2008年02月24日

台頭と、停滞と  ~韓国戦後~

 韓国戦まで、約1ヵ月で6試合。イビチャ・オシム監督前監督が約1年半で20試合だから、岡田武史監督はかなりのハイペースでスタートを切ったことになる。
 タイ戦への準備の意味合いが強く、ほぼメンバーを固定して戦ったタイ戦までの3試合。負傷者の続出もあって、監督の意図の有無に関わらずテストに近いメンバー構成になった東アジア選手権。
 その6試合を終え、台頭と停滞の両方を感じる。

 わずかな期間ながら、岡田監督の下で日本代表には各ポジションに新戦力が台頭した。
 FWには、1トップでも粘り強くプレーした田代有三(鹿島)。MFには、従来の2列目の選手とは一線を画するスタイルで破格の得点力を見せた山瀬功治(横浜FM)。両サイドでは若い内田篤人(鹿島)、安田理大(G大阪)が生き生きとプレーし、GKは川島英嗣(川崎F)が代表デビューした。

 ただし、守備的MF、センターバックのポジション争いには、未だ停滞感が漂っている。
 ボランチには鈴木啓太(浦和)。センターバックには中澤佑二(横浜FM)、阿部勇樹(浦和)。新戦力を積極的に起用した岡田監督だったが残念ながら6試合を終えても、彼らを脅かしそうな選手は現れなかった。
 気になるのはセンターバックだ。韓国戦で中澤が圧倒的な存在感を見せたが、中澤が奮闘すればするほど、彼以外のDFのだらしなさも際立つ。
 北朝鮮戦で失点に絡んでから出番がなかった水本裕貴(G大阪)には、もっとやれるだろうと思う。岩政大樹(鹿島)は今回は負傷で途中帰国してしまったが、一度は代表で見てみたい選手だ。彼らが奮闘し、中澤におんぶに抱っこの現状を抜け出せれば、阿部も、今野泰幸(FC東京)もボランチでプレーできて、鈴木啓太の代えがいない状況も改善されるのではないか。

 すっかり「ベテラン」と呼ばれる年齢になった中澤の負担を減らし、怪我がちの闘莉王(浦和)を脅かすセンターバックの台頭が今後望まれる。

posted by taka |21:48 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年02月21日

サッカーを守れ ~中国戦~

 ひどい試合だった。いや、日本の選手が何度となく不当な「暴力」によってうずくまり、中国の選手には正当な罰が与えられないのを、果たして“サッカーの試合”と呼び、試合中の出来事として片付けて良いものか。
 重慶での中国戦は、見ていてひどく不愉快なものだった。

 中国戦から強引に収穫を探すとすれば、田代有三(鹿島)の台頭と、2人のボランチの安心感。
 先の北朝鮮戦から2試合連続の先発出場となった田代は、献身的な守備とボールキープで、1トップを務め上げられる事を証明して見せた。後半終了間際の見事なゴールを存在しないオフサイドで取り消されたのは、不運としか言いようがない。彼としては是が非でも結果(=代表初ゴール)がほしいところだったが……。
 また岡田監督就任後は初めて中盤の底で中村憲剛(川崎F)と並び立った鈴木啓太(浦和)は、前線まで飛び出すダイナミズムを取り戻した。これまで1人でボランチを務めていた鈴木には、多大な守備の負担がかかっていたが、しかし彼一人では背負いきれず、中盤にスペースを空けてしまうことが少なくなかった。しかし中村憲がフォローに入ることで、守備でもつなぎでも、中盤の安定感はグッと増した。今後、前線の組み合わせがどうなるにしても、ボランチは1人より2人の方が良さそうだ。

 しかしいくら収穫を得たところで、中国があれでは大会そのものの意義が揺らいでしまう。
 各クラブは、余り望ましくない状況で選手を出している。ワールドカップ予選、東アジア選手権の両方に招集された選手は、これまでほとんど所属クラブの練習に参加していない。他の選手に比べて試合勘はあるかもしれないが、来月8日の開幕までは2週間しかない。中には監督が代わった選手、移籍した選手もいるが、これは準備期間として短くないか。これではJリーグ軽視といわれても仕方がない。
 なのに選手が負傷して帰ってくる危険性がある。中国のラフプレーは目に余るもので、相手DFラインの裏に抜け出した安田理大(G大阪)には、GKから飛び蹴りが浴びせられた。途中ズボンをたくし上げた遠藤保仁(G大阪)の太ももには、スパイクの跡がくっきり。
 しかし主審は、余りにも中国に甘かった。安田への行為はレッドカードが出て然るべきだがイエローカードどまりで、遠藤への行為にはカードすらなかった。第3国ではなく、北朝鮮からやってきた主審は安田へのファウルの他に、前半終了間際の田代への危険なタックルにもレッドカードを提示するべきだったが、中国には4枚(日本が2枚だったから、たった2倍!)のイエローカードを与えただけだったのである。

 これはサッカーを汚す行為という他ない。中国のラフプレーも、日本の選手を守る意識が全くない主審の判定も。こんなサッカーを汚す大会に、日本は、Jリーグチームの準備を遅らせ、選手を傷つけるリスクを侵してまで、参加する必要があるのだろうか。
 サッカーを守るために、日本サッカー協会の検討を強く望む。

posted by taka |17:18 | 日本代表 | コメント(33) | トラックバック(0)
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2008年02月19日

餅は餅屋

18チーム中、12チーム。
『週刊サッカーマガジン』最新号の予想布陣によると、今年はJ1・18チームのうち、3分の2のチームが4バックを採用するらしい。3バックがメインの川崎F、横浜FMも4バックを併用するようだから、実際にはもっと増える可能性がある。

左サイドバックの人材難に悩む日本代表にとっては、良い傾向だと思う。

ジーコが4バックを志向した4、5年前のJリーグでは、3バックが幅を効かせていた。中央に絞っての守備に、攻撃参加のタイミング。そうしたサイドバックとしての動きに慣れている選手が、ほとんどいなかった。新井場徹(G大阪=当時)、平山智規(柏=当時)への注目を口にしながら、「彼らはウイングバックの選手だ」と守備への不安を拭えなかったジーコは、ついに彼らを選ばなかった。

右サイドには内田篤人(鹿島)が台頭した。だが右が本職の駒野友一(磐田)が定着し、加地亮(G大阪)が試される左サイドバックの人材難は、むしろ当時以上かもしれない。

だが、台頭する土壌は整っている。当時は数少ない4バックのチームもアウグスト(鹿島)、ドゥトラ(横浜FM)といった外国籍の名手に頼っていて、試すべき選手自体が少なかった。だが今年のJには、少なくとも12人の左サイドバック候補がいる。

目覚めよ、左サイドバック!

代表監督が探してやまない左サイドバックがJにいるのに、本職以外が重宝される。これほどの屈辱があるものか。

昨年は安田理大(G大阪)が台頭し、先日代表デビューを果たした。扉は常に開かれている。今年のJリーグから、「やっぱり餅は餅屋だな」と言われるような、本職のサイドバックが登場することを期待している。

posted by taka |16:00 | Jリーグ | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年02月18日

テストの東アジア  ~北朝鮮戦~

「個人名は挙げられませんが、いろんなバックアップの選手を、違うポジションで試すことができた。自分なりに、これぐらいできるんだとある程度、見当をつけることはできました」

 どうやら我が国の代表監督は、昨日の北朝鮮戦、ひいてはこの東アジア選手権を本気に勝ちにいっているわけではないらしい。もちろん、負けても良いというわけではないだろう。だがどうやら、「テストの機会」として、この東アジア選手権を3試合1セットで考えているようだ、というのが正直な感想だ。
 岡田武史監督は「個人名は上げられませんが」と言ったが、試された選手はおおよそ見当がつく。たとえば、川島英嗣(川崎F)。あるいは水本裕貴(G大阪)、田代有三(鹿島)。加地亮(G大阪)は従来の右ではなく左サイドで起用され、安田理大は所属のG大阪より攻撃的な位置に投入された。
 不慣れな位置でプレーする選手がいて、代表自体に不慣れな選手も混在する日本代表は、終始ぎこちなさを感じさせた。左サイドにとまどいを隠せない加地に、噛み合わない2トップ。失点は鄭大世(川崎F)の個人技が光ったものだったが、水本が簡単に振り切られ、中澤佑二(横浜FM)のカバーが遅れたものだった。

 今回のテストで合格点を出したのは、田代、前田遼一(磐田)、安田の3人だろう。
 代表デビュー戦で先発出場した田代は、なかなかボールに絡めない時間もあったが、体を張ってボールをキープし、強引にシュートへと持ち込む゛強さ”を見せた。「あんなに滞空時間の長い選手は生まれて初めて見た」とオリベイラ監督(鹿島)をして言わしめたジャンプ力は脅威で、同僚の内田篤人(鹿島)以外もそれを生かせるようなボールを送っていれば、もっと彼の持ち味が出ていたのではないだろうか。
 今年に入ってからの代表戦3試合で出番がなかった前田は、GKが弾いたボールをヘディングで押し込み、貴重な同点ゴール。昨年11月のエジプト戦では3度あった決定機を一度しか決められなかったが、勝負強さを見せつけた。技術的には元々すぐれたものを持っているだけに、これを機に高原・巻超えを狙ってほしい。
 「今回はミチが一番勝負できるので」と期待されて送り込まれた安田は68分、緩急をつけたドリブルで左サイドを突破し、前田の同点ゴールを生んだ。今回は山岸智(川崎F)に代わって左MFで投入された安田だが、クラブでは左サイドバックでプレーする。その左サイドバックは駒野友一(磐田)がオシム時代から定着し、北朝鮮戦では加地がテストされた手薄なポジション。攻撃力をアピールした安田が、残り2試合で守備力の不安をかき消せれば、数年来の人材難が解決に向かうが……。

posted by taka |17:30 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年02月15日

U-23代表check(1)GK編

 シドニーでは楢崎正剛(名古屋)、アテネでは曽ヶ端準(鹿島)と、過去2大会ではオーバーエージが使われたポジション。経験が重視されるポジションであること、そのためにU-23世代ではクラブで出場機会に恵まれない選手が多く試合勘に欠けるのがその理由だろう。
 ただし今回は、西川周作(大分)がいる。ケガがちで、昨年は負傷離脱から大分でポジションを失い、五輪最終予選でも出遅れたのは気がかりだが、実力には申し分ない。ただし2番手が微妙で、山本海人(清水)、松井謙弥(岩田)はクラブで出場機会に恵まれない。
 曽ヶ端、林卓人(広島=当時)は予選で安定したプレーを見せながらも、クラブでポジションを奪えずメンバー入りを逃しているだけに、予選で出場がなかった林彰洋(流経大)にもチャンスはありそうだ。

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posted by taka911 |00:15 | 年代別日本代表 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年02月13日

解放された“今ちゃん”

 真面目で実直で、素朴な好青年。
 実際にあって話したわけではないが、インタビュー記事から、語られるエピソードから、今野泰幸(FC東京)にはこんなイメージを持っている。

 その今野を見ていて、我が目を疑ったのが昨年5月3日の鹿島戦での出来事だった。
 当時今野は、負傷で出遅れた茂庭輝幸の穴を埋めるべく、センターバックとしてプレーしていた。左腕には、「U-20代表以来」と語りキャプテンマーク。不慣れで窮屈なポジションと、自分では「不向き」と考えていたらしい役割とが、彼にストレスを溜め込んでいたのかもしれない。

 後半の60分過ぎ。今野と鹿島の選手が競り合って、ボールがタッチラインを割った。鹿島の選手が最後に触ったようにも見えたが、副審の判定は、鹿島ボール。
 次の瞬間、今野が副審に噛み付いた。鹿島は今野の猛抗議にもお構いなしで、素早いスローインで試合を再開。センターバックの一人がいない、ぽっかりと穴が開いたDFラインを臙脂(えんじ)の波が襲う。
 明らかに、チームに迷惑をかけていた。信じられなかった。いつだってチームの勝利のためにファイトしてきた今野が、するべきではない異議でチームのピンチを招いている。自然と起こったブーイングと歓声に気付いて今野は戻り、その穴をカバーしていた金沢の好守でFC東京は事無きを得た。だが、もし失点していれば大きな責任を負う、非常に愚かな行為だった。
 もしかすると、DFラインに押し込められ、チームも波に乗れないストレスが、悪い方向に出たのかもしれない。2階席にいた(しかも視力が悪い)僕の眼に、副審に抗議する今野の「鬼の形相」が飛び込んできたような気がした。


 その後にも先にも、今野がチームに迷惑をかける「愚かな行為」を働いたのは、少なくとも僕が記憶している範囲では、ない。「真面目な好青年」という僕のイメージは、たぶん外れてはいないのだろう。アウェーの鹿島戦では、田代有三に競り負けたところから失点し、涙したと聞く。そんな負けず嫌いで責任感の強い今野が好きだ。

 その後、今野はボランチに戻った。攻撃に守備に縦横無尽に走り回る彼が、ゴールした後に見せた笑顔こそが、本当に今野らしい顔だったと思う。重圧から解放された彼が見せた笑顔は、実に清々しかった。

posted by taka |23:24 | Jリーグ | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年02月11日

2人の“30m”

 サッカーの試合では大抵、GKがいち早く姿を現して、ピッチ上でのアップを始める。その後のメニューはチームによって様々だが、FC東京の場合は、コーチを交えての三角パスのあとで、二手に分かれる。

 片一方はゴールマウスで。もう一方は、バックスタンド側のタッチライン沿いで。

 ピッチの横幅が75.4mだから、両者は距離にして30mくらいだろうか。2人のGKが、ボールの感触を確かめるようにして、コーチの蹴るボールを丁寧にキャッチしていることに変わりはない。しかしこの瞬間に、正GKと控えGKとの間には明確に線が引かれる。

 昨年5月3日、僕は初めて、タッチライン際で黙々とボールを受ける土肥洋一の姿を見た。

 恐らく、塩田仁史が先発するだろうとは思っていた。前年の第33節浦和戦で土肥を押し退け、プロ入り3年目にしてリーグ戦初先発を果たした塩田。開幕戦でこそ土肥に正GKの座を譲ったが、第5節からは、再びポジションを奪い返していた。
 だが実際に、ゴールマウスを背負わずにボールを受け続ける土肥の姿を見るのは寂しかった。


 僕がスタジアムに行ったとき、いつもタッチライン沿いにいるのは塩田の方で、ゴールマウスには土肥が構えていた。プレーする塩田を初めて見たのは2006年、ナビスコカップでの浦和戦。塩田がファインセーブを連発して浦和の攻撃を無失点に抑えた試合前には、スクリーンに「土肥洋一選手ドイツワールドカップメンバー選出のお知らせ」と、土肥からのメッセージが映し出された。
 この時はまだ、両者の“30m”は遠いものに思えていた。

 だがこの年の第33節、偶然にも浦和戦で、土肥の216試合連続出場のJリーグ記録を断ち切って、塩田がリーグ戦初先発を果たす。浦和の優勝がかかる大一番で先発を任された塩田だったが、好守を連発して0-0の引き分けに持ち込み、続く最終節にも先発で出場する。
 のちに塩田は、初出場の前日の出来事をこのように語っている。
「前日の朝、トレーニングルームで少しだけ目を赤く腫らした土肥さんから『次、俺でないから頑張れよ』と言われました。その言葉はずしりと重かったですね。土肥さんのそういう姿を見たのは、後にも先にもあのときだけですから」(参照リンク)


 しかし悔しさを、土肥はピッチに持ち込まない。たとえ両者の「30m」が逆転しようと、ゴール前だろうとタッチライン沿いだろうと、土肥の姿勢は変わらない。派手なアピールも、腐る様子もなく、ただ黙々と、ひたすらにボールを受け続ける。
 真のプロの姿を、土肥に見た気がした。同時に、ジーコがなぜ、第3キーパーとして土肥をメンバーに入れ続けたのかもわかった気がした。


 その後、一時期は土肥が正GKに返り咲いた。だが、再び彼らを味の素スタジアムで見た4ヵ月後には、塩田がゴール前に、土肥がタッチライン沿いにいた。
 以前ほど違和感を感じなくなったその光景から、手元のマッチデープログラムへと視線を落とすと、塩田がインタビューでこんなことを語っていた。
「GKというポジションですから、どうしても試合中にクロスプレーや相手の足元に飛び込んでいくことがあります。万が一、その接触プレーで僕がプレーを続けられない状況になったとしても、土肥さんがいると思えば、思い切ったプレーができます」
 その日の試合では、塩田が相手FWの飛び出しに勇敢に飛び出すプレーが非常に印象に残った。
 その後、たとえ0-7で試合に敗れようと、塩田がベンチに戻されることはなかった。そしてシーズン終了を待たずして、クラブは土肥と来季の契約を結ばないことを発表した。

 04年、05年は0だったリーグ戦出場が、06年は2試合、07年は20試合に。着実に出場機会を伸ばしてきた塩田は、来る08年シーズン、土肥の背番号「1」を引き継ぐ。
 今シーズンはもう、偉大な「後ろ盾」はない。それでも塩田はやってくれる。「土肥がいれば……」とは言わせないような、そんな活躍を。塩田の「1年目」に期待している。

posted by taka |18:17 | 人物 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年02月07日

「気持ち」の賜物  ~W杯予選タイ戦~

「2点目はラッキーな点だったが、とにかく泥くさくても何でも、点を取って勝つ。選手たちに点を取りたい気持ち、意思があったので、ボールがこぼれたのだと思う」

 テレビで岡田武史監督のインタビューを見ながら、僕はジーコ監督の言葉を思い出していた。

「我々があれだけプレッシャーをかけていなかったら、果たしてあのゴールは生まれていたか、ということを考えると、やはり選手全員が前を意識して、あるいはゴールを意識した結果、生まれたゴールだと思う。本当に立派な1点だと思うし、みんなの気持ちが乗り移った1点だと思う」

 2005年3月、ワールドカップ最終予選、ホームでのバーレーン戦。日本の、この試合唯一のゴールは、相手選手のオウンゴールによるものだった。上記の言葉は、「オウンゴールによる勝利は好運によるものか?」という質問に対するジーコ監督の答え。
 幸運にも思える決勝点の理由を、両監督が「気持ち」に求めたのは興味深い。「執念」や「気持ち」の効果は理屈で説明できるものではなく、故に形容し難いが、相手のミスを誘うのも、幸運をゴールに結びつけるのも、勝利への意思なければありえないということか。ワールドカップ予選ともなると、相手も必死。「勝負は時の運」というが、より強い気持ちを持って戦った側が勝利を引き寄せるというのを、経験豊富なジーコも岡田も肌で感じているのだろう。
 強い気持ちが日本代表に脈々と受け継がれていることをうれしく思う。他の3カ国との力関係を考えれば、その気持ちがある限り、3次予選は問題なく勝ち上がれるだろう。ただ同時に、気持ちだけでは、最終予選、ワールドカップ本大会は厳しいだろうな、とも思う。


 岡田監督は試合後、
「セットプレーで点が取れたことは喜ばなければいけない。しかし、セットプレー以外で取れなかったことは反省しないといけない」
と語った。非常に正しい総括だと思う。
 だがその反省点は、就任3戦目のタイ戦の段階で解決していなければならなかった類のものではないだろう。「世界を驚かす」ことを目標に掲げているのだから、流れの中からスムーズな連携で相手を崩し、ゴールを奪う場面が見られるのは、もう少し先でもいいはずだ。
 タイ戦については、ポイントと見られていたセットプレーからしっかり3点を奪えたことを、今は喜んでも良いと思う。「意思」とセットプレーで乗り切れそうな3次予選中に、流れの中からでも点を取れる連携の構築と、メンバーの見極めを完了してほしい。

posted by taka911 |22:11 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年02月01日

忘られぬ背中

 普段は一番値段が安いゴール裏のチケットしか買わない僕だが、一度だけ国立競技場のカテゴリー1で試合を見たことがある。
 といっても奮発したわけではなく、抽選で当たっただけなのだが、昨年の9月1日、FC東京と神戸のゲームを僕は、神戸のベンチのほぼ真後ろから見ることができた。

 この試合で一つ、忘れられない光景がある。

 後半10分、神戸がFWの選手に代えて、MFの選手を投入した。左サイドに入っている大久保嘉人をFWに上げるためだが、引き上げてくるFWの選手の表情が険しい。

 そのFWの選手こそ、近藤祐介であった。FC東京からのレンタル選手だった近藤は、試合前のメンバー紹介で神戸の選手(特に大久保)が激しいブーイングを受ける中でも、一人温かい拍手で迎えられていた。
 近藤はスパイクを脱いで、ベンチの後ろに座り込んだまま、なかなか動こうとはしない。その所作からは、怒りが滲み出ていた。それは恐らく交代させた監督へではなく、見せ場を作れなかった自分自身への怒り。その後近藤は、コーチからクールダウンを促されるまで立ち上がろうとせず、じっとピッチのほうを見つめていた。

 その背中を見ながら一つ、思い出したエピソードがある。元日本代表FW鈴木隆行が、川崎Fにレンタル移籍していた2000年、籍を置く鹿島と対戦した。が、何もできないまま途中交代。その後鈴木は悔しさに号泣したという。
 選手は我々が思っている以上に、古巣やレンタル元というのを意識するらしい。近藤の背中を見ながら、僕はそんなことを思った。

 その後、鈴木隆行が鹿島に復帰してからのブレイクは周知の通り。近藤に鈴木のような勝負運を期待しているわけではないが、今季からFC東京に復帰する近藤が、2年間での経験を糧に、あの日の悔しさをバネにして、一皮むけた姿を見せてくれると信じている。
 少なくとも、その気迫あふれるプレースタイルは、前線の起爆剤となってくれるはずだ。

posted by taka |23:33 | Jリーグ | コメント(6) | トラックバック(0)
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