数によって、一部という数が多くなるという意見もあるだろう。
では、全国に多くのファンを持つジャイアンツファンは? 観客動員数の多いホークスファンは?

なのに、なぜその一部がタイガースファンというものを特徴づけてしまうのか?

僕はそんなファンじゃない。
私はそんなことしない。
そんな奴はタイガースファンじゃない。

そう言うことは簡単。

お行儀よくすることだけがファンじゃないと思う(※)。
ときに熱狂すればこそ、チームもプロ野球も盛り上がる。
ヤジだって立派なスポーツ文化だ(*)。

※とはいえ、メガホンを放り込むようなマナーを守らないのはいけません! プレー中は危険だし、そもそもファンが遅延行為を働いてどうする!

*ヤジもけっこう。
でも、その場の感情をストレートに言葉をぶつけるのではなく、もうちょっと余裕を持ちましょうよ。
昔のヤジはもっとキツかった、という人もいるかもしれないが、そこにはもっとユーモアがあった。笑いのないヤジは、ただの文句や罵声にしかなりません。
ヤジを飛ばすなら、もっとカリカチュア的なセンスのあるヤジ、飛ばせないもんでしょうか。

ファンがいるから、ファンが応援するから選手も頑張ることができる。
そう思うのは別に悪いことではないし、事実、選手だってお立ち台で「いつも応援ありがとう」「ファンの声援が力になる」って言ってくれている。

おそらく、暗黒時代があまりにも悲惨で長かったせいなのかもしれない。
タイガースファンは「応援してやっている」という気持ちが強すぎるような気がする。

でも、応援してやっている、というのはちょっと違うと思う。

誰かに何かをしてあげた、してやった、という言い方はどうかと思う。
それはやってもらったほう、してもらったほうが言うべき言葉であって、やったほうが使う言葉ではないんじゃないだろうか。

もし、あなたの上司に「お前を育ててやった」と面と向かって言う人がいたら、どう思いますか?
確かに、育ててもらったかもしれないが、その人はそれを口にした時点で、自分の上司としての価値を下げたように思いませんか?
せめてその人は「君を育てた」という言葉で留めるべきだとは思いませんか?

私たちはタイガースというチームと選手をただ「応援している」のであって、「応援してやっている」のではないということをちゃんと認識する必要がある。

藤川球児の涙は、それを考えさせるものだったと私は思います。

posted by takezoh |12:50 | 虎の一喜一憂 | コメント(2) | トラックバック(0)
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Re:藤川球児の涙に見たもの

野次にスポットを当ててくださるのは、野次キングの私にとってはうれしい限りです。

私は正直な感想を申しますと、藤川選手の涙には腑に落ちない部分があります。

野次のひとつひとつに一喜一憂しているようでは、まだまだ一流のアスリートではないのかと。彼の剛球は観るもの全てを魅了する。だからこそ、それを乗り越えてほしいと思うんです。

あのフィーゴがペットボトルや石を投げつけられても平然(まるで他人事のように…)していたように。

かといって、モラルない野次や人権を傷つける野次は認めません。野次って響きはわるいですが、かなりセンスのいる作業ですから。昔の甲子園や藤井寺なんて、オッサンどもの大喜利場と化していましたからね。

応援やファン意識なんて、一歩間違えれば恩着せがましいもんですよね。

甲子園がイングランドサッカー場のようにフェンスが低ければ、カントナのようなとび蹴りを食らわす選手がいっぱい出そうですね。

ブーイング文化がないこの国では、野次の文化を大切にしていきたいです。伝統芸能みたいなもんだから、今の若い子たちはセンスあるオッサンの技を大いに盗んでほしいです。

藤川よ。結果が悪いと野次られるのはプロの宿命でもあるぞ。もし、あまりにも酷い野次をする奴がいれば、その剛球をぶつけてやれ!私が許す。でも、かなり痛そうなので1球だけね。

以上 野次取締り委員会 会長uzura176

posted by uzura176 | 2006-08-30 04:34

野次取締り委員会 会長さまへ

こんにちは。こちらにもコメントいただきまして、ありがとうございます。最近、uzura176さんのブログは欠かさず拝読しているんですが、足跡残さず申し訳ありません。

確かに、藤川クンのあの言動は、まだまだプロとしての未熟さがあったかな、と私も思います。当然、チームが結果を出さなければ、ファンから野次られるのは仕方ないと思います。

たぶん、本人に野次がいけば「黙って見とれ!」ぐらい言い返すぐらいの心意気はあったんでしょうが(昨年の9月首位攻防戦で岡田監督が抗議して15分ぐらい試合が中断になったとき、観客席からとんだ野次に彼は思いっきり、なんじゃ、てめ~、みたいな形相で言い返していました/笑)、他の選手にとんだ野次ってうのが、今回のミソだったのかな、と。

選手に対して杞憂してしまうのは、藤川のそんな未熟な姿よりも、お立ち台で泣いてしまうそんな彼が投手陣を引っ張っているという現状です。だから彼が抜けるとボロボロになる。

私はあえて、藤川よりも、その周りの投手にしっかりせんかい!と言いたいです。藤川ひとりに重い責任を背負わすな、と。じゃないと、投手もだめ、打撃もだめ、暗黒時代よりも悲惨な状況が・・・

野次は本当に大切なスポーツ文化だと思います。
サッカーマニアの友人が、W杯を見ながら「野球にあってサッカーにないもの、歴史とスタンドからの酒に酔ったオッサンのヤジ!」と息巻いてました(笑)。

posted by takezoh | 2006-08-30 06:52

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