2008年07月31日

貴重なレッスン  -U-23アルゼンチン戦-

 土砂降りの雨に打たれて、服は下着までびしょ濡れになり、カバンの中の「サッカーマガジン」はぐしゃぐしゃで読めなくなった。それは相当なストレスであったが、それでもアルゼンチンとの一戦は、最後まで見届ける意義のある試合であったと僕は思う。

 感動したのはアルゼンチンの確かな技術だ。難しいことは何もしていなくて、ファーストタッチでしっかりボールをコントロールして、インサイドで近くの味方につなぐ、という基本的な動作を繰り返しているだけなのだが、そのレベルが非常に高い。ボールは芝生をきれいに転がって、寸分の狂いもなく味方の足元に収まった。
 また、キープ力の違いもショッキングだった。日本のプレスは非常に組織立っていて、何度か2対1の状況を作ることに成功したのだが、ボールを奪うことができない。ファウルで止めるのがやっとで、懸命に走ってのプレスも無力化された。このあたりはスタンドよりもテレビ観戦の方がわかりやすかったと思うが、「球際に弱い」というよりは、そもそも球“際”まで近寄らせてもらえなかった印象。つまり間の取り方が非常に上手くて、下手に近寄るとスッと交わされてしまいそうな雰囲気があった。

 対南米のパスやボールキープの技術の違いは、A代表レベルになっても苦しむもの。実際、ジーコ時代に中田英寿や稲本潤一といった競り合いに強い人材を中盤にそろえていても、対南米では分が悪かった。北京五輪のグループステージに南米のチームはないが、この段階で超一流の技術と直面したことは、彼らの将来にとって間違いなくプラスになると思う。リケルメ、マスケラーノ、アグエロといった超一流との「84分」(豪雨、落雷のため打ち切り)は、なかなか体験できない貴重なレッスンだったに違いない。


 ただ、アルゼンチンにも疑問を1つ述べると、ショートパスが余りにも多すぎること。それが古典的なゲームメーカーであり、年齢的にも絶対的な存在であるリケルメを中心に「チーム・リケルメ」になった影響なのか、「ちびっこドリブラー」を前線にそろえたチーム編成のせいなのかはわからないが、丁寧にパスをつないだ攻撃のほとんどはリケルメを経由しており、ややメリハリに欠けた。無論、前線の選手の突破力やボランチの展開力、リケルメの天才的なパスによって攻撃に変化をつけることはできるのだが、サイドをえぐってのクロスや中盤を省略した高速カウンターは、ほとんど見られなれなかった。
 一対一でボールを奪えない日本が相手だったから良かったが、独力でボールを狩れる選手を擁する相手に、攻撃のバリエーションの乏しさが吉と出るか、凶と出るか。金メダル獲得には、時には組み立てをスキップし、リケルメを飛ばす多様性が必要だと感じた。キーマンはリケルメとアグエロの間、1.5列目でプレーすることになりそうなリオネル・メッシか。

posted by taka |23:41 | 年代別日本代表 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年07月29日

心機一転!

 私事ながら、就職活動が終了した。4月から今月初めにかけて、ブログの更新頻度が極端に落ちていたのは、就職活動に追われていたためだ。「スポーツに関わる仕事ができれば」、との思いは破れ、一時は落ち込みもしたが、違うフィールドながら記者として評価され、内定をいただくことができた。
 今後、スポーツと私の関わり方は変わるかもしれないが、私のスポーツへの愛情は、きっと変わらない。これまでは『サッカーを愛する人々へ』と題し、割と硬派な内容でお送りしてきた弊ブログだが、違うフィールドへと進路を取ることになったのをキッカケに、心機一転。『最終ラインでルックアップ!』と題を変更し、硬派なものからゆる~いものまで、今後はより幅広く書いていこうと思う。

 題名を変え、スタイルを変えるのは、「サッカーの面白さを読者のみなさんと共有したい」、「読者のみなさんが、今よりももっとサッカーを好きになれるような文章を提供していきたい」との初心に立ち返った時に、これまでの方向性に捉われずに、自由な発想でブログを書いていくべきだと思ったから。
 以前、「サッカーを愛する人々へ」と題して書いていた時から、私のブログを読んで下さっていた方も。「最終ラインでルックアップ!」と改題して初めて、このブログに出会われた方も。崇高な理想に負けないよう、精一杯努力いたしますので、今後、私のブログをよろしくお願いいたします。


 さて、改題一発目の今回は、これまでになかったようなゆる~いテイストでいこうと思う。

 今週土曜日、8月2日にJリーグ選抜とKリーグ選抜が激突する、「JOMOカップ」が開催される。
 みなさんはこの、大会公式サイトをご覧になっただろうか。

 サイトのコンテンツは思った以上に充実していて、楽しめる内容になっているのだが、特に面白かったのが「出場選手紹介」。
 各選手へのアンケートがあって、「同じチームとしてプレーするのが楽しみな選手は誰?その理由は? 」という項目があるのだが、誰も彼も優等生的なコメントばかり。

 コメントは主に3種類に分類できて、
「他のチームの外国人選手。日本人選手はほとんど、代表などで一緒にプレーしたことがあるので」(岩政大樹=鹿島)
「選ばれたメンバー全員とプレーできることが楽しみです」(楢崎正剛=名古屋)
「特になし」(中澤佑二=横浜FM)
といったところ。二川孝広(G大阪)、新井場徹(鹿島)は「ガンバで一緒にやっていたから」と相思相愛で、少し微笑ましい。


 そんな中、異色だったのは闘莉王だ。
今野選手(FC東京)

 ……なぜだ!!!

 日本代表でも、一緒にプレーしてるじゃん。ごく最近でいうと、キリンカップのコートジボワール戦で、90分同じピッチに立ったじゃん。

 余りの不可解さゆえに、実家の母に電話して、このことを伝えてみた。
 たった一言、
「あの人、変だから」
と返事された。
 それでなぜか、妙に納得してしまった僕がいた。

posted by taka |03:52 | 心機一転! | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年07月26日

梶山陽平を見てほしい!   ~カジヤマニアからの推薦状~

 梶山陽平(FC東京)ほど、評価の分かれる選手も珍しい。

 監督、選手の中に、彼の才能に惚れ込む者は珍しくない。FC東京で彼を指導した原博実元監督などは、第1次政権(~05年)では「日本のジダン」、あるいは「日本のバレロン」になれる逸材といって期待をかけ、第2次政権(07年)では「日本のランパード」とやはり絶賛していた。U-23代表内でも、「陽平は上手い」と周囲から一目置かれていると聞く。

 だが「スポーツナビブログ」や、某巨大匿名掲示板を見ていると、彼の評価は決して高くない。
 身近な例を挙げれば、以前このブログに、「(梶山も含め、中盤の選手の)個々のパフォーマンスは決して悪くなかった」と書いたところ、
「梶山はあれで, 決して悪くない, んですか?
 TVでは、捜してもなかなか見つからないんですが・・・」(原文ママ)
とのコメントを戴いたことがあった。また、遠藤保仁(G大阪)のオーバーエージでの五輪代表選出が有力視されると、「梶山が外されるのでは」との意見を何度となく目にした。


 選手、監督から高く評価される梶山が、なぜファンから評価されないのか。


 その原因は、梶山という選手への「誤解」であると僕は考える。五輪代表、FC東京の両方のチームで10番を背負い、かつてジダンと重ねられた梶山だが、彼は決して「10番」タイプの選手ではないのだ。
 僕がそのことに気づいたのは、昨年の9月だった。FC東京ウォッチャーを自称し始めて3年目のことだから、梶山の良さとはわかりにくいものなのかもしれない。

 国立競技場で見た、ヴィッセル神戸戦。それまで「走らない選手」とばかり思っていた梶山の運動量に目を奪われた。あるいは、守備的MFでコンビを組む今野泰幸より走っているのではないか。そう思えるほどに、梶山は攻守に走り回っていた。
 以来、梶山には目を奪われっぱなしだ。180cmと、従来の日本の中盤の選手より大柄な梶山の好調のバロメーターは、身体の使い方。好調時の梶山は、自ら身体をぶつけて五分五分のボールを我が物とし、スルスルと、というむしろ、「ヌルヌルと」、と形容したくなる独特のドリブルで中盤を駆け上がっていく。

 イメージに反して、意外と走り、意外と競り合いにもタフな梶山だが、意外とゴールが少ない。このあたりが、ファン層からの支持が上がらない理由なのだろう。今年からFC東京での背番号が23番から「10」に変わり、「背番号と同じ数のゴール」を今季の目標に掲げていた梶山だが、今季ここまでリーグ戦でのゴール数は1。アシストもそれほど多くなく、得点に絡む働き、という意味では正直、物足りない。
 さらに残念なのは、代表に入ると、その前段階での輝きさえ失われてしまうことだ。プレッシャーの速さの違いなのか、リーチの長さが外人相手だとそれほど武器にならないからなのか、代表戦では組み立て段階でのセンスがきらりと光るパスも、前述した「ヌルヌル」感たっぷりのドリブルも、なかなか見ることができない。

 それは僕のような「カジヤマニア」には、凄く歯がゆいことだ。U-23代表でのプレーを見ていると、代表戦しか見ない人、あるいは、TVでしか彼を見たことがない人に批判されるのは、仕方のないことだと思ってしまう。
 本来であれば、スタジアムに足を運んで、「生梶山」を見ていただきたい。それが叶わないなら、せめて北京五輪で、梶山に少しでも注目していただきたい。
 10番をつけたり、「日本のジダン」なんて言われたりしていたが、梶山はシュートも少なければ、シュートに直接つながるパスもそれほど多くない。そういう意味では全然ジダンではないのだが、攻守によく走り、競り合いに勝利してボールをサイドに散らし、ヌルヌルとドリブルで駆け上がる。日本人では他に似たタイプが見つからない、非常に稀有な選手なのだ。



 ここからは余談だが、ピッチ外で彼に注目してほしいのは、あのさいとうたかを先生が描いたような眉毛……ではなく、ドリブル同様、独特のリズムを刻むインタビュー。なんというか、もう放送事故寸前だ。そういえば、今季唯一のゴールを決めた時に披露したゆりかごダンスも、やっぱりなんか変だった。
 そんなところも含めて、梶山は本当に面白い選手だ。このブログを読んだ人が、一人でも「カジヤマニア」になってくれれば、筆者としてはこれ以上幸いなことはない。

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posted by taka |02:13 | Jリーグ | コメント(7) | トラックバック(0)
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