2007年10月18日

守備の文化   ~カタール戦レビュー~

 かつて代表監督を務めたトルシエやジーコは、この国には
「守備の文化がない」
と嘆いた。だがU-22代表の、北京五輪最終予選ここまで3試合の試合運びはどうだろう。試合の立ち上がりや、前半の終了間際といった嫌らしい時間帯に1点を取り、それを粘り強く、上手く時間を使って守り抜く戦い振りは、「日本版カテナチオ」と形容したくなるしたたかさだった。
 このチームの勝ちパターンは“1-0”であり、それはつまり、かつて「守備の文化がない」と批判された国にはおおよそ似つかわしくないスコアだ。

 この最終予選の天王山と見られていた第4節、アウェーのカタール戦でも、日本はその勝ちパターンに則って、ほぼ完璧に試合を運んでいた。
 序盤は勢い良く、相手の出鼻をくじくように。カタールが日本の激しいプレスに慣れ、逆に日本が相手の縦に早いゲームに付き合わされる展開になっても、青山直晃(清水)、水本裕貴(千葉)の鉄壁のセンターバックコンビが、落ち着きを失わずに一つ一つ相手のアタックを封じていく。
 試合が動いたのは、前半ももう終わろうかという43分。本田圭佑(名古屋)のドリブル突破、李忠成(柏)の頑張りでゲームが落ち着きを取り戻した矢先に、CKから青山直が決めた。恐らくここまでのゲーム運びは、反町康治監督のプラン通り。本田圭と相手GKが競り合ったこぼれ球が青山直の目前にこぼれる幸運はあったが、幸運が「こぼれてきた」というより、「引き寄せた」と言いたくなるようなゲームの流れだった。

 だが後半、ゲームは引っ繰り返される。77分、CKのこぼれ球をヒールキックで押し込まれると、後半ロスタイムにPKを与えてしまい、痛恨の逆転負け。
 もはや見慣れた光景となった後半終了間際の立て続けの失点で、日本はグループCの首位の座を明け渡した。


「守備の文化がない」
 
 逃げ切り体制に入っていながら追いつかれ、終了間際についに勝ち点1まで失うゲームを見せられると、トルシエやジーコの言葉を噛み締めずにはいられない。
 もっともこの日の2失点は、いずれも崩されたものではなかった。1点目はCKのこぼれ球を押し込まれた、事故のような失点で、不確実なサッカーでは避けられないもの(日本の青山直のゴールも、そういう性質のものだったが)。
 2点目のPKは、伊野波雅彦(FC東京)の不注意なプレーによるものだった。
 そこに至るまでの、押し込まれてしまった試合運びに反省すべき点はあるが、青山直と水本のコンビが崩されたわけではない。「守備の文化」はないかもしれないが、このチームはまだ、守備力を拠り所にしていて良いと思う。

 むしろ問題は、押し気味に進めていた後半30分までに、追加点を奪えなかったことではないか。いつになく積極的に仕掛けた本田圭も、キープ力でタメを作った家長昭博(G大阪)も、素早い攻守の切り替えでチームを動かした柏木陽介(広島)も、シュートを打つべき時に打たない場面が目立った。
 攻撃から感じられたのは2点目を奪い、とどめを刺そうとする意思よりも、できるだけ時間を使って安全に試合を終えようという消極性。ここまで3試合はそれで良かったが、今日に限っては、その消極的な姿勢の代償を払うことになった。

 逃げ切りを謀って、そのまま逃げ切るしたたかさも時には必要だ。実際日本のチームであっても、かつての鹿島アントラーズにはそれがあった。だがU-22代表には、若い選手らしい溌溂とゴールに迫る積極性を望みたい。

   攻めろ、U-22日本代表!

 消極的な動きはもう見たくない。思い切りの良いプレーで残り2試合を連勝し、北京に行ってほしい。柏木がいうとおり、「落ち込んでいる暇はない」のである。

posted by taka911 |03:11 | 日本代表 | コメント(2) | トラックバック(0)
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