2008年02月01日

忘られぬ背中

 普段は一番値段が安いゴール裏のチケットしか買わない僕だが、一度だけ国立競技場のカテゴリー1で試合を見たことがある。
 といっても奮発したわけではなく、抽選で当たっただけなのだが、昨年の9月1日、FC東京と神戸のゲームを僕は、神戸のベンチのほぼ真後ろから見ることができた。

 この試合で一つ、忘れられない光景がある。

 後半10分、神戸がFWの選手に代えて、MFの選手を投入した。左サイドに入っている大久保嘉人をFWに上げるためだが、引き上げてくるFWの選手の表情が険しい。

 そのFWの選手こそ、近藤祐介であった。FC東京からのレンタル選手だった近藤は、試合前のメンバー紹介で神戸の選手(特に大久保)が激しいブーイングを受ける中でも、一人温かい拍手で迎えられていた。
 近藤はスパイクを脱いで、ベンチの後ろに座り込んだまま、なかなか動こうとはしない。その所作からは、怒りが滲み出ていた。それは恐らく交代させた監督へではなく、見せ場を作れなかった自分自身への怒り。その後近藤は、コーチからクールダウンを促されるまで立ち上がろうとせず、じっとピッチのほうを見つめていた。

 その背中を見ながら一つ、思い出したエピソードがある。元日本代表FW鈴木隆行が、川崎Fにレンタル移籍していた2000年、籍を置く鹿島と対戦した。が、何もできないまま途中交代。その後鈴木は悔しさに号泣したという。
 選手は我々が思っている以上に、古巣やレンタル元というのを意識するらしい。近藤の背中を見ながら、僕はそんなことを思った。

 その後、鈴木隆行が鹿島に復帰してからのブレイクは周知の通り。近藤に鈴木のような勝負運を期待しているわけではないが、今季からFC東京に復帰する近藤が、2年間での経験を糧に、あの日の悔しさをバネにして、一皮むけた姿を見せてくれると信じている。
 少なくとも、その気迫あふれるプレースタイルは、前線の起爆剤となってくれるはずだ。

posted by taka |23:33 | Jリーグ | コメント(6) | トラックバック(0)
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