2008年08月25日

中盤再編、キーマンは稲本か

 稲本潤一(フランクフルト)が、日本代表に復帰した。
 稲本の選出は、オシム監督時代の昨年10月、欧州遠征以来。そのオシム前監督が欧州組の選出に慎重だったのに対し、岡田武史監督が長谷部誠(ヴォルフルブルク)を定着させ、本田圭佑(VVV)、小野伸二(ボーフム)をテストするなど欧州組を重宝していることを思えば、遅すぎるように思える初選出だ。

 さて、稲本がポジション争いに加わる守備的MFのポジションだが、岡田監督は守備力よりもむしろ攻撃力に魅力のある選手を6月の3次予選では並べた。基本的には、長谷部と遠藤保仁(G大阪)のコンビ。長谷部が警告のため欠場した最後のバーレーン戦でも、代役はパサータイプの中村憲剛だった。

 気になるのは、相手国のレベルが上がる最終予選でも、カウンターの対応に難がある「攻撃的な守備的MF」コンビを続けるか、どうかだ。
 個人的には、続けないだろう、と思う。コートジボワール、パラグアイという、格上2ヵ国と対戦した、5月のキリンカップ。岡田監督は中盤の一角に、今野泰幸(FC東京)や鈴木啓太(浦和)といった、守備力に優れた選手を起用していた。先のウルグアイ戦でも、岡田監督は守備力に優れ、ロングキックと高さというプラスαを持つ青木剛(鹿島)を代表デビューさせ、長谷部とのコンビでテストしている。

 つまりこれまでの傾向から言えば、警戒すべき相手との試合では、必ず守備力の高い選手を中盤の底で起用しているのだ。3次予選では長谷部と遠藤、遠藤と中村憲を並べて戦ったバーレーンに、最終予選では敬意を払うのか、それは分からないが、互角以上の力を持つオーストラリアとの対戦となれば、岡田監督も中盤の守備を強化しないわけにはいかないのだろうか。


 中盤再編。

 そこでクローズアップされてくるのが稲本だ。2002年ワールドカップでの2得点もあって攻撃のイメージが強い稲本だが、強いフィジカルを生かしたボール奪取力もかなりのもの。ガラタサライ(トルコ)時代にはバランサーとして、1ボランチも務め上げている。
 長谷部、遠藤のコンビに割って入って、攻撃力を損ねることなく守備を強化できる可能性のある人材は恐らく、稲本くらいのものだろう。海外リーグ所属による参加のしにくさやコンディショニングの難しさはあるが、稲本が最終予選を戦う上で選択肢に入ってくるのは当然のことのように思われる。

 その稲本を先のウルグアイ戦で招集しなかったことには疑問が残るが、青木のテストを優先したのか、稲本なら直前の準備期間でもある程度やれると判断したのか。いずれにしても攻撃力と守備力を高次元で兼ね備える稲本が、最終予選に向け、守備の強化が不可欠な中盤のキーマンになりそうだ。

posted by taka |20:24 | 日本代表 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年08月24日

Jリーグ第22節 観戦レポート(1)(2)

     (1)FC東京1-2東京V
Match Report
 FC東京は28分、FWカボレのスーパーゴールが決まって先制。しかしその後はカボレとFW赤嶺真吾の動きが重なる場面が目立ち、ボールを支配しながら2点目が奪えない。するとMFレアンドロを投入した東京Vの反撃に遭い、FW大黒将志が同点ゴール。後半ロスタイムにはDF那須大亮にヘディングシュートを決められ、今季3勝していた東京ダービーで逆転負けを喫した。
Pick Up Player=大黒将志(東京V)
 FC東京の一瞬の隙を突いてDFラインの裏を突き、飛び出したGKを見てチョコンと浮かした技ありシュートで同点ゴール。Jリーグ復帰後初ゴールは、オフ・ザ・ボールの巧みな動きとシュートの豊富なアイディアという、自身の持ち味を存分に発揮したものだった。


     (2)G大阪1-1神戸
Match Report
 FW山崎雅人のゴールで先制したG大阪だったが、後半、MF遠藤保仁のまさかのPK失敗などもあって、追加点は奪えず。神戸はボッティが精彩を欠いてゲームを作れなかったが、DF小林久晃を前線に上げてパワープレーに出るとFW大久保嘉人が自由をつかみ始める。それがゴールに結実したのが、後半のラストワンプレー。GK松代直樹がはじいたこぼれ球を、ループシュートで落ち着いて決めた。
Pick Up Player=加地亮(G大阪) 解説の原博実さんも絶賛していたが、フィジカルコンディションはかなり良い状態にある模様。右サイドを上下動する馬力と守備の巧みさ、ポジショニングの良さが目を引いた。代表引退さえしていなければ、内田篤人(鹿島)が負傷中の今、岡田武史監督も日本代表に加えたかったのでは?

posted by taka |22:52 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月17日

日本的  ~FC東京対浦和~

<2008J1リーグ第21節/FC東京0-1浦和>

「ペースが握れた時間帯でシュートまで持ち込めていない」(GK塩田仁史)
「単純にクロスに入れても簡単に跳ね返されるだけ。もっと工夫も必要だと思う」(MF浅利悟)
「最後の質を出していかないといけない。ゴール前はもう何人かボールに絡む動きが必要」(MF羽生直剛)
     ※以上、コメントはすべて「J's GOAL」より


 こうしてFC東京の各選手のコメントを並べてみると、まるで日本代表戦後の選手コメントを見ているようだ、と思う。実際、試合を見ていて感じたフラストレーションは、先日まで北京五輪でU-23代表を見ていて感じたものに非常によく似ていた。
 パスはよくつながっている。ただし、それもゴール前、残り30mに差し掛かるまで。問題はそこからで、城福浩監督の言うところの「アタッキングサード」を崩し切ることができない。
 ラストパスが微妙に合わなかったり、クロスに対して中の人数が足りなかったり。残念なことに、FC東京の選手がゴール前に侵入できない理由も、日本代表のそれにそっくりだった。結果、ボールは支配できていて、シュート数もほぼ互角ながら、決定機の数では浦和を下回ることに。浦和は相馬崇人の決勝ゴールのほか、高原直泰のシュートが2回、田中達也のシュートが1回、ポストを叩いていて、もっと点が入っていてもおかしくないゲームだった。

 ただしこのゲーム展開は、必ずしもFC東京の問題点を明らかにしたのみではないと思う。
 僕が浦和戦を見て、対戦相手を「日本代表的」と表現したのはこれが初めてではない。今年4月、大宮と浦和の試合についても、僕は大宮のことを
「パスはきれいにつながっていくのだが、最後の30mを崩しきれないその様は、良い意味でも悪い意味でも、非常に日本的だった」
と評している。

 そのときの大宮と今回のFC東京を比べると、パスワークがきれいだったのは大宮のほうで、スコアを見ても明らかなように、より浦和を追い詰めたのも大宮のほう。だが、浦和についての
「守備の粘りでここ数シーズンを勝ってきたチームだけに、クロスにしてもドリブル突破にしても、対応に『ペナルティエリアの中でだけは絶対にやらせない』という意地のようなものが見えた」
という印象は、今回も変わらない。

 この日、FC東京が「日本代表的」だったのは、相手が浦和だったから、というのも大きく関係していると思う。たとえ相手にボールを支配されても、終盤パワープレーに出られても、浦和は動じない。たとえ石川直宏や今野泰幸が飛び出してきてもスピードのある坪井慶介がカバーし、闘莉王がつぶすだけだし、パワープレーも単純なロングボールなら闘莉王が跳ね返すだけだ。
 この2人がDFラインに復帰するまでは、現在は守備的MFの阿部勇樹がDFでプレーすることも多かったが、いずれにしてもゴール前の守備は強固。彼らが対応する場面が多いということはつまり、前線からのプレスが機能しているわけではない、ということでもあるのだが、ゴール前で仕事をさせないあたりはさすが闘莉王、という他ない。

 さて、その闘莉王と対面すると、なんとも物足りなかったのが平山相太。185cmの闘莉王を身長では5cm上回っているはずが、ゴールキックの競り合いも、終盤のパワープレーも、空中戦では完敗だった。
 また、トップ下気味にプレーして復調してきた平山だが、下がってプレーして長友佑都やカボレにはたいても、スピード不足で、クロスを上げるタイミングでゴール前に間に合わない。確かに、1トップでプレーしていた頃より運動量も貢献度も上がってはいるのだが、「ゴール前での怖さ」は減ってしまっているような気がした。果たして、「怪物」といわれた頃の平山は、どこへ。彼は今のままでは、上手いけど怖くない、きわめて「日本的」なプレーヤーに収まってしまいそうだ。

posted by taka |00:59 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月16日

完璧に近かった澤穂希 ~女子代表、対中国~

ノルウェー戦の後半、中国戦と1試合半、なでしこJAPANの素晴らしい戦いを見て、「どうして男子にこれができないか?」と思う。前線からの組織だったプレスに、常に2つ以上のパスコースを確保するボールホルダーへの周到なフォロー。豊富な運動量をベースにしたこのスタイルは、果たして男子にも応用できないものか。

そんなことを考えながら、同時に、「U-23の男子代表と、年齢制限のない女子代表との安易な比較には、意味がない」とも思う。ナイジェリア戦で連敗を喫した後、内田篤人(鹿島)が
「満男さん(小笠原=鹿島)のような中心選手がいなかった」
と嘆いたというが、女子代表には、澤穂希がいる。中心選手不在のU-23代表と違って、なでしこJAPANには澤という確固たる中心選手がいて、彼女が成熟した大人のプレーヤーとして、チーム全体を引き締めている。

男子にも成熟した大人のプレーヤーが必要ならば、オーバーエージを使えば良かった。それは確かにそうなのだが、遠藤保仁(G大阪)と大久保嘉人(神戸)を加えていれば、と嘆く事も、彼らを加えても決して「戦う大人の集団」にはならなかったと仮定することも今回の目的ではないので、オーバーエージについてこれ以上書くのはやめておく。
むしろ今回、記しておきたいのは、澤への感動であり、尊敬の念だ。

中国戦の澤のプレーは文句のつけようのない、完璧に近いものだった。
身長差をジャンプのタイミングとポジション取りの巧みさで制し、コーナーキックに頭で合わせて先制ゴールを決めたのは言わずもがな。2、3人に囲まれながらスルスルとかわしてスルーパスを狙ったり、味方が苦しい時にボールを預かって悠々と展開したり。かと思えば、一対一の間合いの妙で高いボール奪取力を発揮したり、鋭い出足と読みの良さでパスカットをしたり。感心したのは後半終了間際のプレーで、味方のパスミスになりそうなところで必死に足を伸ばしてボールを取り戻したプレーが1回、敵陣深くの相手の縦パスをカットしたプレーが1回あった。苦しい時間帯、厳しい日程の中での試合で、2点のリードがあってすでに試合の大勢は決まっていた。その時間帯にも澤は足を止めず、気持ちを切らさずに相手のわずかな反撃の芽を摘みとった。パスカット自体の見事さもさることながら、その精神力が素晴らしい。

イメージとしては、フィニッシャー、プレーメーカー、中盤の潰し屋(汚れ役)の3役を、一人でこなしている感じ。さらに周囲に指示を送り、チームを鼓舞するリーダーでもあるのだから、本当に頭の下がる思いだ。


僕は男子を含めても、ここ10年の日本サッカーで、澤ほど完璧に近いプレーヤーを知らない。その澤をアタッカーからボランチにコンバートし、攻守に連動性のある組織的なチームに仕上げた佐々木監督の手腕も素晴らしいが、快進撃の中心に澤穂希がいることを、改めて強調しておきたい。

posted by taka |11:03 | 日本代表 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年08月13日

集大成が「これ」ですか? ~北京五輪・オランダ戦~

1985年以降生まれの選手で編成される、いわゆる「北京世代」の日本代表の試合を始めて見たのは、06年11月の韓国戦だった。目を引いたのは、数的有利を作ってのサイド攻撃。サイドハーフとサイドバックが追い越し追い越される良い関係を築きながら、時におとりに使って単独突破を仕掛け、時に追い越す選手をシンプルに使って、サイドから数多くのチャンスを作っていた。そのサイド攻撃の主役が水野晃樹や苔口卓也、中村北斗で、中央のターゲットが平山相太だったのを思い出すと、時の流れの大きさを感じるが……。

あの時は、このチームが「こんな」ラストを迎えるとは思わなかった。

3戦3敗、失点4、得点1。日本は北京五輪本大会で、勝ち点の1つも取る事ができなかった。
2年前、国立競技場で感じた期待感は、どこへいったのだろう。ダイナミックなサイドアタックはいつから見られなくなり、守備陣の粘り以外にさして魅力のないチームになってしまったのだろう。

北京でのチームは、2年前の国立でのチームと同様、サイド攻撃が最大の武器だった。ただしその多くは、内田や安田理大(G大阪)、長友佑都(FC東京)の個人技に依存したもの。本田圭佑(VVV)をはじめとしたサイドハーフとの絡みは物足りなくて、中央で待っている人数も十分ではなかった。

選手個々の実力差は、当然あった。ボール奪取のほとんどは数的有利を作ってからだったし、ミスも多かった。左足が武器の本田圭のクロスが、そのままラインを割っているようでは話にならないし、最後の部分でクロスの質、ドリブルでの突破力の差が勝負を分けた面はある。
ただし前述のように、それを補うだけの戦術的な工夫が十分だったかには疑問があるし、選手個々の起用法にも疑問が残る。ストライカータイプの森本貴幸(カターニャ)の1トップ起用は適切だったのか。右サイドに起用されながら左足にこだわり、しばしば判断が遅れた本田圭を、あれほど引っ張る必要があったのか……。

96年アトランタ、00年シドニーが6で、04年アテネが3だったグループステージの勝ち点が、今回は0。日本の若年層の育成については、今後真剣に考える必要があると思う。

だが今回の結果……というより、今回の戦いぶり
については、反町康治監督への疑問が消えない。

サイドアタックは、狙い通りにできましたか?  選手の見極めは、十分でしたか?
2年間の集大成が、「これ」ですか?

posted by taka |20:44 | 年代別日本代表 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年08月10日

未完の敗退 ~北京五輪・ナイジェリア戦~

U-23ナイジェリア代表の、「ここ!」と決めた時のカウンターの迫力には脱帽するしかなかった。失点シーンは、いずれも3~5人が怒涛のようにゴール前に走り込んで、数的有利を作られたもの。そのスピードと正確性は、日本の各選手にとって体感したことのないレベルだったに違いない。

残念なのは、そのカウンターのスイッチを入れたのが、いずれも日本のミス絡みだったことだ。1点目は香川真司(C大阪)の中途半端なバックパスをさらわれ、2点目は中盤で本田圭佑(VVV=オランダ)の判断が遅くなって失ったボールに対して、攻守の切り替えが遅れた。そのミスから相手選手がスピードに乗ったドリブルで突進し、周囲もそれに呼応した。


ただミス絡みの失点は、「ミスのさせ合い」というサッカーの性質からいえば、日本の選手の、チームとしての甘さの証明とも言える。

18人中、8人。約半数の、最終予選に出場していなかった選手を最終メンバーに加えたチームは、最後まで「未完成」という印象を拭えなかった。
選手個人でいえば、香川はもっとミスを減らさなければならない。本田圭は判断のスピードを上げる他、「キックのスペシャリスト」を自認するならば、信頼を置かれるキッカーにならなければならない。そして梶山陽平(FC東京)は、もっと効果的なパスを出せるはずだし、ゲームを落ち着けるだけでなく、攻撃を加速させる「スイッチ」を入れられる選手になってほしい。


残念ながら、「反町JAPAN」の戦いは、次のオランダ戦が最後になってしまった。見たいのは意地、そして日本らしさ。ラストゲームが、ベストゲームになることを期待する。

posted by taka |21:35 | 年代別日本代表 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年08月10日

レッスンは、もういらない。 ~U-23米国戦~

U-23アルゼンチン代表との試合のあと、僕はこのブログに「貴重なレッスン」というタイトルの記事を書いた。世界のトップチームとの対戦を経験することで、選手たちも学ぶことが多かったのではないかと思ったからだ。

経験、という意味でいえば、米国戦も北京五輪の初戦にして、選手にとって学ぶことの多い示唆に富んだゲームになったと思う。

勝負を分けたのは、「あと一歩」の差だった。ストレートな意味でも、比喩的な意味でも。
ストレートな意味では、前半、内田篤人(鹿島)のクロスに対しての、森重真人(大分)。後半、李忠成(柏)が投入された直後に、長友佑都(FC東京)が左サイドからクロスを送ったが、中央の3人が触れずに右に流れていった場面。日本はビッグチャンスに、文字通り「あと一歩」が出なかった。

比喩的には失点シーン。水本裕貴(京都)がもう少し大きくはね返せていれば、辛うじてシュートに触れた西川周作(大分)が弾き出せていれば。あるいは、防げていたかもしれない失点だった。もちろん彼らを責められるプレーではないし、素人の勝手な要求であることは百も承知。しかし勝手ついでに書けば、こうした小さくて大きい「あと一歩」を詰めていかなければ、世界で勝つことは難しいように思われた。米国戦で片や勝ち点3、片や勝ち点0と明暗が分かれたのは、「あと一歩」が出たか、出なかったの小さな差が、90分で積み重なった結果だったからだ。


ただ、「経験」を持ち帰ることが今大会の目的ではないはずだ。
しかし僕は、米国戦に「経験」以外の収穫を見い出すことができなかった。一部の選手を除けば自信を付けたわけでもないだろうし、チームとして「日本らしいサッカー」を見せられたわけでもないからだ。


もう、「良い経験になった」という使い古された言葉でしか語れないようなゲームは、見たくない。今大会、レッスンはもう、いらない。

見たいのは日本らしいサッカーであり、日本の勝利。その両立は難しいが、要するに形や結果はどうであれ、手応えや自信を持ち帰ってきてほしい。

もう、悔しさと経験だけを持ち帰ってくる代表チームを見るのは、たくさんだ。まずは今夜のナイジェリア戦。一人でも多くの選手が、自分の実力に、日本のサッカーに手応えを感じられるような試合になることを望む。

posted by taka |09:47 | 年代別日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月07日

俺もアイツも北京世代

 1986年生まれ。僕は北京世代だ。
 小学校入学からほどなくしてJリーグが開幕し、リメイクされた「キャプテン翼」のアニメを見て育ち、小学校6年のときに眠い目をこすりながらフランスワールドカップを観た。日韓ワールドカップの頃は高校に入学したばかりで、微熱で学校を休んでブラジル対イングランドを観た(注・仮病ではない)。

 きっと本田圭佑(VVV=オランダ)も、長友佑都(FC東京)もそうだと思う。僕は自分と同世代の、恐らく同じ思い出を共有しているであろう若者が、五輪という大舞台で戦うことを本当に誇りに思うし、尊敬するし、同時に羨ましくも思う。

 かつて僕は、高さと当たりの強さだけが自慢の、本当に下手くそなDFだった。休み時間もボールを蹴っているぐらいにサッカーは好きだったのだが、スピードはなく、足元の技術も皆無だった。
 そんな僕の前に立ちはだかったのは、小学校の顧問が決めた「リフティング10回以上」という紅白戦参加の条件だった。4,5回でもう続かない僕は、いつも「もう入っていいぞー」と言われるまで入れなかった。
 後に1974年ワールドカップ決勝で、オランダの天才ヨハン・クライフをマンマークで抑えた西ドイツの名DFベルディ・フォクツもリフティングはまるでダメだったことを知るのだが、そこで僕は挫折し、身長の高さをバスケットボールで活かしていこうと決めた。

 果たして、何人の「北京世代」のサッカー少年が、挫折を味わったのだろう。
 僕の友人で、プロになった者は一人もいない。小学校5年の時に、今で言うロナウジーニョみたいに、ボールをフワっと僕の頭上に浮かせて抜いていったアイツも。中学2年の時に、弾丸シュートでブロックに入った後輩の腕を骨折させた彼も。ヨハン・クライフが大好きで、左サイドバックなのに14番をつけていた奴も。何人かは県のトレセンに選ばれていて、僕なんかから見たら素晴らしい才能の持ち主で、底抜けにサッカーが好きな奴ばかりだったのだが、それでもプロにはなれなかった。
 眼が合った瞬間、僕の動き出しにぴたりと合わせてスルーパスが出てきた、あの時の感触が忘れられない。それは中学2年の秋、オフサイドも曖昧な体育の授業でのことなのだが、正しく「アイコンタクト」のみで心が通じた瞬間だったし、タイミングと言い強さと言い、感動的なほどに完璧なパスだった。その瞬間、僕はこういう人間が上に行くのだろうと、バスケットを選んだことが正解だったと確信した。
 しかし上には上がいて、彼が就職を決め、僕が大学入試センター試験に必死になっている頃、星陵高校の本田圭は全国高校サッカー選手権を戦っていて、国立大の後期入試を受けている頃には名古屋グランパスで開幕先発デビューを飾っていた。大学1年の冬には、天皇杯準決勝で西澤明訓(当時C大阪)を一対一で抑える、やはり同い年のDF青山直晃(清水)に感動した。その青山直の、予選での活躍ぶりにはファンの一人として喜んでいたのだが、しかしその青山直も、最終メンバー18人に生き残ることはできなかった。

 小学校、中学校時代から、ピッチに立てるのは11人だけだし、ピッチに立っても戦いはある。その戦いを制し、才能を見出されたものだけがプロになれるし、そのプロの中でも、選ばれた18人はほんの一握りの「トップ・オブ・トップ」だけだ。落とされた選手を否定されているようで、当初は賛同できなかった反町康治監督の「心で選んだ」発言だが、選ばれた18人は恐らく、幾度もの挫折を乗り越えてきた、本当に強い精神力の持ち主だと思う。
 もちろん才能もあっただろう。ただ才能だけなら、他にもっと優れた選手は、いた。事実、本田圭はガンバのJr.ユースからユースチームに上がれず、長友は愛媛のJr.ユースのテストを落とされている。 

 それでも彼らは、辛い時期を乗り越え、這い上がってきた。彼らの誰もが人一倍たくましく、あらゆる面で自分に厳しいことは想像に難くない。初戦の日の朝に、ここで改めて、選ばれた18人に敬意を表したい。
 さあ、いよいよ本番だ。彼らに望むのは、堂々とした態度で最後まで戦い抜くこと。ブーイングがあろうと、内外からの重圧があろうと胸を張って戦ってほしいし、チャレンジしてのミスは良いが、ミスを恐れてのミスは見たくない。
 米国、ナイジェリア、オランダは、いずれも強敵。グループステージを勝ち抜くのは、簡単なミッションではないだろう。だが選ばれた彼らには、反町監督が常々言っている「情熱と誇り」を胸に、精一杯戦ってほしい。

posted by taka |06:46 | 年代別日本代表 | コメント(4) | トラックバック(0)
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