2008年10月20日
バロンドール(欧州年間最優秀選手賞)の候補選手30名が発表された。
昨年までは50名だった気が事前の候補リストだが、いずれにしても、活躍した選手を完璧に網羅していないのがこの手のリストの常。今回のリストでも、昨シーズン、バルセロナでほとんど戦力外と見なされていたエトオが選ばれているのに、バルセロナでの貢献だけでなく、EUROでもスペインの優勝に大きな役割を果たしたイニエスタが選ば れていない不可解がある。
さて、本題の、バロンドール受賞者の話。
本命は、クリスチアーノ・ロナウドとされている。このマンチェスター・ユナイテッド所属の23歳は、プレミアリーグとCLの両方で得点王になって、チームの二冠の原動力になった。美しいゴールも多く、その華麗さ、インパクトはバロンドールを受賞した3年前のロナウジーニョにも勝るとも劣らないものだった。個人的に気になるのは、ルーニーやテベスのハードワークによって「サボり」を救われている点だが、その点もかつてのロナウジーニョと同様で、受賞を逃す要因にはならないだろう。
マイナスポイントがあるとすれば、EUROで期待を裏切ったことだ。ワールドカップほどではないとしても、EUROでの活躍はバロンドールの選考に影響する。
ただし優勝したスペインに、ロナウドほど華やかで、個人で輝く選手はいない。スペインの優勝は総合力によるものだったという印象で、MVP級の活躍をしたシャビにしても、セナにしても、カシジャスにしても、個人として圧倒的なインパクトはなかった。
12月の始めに発表される今年のバロンドールは、クリスチアーノ・ロナウドで決まりか。
posted by taka |19:15 |
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2007年12月14日
37%とのボール支配率や、自陣深くに押し込まれる試合展開。それらを目の当たりにしながらも、“階級”が違う相手にむしろよくやっていると思いながら浦和レッズとACミランの試合を見ていた。
浦和とミランとでは、システムや戦術以前に、個々人のレベルが一段階も二段階も違った。いくら今シーズンは不調といっても、ミランは昨季のチャンピオンズ・リーグ決勝でリバプールを相手にボールを支配し、試合をコントロールしていたチーム。そのリバプール戦と全く同じ構成の中盤には、ボールを持てる選手をそろえている。
そうした相手にボール支配率で圧倒され、自陣深くまで押し込まれるのも無理もない話で、浦和は我慢の展開の中、本当によく我慢していた。
坪井慶介は持ち前の俊足でカカーに食らいつき、闘莉王の高さがクロスボールをことごとく跳ね返す。阿部勇樹と鈴木啓太はコンビでカカーを封じ、先発の11人中最年少の細貝萌の頑張りも眼を引いた。
しかし無失点の最大の立役者は都築龍太で、13分のピルロのFKを弾き出したり、51分のせードルフの飛び出しに落ち着いて対応したりと、多くの危機を救った。
Jリーグではおなじみの、浦和の粘りは健在。ならば問題は、どこで「1点」を奪いにかかるか。
ジーダにキャッチされたが、67分にワシントンがフリーでシュートを放つなど、ミランにも焦りが見え、隙が見え始めた時間帯があった。しかし弱者たる浦和の方には、リスクを侵してでも攻勢に転じる姿勢もなければ、焦りもない。「良くてもせいぜい延長か」と思い始めた矢先に、ミランに先制点が入った。
それはカカーの見事な個人技によるもので、浦和の誰かを責められるようなものではなかった。しかしこうなっては、浦和の方も攻めるしかない。
しかし浦和は変わらなかった。その後投入された山田暢久は、直後にシュートを2本連続で放ち、意気込みを見せた。だがチーム全体としては何も変わらなかった。
なぜミランがペースダウンした0-1以降に、攻勢に出られなかったのか。点を取らなければ勝てない状況で、それまでと同様、単発のカウンターに終始してしまったのか。
特に不満なのが後半ロスタイムで、横パスを連発するままに試合終了の笛を聞いた。なぜ最後、フリーでボールを受けた山田はシュートを打たずに、右にパスを送ったのか。たとえミスをしたとしても、失うものは何もなかったはずだ。
思い出したのは昨年9月の日本対サウジアラビアのゲーム。1点ビハインドの後半、闘莉王がパワープレーのために前線に上がっているというのに、日本はDFラインでパスを回しながら試合終了のホイッスルを待った。試合後、オシム監督(当時)はこの光景を「つまりは自己破壊をしてしまっている」と表現した。
残念ながら個々人の「階級差」の問題は、一朝一夕で解決する類の問題ではないだろう。だがそれでも、全員が集中して身体を張って守れば、ある程度は守れることは浦和が身をもって証明してくれた。
だが守るだけでは勝てない。リスクを侵してでも、どこかで攻めに転じなければならない。問題はそのリスクを、どこで負うのか。それを的確に判断し、リスクを侵すべき時に侵せるチームでなければ、「階級差」を引っ繰り返すことなどできるはずがない。
もう1点ビハインドの後半に、「自己破壊」をする日本のチームを見るのはたくさんだ。
posted by taka911 |03:05 |
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2007年09月25日
ジョゼ・モウリーニョ監督のチェルシーが好きだった。
システマチックな守備からの、シンプルなショートカウンター。こう書くといかにもつまらなそうで、実際、バルセロナのようなスペクタクルは微塵も無かった。
だが、それがハマった時のチェルシーは最高に美しかった。言うならば「究極の機能美」。相手を追い込むような守備は、奪い所をチェルシーが自ら決めているようで、受動的なものだとばかり思っていた守備だが、能動的にもできるのだと教えてくれた。
加えて、最短手数で確実にゴールを陥れる速攻。攻守の切り替えの速さは先述の「能動的な守備」故の迷いの無さの賜物だろうが、両翼にアリエン・ロッベン、ジョー・コールと言う異才をそろえていたことも大きい。カウンターから高速でサイドのスペースを突くのに加え、自らもゴールを陥れるマルチ・アタッカー。彼らのドリブルを警戒したDFラインがズルズル下がってしまい、そしてできたスペースからランパードがフリーで強烈なミドルシュートを放つのも、モウリーニョの狙い通りといった感じで面白かった。
そのモウリーニョが、チームを去った。
2004年にチェルシーの監督に就任したモウリーニョは、その直前のシーズンにFCポルトを率いてCL優勝。スタイリッシュで不遜、傲慢な規律型監督はビッグクラブでスター選手を率いて手腕を発揮できるのか、一部では疑問をもたれていたが、一蹴。前記のように戦術的に完成されたチームを作り上げ、プレミア・リーグ2連覇を成し遂げた。
そんなモウリーニョの意外な最後を見るにつけ、思うのは「新鮮味」を保つ難しさ。
3年目を迎えた昨季の失速の直接的な原因は、新戦力として迎えたミヒャエル・バラックとアンドリー・シェフチェンコが全く機能しなかったこと、ウィリアム・ギャラスを放出したDFの層が薄くなったこと。だがロッベンら一部選手が不満を漏らし、オーナーのアブラモビッチとモウリーニョ監督の確執が表面化するなど、チームには一体感が欠けていた。
いかに優れた監督でも3年目にもなると、新鮮味を保てなくなるのか。20年以上も監督を続けているマンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソンの例もあるが、3年はチームとして、1つのサイクルの終わりと見ていいのかもしれない。バラックやシェフチェンコの獲得は、マンネリ化を打開する刺激になりうるものだったが、結果的には逆効果で、今までの戦術的な蓄積を水泡に帰することになった。
「新鮮味」で思い出すのは、かつてのユベントス。ロベルト・バッジオ、フィリッポ・インザーギ、ジネディーヌ・ジダンら主力選手の放出を毎シーズンのように行ったのは、刺激を与えて新鮮味を保つためだった、という話を聞いたことがある。「常勝」の名は一連の問題で汚された感があるユベントスだが、勝ち続けていたのはそれなりの必然性がある。
さて、今後のチェルシー。新鮮味を感じられなくなったのはチェルシーなのか、モウリーニョ監督自身なのか、それはわからないが、いずれにしてもチェルシーは、グラント監督の下新たなスタートを切った。その船出はマンチェスター・Uを相手に0-2で完敗する散々なものだったが、このまま沈んでいって良いチームではない。再建に向け、グラント監督がまず最初にすべきチームは、信頼するモウリーニョを失って動揺する選手を、再び1つにまとめ上げることだろう。
ただ、モウリーニョを失った影響は小さくない。今季のプレミア・シップの優勝争いの中心から、チェルシーが外れたことは間違いなさそうだ。その中心にはマンチェスター・ユナイテッドがいて、リバプールがそれを追う。
ただそれ以上に面白そうなのが、ティエリ・アンリがバルセロナに移籍したアーセナル。それに代わる補強もなく、絶対的なエースを失った戦力ダウンばかりが目に付いたアーセナルだが、災い転じて福となす。アンリ放出が選手の危機感を煽り、甘えにも似た依存を失わせ、今まで以上の一体感を生んだ。特にアデバヨールが好調で、新たなエースになるべく凄まじいゴールラッシュを見せている。
21年目のファーガソンほどではないが、ベンゲルもアーセナルを率いて11年目。だがパトリック・ビエラやアンリといった、キャプテン・マークを巻く主力選手の放出をためらいもなく行うこの指揮官は、「新鮮味」を保つ術を知っている。
posted by taka911 |02:32 |
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2007年09月10日
<カカとメッシ、1つの玉座に2人=バロンドール候補>
上記のリンク記事によると、スペインの『エル・ムンド・デポルティボ』紙は「バロンドールはメッシとカカーの争いになる」と報じたようだが、実際には十中八九、カカーが受賞するだろう。
ACミランをチャンピオンズ・リーグ優勝に導いたカカーの昨季を振り返れば、ロナウジーニョよりずっとコンスタントで、スポーツマンとしてのピッチ内外での振る舞いはクリスチャーノ・ロナウドより遥かに模範的で、ミランの勝利への貢献はメッシのバルサへのそれより大きかった。残る数ヶ月で「何か」――例えば、2000年にバロンドールをほぼ手中に収めていたジダンが、相手選手への頭突きでフィーゴに栄冠を譲ったような――が起きない限りは、カカーが初のバロンドールを手にするだろう。カカーの人柄を考えれば、「何か」が起こる可能性は限りなく低いが……。
さて、今年のバロンドールはカカーでほぼ決まりだろうが、キャリア全体を通してみても、カカーはジダンの後継者、つまり「世界最高」の名を継ぐに相応しい選手になりつつある。
カカーの比較相手としては、C・ロナウドやメッシよりも、ロナウジーニョが相応しいと私は思う。前者2人がドイツ・ワールドカップ後に選手として一段階も二段階もステップアップした感があり、今後2、3年、今以上の活躍を続けられるか、継続して見守っていく必要があるのに対し、今年は不調だった(といっても、昨季スペインリーグで21得点)ロナウジーニョは、ここ数年「世界最高」の名を欲しいままにしていた選手だからだ。
ロナウジーニョがカカーより優れている点、それはボールテクニックだ。カカーも優れた技術を持つ選手だが、身体の一部のようにボールを扱うロナウジーニョは、この分野では依然として世界一の選手だ。
たとえ2、3人がかりでも、ロナウジーニョからボールを奪うのは難しく、トップスピードに乗った彼のドリブルを止めるのは不可能に近い。正確なキックを持つ彼にとっては、セットプレーもレパートリーの1つであり、FK、PKでは高い確率でゴールを陥れる。
一方、判断力ではカカーが上をいく。優れた戦術眼を持つカカーはいつでも適切なプレーを瞬時に判断し、すぐさまそれを実行する。また優れた判断ゆえか、守備での貢献度、パスを受ける動きの巧みさでも、カカーが上をいく。
それを的確に表現したのが、下記のアンチェロッティ(ACミラン監督)の言葉だ。
「バルセロナのロナウジーニョは、テクニックと創造性だけならカカーを上回る。ただし、足元へのパスばかりをほしがり、そのあともドリブル突破を仕掛けるだけだ。オフ・ザ・ボールのプレーは皆無に近く、ダイナミズムはゼロに近い。純粋なボールスキルで世界の頂点に君臨しているのは間違いなく、スペクタクルでもあるが、勝利をもたらす力はカカーほどではない」(ワールドサッカーダイジェスト誌より)
自チームの選手への多少の贔屓はあるだろうが、これに賛同する人は、私だけではないはずだ。
とはいえ、この2人が世界最高レベルの選手であることを否定する人はいないだろう。この2人を擁するブラジル代表、選択できるドゥンガ監督は、全くうらやましい限りだ。
ただ、もし仮に私がサッカーチームの監督で、2人のうちどちらか一方を自分のチームに加えられるなら、私はカカーを選ぶ。カカーの方がより効率的で、戦術的で、故に今後10年のサッカーの変化の方向に一致していると考えられるからだ。そして恐らくドゥンガも、同様の理由でロナウジーニョよりカカーを好み、今後も重宝していくのではないだろうか。
posted by taka911 |20:58 |
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