2007年08月28日

ロングシュートと柿谷

 残念な結果に終わったU-17ワールドカップだが、唯一のプロ選手、柿谷曜一朗(C大阪)のプレーは鮮烈な印象を残した。

 負傷を抱え万全の体調ではなかったが、それでも2得点と結果を残したのには「さすが」の一言。得点シーンはいずれも素晴らしいものだったが、とりわけてハーフウェイライン付近からの超ロングシュートを決めたフランス戦でのゴールは見事だった。

 日本代表での超ロングシュートと言えば、小笠原満男(鹿島)のゴールを思い出される方も少なくないのではないか。小笠原が50mシュートを決めたのは、2006年2月のフィンランド戦。このスーパーゴールには、当時のジーコ監督も賛辞を惜しまなかった。ちなみに小笠原は、私が記憶しているだけでもこの他に3本の超ロングシュートを放っている。1本はJリーグで、1本は天皇杯で、そしてもう1本はワールドカップデビュー戦、チュニジア戦でのもので、そのうち天皇杯でのものはゴールネットを揺らしている。GKの隙を突くロングシュートは、小笠原の得意技の1つだ。

 またサッカーの歴史を紐解けば、あのペレもまた70年ワールドカップで、ハーフウェイライン付近からゴールマウスを狙って観客を驚かせている。グループリーグ、チェコ・スロバキア戦での出来事で、数cmの差でゴールマウスを捉えることは出来なかったが、これは当時としては非常に画期的なプレーだった。
「ビデオを見て、ヨーロッパのキーパーが前に出てくるのはわかってた」
というのが、試合後のペレの弁。彼の観察力の高さが窺い知れる、有名なエピソードの1つだ。


 この種のロングシュートを決めるのに要求されるものは3つ。遠距離からでもGKの位置を捉える視野の広さ、常に隙を狙う積極性、正確なキックの技術だ。

 17歳の柿谷に驚かされたのは、このうちの3つ目だ。視野の広さ、積極性があるのは、これまでのプレーからわかっていた。しかし筋力的にはまだまだ未熟に見える彼が、50mの位置からでも正確にゴールを射抜くキック力を兼ね備えているとは、思っても見なかった。

 それにしても末恐ろしい才能だ。あれで身体が出来てきたら、果たしてどれほどのレベルのプレーヤーになるのか。期待せざるを得ない。

 もっとも期待された選手が、期待通りに成長していかないのがサッカー界の常。あの中田英寿氏にしても、期待通りにステップアップしていったわけではなかった。

 だから森本貴幸(カターニャ)にしても、過度の期待は禁物だ。だが優れた若き才能を見て、期待するなと言うほうが無理と言うもの。柿谷の素晴らしい才能は、あのフランス戦の見事なロングシュートが物語っていた。

posted by taka911 |07:00 | 人物 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2007年08月27日

それなりの理由  ~浦和対FC東京~

 一昨日25日は、初めて埼玉スタジアムに行った。夏休み最後のホームゲームに集まったのは4万6951人。これほど多くの観客が集まった試合、それも見渡す限り「赤」に囲まれて試合を観るのは初めてだったので、それだけで興奮してしまった。

 そんな中で確認したのは、首位に立つ浦和の強さ。オジェック新監督の下「未完」のまま開幕を迎えた浦和が、6年目の西野政権で成熟のときを迎えるG大阪を振り切って1位に君臨するのには、それなりの理由がある。
 その理由に関しては、私にも誤解していたところがあって、これまでは「両ゴール前の個人能力」が浦和の強味だと思っていた。

 要するにこれは、
「得点の大半はゴール前の攻防で生まれるんだから、そこに強い選手がいるから勝ってるんでしょ?」
という単純な論理。昨シーズンの優勝を振り返っても、ゴール前での身体の使い方が上手く決定力も高い得点王ワシントン、高さと闘志でゴールを守り、自らゴールも奪うリーグMVP闘莉王の2人の個人能力が非常に大きかった。

 だが浦和の強さはそれだけではない。上記の2人が今季は負傷で満足に働けていないからいうわけではないが、ゴール前以外の目立たない場所でも、1人1人が自分の役割を着実にこなしているからこそ、ゴール前での強さが生きているのだ。

 その点で代表的なのはボランチの鈴木啓太だろうが、この日強烈な印象を残したのは平川忠亮。オシムも注目しているという左サイドのアタッカーは、田中達也の同点弾、堀之内の逆転弾をアシストした。
 目を引くのは快速を生かした突破力だが、それだけではない。俊足を飛ばして守備に戻るのも怠らず、何度もアップダウンを繰り返す。どうやらその献身性が、オシムを喜ばせているらしい。
 オシムを喜ばせそうな選手をもう1人挙げれば、GKの都築龍太。この日に限ればキャッチングにやや安定感を欠いたが、「攻撃の第一歩」としての意識が素晴らしい。彼のフィードキックやスローイング、攻守の切り替えの早さが非常に効いていた。
 平川、都築ら脇役たちのこうした細かな気配りが、浦和の強さを支えているのだろう。


 一方、FC東京にはこうした細やかさが欠けている。
 13位と低迷しているFC東京には、タレントも気持ちもある。顔ぶれを見れば、浦和やG大阪と伍して戦えるほどではないが、13位にいるほどでもない。FWルーカスがCKからのカウンターに対して全力でハーフウェイラインまで戻ってスライディングタックルにいくなど、戦う気持ちもある。

 だがFC東京には、浦和のようなきめ細かさがない。
 ゴール前で丁寧にプレーするのは簡単だ。重要だとわかっているから、誰もが集中する。問題は、それ以外の部分でいかに集中できるか。FC東京を見ていると、守備から攻撃に移る1本目のパスや、縦パスをサイドにはたくパスが、どうも雑になっているのが気になる。
 一見、それらのパスミスは目立たない。そこでミスは、それほど重要には映らない。だが浦和と見比べると、そこで雑になるか、細やかにできるかが明暗を分けていることが見て取れる。象徴的なのはポンテのゴールシーンで、田中と今野泰幸がもつれて倒れたとき、フォローに走っている選手は誰一人いなかった。

 きめ細かさを欠いているのは、監督の采配もそうだ。原監督は未だに、ベスト布陣を決めかねている。この日の交代も、スピードで左サイドを突いていたリチェーリを下げてFW平山を入れるなど大味で不可解なものだった。

 結局、13位にいるのにはそれなりの理由がある、ということだ。

posted by taka911 |03:29 | Jリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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2007年08月25日

浦和対FC東京プレビュー

'Check Point1>首位浦和、代表税の疲れは?' 前節甲府に4-1で快勝し、ついに首位に立った王者・浦和。今季初めて首位として迎える試合は、ホームにFC東京を向かえてのゲームとなる。

 経験豊富なディフェンディング・チャンピオンは、首位のプレッシャーとは無縁だろう。少なくとも、この時期には。
 心配なのは、水曜日にあった日本代表戦の負傷。FC東京が今野1人の招集にとどまったのに対し、浦和は大量4人の選手が選出され、そろって先発した。

 中でも阿部勇樹と鈴木啓太はアジアカップでもフル稼働していただけに、勤続疲労が心配される。チーム状況の良くないFC東京にとって、付け入る隙があるとすればそこか。


'CHeck Point2>今野ボランチ復帰? 攻守に絡めるか。'
 決して監督だけの責任ではない(逆に言えば、監督の責任も大きい)が、未だにベストの布陣を模索している感のあるFC東京。そのFC東京に、ついに“ボランチ今野”が帰ってくる。
 今季はチーム事情のために本来のボランチではなく、センターバックでのプレーを強いられていた今野。だが藤山の奮闘や茂庭の復帰でセンターバックに目途が立ち、伊野波の負傷によってボランチの層が薄くなったのもあって今節、ついにボランチでの起用が有力視されている。

 ポイントになりそうなのは、福西との関係性。トップ下起用が続いていた福西もまた、ボランチに戻ることになりそうだが、福西と今野のコンビでは、今野に遠慮が見られることがあった。また今野が攻撃参加すると、福西が守備をしないため後ろに穴を開けることになる、とも。

 開幕当初は「J最強コンビ」と原監督が息巻いていたコンビの復活は、巻き返しを誓うFC東京の起爆剤になるのか。今野のプレーに注目だ。

posted by taka911 |07:39 | Jリーグ | コメント(3) | トラックバック(0)
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2007年08月22日

落胆の帰り道  ~U-22代表ベトナム戦~

 国立競技場から、千駄ヶ谷駅へと向かう道中。意外なほどに明るい表情が目に入ってくる。
 この日スタジアムを訪れた2万人を越える観客のうち、何人が満足し、笑顔で帰路に着いたかはわからない。だが私は、笑う気にはなれなかった。ひどく落胆していた。U-22代表の戦い振りへの不満は怒りを通り越して失望となり、今後を憂わずにはいられなかった。

 とにかく、このチームには気持ちが見えない。2次予選から言われ続けていることだが闘志が希薄で、弱い相手に合わせてボンヤリと試合を終えてしまうことも少なくない。
 大事な最終予選の初戦だというのに、ベトナム戦もそうだった。引いた相手からでも点を取るんだという迫力も、このボールは譲れないんだというような球際の厳しさも、残念ながらほとんど見られない。変わりに見られるのは、気の抜けたようなパスミスと、急にボールが来たかのように準備不足でチャンスを逃すFWたちの姿。セットプレーからの青山直晃(清水)のゴールを守りきり、しっかりと勝ち点3をとったことは評価できるが、しかし評価できるのはそれだけといっても過言ではないような試合だった。

 一体いつになれば、相手を打ちのめすような激しい気迫が見えるのだろう。難敵・サウジアラビアやカタールが相手になれば、闘志が前面に押し出されるのか。あるいはU-20ワールドカップ組の抜擢による選手間の競争の激化や監督交代のような、強烈な刺激が必要なのか。いずれにしても闘志の発露なしには、北京五輪出場は不可能に近い。


 しかし最も私を落ち込ませたのは、スタジアム内の時計が87分を過ぎた頃に、決して少なくない人が足早に帰路につき始めたことだった。それは公式試合らしくない行動であり興醒めだ。だがこの事実は、1-0と苦戦したU-22ベトナム代表という相手が、わずか1点のリードしかない後半終了間際に結末を見届けることなく帰っても平気な、「怖くない相手」でしかなかったことを如実に物語っている。
 ただし同時に、これはU-22日本とは残り数分でも「何かを見せてくれる」と期待させるようなチームでもなければ、「最後まで頑張れ」と応援したくなるような魅力あるチームでもないことをも物語っている。だからこそ“重い”のだ。

 サポーターも、選手も、もっと予選らしい緊迫感を。落胆の帰路でさえ北京への道程であることを信じたい私が今望むのは、これだけだ。
 もっとも、選手が魅力あるサッカーをするようになれば、サポーターの熱も自然と高まってくるとは思うが。

posted by taka911 |23:47 | 年代別日本代表 | コメント(7) | トラックバック(0)
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2007年08月18日

チーム強化は第3段階へ

 昨日8月18日、オシム監督はカメルーン戦(22日)の追加招集選手6人を発表した。

 佐藤寿人(広島)を除く5人が、アジアカップには選出されなかった復帰組。その顔触れから受ける印象は、オシムのチーム強化が第3段階に入った、ということである。

 昨年8月のチーム立ち上げを第1段階、今年3月の海外組合流を第2段階とする。中村俊輔の合流ゆえか、酷暑の中でのアジアカップ対策か、今年に入ってからのチームは、遅攻の比重を一気に高めた。「急ぎ過ぎ」とも評されていたチームは、アジアカップでは一転、パスを回しながらも攻めきれない姿を見せ、一定の成果と課題を残した。

 その成果はアジア最高レベルの落ち着いたボールポゼッションであり、今回も引き続き選出された4バックと2人のボランチによる守備ブロックの構築にある。
 では課題は何か。

 アジアカップでの敗戦後、オシムは言った。
「状況を個人で解決していく力を、改善していかなければならない」
「スピードのある選手、そのトップスピードの中で、ボールを自由にコントロールできる選手が足りない」と。

 つまりそれは、アジアカップで味わった閉塞感を打開する「個人技」「スピード」の不足を意味する。どうだろう、今回の追加招集選手は、スピードにあふれ、状況を個人で打開する勇気にあふれた選手ばかりではないか。 

 その代表格が山瀬功治(横浜FM)であり、大久保嘉人(神戸)である。山瀬は昨年10月以来の復帰で、大久保はオシム監督就任後初招集。山瀬はすでに自身最多のリーグ戦10得点を挙げ、大久保は左サイドMFにコンバートされながらここまで日本人最多の11得点と、それぞれが個人技と得点力を磨いて、代表に帰ってきた。

 2人の復帰が元々の計画通りのことなのか、アジアカップでの課題のためなのかはわからない。だがメンバーの顔触れを見るに、このカメルーン戦で山瀬、大久保のいずれか、もしくは両方が2列目に起用される時間は、必ずあるはず。今回のカギは、そこで彼らが、遠藤&中村俊の2列目との違いを見せられるか。強敵カメルーンが相手では、それは決して容易い作業ではないだろう。だがそれができた時、オシムの強化は閉塞感を打開する個人によって「第3段階」へと加速するだろう。

posted by taka911 |23:36 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年08月16日

勇気の象徴・ダイビングヘッド 

 8月19日、北京五輪最終予選ベトナム戦に挑む日本代表メンバー19名が発表された。
 最終予選の初陣となる今回は、2次予選を戦い抜いた中心選手に、U-20ワールドカップを終えた「アンダーエイジ」の選手を加えたメンバー構成。個人的にはFW森島康仁(C大阪)、MF梅崎司(大分)の落選は残念だが、これが「実力のある選手、チームで活躍している選手、そして神戸合宿、または中国のトーナメントを通じて、力のある選手、チームに貢献できる選手を選んだ(反町監督)」結果なのだろう。


 このメンバーの中で異色なのが岡崎慎司(清水)。U-20世代を除けば、2次予選でほとんど出番がなかった唯一のフィールド・プレーヤーだ。
 今季から所属の清水で出場機会をつかんだ岡崎は、ガムシャラにゴールに向かう姿勢が魅力のストライカー。、Jリーグでの出場時間を延ばすとともにここまで5得点と結果も残して、U-22代表のポジション争いにも食い込んできた。

 現状での位置付けは、平山相太(FC東京)、李忠成(柏)に次ぐFWの3番手だろう。だが「大人しい」と評されるこのチームにあって、闘志を前面に押し出してゴールに迫る彼は、プレースタイルにおいても異色の存在。得意技のダイビング・ヘッドは彼の勇気の象徴であり、出場した際にはチームに勢いを与える豪快なゴールを決めてほしい。

posted by taka911 |23:04 | 人物 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年08月15日

ドーピングと肉体

 かつてある社会学者は、スポーツ選手の肉体を「スポーツをする身体」と表現した。そこには作られた肉体、というニュアンスが大いに含まれており、優れたアスリートは継続的な鍛練と摂生によってその肉体を「スポーツをするための身体」として完全なものへと近付けてきた。20世紀の陸上競技の記録の向上は、スポーツ科学の“肉体を作る技術”の向上と決して無関係ではない。

 だがある者は薬物、ステロイドのような筋肉増強剤を用いて完全へと近付く。かつてのワールドカップ・ウィナーやメダリストが晩年になっての内臓疾患や男性化で、破滅にもまた近付いたことを教えてくれたとしても、だ。
 スポーツと薬物。本来決して共存してはならない両者は、近年の検査技術の向上やIOCの厳しい取り締まりによって、随分疎遠になったと思われた。

 だが1人の偉大なホームラン・バッターが、我々に薬物の問題をつきつける。

 バリー・ボンズ。

 先日メジャー・リーグの通算ホームラン記録を塗り替えたボンズは、限りなく“クロ”に近い薬物疑惑のせいで強烈に批判されている。先程私は「偉大なホームラン・バッター」と書いたが、時にはその偉大ささえ全否定されるほどだ。

 彼の薬物疑惑の経緯については他に詳しいサイトがあるので、ここでは省略する。私もすでにそれを読んだが、だが私は、ボンズを否定しない。

 薬物使用は、恐らく事実だろう。ニュース映像で見たが、以前のボンズは今よりずっとスリムで、走・攻・守3拍子そろった選手だったという。当時の体重は、90kg弱。それが今では筋肉で膨れ上がり、110kgに迫るという。

 それでも私がボンズを否定しないのは、1つは筋肉がすなわちホームランを生み出すわけではないから。筋力がボンズのホームラン量産の助けになったのはまず間違いないだろうが、筋肉がホームランを打ったわけではない。正確にボールを捉え、筋力を余すことなくボールに伝えるバッティング技術があってこそ、ホームランが生まれたのだ。

 またメジャー・リーグには、ドーピングに甘く、ステロイドが禁止されていなかった時代がある。ボンズはその過渡期を過ごした選手であり、彼を責めることはつまり、「禁止薬物でなければ服用してもいいのか」という倫理面の問題になってしまうのである。


 とはいえ、今後のスポーツ界では、ボンズのような選手を産み出してはならない。ドーピングは否定されるべきもので、肉体を作り上げる手段では断じてないのである。

posted by taka911 |11:14 | 人物 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年08月07日

負傷が物語る真価

   自分のプレー
 本日7日発売の週刊サッカーマガジンの表紙は、田中達也(浦和)だった。

 巻頭インタビューで、リハビリ中の焦りにも似た想い、今年の目標などについて語った田中。詳しくは書店やコンビニでサッカーマガジンを手に取っていただければと思うが(注・僕はベースボール・マガジン社の回し者ではありません!)、印象的だったのは、「今年の目標は、自分のプレーをあと半年間やり続けること」と語る一方で、今月1日の広島戦の出来を「目指すところの『6割から7割って出来』」としているところ。昨年、復帰直後はゴールを重ね、代表にも復帰したが、その後パフォーマンスを落として浦和でのポジションも失ったのが、相当に悔しかったらしい。
 インタビュー中、何度も繰り返された「自分のプレー」という言葉。それを取り戻し、続けることを目標とする田中を、心から応援したい。


   負傷が物語る真価
 さて、一昨年の秋に右足首の脱臼骨折という重傷を負った田中は、そのリハビリで昨季の開幕には間に合わなかった。今季もまた、昨年末の、足首に埋められたボルトを抜く手術の影響で、リーグ戦初出場を6月17日のFC東京戦まで待たなければいけなかった。
 それでも現在では、選手層の厚い浦和で、レギュラーの座をがっちりキープしている。3年間指揮を取ったブッフバルト監督が退任し、オジェック新監督が新たに就任したにもかかわらず、である。思えば昨年も、復帰直後の試合からブッフバルトに2トップの一角、あるいは1トップとして起用され、オシム監督にもいきなり代表に招集されていた。

 2年連続で開幕に出遅れ、100%ではないながらも結果を出している田中を見ていると、「もしも負傷をしていなければ」とも思ってしまう。だがその余りにも無意味で、今を全力でプレーしている田中に失礼な仮定を抜きにして考えれば、この負傷が逆に田中の価値を物語っている、とも思う。
 開幕に出遅れていながら、永井雄一郎、小野伸二、長谷部誠らとの争いを制して、レギュラーポジションを獲得する。「自分のプレー」が出来ないうちから、オシム監督が期待を掛け、代表復帰を期待していることが報道される。それだけでも、田中がいかに優れた選手かがわかるだろう。皮肉なことだが、田中の真価はこの負傷禍が証明している。


   取り戻せ!
 だから問題は、彼が「自分のプレー」を取り戻し、続けられるのか。彼のひたむきにドリブルで突き進むプレースタイルを見ていると、それを期待せずにいられない。彼の一生懸命なプレーを見ていると、それを信じずにはいられない。
 がんばれ、達也! 誰もがきっと、達也の復活に期待している。

posted by taka911 |21:26 | 人物 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2007年08月07日

巨星は動くか

 

 ティエリ・アンリのバルセロナ移籍というビッグ・サプライズを生んだ、今夏の欧州サッカー移籍市場。今話題なのは、スペインはスペインでもバルセロナではなく、永遠のライバル、レアル・マドリードの方だ。
 というのも、レアル・マドリードがチェルシーからオランダ代表FWアリエン・ロッベン、ドイツ代表MFミヒャエル・バラックの2人を獲得するうわさがあるから。上記のリンク先の記事(英文)によれば、バラックはチェルシーの公式ホームページ上にてレアル・マドリードとの接触を否定し、クラブへの忠誠を誓ったようだが、移籍市場が閉まるまでは、何が起こっても不思議はない。


 ただこの移籍の成立なくして、レアルはバルサに太刀打ちできるのだろうか。バルセロナはフランク・ライカールト監督が守備を軽視しない限りは、エトオ、メッシ、ロナウジーニョ、アンリのうち1人が、デコ、シャビ、イニエスタのうち1人がベンチに座ることになる。この7人、バルサ以外のクラブならまず間違いなくレギュラー、いやそれどころかエースとして君臨していることだろう。

 そのバルサと比べると、レアルはどうしてもタレントの質、量で見劣りする。昨シーズンはカペッロ監督の下、現実路線と終盤の勢いの差で優勝をつかんだレアルではあるが、今季就任したシュスター監督には、スペクタクルも求められる。そうなると、前線の個々人の技量の差が物を言うのではないか。

 それにバラック、ロッベンの獲得は、スペクタクルと勝利の両方を保証するものではない。ロッベンは負傷がちという欠点があり、バラックはチェルシーでは全くと言っていいほど実力を出せなかった。その二人を獲得できたところで、果たしてレアルは、バルサの領域にどこまで近づけるのか。鍵はロッベンのフル稼働と、バラックの復活だが、それも獲得に成功すればの話であって……。

posted by taka911 |00:34 | 人物 | コメント(2) | トラックバック(0)
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